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第1節 リュネメイア編

第32話 空間転移魔法

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アイリス「こ、これは..二人とも待って!」

アイリスが叫ぶと同時に大男は強烈な二連撃をくらい壁に叩きつけられ、崩れ落ちた壁の土煙で大男の姿が見えなくなり


アイリス「コトリ、その姿....い、いやそんなことより...リュネの治癒が終わり次第、すぐに撤退するよ。私と貴女とレインでしんがりをつとめる。いいね?」

コトリに抱き締められると彼女の姿に驚いた様子を見せるも、明らかに敵を打ち倒せそうな絶対的に有利な状況にも関わらず即時撤退を提案し


謎の怪物「....ふぅー....少々驚いた。余に対し刃向かうとはな..褒美だ..少し遊んでやろうぞ」

強烈な連撃を受けたにも関わらず、その身体には傷一つなく切り落とされた筈の両腕も問題なく繋がっていてニヤリと口元を歪めると


謎の怪物「まずは新しく頂いたこいつを試そう..ダークネス!」

右の人差し指を対峙するレインに向けるとコトリがたった今放った黒魔法の破壊球を途切れることなくレインに放ち

更に左拳を身体の前で握ると天井から彼女の周囲全体を多い尽くすように大小様々な剣や、槍がレイン目掛けて降り注ぎ


謎の怪物「レインとやら、速いのは認めるがゴミには限度があるぞ....ふっ!」

必死に回避し受け流すレインに呟き、両の手を身体の前で合わせると、上空の攻撃に気をとられていたレインの足元四方から、彼女に鉄の刃が襲いその内の一本が、彼女の左太ももを深々と貫通し


謎の怪物「ふむ....いい感じだ。力がみなぎる..む、もうそれはいらん。諦めよ」

最初に相対したときより、大男の力や魔力は増しているようで辺りに彼の白い魔力が満ち溢れ、レインの双剣を指差すと立ちまち彼女の剣は腐食し刀身が折れてしまい


謎の怪物「....それで?次は誰ぞ?アイリスお前か?それとも、その小娘が高貴なる余の相手をするのか?」

戦えなくなったレインに興味を失ったように視線を二人におくり


ーーコトリ視点ーー

コトリ「無事でよかった……えっ…ア、アイリス教官…?」

レイン「……どうやらアイリスさんの言う通りかもしれませんね…あんまり効いてなさそう…。」

アイリス教官をぎゅっと抱きしめながら、私が心配していると…
教官は撤退しようと言い、レインもそれに賛成で。


コトリ「っ!? た、確かに手応えはあったのに…!?」

レイン「コトリ、さがってなさい!
ふっ! てぇい! はぁああああっ!!」

コトリ「魔法を剣で斬るなんて…いやそれより…今のは私とクロの魔法…!?」

私が驚きの表情を浮かべていると、先ほど私が放った黒魔法を向こうが逆に放ってきて…
レインはそれを二刀の剣で全て叩き斬って撃ち落とす。

高速で向かってくる魔法を普通は剣で撃ち落とすことなど至難の技、そんなレインと相手の繰り出す魔法に私は同時に驚き。


レイン「っ…! くっ…ふっ…はぁあっ!
(くっ…数が多い…! それにあの回復力…こっちは抜剣中 動くたび一気に体力が消費していくのにそれはセコ過ぎないかな?)」

周囲から様々な刃がレイン目掛けて降り注ぎ…レインはそれを持ち前の速さで回避しながら、避けきれないのは剣で撃ち落とす。

しかし防戦一方で、レインは反撃する隙すらなく。


レイン「くっ! しまっーーぐっ! っあぁ…っ…!」

コトリ「レ、レイン!!」

回避しきれずに足に攻撃を受けてしまうレイン…そのまま その場に倒れこんでしまう。


レイン「こ、こい…つ…私の…魔力を吸い…上げて……やは…り…さっきの…黒魔法は…コト…リの…を…。」

レインは自分の力を吸い取られるような感覚が走り、怪物が魔力を吸収できるのだと分かっていた素振りを見せ。


コトリ「っ…! アイリス教官には手出しをさせない…!」

レイン「コトリ、私を置いていっていいから アイリスさんたちを連れて逃げなさい!
こいつは…《千の雨》で私が道連れにするから…。」

コトリ「っ そんなの出来る訳ない…! レインは…私にとって大切な人だから…!」

レイン「っ…コトリ…。」

抱きしめたアイリス教官を黒魔法で作った黒い泡のなかに入れると、私は戦闘態勢をとって…その黒の泡のなかに入っていると、身体の傷を回復する効果があり。

レインは自分を置いてこの場から逃げなさいと言うが、私はもちろんそんなことは出来ず。


ーーアイリス視点ーー

アイリス「くっ...コトリ、私もっ....うっ!」

アイリス自身も、黒い泡の中から出て戦おうとすると、瞳を開けることができないほど一際大きな光が辺りを数秒照らし、次に皆が目を開くと、広がる光景は先ほどの部屋ではなく、丈が低い草原で巨体の怪物もおらず


アイリス「ここは....?」  

リュネ「ふーっ...やれやれ、なんとか間に合ったの..」 

混乱する皆の中、マリスミゼルの治療で意識を取り戻したのか、寝転んだまま口に着いた血を拭いながら弱々しい声リュネの声が聞こえて、彼女の真上に一冊の魔術書が浮かび上がり..その魔術書にひびが入り弾けるように粉々になってしまい


リュネ「..アレには勝てん。主ら纏めて空間転移魔法にかけて、飛ばした。だが、妾の魔力では厳しかったしの....やはり、こうなるか....」  

空間転移魔法を使用不能になった言葉とは裏腹に、表情は淡々としておりさして気にした様子もなく


アイリス「ふー....みんな大丈夫?無事かな?ははは..」 

蒼の剣を放り出してぺたんと地面に座り込みながら、こちらも弱々しく笑いながらみんなの状況を確認して……。
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