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ティラミス王子の考え事
しおりを挟む「愛らしい姿!さすがはティラミス王子!」
「勉学も優れていますわ!次期王はティラミス様に決まり!」
「あんな怖くて気味が悪いしアルテミス王子よりティラミス様のほうが国民も安心するわ」
「あぁ、アルテミス王子は無表情で何を考えているかわからん」
僕はただ言われた通りニコニコしていただけ。
勉学も実は兄上が影で教えてくれたおかげ。
剣術も優れているのは兄上なのに、誰も認めようとしない。母上も見ようとしない。
僕の兄上は周りに何を言われてもクールだ。次期王はこの僕だとみんなは言うけれど…特に王位に興味はない。
ただ最近気になる子ができた。あのパーティーで見かけた可愛らしい令嬢。一度父上にも聞いたら、父上は何故か
「ぶはっ!…えっ!?あーうんうん!わからないなあー私には!いやあーなんか面白い事になったもんだ。あ、いやこっちの話だから気にするな」
と、お腹を抱えて笑っていたので無視をする事に。
令嬢と踊った兄上も
「……知らない奴だ」と言う。パーティーの令嬢のリストを調べてもわからない。
「…幻の令嬢だなぁ…」
ハァと溜息をしながら、ぼーとてくてくと歩いていると…
「…様!ティラミス様…危ない!」
「え?」
僕は腕を引っ張られた。目の前には庭の池があり、僕は危なく池に落ちるところだった。僕を助けてくれたのは…兄上の執事ルナだ。女の子っぽい顔付きだけど、腕は凄いと聞く。このルナと出会ってから兄上は…少し表情が和らくなってきた気がする…。
ズキン
「痛っ…」
「ティラミス様、申し訳ありません。私が強く引っ張り過ぎたせいで足を捻らせてしまって…」
「はは、大丈ーぶって!、ルナ!?」
彼は急に僕を抱き抱える。にこやかに
「ティラミス様を部屋まで送りましょう。後でメイド達に塗り薬を持ってこさせますね」
男にお姫様抱っこされるとは…!いや、もうメイド達の周りの視線が痛い!!軽々と僕を抱っこしながらスタスタと歩く執事ルナは王子様か!と突っ込みたい。いや、僕が王子なんだけど…悶々としていると
「ティラミス様どうされましたか?痛みますか?」
ニコッと笑った彼がなんだか……可愛いらし…
いやいやいやいやいや!!僕は健全な男子だ!!違う違う違う!
「はい、部屋につきましたよ。それでは失礼します」
「…うん、ありがとう…」
コンコン
一人のメイドが部屋へ入ってきた。
「失礼します。ティラミス王子、薬を持ってー…風邪でも引かれましたか?」
「え?」
「お顔がとても赤くなっておりますわ?」
「……ち、違うよ!!」
そう言いながら、ティラミスは1日中、あの幻の令嬢はどこか、そして何故かルナの事を考えていた。
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