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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)

第39話 聖剣騎士サクヤ

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アイリス「ここが....」

大聖堂の荘厳華麗な様式は、見るものを圧倒するような華美なもので、ステンドグラスからは光が差し込み明るい様子で


マリスミゼル「....彼女は、私たちがつき次第くると言ってました。そろそろでしょう...ですが アイリス、そこに座ってなさい」

息を切らしているアイリスを教会の椅子に腰掛けさせ、解呪に行う祭壇や、教会騎士団の十字架をみつめ 


エリシア「大丈夫かアイリス? 何か気分が悪くなったらすぐに言ってくれ。
コトリ、側でアイリスを見ててやってくれ。」

コトリ「ん、わかってる。
アイリス教官…。」

この教会へ来るまでは、エリシアがアイリス教官に負担をかけないように背中に背負って来ていて…エリシアは息を切らす彼女を椅子に座らせて。

エリシアはそのまま立っていて、コトリは同じく横の椅子に座り…
身体を寄り添わせ、アイリス教官の手のひらを優しく握ってぎゅっとして。


………。

少して 赤と白の混じった巫女装束を身に纏った、腰まである長い黒髪の女性がこちらへとやってきて。

その姿はこの国の騎士とは違う雰囲気を漂わせていて、どうやらこの国の出身ではなさそうで。


サクヤ「貴方がマリスミゼルさんですね? お待たせしました。
私は、全ての教会騎士たちのまとめ役をさせていただいてもらっている…聖剣騎士が筆頭、サクヤと申します。
槍の巫女…という、私には過ぎた二つ名を頂いています。

そしてあちらの彼女がアイリスさんでしょうか? それと…あの子がコトリですか…。」

軽くお辞儀をしてマリスたちに挨拶をすると、アイリス教官の姿を確認して。

そして、ちらりとコトリの方も見て…クロという魔族が離れたいまでも、一応は今だに保護…監視体制にはあって。


サクヤ「お話はすでに聞いています…数ヶ月前にレインを助けてもらったご恩もあります。

そのお礼となるかは分かりませんが、その刻印というのを一度見させていただきます…そして、可能であれば私の方でなんとかいたしましょう。」

レインからの報告で、マリスたちに命を救われたことを聞いていて…
サクヤは軽く微笑むと、自分でよければお手伝いさせてもらうと快く引き受けて。

そして、コトリたちはサクヤの部屋に招かれる…そこは少し他とは違い、和式のようなお部屋で。


サクヤ「なるほど、確かに強力な刻印ですね…これを施した者は、かなり高位の魔族といったところでしょうか?
ですが、この刻印であれば私の力でなんとか出来るでしょう……汝に神の祝福を…。」

ベットへ横にさせたアイリス教官に施された刻印を確認すると…
サクヤの背中に青白い光の聖剣が発現し、それはレインの赤色の聖剣とは違っていて。

サクヤが聖剣の力を行使すると、守護の光による槍が作り出され…
サクヤがその槍を刻印へ振るうと、ぱりん…と共にアイリス教官の刻印が砕け散り……。


ーーーー

学園側を代表し、サクヤと握手して、事情を話しまたお礼を言うと和室に移動し、サクヤの術式を見て驚いたようにマリスミゼルは瞳を少し見開き

マリスミゼル「なるほど...初めてみる術式ですが、これなら....」

巫女装束の彼女が槍を振るうと、アイリスの呪いの刻印が砕け散り、左腕まで広がっていた呪いの紋様も消し飛び、アイリスの青ざめた表情も、回復し


アイリス「....楽になった。..助けられちゃいましたね♪ありがとう、サクヤさ....ん....」

すると首に記されていた刻印のしたから、先ほどとは異なる紋様の呪いの刻印が浮かび上がり、光を発すると


アイリス「ん....ご、ごめん、疲れたのかな....きゅう、に....ん..」

パタンとその場にたおれこみスヤスヤと寝息をたてはじめ、最初は微笑ましく見ていたマリスも新しい刻印に気づくと、険しい表情に変わり


マリスミゼル「これは..?サクヤさま、どうゆうことです?解呪は成功したはずではないのですか?」


ーーーー

サクヤ「これで大丈夫でしょう。
いえ、アイリスさんが無事で何よっーー……? …これは……。」

レインの聖剣の時もそうだったが、サクヤの聖剣も未知のもので…
科学側や魔術側から見ても解読し難い力のようで、教会側も神が与えたものという解釈で。

その授かりし力で刻印を破壊するも…すぐに浮かび上がった新たな刻印にいち早く反応し、サクヤは少し険しい表情に。


サクヤ「……おそらく先ほどの刻印を解呪または破壊すると、別の刻印が発動する仕組みになっていたのでしょう…。
さきほどの刻印とは違って、こちらは命に関わることはないのですが……この刻印を見る限り、解呪するまでは眠りから目が覚めないもののようです。

こちらの方は前の刻印と別物の性質で…私の力では解呪するのは不可能です……すみません…。」

少し考え込んだあと、今起きたことをまとめ…サクヤは二段式の術式だったのだと口にし。

新たな刻印は魔族の呪いのようなのもではなく、どちらかというと人の手で編み出された高度な術式ではないかと語り…サクヤの力の範囲外であると申し訳なさそうに伝え。


コトリ「そ、そんな…。」

エリシア「だが、命の危機から脱したことだけは…せめてもの救い…なのか…?」

サクヤ「……しかし二段式の術式、それにどちらも強力なのですか…。
二段式の術式自体、人間や魔族でも扱える者は限られています…しかもこの二種類の刻印を刻むことすら、緻密な魔力操作と膨大な魔力が必要です。

みなさん、アイリスさんに刻印を刻んだ魔族は何者かご存知ですか?」

コトリとエリシアが落ち込むなか、サクヤはマリスたちに聞いてきて。

サクヤもさすがに無視できるほど、今回の件は軽くないと思っていて。


ーーーー

マリスミゼル「....おそらく....7年前の戦いで刻まれたものでしょう。噂に聞いたことがあります。彼女たちと戦った..強力な魔族....それに、加担した大罪人の話を..」

マリスは事態を理解するとサクヤに答えるように淡々と話し初めるも、寝息をたてるアイリスを見つめ


マリスミゼル「ですが、私も..アイリス=レイフィールド....彼女のことは詳しくは知らないのです…。
彼女は自分のことを話したがらないですし、少しだけ聞いたことがあります....『7年前のことは、記憶が途切れ途切れで断片的で、あまり覚えていない』..と..」  

マリスの知るアイリスに、ついて話すもののその情報は薄くはっきりでかかりになるようなものはなく


マリスミゼル「...呪いの刻印をかけた魔族、もしくは、この睡魔の刻印をかけた人物さえ、わかれば....
サクヤさんのいうとおり解除の方法がわかるのでしょうが....私は、彼女の昔の戦友でもなければ、古くからの友人でもありません」

ため息をつきながら、方法が思い浮かばないといった様子をみせ

マリスミゼル「コトリ、エリシア..何かいい方法はないでしょうか?もしくは、アイリスから何か聞いてますか? 」


ーーコトリ視点ーー

コトリ「えっ…!? ア、アイリス レイフィールドが…アイリス教官…本人…?
(私…アイリス教官の…好きな人のことを何も知らない……何か…何か私にも出来ることは…。)」

サクヤ「7年前…魔族…大罪人…そしてアイリスさんが、あのアイリスレイフィールド…でしたか…。

わかりました、アイリスさんのことは私が調べてみましょう。
あとは出来る限り私たちも協力します…さすがに全員は無理ですが、何かあればレインくらいは動かせるように手配しておきましょう。」

マリスからアイリスのことを聞いたサクヤは…自分が彼女のことを調べることと、何かあれば自分の代わりとしてレインを…と言って。

アイリス教官がレイフィールドだと知り、私は本当にアイリス教官のことを何も知らないと落ち込み。


エリシア「すまない……私自身は戦争中 足を引っ張った身だ…お互いに相手を気遣って、その辺りの話題はずっと避けていたから…。」

コトリ「リュネに聞ければいいんだけど……なら……私、マサキさんに聞いてきます。

アイリス教官の古くからの友人ですし…何かを聞けるかもしれません。
マリスミゼル学園長たちは他の方をお願いします…。

(アイリス教官は私を救ってくれた……今度は私が…アイリス教官を助けるんだ…!)」

エリシアとアイリスはお互いに昔の話は避けていたと告げ、こうなるなら少しくらい何か聞いておけばと申し訳なさそうにし。

リュネを思い出すとともに、私はマサキさんに聞いてみると告げて…アイリス教官は自分を救ってくれ、そして自分の大好きな人だからと…自分の手で救うと決意した表情を見せて。


ーーーー

マリスミゼル「マサキさん、ですね?....そうですか、わかりました。では、コトリさんよろしくお願いいたしますね」

マサキとは面識がないような様子をみせつつも、マリスミゼルはコトリを送りだして、そちらの方を頼むと頷いてつげ


マリスミゼル「サクヤさま、ありがとうございます。
貴女の協力、感謝いたします♪私たちもできる限り状況を良くするよう、動いてみますので。それでは、失礼いたします♪」

サクヤに丁重に礼を尽くし、エリシアがアイリスを背負うのをみると、3人で大聖堂を後にし


ーーーー

コトリ「ん、任せてください。」

サクヤ「いえ、結果的に何もお役に立てなくて申し訳ないです。
それでは、お気をつけて。」

エリシア「それじゃあ、私がアイリスを背負うよ。」

大聖堂の入り口までサクヤは三人を見送り、私とエリシアたちはそのまま後にする。

そして私はエリシアたちとも別れ、一人 マサキさんの元へ向かい……。
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