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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)
第47話 ジェイドとの会話
しおりを挟むアイリスと別れてジェイドの執務室と地図に書かれている場所につくと、扉の前の通路はリュネメイアやアイリスやキールたちと異なり、やけに騎士たちの数が多く
ジェイド「......誰だ?」
コトリが部屋に入ると闇色のローブを纏うジェイドがゆっくりと振り向くが、
先ほどと違いローブは完全に修復され、容姿は一切伺がうことができず、フードの下から彼女をじっと見つめ、男とも女とも取れる中性的な声で静かに質問を
ーーコトリ視点ーー
コトリ「ん、騎士たちが多いけど…これが普通なのかな?
ここか…ジェイド隊長、失礼します…。」
この辺りは、騎士たちが多いのが当たり前なのか? と私は思ったりする。
こんこんとノックをしてから、私は部屋へ足を踏み入れ…。
コトリ「私はコトリと言って、アイリス教官…アイリス隊長の副官をしています…苗字はなく名しかないのでコトリとお呼びください。
ジェイド隊長も知っての通り、私はこの前入隊した新米騎士です…ですので、明日の戦いの前にジェイド隊長とも親睦を深めれればと思いやってきました。
すでにリュネメイア隊長たちとは親睦を少しは深め、残すはジェイド隊長だけでしたので…いきなりで失礼しましたが、お邪魔でなければお話をできればと思いまして。」
ジェイドさんと対面し…出来るだけ失礼のないように言葉を選びながら、私はジェイドさんとお話ししたいという意思を伝えて。
ーーーー
ジェイド「........」
コトリの言葉を聞いて特に反応することもなく、何かしら考えているのか彼女をじっと見つめて
ジェイド「...ちょっと信用しすぎじゃないのか?こんな得体の知れないやつのところに、のこのこ1人で来て。お前の目の前にいるやつが、敵だったらどうするつもりだ?」
淡々と感情を込めない声で話を進め、警戒心が強い様子を見せつつ彼女に問いかけ
ジェイド「....まぁ、いい。それで?何を話したいんだ?俺と話したいってことは、何かしら聞きたいことや、知りたいことがあるんだろ?」
指でゆっくりと椅子をさして、コトリに座るように促して話を進めようと
ーーコトリ視点ーー
コトリ「ん、その時はその時だし…ジェイドさんに会ってくるってアイリス教官に話したら、一人で行ってきていいって言って案内図まで書いてくれたの…だから私はアイリス教官を信じてるし、ジェイド隊長も信頼できる人物かなと思ってるだけ。
それに、実際に話してみないと相手のことって分からないじゃないですか?」
写真のことがあったのに、笑顔でアイリス教官は私を送り出してくれた…
それはアイリス教官がジェイドさんのことを仲間として今も信頼してることを意味して、だから私はアイリス教官を信頼し、ジェイドさんも信頼に値できる人かなと話して。
コトリ「ん、ありがとうございます。
んー…色々と聞きたいことはあるけど……ジェイド隊長のことについて聞きたいかな。」
椅子に座ることを許され、私はぺこりと頭を下げて座らせてもらうことに。
答えてくれるか分からないけど…ジェイドさんの人柄や騎士としての誇り、あとは好きなことなどを聞いてみる。
コトリ「それと、さっき誰と揉めていたのか教えてもらえたら嬉しいかな……隊長であるジェイドさんと揉められる相手って少ないはずだし、一応 副官として決戦前に解決できる問題なら解決しておい方がいいかなと思って。
実はそれも気にもなったから、ここに会いに来たの。
あとは個人的な理由なんだけど…ジェイド隊長って刻印の知識とかあるかな?
少し厄介な睡魔の刻印を私の知り合いが刻まれてしまったの…私がここで騎士をしているのはアイリス教官の手助けを出来たらってのもあるけど、その大切な知り合いを助けるために何か情報を手に入れられたらというのもあるんだ。」
世間話を少ししたあと、ここに来た理由をちゃんと説明する…一応副官だから、決戦前の不安材料は解決しておけたらとと言って。
あとは、刻印の知識や人による睡魔の刻印について何か知らないか? と聞いて。
一応嘘は言っていない…アイリス教官の手助けしたいは本当だし、大切な知り合いとは未来のアイリス教官のことだからね。
ーーーー
ジェイド「ふふ♪お前..度胸あるな。初対面の相手に、よくこれだけ....しょっぱなからこんな質問されたの初めてだよ」
驚いた様子を見せ、少し笑いながらも自分も彼女の向かい側にある椅子に腰掛け
ジェイド「騎士として大事にしていること、ねぇ。俺は魔導師だから....それを踏まえてわかりやすくいうなら、『本当に大切なものを守るためには小さな犠牲は必要』って、ことだろうな。
....俺はアイリスやキール、リュネメイアみたいに甘ちゃんじゃない。何も捨てずに全てを守るなんてそんなの理想でしかないからな。1人が死んで100人助かるなら、迷わずそっちを選ぶ」
自分を他の隊長と比較して語るが、その考え方はアイリスが少しコトリに話していた通り
で
ジェイド「..揉めていた相手ね。それこそ、コトリには関係ないことだ。
それに..あれは個人的な問題だ。俺も揉めた相手もプロだから、戦に私情は持ち込まない。安心しろ」
コトリをあしらいながらも、明日の戦にそのことは持ち込むことはしないと約束し
ジェイド「俺は魔法のエキスパートだ。睡魔の刻印のことももちろん知ってる。アレの解呪方法は、呪いをかけた本人に解かせるか....もう一つは刻印の力の反対の属性の魔力を掛け合わせて、その上から多重式魔法陣を..」
話している途中に専門的な話になっていることに気付き、話を辞めると
ジェイド「とにかく、呪いをつけた人物をぶっ倒すのが、1番だな。」
ーーコトリ視点ーー
コトリ「ん、そうかな…?
明日は決戦だからね…後悔しないように、自分にやれることは全部しようとしてるだけ。」
後悔しないため…だからただアイリス教官の側にいるだけじゃなく、自分の足で少しでも情報を集めるために動くことにした。
アイリス教官は私を信じてくれてる…だから私もアイリス教官を信じる…。
コトリ「本当に大切なものを守るため…そして…何も捨てずに全てを守るのは理想…か…。
(私が大切な人は…アイリス教官に…モニカたち…そして、ジェイドさんの言うことも間違いだなんて一言では言えない……私も…そんな時が来たら…どんな選択をするのだろうか…。)」
ジェイドさんの言葉に、私の大切な人たちのことが思い出される。
もしそんな選択を迫られたら、私はどっちを選ぶか分からない…もしかしたら、ジェイドさんと同じ道を選ぶかもしれない…。
コトリ「そだね、ちょっと気になるけど…ジェイドさんがそういうなら、わかった。」
誰と話していたかは分からず、だけど私も深く追求せずにこの話は終える。
話していて、確かにアイリス教官から聞いていた通りだったが…そこまで悪そうな印象を覚えなかったからだ。
コトリ「? …??
ごめん…さすがに専門的過ぎてついて行けない…。
(マリスミゼル学園長なら分かるかな? とりあえず覚えておこう。)
やっぱりそうなるか……ジェイド隊長、ありがと…すごく参考になったよ。
ジェイド隊長のことはある程度分かったし、遅くならないうちにこれで失礼しようかな…アイリス教官を待たせているから。
いきなり訪ねてきて、迷惑をおかけしました。」
専門的過ぎてあんまり分からなかったが、覚えておいて後で必要なら学園長に伝えようと思って。
私は椅子から立ち上がり…ぺこりと頭を下げて、いきなりやってきたことをもう一度謝っておく。
刻印のことは改めて理解でき…そのお礼を言って、部屋にアイリス教官も待たせていると口にして。
ーーーー
ジェイド「そうか。これで、ね....いや、何でもない。もう遅いし、明日に備えて集中したい。早くいけ。明日は足手まといになるなよ」
コトリの礼を受けてもそれに取り合わず彼女に早くいけと促して、彼女が騎士たちに紛れ姿を消すのを確認すると、部屋に戻り
ジェイド「まったく....やっかいなことだ。明日、俺はあいつを殺すってのに....」
小さく呟いて瞳を閉じた
ーーコトリ視点ーー
コトリ「? ん、それじゃあ失礼するね。
大丈夫、明日だけはジェイドさんたちの足を引っ張らないよ。」
もう一度ぺこりと頭を下げ、明日だけは足を引っ張ることは出来ないと言って。
また明日、おやすみ…と言って、私はその場を立ち去って…。
コトリ(この戦いが終わったらどうなるか分からないけど…アイリス教官やジェイドさんたちの行く末に光があることを…。)
部屋に帰る途中、私は月明かりの中 教会の孤児院で覚えたお祈りを心のなかで祈って……。
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