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ビアンキの恋と罪 ※ビアンキ視点
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学生時代‥‥。いつも目立つ彼のそばにいたのは、白い髪色で赤い瞳の女性だった。
彼女の名は‥‥ピナレロ。男爵家だけど、祖先が妖精だと言われており彼女の姿はとても美しかった。
コルナゴ•ブラック様と彼女は密かな恋人同士だった。
「ふむ、お前達は婚約をするのか?」
「キャノンデール、まだわからないわ。私みたいな女性をブラック家の方が受け入れてくれるのか‥‥」
「婚約?何をふざけたことを」
優しい瞳を彼女に向ける貴方が眩しくて、妬ましくて、嫉妬だけが残る。
何故私じゃないのだろうか。
何故私を好きになってないのだろうか。
それでも‥‥ただ、私は見つめるだけで良い。
そう良いと‥‥思っていたのに‥
悪魔が囁いた。
「ビアンキ嬢、僕と手を組まない?なあに、簡単な事だよ。君はコルナゴを、僕はあの美しいピナレロを」
「王太子様が何故私のようなものを‥‥」
‥‥その優しい笑顔に何故か安心をし、手を握る。
求めていたものが欲しかったからだ。どうしても貴方の心が欲しいから‥‥だから‥‥
ほんの少しの出来心だった。
一度だけで良いから、愛して欲しいと。
ピナレロ様に向けるその心の一部だけでもよい、おこぼれでもよいからと。
薬を盛り、私とコルナゴ様は一晩を明かした。
「‥‥コルナゴッ、ベッドで‥‥あなた‥‥誰と寝ていたの?!」
「‥‥‥ピナレロ‥?いやこれはーー」
「‥‥酷い‥!!」
あぁ、これで彼は私の物になると信じた。だけど、彼からの軽蔑の眼差しばかり。私との噂でブラック家と私の家は婚約をすることとなった。
「‥‥私に、その‥‥何も期待するな」
「わかりました。私は貴方を手に入れたんだもの‥」
ピナレロ様は王妃となった今でも、貴方を愛しそうに見つめる。貴方もそうなのでしょう。
あの方によく似た、デローザちゃんを‥‥
王妃様に頼まれたから‥‥彼は守ろうとしたのかしら。
私はデローザちゃんをはじめて見た時、本当はあの方の娘ではないかとなんとなくわかっていた。コルナゴ様との子供なのじゃないかと‥‥疑っていた。
本来なら結ばれる筈だった二人を引き離した私は、罪滅ぼしにデローザちゃんに優しくしてあげようと思っていた。
デローザ‥‥私が思う以上に可愛いらしく、賢く、今では本当に娘のように思っている。
どうか罪は私がかぶるから、もうこの子は苦しまず、楽しい人生を歩んで欲しい。
私の子供達もブラック家にとらわれず、自由になって欲しい。
私の今の願いは子供達の幸せ。それだけ。だから神様、どうか‥‥これから何があっても子供達だけはどうか‥‥。
私は不安な顔を隠しつつ、王城へ向かう馬車の中にいるデローザちゃんの手を握って微笑んだ。
彼女の名は‥‥ピナレロ。男爵家だけど、祖先が妖精だと言われており彼女の姿はとても美しかった。
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「ふむ、お前達は婚約をするのか?」
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「婚約?何をふざけたことを」
優しい瞳を彼女に向ける貴方が眩しくて、妬ましくて、嫉妬だけが残る。
何故私じゃないのだろうか。
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それでも‥‥ただ、私は見つめるだけで良い。
そう良いと‥‥思っていたのに‥
悪魔が囁いた。
「ビアンキ嬢、僕と手を組まない?なあに、簡単な事だよ。君はコルナゴを、僕はあの美しいピナレロを」
「王太子様が何故私のようなものを‥‥」
‥‥その優しい笑顔に何故か安心をし、手を握る。
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「‥‥酷い‥!!」
あぁ、これで彼は私の物になると信じた。だけど、彼からの軽蔑の眼差しばかり。私との噂でブラック家と私の家は婚約をすることとなった。
「‥‥私に、その‥‥何も期待するな」
「わかりました。私は貴方を手に入れたんだもの‥」
ピナレロ様は王妃となった今でも、貴方を愛しそうに見つめる。貴方もそうなのでしょう。
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どうか罪は私がかぶるから、もうこの子は苦しまず、楽しい人生を歩んで欲しい。
私の子供達もブラック家にとらわれず、自由になって欲しい。
私の今の願いは子供達の幸せ。それだけ。だから神様、どうか‥‥これから何があっても子供達だけはどうか‥‥。
私は不安な顔を隠しつつ、王城へ向かう馬車の中にいるデローザちゃんの手を握って微笑んだ。
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