上 下
39 / 355
第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)

第38話 忍び寄る過去③

しおりを挟む
「..やはり....7年前の....が...アイ..スを..」

コトリが旧学園長室の前にいると室内から声が漏れ聞こえてきて、コトリが室内を覗き見ると、そこにはフレイ、エリシア、マリスミゼルの3人が集まっていて、中心には左腕と首に包帯を巻いたアイリスが、ベッドに横たわっているのが見え


マリスミゼル「ごめんなさい....やはり、私の力では..」

マリスミゼルが悔しそうな表情を浮かべて、大杖を握りしめ拳をふるわせ


アイリス「ううん、気に..しないで下さい学園長....もともと、あのときしくじった私自身のせい..悔しいけど、ね..あはは..」

アイリスが弱々しい声を出しながら、学園長に話を返し


マリスミゼル「....私は、諦めません..他に方法が、何かあるはず..絶対に貴女を死なせませんっ」

悔しさから机をバンッと殴り付け、汗をぬぐいながらアイリスを睨み付け


ーーコトリ視点ーー

コトリ(やっぱり…マリスミゼル学園長と一緒に居て…。
っ…!? アイリス教官…左腕と首に包帯をして…!?)

覗き見ると…
アイリス教官がなぜか包帯をした姿があり、私は取り乱して声が漏れそうになる。

訳が分からないまま私は話をそのまま聞き続けて……。


コトリ「っ…!? ア、アイリス教官が…死ぬ…それって…どういうことです…か……?」

マリスミゼルの言葉に、私は思わず扉を開けて声を出してしまい。

その瞳と表情は唖然としていて…突然の事で頭が回ってなく。


ーーーー

アイリス「コトリ....あ~あ、やっぱり、見つかっちゃったか。っしょ...ほら、おいで♪」

少し驚いた様子をしつつも身体を起き上がらせて手招きして、コトリに部屋に入るよう促し


アイリス「..大丈夫だよ♪これまでだって似たようなことは、何度もあった。きっと..大丈夫♪」

コトリに向けていつもの優しい微笑みを向けるも、綺麗なブルーの瞳にはいつもの張りがなく疲れている様子を


マリスミゼル「......見られた以上仕方ないです。...貴女を遠ざけていた理由は、アイリスのことになると我を失い暴走する傾向にある。

....もし、一人の騎士として、貴女が真実を冷静に受け入れ、自分を見失なわないなら..状況を説明しますし、アイリスを救うために、貴女にも、協力をしてもらいたいと思います。

ですが....取り乱したら、その時点で、帰ってもらいましょう。私たちも時間がない....どうです。冷静にいられますか?」

フレイがマリスとエリシアを見て、二人が頷くのを見ると、小さくため息をつきながら、コトリに向けて冷静な態度をとれるかどうか確認し、選択をせまり


ーーコトリ視点ーー

コトリ「あっ…っ……う、うん…。」

弱々しいアイリス教官に手招きされ、私は少し後ずさる。

今教官の側へ行ったら、知りたくない真実を知ることになる…だから私は怖くて、でも恐る恐るアイリス教官の側へ近づいていく。


コトリ「きっと…って……。

あっ……。
頑張るから…取り乱さずに頑張るから…わ、私に教えて…ください…!
本当は知りたくなくて…逃げ出したいけど…それじゃ何も変わらないから……それに…アイリス教官を守れる騎士になりたい…それが…私の目指す騎士…だから…。」

大好きだったお母さんみたいに、また大事な人に死が近づいているのを感じ取り…
私は小さく身体を震わせ、今にも取り乱しそうになっていて。

マリスミゼルの言うことは当たっていて…過去のトラウマを含めても私は精神的に弱いところがあり、すぐにパニックになることもリュネの一件で気づいていて。

明らかに騎士としてメンタル面に問題を抱えるも、何とか気持ちを保ち…震える手でアイリス教官の手のひらをぎゅっと握り、精一杯の勇気を振り絞り真剣な瞳になる。


ーーーー

マリスミゼル「わかりました。貴女を信じましょう....アイリス」

フレイが声をかけ、アイリスを見つめるとアイリスも頷いて自分の包帯をシュルシュル..と、外していくと、表れた彼女の肌..首から左には禍々しい魔力を持った黒い刻印が広がっていて


アイリス「..これは、7年前の戦いで魔族にやられた呪印術....私たちの言葉でゆうと、いわゆる黒魔術だね。
時限式だったみたいで..いまになってでてきたんだー..このタイプは全身に刻印が回ったら、アウトのタイプで..進行するにつれ、体力と魔力を奪われるみたい..」

アイリスがゆっくり、話始めるもわりこむようにマリスが話を引き継ぎ


マリスミゼル「先ほど、彼女に治癒術をかけました。しかし....呪いの力が強すぎます。
私の治癒術では進行を遅らせることが精一杯です....治癒学的見地から見た私の見立てでは、1週間..」

悔しそうな表情を浮かべつつも、アイリスに残された時間を言いつつコトリに説明を


フレイ「....私の専門である魔法構築学から見ても、ここまで強力な呪い..呪印術は見たことがありません。

強力な闇の属性...ここまで強いと、これを解くのは王国騎士団や教会騎士団のトップクラスの魔術師でも..無理です。」

フレイもゆっくり自分の見解を言いつつ、手元に持った魔力属性を図る装置を示すと、計測する針が闇の方向に傾き、完全にふりきれていている様子が


ーーコトリ視点ーー

コトリ「っ…!? こ、この…禍々しい刻印は……ひどい…。」

長年クロと身体を共有していたため、魔族の術式や魔力に敏感に反応するようになっていて…黒の刻印を見た瞬間、全身に寒気が走って。

クロから刻印のことも少し教えてもらっていて、その中でも上位に来るくらい強力なやつで……。


コトリ「……人の力ではなく、聖剣騎士の《聖剣》による神の力だったら…どうかな?

レインに聞いたことがあるの…今の聖剣騎士 序列第1位 《槍の巫女》というその女性の聖剣の力は…
魔や悪魔に属する者の力を完全に遮断する光による絶対防御に、その守護の力を攻撃に応用しての完全浄化能力らしくて…

人には使えず魔や悪魔とかのみと限定されるけど、その力を振るう彼女はまさに神の代行者…聖女とも言われてて…
神がかりの槍の実力も合わさって、まるで『人の身では勝てないと決められている』とまで同じ聖剣騎士のレインに言わせたの…。

その彼女の力は教会側の切り札的 存在だから、聖剣騎士たちと上層部くらいしか知りえない情報…です…私はちょっと数少ないうちの例外ですが…。

その光の…聖なる光の力を備えた聖剣なら、神の浄化の力なら…アイリス教官の身体を傷つけず、呪いの術式だけを打ち砕くことが出来るはず…です。」

私は少し考え込むように顎に手を当て…そしてレインから聞いた話をマリスミゼルたちに詳しく話す。

聖剣の詳しい能力自体、外部にはあまり情報として漏れていなく…それはマリスミゼルたちが考えもしなかった道で。


ーーーー

マリスミゼル「なるほど..その情報の通りなら、問題なさそうですね♪
教会騎士団の秘匿情報とゆうことですし..良かった安心しました♪」

マリスも先ほどの表情とはうってかわり、アイリスが助かるとゆう喜びから、表情を明るくし


アイリス「あはは..こんなことなら、コトリに最初から話しておけば良かったね♪..隠してて、ごめんね」

簡単に解決することがわかり、少しほっとした様子の表情を浮かべ、コトリに謝り


フレイ「神の力....ですか。
にわかには信じがたいですが、そうゆうことなら私の..いや、私たちの出番はありませんね..コトリ。後は任せましたよ」

フレイは瞳を鋭くしつつも、問題がすぐに解決するとわかると、コトリに声をかけアイリスに軽く会釈すると興味を失ったように部屋を出ていってしまい


ーーコトリ視点ーー

コトリ「いえ、私のおかげという訳ではなく…レインのおかげというか…。
ただ…教会側が何と返事をするのかが分かりません……レインも第1位さんと仲がいいから、お話しするところまでは持っていってくれまるかもですが…。」

教会側が秘密にしている力なので、そう上手く協力してくれるのかが分からないと私はつぶやき。

アイリス教官が戦争に参加していた騎士なので、その辺りの考慮もしてもらえるかな…と私は少し考え込む様子を見せる。


エリシア「……マリス、とりあえず教会側に連絡をとってみようか…。
まずはレイン辺りの名前を出して、騎士学校の学園長であるマリス本人なら取り合ってもらえるはずだ。」

まずは教会側に取り合ってみようと提案するエリシア。

レインの名前とマリスの名前を使えば、とりあえず話し合う場くらいは開いてくれるかもと伝えて。


マリスミゼル「そうですね。では、私から、教会騎士団側へ至急連絡をとってみましょう♪
手配を完了次第、アイリスを教会側へ運びます。しばらく待っていて下さい」

教会と連絡するためにマリスは部屋を出ていき、それからしばらくして、教会側と連絡及び許可がとれ、四人は、「序列一位」が待つとゆう大聖堂へ向かい……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

ほのぼの学園百合小説 キタコミ!

水原渉
青春
ごくごく普通の女子高生の帰り道。帰宅部の仲良し3人+1人が織り成す、青春学園物語。 ほんのりと百合の香るお話です。 ごく稀に男子が出てくることもありますが、男女の恋愛に発展することは一切ありませんのでご安心ください。 イラストはtojo様。「リアルなDカップ」を始め、たくさんの要望にパーフェクトにお応えいただきました。 ★Kindle情報★ 1巻:第1話~第12話、番外編『帰宅部活動』、書き下ろしを収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B098XLYJG4 2巻:第13話~第19話に、書き下ろしを2本、4コマを1本収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B09L6RM9SP 3巻:第20話~第28話、番外編『チェアリング』、書き下ろしを4本収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B09VTHS1W3 4巻:第29話~第40話、番外編『芝居』、書き下ろし2本、挿絵と1P漫画を収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNQRN12P 5巻:第41話~第49話、番外編2本、書き下ろし2本、イラスト2枚収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHFX4THL 6巻:第50話~第55話、番外編2本、書き下ろし1本、イラスト1枚収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0D9KFRSLZ Chit-Chat!1:1話25本のネタを30話750本と、4コマを1本収録。 https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTHQX88H ★第1話『アイス』朗読★ https://www.youtube.com/watch?v=8hEfRp8JWwE ★番外編『帰宅部活動 1.ホームドア』朗読★ https://www.youtube.com/watch?v=98vgjHO25XI ★Chit-Chat!1★ https://www.youtube.com/watch?v=cKZypuc0R34

コンプレックス

悠生ゆう
恋愛
創作百合。 新入社員・野崎満月23歳の指導担当となった先輩は、無口で不愛想な矢沢陽20歳だった。

処理中です...