恋愛小説に転生した男装執事令嬢は今日も優雅に彼を見守っています！

スター王立学園行ってきます！

私の実家に、アルテミス王子と帰って楽しんだ休日はあっというまに過ぎて、また私は今日も執事として主を守る毎日。さて今日から学園へ通う日です！

「…お前…執事姿のまま着いてくるのか？」

「え？それ以外何があるのです」

「いや、女だからきちんと女子の制服を着ろよ…って聞いてねー…」

さて今日から通うスター王立学園だけど、まだヒロインは現れない。

「ルナ兄貴！おはようございます！」

「ルナ様！おはようございます。今日もまた美しく素敵ですわ！」

最近アルテミス王子と仲良くなった、子分のトランスと小説では悪役令嬢のセイラ様とどうやら同じクラスみたいです。私も特別に一緒に通わせてもらう事となり、やはり小説通りの展開ですが、

「おい、普通はまず俺に挨拶をするべきじゃないのか？」

と不機嫌な顔をするアルテミス王子にセイラ様は
「あら、ふふ、やだわ。失礼しました、ルナ様しか見えてませんでしたの！」

「お前いい性格してるな…」

なるほど！悪役令嬢セイラ様は好きな人に意地悪作戦みたいな感じですね。ただ悪役令嬢というかただのお菓子作り大好きな可愛い子なので、本当にあの悪役令嬢なのか疑問です。

「なあなあ！とりあえずもういこうぜ？遅れるわ！ルナ兄貴行きましょう！」

とアルテミス王子の背中をバシバシと叩いて一緒に向かうトランス。後で王子の背中を叩いた事にお説教ですね…。

私達が教室へ向かう途中、一人の女子生徒が倒れてしまいみんながどうしようと困っていた。
「あら、あの子、性格がすこぶる悪いズザンナ家の者だわ。多分緊張して具合わるくしたみたいね」

アルテミスとトランスはセイラを見て

「「いや、性格悪いのはお前だろ」」と呟いていた。


アルテミス王子の通るところに、あのままいては王子困りますよね？それに具合悪いひとを放っておけないし…私はすぐ倒れている女子生徒を抱き上げた。女子生徒は私を見てビックリして

「え、あの、貴方様は…え？私…あの」

「はい、少し顔色が悪いようなのでまずは保健室へ行きましょう。初めての学園で緊張されてたみたいですね」

「は、恥ずかしいわ！私はズザンナ家の長女でー」

「か弱く可愛い貴女に何かありましたら、それこそ家の方が心配しますよ」

ニコッと微笑むと彼女は何故かタコみたいな顔をしてギュッと私の肩を持った。セイラ様は
「んまー！にんまりして！元気ですわ！この女は！」と怒り始めながらも、アルテミス王子達も一緒についてくるらしく、ふふ、彼女を心配してるんですね。

「ふふ、みんな優しい方ですね」

そうルナが笑った瞬間、その場にいた女子生徒達はうっとりとし、その日から《ルナ様を見守る会》というファンクラブが出来たことは本人は知らない。


「アルテミス王子どうされましたか？」

「……タラシが！！」

？？本日のご主人様はどうやらお腹が空いて機嫌が悪いみたいです。お昼まで頑張りましょう！