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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)

第43話 防衛戦

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キール「..ふぅー...ここまで来れば、いいかな。みんな、今日はここで夜営しようか。」

その2日後..目的地としていた防衛ラインに達すると、隊の先頭を走っていたキールとアイリスが立ち止まり、夜営を提案しキャンプをすることになり、テントや薪に火をくべるなも準備を


キール「...はー....あたしは、今日も肩がガタガタだよー..いよいよ明日は、敵とかち合うのにやる気なくなるなー..」

アイリス「キール。そのおっきな剣..はやく変えなよ。コトリも、ここまでよく走ったね♪ほら、マッサージしてあげる♪」  

副官2名が見張りにつくなか、キールがぼやくもアイリスが苦笑いを浮かべて剣を変えるよう提案しつつも、コトリを誉めながら彼女の後ろにまわり肩を優しくもみはじめて


ーーコトリ視点ーー

コトリ「はぁはぁ…んっ…ふぅ…。
さ、さすがに…疲れた…。
(さすが本職の騎士たちだね…騎士学生の私とは体力が違うよ。)」

この前の山岳訓練で体力はついていたけど…さすがに2日間走ったりしていたので、私は少し疲れた表情を見せる。

小さな身体と肩で息をしながら呼吸を元に戻していき、落ち着くと普段のクールな表情に戻り。


コトリ「(やっぱりあの剣重いんだね……そういえば、何でアイリス教官はあの剣に変えることになったんだろう…?)

ふぁっ…んぁっ…♪
っ…// ん、んっん…! あ、ありがと…//」

私は2日前の疑問を少し考え込む。
いきなりアイリス教官に肩を揉まれ、気が緩んでいた私は思わず変な声が少し漏れてしまい…クールな表情の頬を赤らめて、変な声を漏らしたのを誤魔化すようにしながらお礼を言って。


ーーーー

キール「....普通、そこでマッサージされるのあたしじゃない?」

アイリス「キールには恋人いるでしょ?贅沢言わないのー♪」

キールとアイリスが楽しげに話す中、時間はあっという間に過ぎていき、コトリのほうにキールが目をやると


キール「しかし、よくあのペースで付いてきたなー。感心、感心♪
やっぱ、あたしの瞳に狂いはなかった。明日もその調子で敵を倒してよ?戦争が終わったら、ジュースおごるから♪」  

コトリのことを褒めながらニカッと笑い、彼女に期待している様子を


アイリス「ふふ....♪未来でもキールって、幸せそうでしょ?明るい人だからねー♪」

コトリの耳元で、キールにはばれない程度に小さく囁き、キールをからかうような表情を浮かべ


キール「なに、ひそひそ話してんのー。全く..♪」

青銅色の髪をいじり回しながら、拗ねたような表情を浮かべるもその笑みは優しげで、戦場の前の僅かな休息をみなで楽しみ


ーーコトリ視点ーー

コトリ「キールさん…恋人がいるんですね…?
(キールさん綺麗な女性だからいてもおかしくないけど…どんな人なんだろ……。)」

アイリス教官とキールさんが楽しそうに話しているのを見て、私も小さく微笑んで楽しそうにしていて。

キールさんの恋人か……私が今まであったことのある人のなかにいるのだろうか? と、少し考えて。


コトリ「ありが…とう…//
ん、わかった…楽しみにしてるよ。
(そういえば…私ってどのタイミングで過去から帰れるんだろ…? キールさんとの約束…守れるかな…?)」

キールさんに褒められ…私はクールな表情の頬を赤く染め、少し照れる。

ジュースをおごるよと言われ…帰還のタイミングとキールさんの約束について少し考えて。


コトリ「未来の…キールさん…?
(そういえば私…未来のキールさんと会ったことないな……私がまだ会ったことないだけ…だよね…?

それにしても…キールさんとアイリス教官って仲がすごくいいけど…昔からの友人なのかな…?
教官の部屋に飾ってあったあの写真……あの写真に写っていたの人のなかにキールさんがいたのかな…?)」

キールさんとアイリス教官の話を聞いていて、私はふとある考えが脳裏によぎる…
過去のことを話したがらないアイリス教官…蒼の剣のこと…楽しい時間なはずなのに、少しだけ不安がっている私がいるのに気づく。

アイリス教官の部屋で見た…騎士学生時代の友人四人と写っていた写真のことを思い出し、あの中の一人がキールさんなのか? それとも違うのか? と、私は少しいろいろと考えるのでした。


ーーーー

キール「さ、さて....あたしは、見張りを交代してくるよ。二人とも今のうちに身体を休めてたほうがいいよ」

自分の恋人の話しになろうとすると、頬を赤らめ、ゆっくり立ち上がり蒼の剣を背負いなおすと手のひらをひらひらとふりながら、部下2名の下に向かってしまい


アイリス「..綺麗な星だねー♪
この夜空は未来も変わってないのかなー....ほら、一緒に仮眠とろ♪」

ゆっくりと敷いた簡易のマットの上に横になると、手招きしてコトリを呼んで


アイリス「戦争終わったら....コトリも入れて五人でパーティーでもしたいな..」

眠たそうな表情をしながら小さく呟いて、少し先のことを話し


ーーコトリ視点ーー

コトリ「ふふっ…キールさん、頬を赤らめちゃってましたね…♪
……まぁ…私もキールさんのことを言えた方じゃなかったか…//」

キールさんが赤くなってたのを見て、微笑ましくて私は小さく微笑んで。

でもそれで、アイリス教官とのことでモニカたちにからかわられたりしたのを思い出し…私も同じく頬を赤くしてしまう。


コトリ「ん、本当に綺麗だね…そういえば、未来ではあんまり落ち着いて見る機会なかったな……今度は未来でも…。
あっ…う、うん…// お邪魔します…//」

私は、またこうして未来でもアイリス教官と一緒に星が見たいなと思う。

マットの上で手招きするアイリス教官…私は少し照れながら、マットの上で一緒に寝転ぶことに。


コトリ「ん、大丈夫…みんな揃って必ず出来るよ……。
(もう守られるだけじゃない…今度は私がアイリス教官を…そしてみんなを守るんだ…。)

あっ、その時はマサキさんも呼んで欲しいな…私が過去に来れたのは彼女のお陰だからさ……あふぅ…。」

私は自分の手のひらをアイリス教官の手のひらに重ねて…ぎゅっと軽く握りしめて、小さく微笑んで。

疲れていた私も眠そうな表情になってくるなか、その時はマサキさんも呼んであげて…と小さくあくびをしながらつぶやいて。


ーーーー

アイリス「ふふ...♪そうだね..♪お休み..コトリ♪」

マサキの名前が出て驚いた表情をするも、すぐに優しげな表情に戻り、彼女を撫でながら眠りにおち


………。

日が上り、朝食をとり各々が戦闘準備を整える頃には、魔族の軍勢がはっきり肉眼でも見えるくらいに迫っており

キール「さーて、戦の開始だっ。
レムグラストとジェイドが来るまで..持ちこたえるから、みんな死なないで。あたしらの全員が生きて帰るからねっ」

蒼の剣を構えて 目前に迫る魔族の軍勢を睨み付け、普段の彼女とは異なる冷たい瞳を浮かべ


アイリス「お互いにあまり離れすぎずカバーをしあうこと。数が2万いるから、勝つことが目的じゃなくて時間を稼ぐことだからね。

無理はしないで、危なくなったら退却するから..ふーっ..」

銀色の細剣を構えて、大きく息を吐いて瞳のを閉じるとキールと同様に殺気を込めた瞳を軍勢に向けて


アイリス&キール「いくよっ!!」

キールとアイリスを先頭に魔族の軍勢に突撃し戦が始まった


ーーコトリ視点ーー

コトリ「うん…あふぅ…おやすみなさい…アイリス…きょうかっ……すぅ…すぅ…。」

アイリス教官に撫でられ、安心して落ち着いた私…すると眠気がすぐにきて、そのまま眠りに落ちて…。


………。

そして翌日、ついに決戦の時が迫っていて…。

コトリ「……うん…!
(これは訓練とは違う…実践……あの怪物にはクロと二人がかりでも手も足も出なかったけど…今回の過去でだけは…もう誰にも負けられない…!)」

キールさんの表情がいつもと違うのを見て、私も改めて気合が入る。

レインに教わった剣術とアイリス教官に教わった剣術…それとクロに教わった魔法技術を思い出しながら、私も全身を薄い魔力で覆って戦闘態勢をとり…アイリス教官たちの後に続いて駆け出して。


ーーーー

キール「..っぁああ!」 

蒼の剣を軽々と使いこなし、一閃で大型の魔族数体を切り捨てるとその勢いのまま、倒れる魔族を踏み台に、大きく跳躍し巨体の魔族を一刀両断し


アイリス「....っ!!」

派手な戦いをするキールと異なり、銀色の剣を敵の急所目掛けて降り下ろし早いステップを交え、フェイントを入れた何重の剣閃により確実に、敵を倒し、小型の妖魔を刺し貫くと、キールの副官を襲っている魔物に投げつけ隙をつくるなどのときおりカバーを入れ


「さすが隊長たちだっ、オレらも負けないぜっ」

副官たちも背中合わせで隙をつくらず戦いを継続し


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…さすがアイリス教官たち……でも…私だって…はぁああっ!」

キールやアイリス教官に副官さんたちの戦いを間近で見て、やはりまだ騎士学生である私より練度が違うくて…でも負けじと私も戦闘に参加する。

最初は敵の攻撃をギリギリで交わし続け、次第に余裕を持て攻撃を交わし始め…
最後には過去のアイリス教官と同じような戦い方で、剣閃の連撃を加えて敵を確実に倒していく。

改造されてた身体も戻り…以前の『小鳥』のような戦い方に加え、剣に魔力を纏わせて斬撃の威力を上げる魔法騎士の戦い方も身につけていて。


コトリ「(でも…なんだろ……。
キールさんの戦い方…未来のアイリス教官に似てる気がする……それで過去のアイリス教官は…なんだか私の戦い方に似てるような…?)

とっ…そんな場合じゃないか…。
アイリス教官に魔法騎士の戦い方を教わった今なら…レインから教わってたあの剣技もできるはず…七翼流剣術 風の型 疾風…!」

キールさんやアイリス教官の戦い方を見て、戦いながらもそう感じていて。

そんなことを考えながらも私は戦いに集中していて、副官のおかげで魔物に隙ができると…
私は足に纏わせた魔力を風魔法へと変化させ、脚力を増加させ瞬間的な速さで通り過ぎざまに敵を一閃して。


七翼流剣術とは、剣と魔法を合わせ 同時に打ち込む剣技を扱う流派のことで…同時打ちの相乗効果で通常の剣技や魔法を上回る威力になるが、その分消耗が激しい。

魔法剣と呼ばれるその技は…レインから教わっただけで今までは使うことができなかったけど、アイリス教官の指導のおかげで会得できて。


ーーーー

キール「へぇ!やるなコトリっ!あたしも負けてらんないっ」

蒼の剣を投擲し敵の頭蓋を一撃で仕留めると大きく跳躍し、剣を引き抜いて敵の大剣の攻撃を受け流しつつカウンターで敵を両断し


アイリス「....ふーっ..」

切りかかかってきた魔族を切り捨て、たおれこんだ魔族を容赦なくとどめをさすと、胸元から左頬に青い返り血が飛び散り、背後からの攻撃を宙返りでかわし、一撃を


………。

キール「はぁ、はぁ...バルボアっ右だっ!」

数時間経過したか、日が登りきるも魔族の数はいっこうに減らずむしろ増えているような情勢にすら感じられ、副官たちにも疲れがみえはじめ

バルボア「っっあ!」

副官の一人が右脇腹を貫かれ、かたひざをついてしまい


ーーコトリ視点ーー

コトリ「はぁはぁ…はぁはぁ…。
(さ、さすがに…キツ…イ…な…。
私の『人間じゃなくなった部分』を引き出せばもっとやれるけど……だけど…それをしたら…私が普通の人間とは違うってこと…みんなに知られる…し…。)」

数時間も実戦である戦闘が続き…私は汗をびっしょりとかき、疲労から肩で息をしていて。

クロと混ざって過ごしていたことにより、私の肉体は変化してしまっていて…分離しても完全に戻ることはなく、半分人間で半魔族になってしまっていた。

それがバレたら 怖がられたり恐れられたり、最悪の場合 魔族のスパイに思われるかも…と、過去の出来事も含めて私は躊躇していて。


コトリ「っ…!
(あの位置 アイリス教官たちじゃフォローが間に合わない……迷ってる場合じゃない…。)

…っ…ぉおおおおおおおおっ!!」

副官の位置とキールさんたちの位置が少し離れてしまっていて、すぐにフォローが出来ないことを察知して…私は覚悟を決めて。

力を発動させるように私が左胸に手を当てて咆哮すると…魔族特有の赤黒いオーラーを小さな身体から溢れさせ、瞳の色を紫から赤へと変え、長い黒髪が白銀の色に変化し…私は半魔族化する。

クロと完全な融合をした時みたいな完全魔族状態ではないため、前みたいにアイリス教官たちに並ぶ程の力は出せない…が 魔法騎士としての魔力と戦闘能力を引き上げ、その出力は並の人間より上な魔族へ近づいていて。


コトリ「ダークシールド……ダークブレッド…!」

バルボアさんの目の前に闇の盾を展開し、クールな表情と冷徹な赤い瞳で敵の攻撃を防ぎ…
怪物戦で見せた ダークネス には破壊力が及ばないものの、小さな黒い複数の球体を弾丸のように飛ばして敵を撃ち抜く。

どちらも闇属性に属する魔法で、性質上 主に魔族が扱え…人が持つ光属性とは真逆の力で。


コトリ「風の型 疾風……せいっ! はあっ! とぅっ! っ…ぁああああっ!!」

アイリス教官たちがバルボアさんのところへ来たのを確認すると、私はそのまま手当の邪魔になりそうな魔族たちに突っ込んで。

先ほどまでの私の剣戟とは威力が異なり、速さに爆発力が加わり…その小さな身では出せそうにない重たい一撃を繰り出し、複数の魔族とのすれ違いざまに剣閃を加えて殲滅する。


青い返り血で全身を汚すも気にすることなく、より冷徹で冷たい表情で敵を殲滅するその姿は…まるで小さな鬼のようで。


ーーーー

アイリス「..! ブレイク、コトリっ!負傷者の援護をっ!」

銀色の剣を敵に深く刺し込み魔族の持っていた剣を剥ぎ取り、後ろから迫る敵をその剣で切り裂きながら指示を出し


キール「ちっ...!っはあ!みんな!踏ん張りどころだよっ!」  

巨体の魔族の降り下ろされる剣閃を蒼の剣で受け止めると衝撃で地面が大きく陥没するも
、歯を食いしばりこらえそれを弾き返して、敵を切り捨て味方を鼓舞するも、敵の数はさしてかわらない様子で、各自がじわりじわり押し込まれはじめ


………。

ブレイク「ぐああっ!」

疲労から剣先が鈍り押しきられブレイクの左足に魔族の槍が深々と突き刺さり、その場に倒れこんでしまい


キール「コトリっ。二人の止血と救護を!あたしらが支えるからっ」

3人を挟み込むようにアイリスとキールが敵を次から次へと倒していくも、二人の息が次第にあがってきはじめていて気がつけば5人を囲うように敵が四方全てを包囲している状況で


ーーコトリ視点ーー

コトリ「ん、了解…ふっ…はぁあっ!
はぁ…はぁ…くっ…っ…!」

私は前に出て敵を剣で切り裂きながら、後方の敵たちには闇の弾丸を撃ち込み…近距離と遠距離技を持つので、戦況のバランスを保つために援護と殲滅の両方を受け持って。

しかしその分負担も大きく、私の気力も魔力も消耗が激しく次第に息があがり始め…。


………。

コトリ「はっ…はっ…! わ、わかっ…た…はぁはぁ…。
(くっ…このままじゃ…みんな殺されるか…魔族たちに捕まっちゃう…。)

……バルボアさん、ブレイクさん…この手当が終わり次第、アイリス教官とキールさんと共にこの場を離脱してください…私が道を開くので…。」

汗をびっしょりとかいて、私は荒い呼吸を繰り返していて…なんとか副官二人の援護と止血をするものの、私も もう限界に近くて。

いつの間にか魔族たちに逃げ場がないように囲まれていて…私はキッと表情を変えると、ブレイクさんたちにそう言って立ち上がり。


コトリ「……漆黒なる闇よ…この地に集まりて…世界を拒む檻となれっーークェアボルツ・グラビティ…!

くっ…はぁはぁ…っ…な、長くは…持たない…から…体勢を立て直すために…みんなだけでも…この場からっ…!」

私は剣を鞘に閉まって、両腕を敵に突き出して集中する。

囲んでいる魔族たちの周りに黒い球体を複数出現させ、そこから円状がこの魔法の範囲になり…球体が出現しているところの重力が変化し、重力の拘束により魔族たちは行動が不可能になる。

アイリス教官たちが逃げれる道だけは残してあり、体勢を立て直すたもにも一旦この場からみんなだけでも引いて と教官たちに言って…
集中していないと魔法がすぐに途切れそうで、私はがくりと片膝をついてもう立てそうになくて。


ーーーー

キール「あたしもアイリスも部下を置いて逃げる隊長じゃないからっお断りっ」

コトリを狙い飛来する無数の毒針を素早い連撃ですべて叩き落としつつ、蒼の剣を縦横無尽にふるい


アイリス「コトリ、無理しちゃダメっ。もう限界でしょっ?あとは私たちがっ!」

銀の剣をふるい鋼鉄の強度を誇る触手を切り裂いて膝をつくコトリを横目に声をかけるも、同時に8体ほどの魔物を相手どっているため、コトリの元に駆け寄れず


キール「くっ....!」

紙一重で敵の剣閃をかわすとしていると、重力場を発生させていたコトリの球体が彼女の魔力限界により霧散し、魔物のが皆に殺到しようとしたとこと

少し離れた小高い坂の上から放たれた一条の金色の閃光が、魔族たちを貫き彼らの身体を爆発させると、深い闇色のローブをかぶった人物が大杖を大きく振り上げ


???「円形に包囲しているお友達に続けて、雷の殲滅魔法を放て!生存者を救出しろ!」  

フードの人物が号令をかけると、号令に合わせて一斉に数人の魔導師が一斉に魔法を放ち、コトリたちを囲む魔族が消滅、もしくは麻痺で倒れ込むと


???「レムグラスト隊!妾に続けぇ!!人間の底力を愚かな魔族に思い知らせよ!」

顔に目元が隠れる仮面を付け、騎士鎧の上に薄い着物を羽織った人物を先頭に、騎士の大軍勢が不意を突かれた魔族に襲いかかり、一気にこちらが優勢になる流れをつくると


???「ふむ....先ほどの重力魔物は主か。ルーキーなのになかなかやるの♪ほれ♪立てるか?」

包囲していた魔族を押し戻すのを確認すると、仮面の人物が息を切らしているコトリを見つけ、少し口元に笑みを浮かべしゃがみこみながら、コトリに片手をさしだし


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…! ……? ……えっ…?
キ、キール…さ…ん…それに…アイリス…教官たち…まで…な、なん…で…。
(今は一旦引かないと、副官さんたちの命どころかアイリス教官たちまで危ないのに…なんでみんな逃げないの…?)」

無数の毒針がこちらに飛んできて、私は目を瞑ってしまう…でも痛みも何もなくて目を開けると、キールさんが守ってくれていて。

アイリス教官や副官さんたちも私を心配していて…まだ数日の出会ったばかり私を置いてなぜ逃げないのか分からなくて。


コトリ「っ…ぁ…あぅ…!
ゃ…だ、だ…めっ…!!」

魔力と体力が力尽き…私は地面に両手をつくと荒く呼吸を繰り返し、髪色が白銀の色から元の黒髪に戻ってしまう。

このままじゃみんなが危なくて、私は力ない声で叫んで…すると何か光が走り……。


コトリ「はぁ…はぁ…えっ…?
……レム…グラス隊…? つ、つまり…味方…なの…?」

突然フードたちの人が現れ、瞬く間に魔族たちを押し返していき…私は口を開けたままぽかんとしていて、何かが起こっているのか最初は分からずいて。

汗だくで地面にぺたりと座り込んでいる私も、やっと少しずつ今の状況を理解出来てきて。


コトリ「えっ…あっ……その…あ、ありがとう…ございます…。
(こ、この人…どこかで……気のせい…かな…?)」

仮面の人物に手を差し出され、それにより私は足をぷるぷるとさせながらも何とか立ち上がる。

何故だか仮面の人物を見ていると不思議な感じがしていて…私の頭の中に ? が浮かび。


ーーーー

バルボア「おお..レムグラスト隊長に....みろ、ジェイド隊長もいるぞ..助かった..」 

ブレイク「あぁ、我々の勝ちだ..」

倒れている副官たちが目の前の仮面をつけ鎧の上から着物を羽織る女性と、小高い丘の上から魔術を放つ闇色のローブをかぶった人物をみて、弱々しいが安堵したような表情を


レムグラスト「ガタガタじゃな..主はよく戦った。あとは妾たちに任せ休んでおれ♪....しかし、情けないの。アイリスにキール..もう少し敵を仕留めんか」

仮面の女性がクスクス笑いながら挑発するようにキールとアイリスを煽ると


キール「あんたね....あたしたちが何千体倒してると思ってんのよ..」

アイリス「遅刻したんだから、私たちと一緒にしっかり働いてね♪天下無敵のレムグラスト隊でしょ?」

どちらも疲れている様子を見せながらも、仮面の女性に信頼の笑みを浮かべ答え


レムグラスト「当然よ♪さて、流れは妾たちにある。一気に敵を弾き返すぞっ」

アイリス「....っと、コトリ。ありがとうね♪いろいろ話したいことはあるけど、仕事を片してくるから、ゆっくり休んでて♪命令だよ♪」

ジェイド隊の魔法が打ち込まれ轟音がときおり響くなか、キールと仮面の女性が前線に飛び込みアイリスもコトリに話しかけると、後に続いて


………。

日が落ちようとする夕方には魔族は敗走し、辺りは死体と煙が立ち込めるものに変わっていて、騎士団の勝利にみな明るい様子を

キール「よしよし....あたしらの勝利だね♪」

各々が武器を納め、3人の隊長たちも安堵した様子を


ーーコトリ視点ーー

コトリ「(仮面の女性と仲良くしてる…仲がいいんだろうけど……やっぱり…何処かで会っているような…?)

はぁ…はぁ…っ…わ、私も…あぅ…! んっ…だ…め…おち…る……。」

仮面の人について考えようとするが、魔力を消費しすぎて頭がくらくらしてきて。

アイリス教官たちが前線に行くとのことで、私もついて行こうとするが…体力と気力もう限界で、私は片膝をついた後 副官たちの前でふらりと倒れてしまい。


………。

コトリ「…すぅ…すぅ…んっ……ここ…は…っ…た、戦いは…!?
あっ…お、終わってる…んっ…よ、よかった…。」

魔力の使い過ぎでそのまま眠りに落ちてしまっていたみたいで、気がつくと戦いが終わっていて。

まだ少し身体に力が入らないものの、みんな無事で戦いに勝利していて…私は安堵の表情を浮かべて。


ーーーー

パラドックス「がんばったようだねぇ。お疲れ様といったところかな?」

どこからともなく男性の声が響いたかと思うと、口元に笑みを浮かべたパラドクスがコトリの横にたたずんでいて


パラドックス「これから、君は選択を迫られる..どちらか一方しか知ることはできない。だが、迷うことはない。アイリスの側から離れなければいいだけだ。」

横目にコトリの反応を伺うようにゆっくりと語るように話を続け


パラドックス「それこそが、アイリスのことを助ける道に繋がり....君がこの時代に来た目的なのだからねぇ」

明るい調子で続けると右の腕時計を見て


パラドックス「さて、次の軸にいくので....君が真実を知ったときに迎えにくるとしよう♪」

コトリの視界から一瞬、外れると彼の姿はまたどこにも見当たらず、彼の消えた方向からアイリスが歩いてきて


アイリス「..大丈夫そうだね♪コトリ....よくがんばったね♪お疲れ様♪
....でも、さっきの姿はもう私たち以外には見せちゃダメだからね。コトリが危なくなるから。....とにかくお疲れ様♪」

彼女の横に来て微笑み、注意をしながらも感謝の言葉を伝えて彼女の頭を撫でてあげ


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…パ、パラドクスさん…。
せ、選択…それに一方…? それってどういう……。」

私が声に反応して横に振り向くと、そこにはパラドクスさんがいて…
彼の言葉に、まだ過去には何かあるのだろうか? と私は考えさせられ。


コトリ「そ、それは…そうだけど……な、なんだか気になる発言ばかりだね…。
ふぅ……まぁ、私はアイリス教官の側にいることを選ぶよ…♪

っと…また急にいなくなっちゃったよ……選択…か…でも私はアイリス教官を救いたいから……。」

パラドクスさんの思わせぶりな言葉ばかりに、私はジト目で彼を見つめて。

選択…確かに気になる言葉だけど、私はアイリス教官を救うことを選ぶよと小さく微笑み…でも他の人も救えるなら、と少し欲もあって。


コトリ「あっ、アイリス教官…ふぁっ…♪

ぁ……えっと…あの…さ、さっきの力のこと…聞かない…の…?
私 半分は人間じゃないんだ…もしかしたら私 魔族のスパイ…かも知れないんだよ…?
それに…さっきなんで私を置いて逃げなかったの…? 魔族の力を使った時点で私、みんなに置いて行かれても仕方なかったし…みんなが無事なら…私はそれでも…。」

やってきたアイリス教官に頭を撫でられ、私は赤くなって嬉しそうにしていて。

でも魔族の力の話題が出て…アイリス教官たちは私のことをスパイなのかと疑わないの? と、おずおずと少し怯えながら聞いて。

突然キールさんたちの前に現れて副官になり、魔族の力を扱える得体の知れない人物…普通なら疑うし、あのまま置いて行かれても私は教官たちが無事ならそれでも…と思っていて。


ーーーー

アイリス「んー....人にはいろんな事情があるからね。私にも、キールにも誰だってね。

それに、キールと会ったとき貴女がとったように..さっき、味方を助けようとしてくれたよね。私にはアレで充分だよ♪」

少し考えるそぶりを見せるも、コトリに配慮して事実を詮索しないことを匂わせ、コトリ自身がとった真摯な行動を信じると告げ


アイリス「まぁ、コトリのさっきの自己犠牲の行動は減点だけどね。1人だけを犠牲にするのは、その人を見捨てること。あ、勇気は買うよ♪

でも、私は部下を犠牲にして助かりたくない。....隊長ってゆう肩書きを背負っているものが、その時にその役割を果たすものなんだよ。部下の命に責任があるからこそね」

コトリに対して優しく諭すように自分の騎士としてのあり方や考え方を示してあげ


アイリス「とまぁ、説教くさくなっちゃったけど帰ろうか♪....いろいろ次のことがあるみたいだからね....」

ゴールドウィン隊を始め、各部隊が帰路についている様子と闇色のローブ、フードを深くかぶったジェイドがこちらを見つめるのを見て少し考える様子を見せながらも、砦に帰ることを提案し


ーーコトリ視点ーー

コトリ「あ、あれは…その…えっと…みんな私によくしてくれたから…身体が勝手に動いていたっていうか…。」

キールさんも副官さんも出会ったばかりの私によくしてくれて、だから隠しておきたかったはずの力も思わず使ってしまったとつぶやき。


コトリ「えっ…? で、でも…あのままじゃみんな危なかった…から…。
っ…アイリス…教官……んっ…ご、ごめん…なさい…反省してます…。
その…今度からはみんなの気持ちも考えられるよう…努力してみる…。」

隊長としてのアイリス教官の気持ちや考え方を理解できていなったことを知り…私は少ししょぼんとして反省していて、もっと人として成長できるよう頑張るとつぶやいて。


コトリ「ん、わかった…♪
っと…ふあっ!? っ…ぅ…まだ足に力が入らないし…あ、あの…アイリス教官…その…肩を貸してもらっても…いい…かな…?」

アイリス教官の教えのあと、私は小さく微笑んで立ち上がる…が、すぐにがくんと片膝をついてしまう。

少し寝たとはいえ、魔力の使いすぎと自身の体力の限界も超えてしまって…私は苦笑いをして、申し訳なさそうにお願いして。


ーーーー

アイリス「まだまだ修行が足りないね♪..ほら、おいで♪よいしょっ....っと。さ、帰ろうか♪」

コトリに微笑みながら背を向けると、自分の背中をポンポンと叩きながら乗っかるようにうながすと、そのままコトリをおんぶして帰路について

アイリス「体力は2、3日休めば戻るだろうけど魔力は回復には時間がかかりそうだね。あれだけがんばったから....ゆっくり休むんだよ♪」


ーーコトリ視点ーー

コトリ「それは認める……でもいつかアイリス教官だって超えて…それで…教官の背中を守れる騎士に…なるよ…。

えっ…// ん…あ、あり…がと…//
(アイリス教官におんぶされるの久しぶりだな…やっぱりいい香りと教官の温もりで…すごく安心する…。)」

今は修行不足や実力不足は認め、でもこれからも自分の騎士の腕は伸びると信じることにしたので…いつか本当に教官の背中を守れるくらいにとつぶやく。

アイリス教官におんぶされ、私はやっと安心できたのか力が抜けると…気の緩んだ表情で、頬を赤らめて嬉しそうにし。


コトリ「ん…そうさせてもらう。
あっ、アイリス教官…お疲れ様…//」

体力と魔力を回復させるためにゆっくり休んでね…と言われ、私は素直にこくりと頷いて。

そういえばアレを言ってなかったなと思い…私は少し照れながら、アイリス教官にもお疲れ様とつぶやいて……。
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