騎士学生と教官の百合物語

コマドリ

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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)

第52話 ジェイドの正体

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アイリス「けほっ....くっ、コトリ..!
ありがとう..あいつはもう..消えた、から..大、丈夫..ん..」

震える足でコトリに抱きつきながら彼女を安心させるように優しい言葉をかけるも、糸が切れたようにその場に倒れこんでしまい
意識を失ったのか動かなくなり、彼女が倒れると同時に両手足や首、数ヶ所から出血が始まり呼吸が止まり


リュネ「アイリス!!くっ....!?その傷..ま、さか..あの時....妾の一撃を....?」

大きく瞳を見開きアイリスの数ヵ所の傷から自分の魔力を感じとり、彼女が最後の一撃を完全に回避できていなかったことを悟ると大きく動揺し


リュネ「....わ、妾は....友を..殺した、のか..そ、そんな..大切な....大切な..親友を..こ、この手で妾がアイリスにとどめを?
....嘘じゃ!嘘じゃ!嘘じゃ!あ、あ、あああああ!!」

壊れたようにぶつぶつと呟くと、尽きていたはずの魔力が暴走したのか、リュネメイアの周囲に渦が形成され彼女を包み込み、強烈に発行すると、彼女の姿は跡形もなくたち消えていて

その場には意識を失ったアイリスと、コトリだけがいるだけになり


ーーコトリ視点ーー

コトリ「……っ…ごほっ! はぁはぁ!」

キメラを倒せたことを認識して数秒後、今更ながら無理していたことに気づき…気づいたことにより急に身体が重くなり、がくりとその場に膝をついて血を吐き出して。


コトリ「アイリスきょうかっーーあっ…アイリス…教官…?
嘘…だよ…ね…?」

アイリス教官に抱きつかれて一瞬安心するが、そのままアイリス教官が倒れてしまい…私は力なく一言をつぶやき。


コトリ「これ…が…過去の…真実…っ…げほっ…ごほっ…!
やだ…やだ…よ…こんな…の…!
はぁ…リュネ…はぁ…アイリス…教官…うっ…げほごほっ…っ…死なせ…ない…私が…この命に代え…てでも…!」

リュネの過去、そしてアイリス教官の死…私は虚ろな瞳を一瞬浮かべるが、すぐに光の色を取り戻して。

再び聖剣を無理やり覚醒させて自分の残る力や命を変換し、私の全部をアイリス教官を助けるために使おうとし…
これは回復魔法というより、自分の命を相手に与える蘇生のようなもので…。


ーーーー

転生魔術を使おうとするコトリの目の前の空間に電流が流れるような音が響いたかと思うと、白い光が弾けそこに、 キールと共に別地点で戦っていたはずの闇色のローブを纏うジェイドが現れ、背中にはキールが背負っていたはずの蒼の剣を抱えており


ジェイド「はぁ..はぁ..これは..!」

息を切らし、纏うローブはところどころが破れ、裂けて激戦の後を伺わせる中、コトリと瀕死のアイリスを見てある程度の事情を察すると


ジェイド「やめろ!そんな下らない術!使ったらお前が死ぬぞ!!」

コトリに一瞬で近づいて転生魔術を無理矢理やめさせるため、彼女のお腹を乱暴に蹴り飛ばしてアイリスと距離をとらせ


ジェイド「ったく....自分の命を捨てて、他人を助けるなんて馬鹿か。死んだら何にもならねーだろ正気か?..ふっ!」

コトリの方に手のひらをかざして、彼女を囲うように緑色の結界を張るとコトリの身体が淡い光を帯び傷が、ゆっくりだが治癒しはじめ

マリスミゼルとサクヤしか使えないはずの回復魔術をいとも簡単に使いこなす様子を見せつけ


ジェイド「どいつもこいつも....ったく、いらいらする!そんなにアイリスが大事なのか!?」

砦でみた様子のジェイドとは明らかに違い感情をむき出しにして、コトリに質問を


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…ぁあああっ!?
けほこほ…っ…はぁはぁ…ジェイド…さん…?」

アイリス教官の事だけしか目に映っていなかった私…だから急にお腹に痛みが走ったと思うと、状況が分からぬままアイリス教官と距離が空いていて。

蹴り飛ばされた痛みで、私は咳き込みながらジェイドさんの方を見て。


コトリ「っ…これ…は…?
……くっ…アイ…リス…教官…! 」

緑色の結界が張られ、私の身体の回復していき…私はよろよろと立ち上がる。

キールさんの剣のことやジェイドさんのことが気になったが…今はそれよりもアイリス教官を助けることの方が大事で…。


コトリ「はぁ…ジェイドさんが…んっ…言ったんだよ…はぁ…『本当に大切なものを守るためには小さな犠牲は必要』…だって…っ…私にとってアイリス教官は…その大切な人なの…だから…どんな手を使ってでも教官を…守りたいの…!

たとえそれで…アイリス教官との約束を…守れなくなっても…!
けほごほっ…邪魔をするなら…ジェイドさんでも容赦はしない…!」

ふらふらと立ちながら、私は自分の気持ちを言葉にし…殺意のある瞳でジェイドさんを睨みつけて。

まだ戦闘をするために無理やり聖剣を発動し続けているので…限界を超えて力を引き出してるため、私は口から咳と血を少し吐いてしまうが決意は変わらなく。

アイリス教官より先に死なない約束…それに一緒に生きて帰る約束…
たとえそれを破ることになろうと、私は大切な人を助けたいと叫んで。


ーーーー

ジェイド「はっ!ガキが俺のセリフを語りやがって..そこで大人しくしてろっ、俺はお前の相手をしてるほど暇じゃないからな!」

ジェイドが指をパチっと鳴らすとコトリの両手足に地面から、黒色の鎖が伸び彼女の四肢を拘束してしまい、コトリの発動する魔力を吸収し鎖が太く強度が上がるなか

蒼の剣を地面に突き立て、瀕死のアイリスの元に歩みよると


ジェイド「回復魔術じゃ無理、か。....相変わらず甘いなアイリス..そんなんだから、こうゆう結果になるんだよ..馬鹿ヤローが」

致命傷を負ったアイリスに捨て台詞を吐きながらも、何もない空間から形状様々な4本の大杖を取り出すと、アイリスの東西南北に1本ずつ彼女を囲うように地面に突き立て、しゃがみこみ

彼女に向けて両の手のひらをかざし小さく呪文のようなものを呟くと


ジェイド「....はぁ!!」

太い魔力の束が闇色の光を輝かせ、瀕死のアイリスに流れ込みはじめると、闇色の光を帯びたアイリスの身体が僅かに浮き上がり、多くの傷が修復しはじめ、魔力の発動により突風が周囲に吹き荒れはじめ


ジェイド「..くっ!っ!」

大杖の方へ視線を向けると4本の杖から闇色の魔力がジェイドへ魔力を供給し、更にアイリスに流れ込む魔力の束が強くなると、同時に一段と強く吹いた風でジェイドのフードが完全にめくれて

腰までの黒色の髪、金色の瞳....しかし、その素顔は髪色と瞳が異なる以外は現代のマサキと瓜二つの、女性の素顔が露になり


ーーコトリ視点ーー

コトリ「あぅ…っ…何これ…動け…ない…!?
くっ…力が…抜けて…。」

両手足を拘束されてしまい、さらには魔力も吸い上げられ…元々不安定に発動していたこともあり、完全じゃない聖剣の力を維持できなくなってしまう。

私はがくりと片膝をつき、背中に現れていた聖剣も消え。


コトリ「っ…何が…起こって…。
あっ…アイリス教官の…身体が…ジェイドさん…もしかして…。」

拘束で身動きが取れないなか、ジェイドさんがアイリス教官の傷を癒していくのを目の当たりにし…疲労と痛みで身体に力が入らないなか、私は治療してくれてるの? と思い。


コトリ「……えっ…? マサキ…さん…?
なんで…マサキさんがここに…でも…髪とか雰囲気とか…違うような…。」

ジェイドさんのローブが捲れ、マサキさんと瓜二つの姿に…私は驚きの表情を見せる。

すでに暴れる力もなくぐったりとしているなか、私はジェイドさんを見つめて マサキさんの名をつぶやき。


ーーーー

ジェイド「くっ....はぁ..はぁ..ふっ!!」

コトリの言葉には答えず、一旦、アイリスへの闇色の光を打ち切ると額の汗を拭い、よろよろと立ち上がると、今度は先端に大きな紅の宝石があしらわれた赤の大杖を取りだし

それをくるくると身体の前で回しながら小さく呪文をブツブツと呟くたびに、紅の宝石の輝きが増していきまぶゆい光を放ち


ジェイド「..はあぁあ!ぐっ..!あっ..!」

次は赤色の魔力をアイリスに放つと傷の修復が続けられ、生気を失っていたアイリスの顔色の血色がだんだんとよくなりはじめるも

反対にジェイドの首筋から血管がバキバキと嫌な音を立てて激しく浮き上がり、それがだんだんと顔の方へ侵攻していき


ジェイド「....安心..しろ。アイリスは俺が助けてやる....頭部も損傷してるから、ぐ..っ!直前の記憶に多少の、影響はあるだろうが....死人を助けてやるんだ。その程度、構わないだろ?」

コトリへ向かって僅かに視線を向けて、魔力行使を続けるも赤の大杖を持つ両の手も、バキバキと血管が浮かび上がり


ジェイド「..まったく..真っ直ぐな奴だよコトリは。ふふ..♪とても、純粋で....澄んでる。
アイリスの....俺の盟友を、そんなに大切に思ってくれているコトリのためにも、やり遂げないわけにはいかないな!」

小さく笑い、コトリに優しい笑みを浮かべると、赤の大杖の輝きがより一層、まぶゆいものになりアイリスを包み込むと同時に、ジェイドの身体の血管が弾けた各所から鮮血が吹き出し


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…ジェ、ジェイドさん いったい何をして…!?」

アイリス教官が回復してる一方で、ジェイドさんが逆に傷ついていて…私には何が起こっているのか分からず。


コトリ「っ…ま、まさか…アイリス教官の傷を引き継いで…?
ま、待って…私も手伝うから…! いや…違う…わ、私がやるから…!
私はアイリス教官を救うためなら この命だってかけれる…なのに…何でジェイドさんが…。」

アイリス教官の傷をジェイドさんが代わりに引き継いでいるのか? 私はそう推測しながら…鎖から抜け出そうとし。

アイリス教官は大切な人だから…そう想っている私なら命をだってかけれる…だけどジェイドさんと教官はそんなに親しくなかったはず…なのにどうしてと思っていて。


コトリ「ジェイド…さん……。
だ…め…私は…ジェイドさんやリュネ…キールさんにアイリス教官たちは…誰も死なせたく…ないのに…!」

ジェイドさんの優しい笑みに、私は涙目でいやいやと顔を振って。

これからも生きて欲しい…アイリス教官たちはもちろん、教官に陰口を言った騎士たちもそれに含まれていて…
でもそんな想いとは裏腹にジェイドさんから血が吹き出し、私は涙を浮かべて叫び。


ーーーー

ひときわまぶゆい赤色の光が一面に満ち、大きな突風が吹き荒れると、赤の大杖に持たれるようにして肩で息をするジェイドと、すやすやと寝息を立てるアイリスが


ジェイド「はぁ..はぁ..はぁ..っう!..あ..」

ところどころから出血するだけでなく、ジェイドの黒色の髪の色素が抜け落ち初め、やがて彼女の髪の色は毛先から銀色へと

瞳の色は金色から、紅く輝くルビー色の瞳へと変色して現代のマサキそのままの容姿へ変わり


ジェイド「こうなったか...だが、コトリ。アイリスはもう大丈夫だ。
今は意識を失ってるけどな..安心しろ。お前もそのまま、その結界内にいれば傷も元通りだ。ゆっくりしておけ」

疲れた表情をしながらも自分の髪の色の変化を見て、小さくため息をつきコトリに声をかけながらも、赤の大杖を消して


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…アイリス…教官…。
……えっ…マサキ…さん…?」

アイリス教官の穏やかな寝顔が見え、私は一瞬安心する…でもすぐにジェイドさんのことが気になる。

ジェイドさんの方を見て、私はすごく驚く…何故なら、私を過去へ送り出してくれたマサキさんと全く同じ姿になっていたから。


コトリ「い、今のは…何がどうなってるの…ジェイドさん…貴方はいったい何をしたんですか…?

アイリス教官も無事で…ジェイドさんも無事でよかったけど……あっ…リュ、リュネを探さなきゃ…そうだ、キールさんも無事なの…!?」

自分の推測とは違い、それに私がやろうとしていた転生とも違い…私は戸惑った表情をしていて。

それに、いなくなってしまったリュネのことも気掛かりで…いろいろと起こり過ぎて、疲労も加わり私は少し心乱れていて。


ーーーー

ジェイド「....本来なら、死人を生き返らせるなんて誰にもできない。いま使ったのは、オレが作り出した俺だけの禁術。

1度だけ死人ですら完全に蘇生する..が、代償に、俺自身が生涯、生み出すであろう魔力全てを失う。......つまり、実質的に俺は魔導師廃業ってわけだ。

莫大な魔力を一点に集中させ、一気に放出する....この髪色と..瞳は副作用だよ。あと、リュネメイアは知らん。俺が来たときはいなかったろ」 

やや疲れた様子を見せながらも、アイリスを蘇生させた方法とそのリスクについて明かして、寂しげにアイリスの周りを囲む大杖を眺め


ジェイド「....!キールは....」

キールのことについて聞かれると顔を伏せるも、そのとき部屋の外から甲冑の金属音が近づき、すぐに大勢の騎士たちが広間に現れ


ケーガン「動くな!!マサキ=ジェイド=サーティナ!貴様には、反逆罪及び味方部隊及び皇太子殿下並びにゴールドウィン王国騎士団副長の殺害容疑がかかっている!

武器を捨てて今すぐ投降しろ!!」 

騎士達のリーダーであるケーガンが大きく剣を構え、ジェイドに対して臨戦態勢をとるよう指示すると他の騎士たちも抜剣し


「君!大丈夫か!!あいつめ....レイフィールド隊長と、こんな子どもの騎士までてにかけようとしたか..まってろ!いま助けてやるからな!」

数人の騎士たちが拘束されたコトリに駆け寄り、彼女を気遣いつつも、ジェイドを警戒し彼女からコトリを守る姿勢を


ーーコトリ視点ーー

コトリ「さっきのはそんな魔法だったんだ…血が吹き出してたから勘違いしちゃった…でもそれじゃあ…。
やっぱり…でも なんでそんな無茶を…? ジェイドさんがそんなことをしなくても…私の命と引き換えにすれば…。」

ジェイドさんの話を聞いて、ジェイドさんは二度と魔法が使えないことを知る。

私がアイリス教官を救うところを黙って見ていれば、ジェイドさんは力を失わなかったのに…と、その疑問をつぶやく。


コトリ「そっか……リュネの方は生きているのは分かってるけど…彼女は自分のことを責めてる…クロにも伝えて、今度はリュネを救わなきゃ…。
…? …ジェイドさっーー。」

リュネの過去も知ることができ、未来に戻ったら今度はリュネのことも救わなきゃと思う…もちろんできればこの後 リュネを見つけたいけど。

キールさんのことを言い淀むのを見て、私が言葉をかけようとした時 扉が開き…。



コトリ「ケーガンさっーー……えっ…今、マサキって…言って…?
えっ…えっ…マサキって…まさか……。

っ…ち、違う…ジェイドさんは私とアイリス教官を助けてくれたの!
瀕死だったアイリス教官を傷つきながら助けてくれて…アイリス教官のために命を捨てる覚悟でいた私も助けてくれて…。

そんなジェイドさんに…私たちの恩人に何かするなら…私は貴方たちを止める…心配してくれたところ、申し訳ないけど…。」

私は最後の力を振り絞り、キメラみたいに一瞬  魔力を爆発させて緩んだ拘束から抜け出す…ジェイドさんが魔力を失ったからか、拘束も弱くなってたから何とかなった。

ジェイドさんに駆け寄り…私はジェイドさんの前に立ち、両手を広げて彼女をかばう。

キールさんたちのことを聞いて一瞬動揺するが…私は騎士たちの前に立ち塞がり、キッと騎士たちを睨みつけて怯ませ。


コトリ「……ジェイドさん…キールさんたちを殺害しようとしたのは本当なの?

ジェイドさんは…キールさんのことを仲間と思ってなかったの? それとも、それもジェイドさんの言っていた必要な犠牲なの?

私とアイリス教官を救ってくれた貴方…キールさんたちを殺そうとした貴方…どれが本当の貴方なのか…ジェイドさんのちゃんとした本心を聞かせて欲しい…。

……それを踏まえて、私がジェイドさんの今後のことを決める…。
敵の王は私とアイリス教官とリュネが討ち取った…その私たちもジェイドさんに救われた……だから私がもらう報酬はジェイドさんの『今後』について…それ以外の報酬はいらない…それくらいいいよね? 私たちがいなかったらこの戦争は勝ててなかったから…違う?」

魔の王を討ち取った者であることもあり…
私の言葉と強烈な殺気で騎士たちが動きを止めたあと、私はジェイドさんの方を振り向き。

そして言葉を紡ぎ、私はジェイドさんが何を考えてるのか…どうしてこんなことをしたのかを真剣な表情で尋ね。

そしてまた後ろを振り返り…私はケーガンさんをキッと睨みつけて、報酬はジェイドさんだと要求して。

この戦いでリュネは心に傷を負い…ジェイドさんがいなかったら、アイリス教官か私のどちらかは犠牲になっていた…だからキールさんのことも含め、私たちで決着させてほしいと言って。


ーーーー

「き、君!まさか、あの反逆者の仲間か!?」

「あぁ、そうに違いないっ!あいつを庇うなんて真似をするんだ。こいつも捕まえて、尋問にかけて、事の次第を正してやる!」

ケーガン「戦争の結果と、この罪状は全く別の問題点です。それに..ジェイドの仲間なら、君も同罪ですよ?」

コトリの発言を聞いて周囲の騎士たちが驚いた表情を浮かべるも、ジェイドの仲間とゆう疑念を抱くとコトリの周囲を取り囲み


ジェイド「...ふっ!..ははは♪なにが恩人だ....簡単に人を信用して。お前とアイリスを治癒してやったのは、ただの気まぐれだ!

そうしとけば、操ったり、オレ自身が手を下す楽しみもあるだろ?全く..アイリスと同じでとんだ甘ちゃんだ!」

笑いを堪えきれないといった様子で口角を上げ、クスクス笑いアイリスやコトリを侮辱するような言葉を話はじめ


ジェイド「ああ、あと..いきなり俺に襲い掛かるんなら、今度はもう少し腕を上げてからにしてくれ。弱い奴に付き合う時間なんかないからなっ!」

自分を庇うコトリに近寄り、彼女の腕を掴むと渾身の力を込めて投げ飛ばして自分との距離を取らせ


ケーガン「....!やはり、とんでもない人ですね..ジェイド。こんな子どもまで、自分の駒として利用しようとするとは..あの反逆者を包囲しなさい!」

コトリの周囲を囲んでいた騎士たちも、ケーガンの指揮のもと一斉にジェイドの元に向かい剣を構えて今にも襲いかかろうもする様子を


ジェイド「....ふ。最強の魔導師ジェイドはもう死んだ..お前らは捕まえられなかったけどな..っ!」

コトリに僅かに視線を送ると闇色のローブの下から髪止めを取り出し、腰までの銀色の髪を結い上げ現代のマサキと同じポニーテールに変えると

今度は丸い瓶のようなものを取りだし、それを渾身の力で地面に叩きつける。同時に白煙が周囲に立ち込め辺り一帯を覆うと、白煙が晴れたときには既にジェイドの姿はなく


ケーガン「くっ!..追うぞ!絶対に逃がすなっ!」

ケーガンの指揮のもと、広間から騎士たちは追跡のためアイリスとコトリ以外、誰もいなくなってしまい


パラドックス「ふふ....どうやら終わったようだね。お疲れ様、楽しかったかね?」

コトリの後ろから茶色のスーツに白衣のパラドクスが現れ、少しだけ微笑みコトリに質問を


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…そう…なら、仕方ないね。
みんなこの戦いで失ったものがあるんだ…なのに、そんな私たちが少しも関われないなんておかしいよ…。
(こうなったら…一か八か聖剣を発動できるか試すしか…そしたら私は教会の人間だって…聖剣騎士かもって思わせれるかも…。)」

絶望と恐怖から無意識に聖剣を暴走発動させてただけなので、今の私には聖剣を自分から発動などできず…むしろ、どうやって発動するばいいかも分からずにいた。

回復してくれたとはいえ、自らの聖剣の翼による反動で身体はぼろぼろ…これ以上無理をしたら、本当に死ぬかもしれない。


コトリ「……ジェイド…さん…。
それが本心…? それに、私言ったよね…話してみないと、その人の気持ちをちゃんと理解できないってさ…。
だからちゃんと話をしよ…えっーーきゃぁあっ!?」

笑いながら私やアイリス教官を侮辱するジェイドさん…でも私はまだ彼女から本心を聞いてない、ちゃんと全部聞かないと私には分からない。

私が話をしよう と口にした瞬間、ジェイドさんに投げ飛ばされ…力がなく踏ん張れなかった私は、そのまま地面に倒れこむ。


コトリ「っ…ジェイドさ…ん…! あっ……。
……パラドクス…さん…? そっか…私の役目は終わったんだね?
 …辛いことの方が多かったかな…それに、分からないこともいっぱいだし…。」

よろよろと立ち上がると、ジェイドさんがマサキさんの姿になり…私は一瞬驚く。

そのままジェイドさんはいなくなり…私が一人立ちすくしていると、パラドックスさんがやってきて……。
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