黒幕一家の悪女は溺愛フラグが立ってしまった!

くま

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我儘次男はチョロい!

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最近、屋敷のメイド達から虐められない。チェリーも私も首を傾げるほどだ。

「と、いうか‥‥チェリー以外、メイドさん新しー人ばかりなきがする」

私のお屋敷を管理していたメイド長や、みんなも長いお休みを取ってるらしいと、新しい料理長が教えてくれた。チェリーは不思議だと言っていたのに次の日、大人の事情もあるんだと言葉を濁していた。

とにかく今は食事も腐った物ではなく、美味しいパンや、野菜やお肉も出てくる!最初は毒かもしれないとか疑っていたけど、特に問題はないし嬉しい!

ポカポカ日和なので、私はルイガノの屋敷の庭へと遊びにやってきた。堂々と遊びにいけるのがとても嬉しい!

「‥‥‥‥嬉しそうだね」

「うん!きょうのご飯ね、分厚いお肉!お肉なの!」

そう私がニコニコと嬉しそうに話すと、ルイガノは聞くだけ聞いて何も言わずにそのまま本を読み始める。

「あら、ここにいたわね」

「メリダお姉さま!おかーりなさい!学園たのしかた!?」

「うふふー。楽しくないわよ」

そう何人かのメイド達を引き連れてきたのはメリダお姉様だ。うん、長男だけど、お姉様なのだ!

ここ最近、メリダお姉様も会いに来てくれる。メリダお姉様は学園に通ってて、毎日は会えないけど週に一回ペース会いにきては、こうやって私の髪を三つ編みにしたり、お団子頭にしたり、楽しいみたいで良かった!ルイガノはメリダお姉様が来ても無視をしているけど、メリダお姉様は気にしていない様子。

学園かあ。10歳になってからじゃないと通えないんだっけ。

ハッ!!ルイガノは12歳の時に学園でヒロインと出会うんだった!そして同い年の王太子もだ。

私も10歳になれば、学園に通えるとは思うけど‥‥ヒロインに振られて泣く姿のルイガノを見るのは嫌かなあ。

私はそっとクッキーをルイガノの口へと運ばせた。

「‥‥‥?」

コテンと首を傾げる可愛い仕草のルイガノに百点満点をあげたい!

ルイガノとメリダと三人で久々に会ってお茶をしていた時だったーー

雷のようなドン!!と大きな音と共に剣を私に向けてきた少年が現れ、ルイガノとメリダは私を庇ってくれた。

そのおかげで私は怪我はないんだけど。

「はあー?!なんでそんな家族でもないやつ庇うんだよ!?」

そう大きな声で騒ぐ青い色の髪で毛先は黒く、瞳は紫色で八重歯が見える子‥‥この子は‥

ブラック家次男であるスコット・ブラックだ!!暴れん坊だと有名で、剣の腕がピカイチで、狼を連れてるんだっけ。

「キャウ!」

スコットの隣には小さなワンちゃんがいた。多分狼なんだろうけど、可愛いワンちゃんしか見えない!

「‥‥えと、わたしね、デローザです!よおしくね!」

そう私が挨拶をすると、スコットはプィッと私を無視して、メリダお姉様を見て冷たい目で睨んでいた。

「うおい!兄貴!いつまでそんな格好してんだよ!?クソ気持ちわりいんだよ!」

「うふふ。可愛いでしょ?デローザにはお人形みたいだって褒められたのよ」

「普通に戻れよ!!」

「普通ってなあに?美味しいのかしら」

「あぁ?!そりゃ、普通ってあれだ。あれ!!美味しいに決まってんだろ!」

「‥‥相変わらず兄上は頭が悪いようですね」

「ゲッ!ルイガノ!やめろ!鴉が邪魔だ!シッシ!」


という三人兄弟のやり取りを見て、慣れないメイド達はただ肩をプルプルと震えていた。でも久しぶりに兄弟揃ったなら、ハグくらいしたらよいのに、となんだかこの状況にすぐ慣れてしまう自分が怖わいぞ。

その時だーー

森の奥から来た猪が突然現れた。

「ぎゃ!!いのたん!?」

そうビックリしたら、スコットは自分が持っていた剣で一瞬で猪を倒した。

は、速い‥‥!!なんも見えなかった!!私はスコットの元へ走って彼の手を握った。

「すごいの!!すごいぞ!スコット兄さまは、つおくてカッコいいのね!」

「‥あ?」

「うん!カッコいーの!しゅぱん!って早い!みんなを助けてくれたおーじさまみたいだよ!デロのヒーローだ!」

そう褒めるとスコットは何故か顔を赤くしていた。

「は?え?そーか!?格好いいのか!うんまあなー!あははは!!猪の肉でも焼くか!」

「デロ、肉すき!だいすき!」

更に肉をプレゼントしてくれるって、スコット君よ。君は良い子だぞ!

その後上機嫌でスコットは沢山お肉を焼いては私にくれた。メリダお姉様はおやつに肉は要らないと拒否し、ルイガノは‥‥‥

「‥ルイ?どたの?」

ハムスター並みに頬を膨らませて、何故かいじけているように見えた。

「‥‥‥‥‥僕には可愛いとか言ってばかりです」

「うん?そんなことないよー!ルイもかっこいいもん!」

そう私が答えると、ルイガノはスコットに地味に鴉の攻撃をしていた。お肉食べないのかな?

少し離れた甘いお菓子を食べているメリダは

「‥‥スコット、チョロすぎー」

と馬鹿にしながら呟いていた。


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