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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)
第50話 黄昏の宮殿での決戦
しおりを挟むしばらく走り深部へと進むとやがて大広間のような開けた場所にでて、見渡すと王がすわる玉座や、天井には魔族を賛美する壁画が描かれていて
リュネ「魔族の..玉座の間かの。いまいましい..今日ここで決着をつけてやるわ」
リュネメイアが苦々しげに吐き捨てると、玉座の後ろの暗闇から、何者かの足音が聞こえてきて、強烈な殺気を感じて、反射的にアイリス・リュネメイア共に剣を構え
アイリス「来る..!」
やがて暗闇から姿を現したのは、竜の鱗や虎の牙、コウモリの翼や蛇の頭をした腕など様々な特徴を身体に現した、7年後で戦ったはずの巨大な大男が現れ
キメラ「奇遇だな。こちらもそう考えていた。愚かしい人間など全て滅ぼすつもりだからな...!」
アイリス「貴方を倒して、全てを終わりにする..!」
銀色の剣を構えながら、殺気を込めた瞳で油断なく対峙し
ーーコトリ視点ーー
コトリ「はぁ…はぁ…大広間…ここが宮殿の終点…? ……っ…!?
(すごい殺気…で、でもこの殺気どこかで……。)」
アイリス教官たちに続いて私も大広間に足を踏み入れる。
すると玉座あたりから強烈な殺気を感じて、私もすぐに戦闘態勢をとる…しかし放たれる殺気に、私は前にもこれを感じたような? と思っていると…。
コトリ「なっ…!? そ、そん…な……なんで…あいつがここに…。
(あいつには剣も魔法も効かない……しかも私が純粋な魔法で攻撃したら…また前みたいにあいつに使われて…。)」
7年後に戦った怪物が現れ、私は驚きの表情を浮かべて。
前に対峙した時にはまったく歯が立たなく、あのまま続けていたらみんな殺されていたかも…その時の恐怖を思い出し、私は少し怯えてしまう。
コトリ「くっ…! ……はぁあああっ!
(違う…今度は…今度こそはあいつに勝たなきゃいけないんだ…!
アイリス教官…リュネやキールさんにみんなを守るためにも…!)」
胸に手を当てて私は咆哮し…赤い瞳に白銀の髪…そして赤黒いオーラーを溢れさせた、魔族の力を表に発現させる。
私はなんとか恐怖を断ち切り、気持ちを入れ替えて怪物を睨みつけ。
ーーーー
キメラ「ほぅ..魔族でありながら、余に牙を剥くか小娘。まぁ、よい。貴様らはここで終わる..人間の時代とともに」
アイリス&リュネ「っ!!」
そうキメラが呟いた瞬間、一瞬で姿が立ち消えアイリスに鋼鉄の腕を振るうも、ギリギリのところで彼女も受け止め、リュネメイアが渾身の一撃を叩き込むも
リュネ「おのれ!高速再生能力か!」
リュネメイアとのコンビネーションを使い、隙を作らないよう統制のとれた連携を見せ、幾重もの剣撃を繰り出すも、高速再生され、傷口が再生し
キメラ「ふっ!」
左腕を竜族の頭に変化させ、物質を焼き付くす強烈な火炎をコトリに向かって放ち
ーーコトリ視点ーー
コトリ「私は半魔族だから…半分は人間だし、別に魔族であろうと貴方を主人だなんて思わない。
それに…アイリス教官たちを傷つけようとするなら…容赦はしない…!」
半分は魔族になってしまったとはいえ、魔族だからといって必ずしも魔族の王に使えるとは限らないと言ってあげ。
キッ…とキメラを睨みつけ、私は容赦はしないと言って。
コトリ「やっぱりあの時と同じか…。
ダークシールッ……いや、ここはっーー七翼流剣術 闇の型…重力剣…はぁああっ!!
っ…ふぅ…。
(よし なんとか防いだ…でもどうしよ…私にはレインみたいな聖剣なんてないし…クロの力も借りれないし…七翼流剣術の技も完璧には使えないし…決め手がない…。)」
魔法で闇の盾を発動しようとするが、純粋な魔法だと前のことがあるので発動を途中でやめる。
剣に纏わせた魔力を闇の魔法へと変換し、振り下ろす剣の重力を操作して威力を上げ、それを地面に向けて振りかざす…
重さが倍となった剣により、破壊された瓦礫や土煙による風圧などの勢いでかろうじて火炎を防ぐ。
レインから教わったこの技は…重力操作した剣で 敵を叩き潰しながら斬るを同時に行うもので。
七翼流剣術は『火 氷 水 風 雷 光 闇』の属性魔法を動きや剣技のなかに取り入れていて。
コトリ「風の型…疾風…ふっ!
光の型…閃…っ!!
(レインと戦ってた時より攻撃は激しくない…こいつにもどこか弱点があるはず…そこを探さなきゃ…。)」
今回は純粋な魔法は極力使わず、レインから教わった魔法剣術で攻めていく。
高速でキメラとの間合いを詰め、すれ違いざまに一太刀あびせ…続いて剣を鞘に戻し、光魔法を加えた速度のある居合でもう一太刀あびせる。
レインから教わった様々な太刀筋で、私も手を休めずに攻撃を続ける。
ーーーー
キメラ「ほぅ..少しはやるようだ。ふっ!」
コトリの鋭い太刀筋や、剣撃を喰らうも高速再生で瞬く間に傷口が塞がってしまい、コウモリの翼を広げ上空に飛び立つと、腕を蛇の頭に変化させ、アイリスとコトリに一斉に無数の毒針をはなち
リュネ「ここじゃ!ぐっ!」
壁を踏み台に大きく跳躍したリュネメイアが背後から斬りかかるも、カウンターで同時に脇腹を貫かれ地面に叩きつけられ
アイリス「リュネ!っく!」
追撃を受けようとしたリュネメイアをアイリスが、すんでのところで庇い、キメラを一刀両断するも、すぐに再生し距離をとると
リュネ「なに..脇腹に穴が空いただけじゃ。増血剤と、止血剤は打ったしの。..妾はまだやれるぞ」
使用した注射器のようなものを、2本ほど地面に捨てると片腕で脇腹を押さえながら不適な笑みを浮かべ剣を構え直し
キメラ「だが、人間。時間はないぞ。これを見るがいい..貴様らの最後だ..更に..プレゼントもあるぞ」
キメラが腕を振るうと、2つの映像が映し出されそこにはアイリスとリュネメイアが率いていた軍勢が次々にやられていき、多くの犠牲が出ている様子が映され
もう一方には、魔族が建設したであろう、まるで巨大な黒色の大砲が映され、魔力を充電している様子が
キメラ「生体リンク魔法で余と繋がっておる。余を倒されなければ、王都を含む主要都市は纏めて消し炭だ。効率的でよいだろう?
あと、10分もすれば、纏めて炭ができる。
ふふ..あの方の素晴らしい世界が、遂に実現するのだ!なんと素晴らしい!」
キメラは興奮し、心から楽しんでいる様子で
ーーコトリ視点ーー
コトリ「っ…やっぱり私のじゃ…。
くっ…重力剣っ!!」
アイリス教官やリュネにレインの剣ですら届かないのなら、やはり今の私の未熟な剣ではキメラに致命的なダメージは与えられず。
私はまた重力の剣を地面に叩きつけ、瓦礫や土煙に風圧で毒針を防ぎ 躱す。
コトリ「あっーーリュネ!!
っ…すごい…魔力……。」
私がなんとか攻撃を凌いだ直後リュネが攻撃を受けてしまい…私は駆け寄り心配し。
他の騎士たちがやられているのに加え、魔力砲の映像を見せられ…ごくり、と私は焦りながら唾を飲み込み。
コトリ「(くっ…どのみち持久戦じゃ勝てない……こうなったら…傷が再生する瞬間に魔法をぶつけてみるしか…!)
風の型…疾風…ふっ!
光の型…閃…んっ!
闇の型…重力剣…はぁああっ!!
ここだ! 漆黒なる闇よ…この地に集まりて…世界を拒む檻となれっーーベルド・ジー・グラビティ!!」
私はリュネやアイリス教官より先に飛び出していく…まだ試していないことを試すために。
レインから教わった技の中で今 自分が使用できる剣技…太刀筋を見せ、傷が再生する瞬間に左手をキメラに向けて闇魔法をぶつける。
大きな黒い球体の中にキメラを閉じ込め、その中に発生した複数の重力球でキメラを空間ごと捻じ曲げて押し潰す。
未来で見せたダークネスには破壊力自体は及ばないが、こちらは破壊力よりも重力場で敵を捻じ曲げることが本質で…
この攻撃の意味は、傷が再生する瞬間の攻撃は通じるのか? また、攻撃をされ続けながらの再生は可能なのか? ということを確かめる意図もあり…。
もちろんこれで決めるためでもあり、ここまで温存していた全ての魔力をつぎ込み、半魔族の今の私で繰り出せる全力の魔法をぶつけ。
キメラ「ぐおっ!....ふふふ、重力魔法とは珍しい..いい技を頂いた」
重力魔法で瓦礫が粉々に圧縮されるなか、コトリが与えた剣撃は次々と再生してしまいキメラは笑みを浮かべ身体に宿らせた魔力を瞬間的に爆発させ、重力魔法を吹き飛ばしてしまい
コトリ「っ…そん…な…。
(私の全力だったのに…今のが防がれたら…もう…。)」
今の私に出せる全力の魔法を打ち消され、そして剣も効かなくて…私はがくりと膝をつき、絶望の表情を見せて。
魔力切れにともない、髪の色は普段の黒髪へと戻ってしまい……。
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