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え?その前に白飯と納豆と味噌汁ください!
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目が覚めると私は布団で寝ていた。懐かしいようなそうでないような雰囲気の部屋。
「え?和室?!どこ!ここは!」
私は部屋から出ていくと、壁や柱の色は全て朱色に塗られていた建物だった。長い廊下を歩いていると、
奥から怒鳴り声が聞こえてきた。
「この馬鹿者が!!おまえはなんて役立たずなやつだ!王子を殺すどころか、あの少女を連れてくるとは!しかもなんだ!スター国の街を火の町にしたと思えば、誰一人死んでおらんという失態!!」
「父上…彼女は私の大切な方です。この国のスターローズが必要なので連れてきました…。それにスター国には優秀な騎士団という者達がいます。あの騒ぎで直ぐに動き、王も王子も捕らえる事は難しいかとー」
バシっ!!!
「うるさい!役立たずが!お前など生まれてこなければよかったのだ!」
サン国の王様だ…うさぎさん殴られている!!
なんて親なの!?虐待だよ!これ!
「ちょっ!!ー…んぐっ!?」
後ろから、キルさんとラウル君、忍者君がいて私の口を塞ぎ
「しー…静かに」
そう言って私を先程の部屋へ連れて行った。
キルさんは正座をし、私に
「先程は失礼いたしました…」
「クソっ我が国ながら、あの王はムカつく…」
「やめないか。アスラ様は耐えているのだから」
キルさん達は重苦しい顔でうさぎさんを心配していた。
今スター国とサン国は、戦争一歩手前状態で南の森の国の境界でまさに睨めっこ状態。これは…カナちゃんが言っていた最悪のシナリオ。バッドエンドルート!!?
「スター国の町は…皆んなは大丈夫なんだね…」
「今のとこは、ですが」
キルさんは唇を噛み、ラウル君は壁に八つ当たりをする。忍者君はただ黙っていた。
「ね、ねぇ…うさぎさんはどうして、あんなふうに怒られてたり黙って殴られているの?」
うさぎさんの母親は小さい頃から心臓が弱いのに、うさぎさんを産んで更に弱々しくなったらしいけど…
昔スター国の王子…今の国王と恋人だった!?
んで嫉妬したサン国の国王は以前、戦争を始めようとするけどそれを止めたのが、うさぎさんの母親だった。
その時心臓が止まり、亡くなった。
うさぎさんは幼少期から、父親に瓜二つの母親似の息子に嫌味を言われたり、殴られて、サン国の王のいいなりだという。
「腹たつ!何それ!だからってうさぎさんにはなんも罪ないよ!…あ、でもなんで私にそれを教えてくれたのかな?」
忍者君は私に膝まついて、
「…王子が貴女といると普通に笑っていたからです…王子はあの王がいる限り自由でない…」
キルさんは
「せめて、王子の隣にはマリア様、貴女にいてほしいのです」
ラウル君は
「クソ国王のせいでっ…笑わない悪魔の王子といわれてんだぞ!」
「うん!ぶっ壊そう!そして戦争とかやめよう!!あ、それと私お妃とかお嫁さんならないよ!」
「「えっ…」」
「マリア?目が覚めたの?」
うさぎさんが部屋に入ってくるなり私は先程うさぎさんが叩かれていた頰を優しく触った。
「あぁ、これ?私は大丈夫だ。先程の父上とのやりとりを見たのだろう?私にはマリア君がいてくれれば」
そして…
バシーン!!!
「え…」
キル、ラウル、ゼン、そしてアスラは目が点になった。
「甘えちゃだめ!うさぎさんなんで立ち向かわないの!?諦めたら試合終了!!」
「君も…マリアも自分の病気、諦めかけていたじゃないか」
「違う!!私は諦めてなんかない!うさぎさん!今自分の国が大変な事になりそうなんだよ!?いっぱい人が死んじゃうんだよ!」
うさぎさんは少し黙った。
「虐待も色々よくないし、正直この国はうさぎさんにとっていいかわからない、スター国へ行って謝ろう!皆んなに戦争やめよう言おう!」
うさぎさんの手を握り締め私はうさぎさんをまっすぐ見つめた。
うさぎさんはクスクス笑った。
「ふはっ、多分スター国行ったらあの王子に殺されると思うけど」
「大丈夫!私が守るから!」
うさぎさんを心配するように、キルさんは
「アスラ王子…私は…私達は貴方に仕えております。いつでも私達は心がけております…ですから…」
ふぅーとため息をするうさぎさん。
「正直マリアを連れてきて仲良く暮らしたかったんだがな…」
クスッと笑ううさぎさん。
「それは無理!お嫁さんはなれないからごめんね!」
「そうか…ならば私がする事は決まっているな…キル、ラウル、ゼン…力を貸してくれ」
「「…御意っ」」
「しかし、もう夜になったものの…城の周りにはまだ衛兵がいる。私が外に出てもすぐに出れないぞ」
「ふふ!大丈夫よ!でもその前に!!」
「「その前に?」」
「この国の納豆とご飯と味噌汁いただけるかしら!?」
さあ!戦いには力をつけなきゃならないもんね!!
「え?和室?!どこ!ここは!」
私は部屋から出ていくと、壁や柱の色は全て朱色に塗られていた建物だった。長い廊下を歩いていると、
奥から怒鳴り声が聞こえてきた。
「この馬鹿者が!!おまえはなんて役立たずなやつだ!王子を殺すどころか、あの少女を連れてくるとは!しかもなんだ!スター国の街を火の町にしたと思えば、誰一人死んでおらんという失態!!」
「父上…彼女は私の大切な方です。この国のスターローズが必要なので連れてきました…。それにスター国には優秀な騎士団という者達がいます。あの騒ぎで直ぐに動き、王も王子も捕らえる事は難しいかとー」
バシっ!!!
「うるさい!役立たずが!お前など生まれてこなければよかったのだ!」
サン国の王様だ…うさぎさん殴られている!!
なんて親なの!?虐待だよ!これ!
「ちょっ!!ー…んぐっ!?」
後ろから、キルさんとラウル君、忍者君がいて私の口を塞ぎ
「しー…静かに」
そう言って私を先程の部屋へ連れて行った。
キルさんは正座をし、私に
「先程は失礼いたしました…」
「クソっ我が国ながら、あの王はムカつく…」
「やめないか。アスラ様は耐えているのだから」
キルさん達は重苦しい顔でうさぎさんを心配していた。
今スター国とサン国は、戦争一歩手前状態で南の森の国の境界でまさに睨めっこ状態。これは…カナちゃんが言っていた最悪のシナリオ。バッドエンドルート!!?
「スター国の町は…皆んなは大丈夫なんだね…」
「今のとこは、ですが」
キルさんは唇を噛み、ラウル君は壁に八つ当たりをする。忍者君はただ黙っていた。
「ね、ねぇ…うさぎさんはどうして、あんなふうに怒られてたり黙って殴られているの?」
うさぎさんの母親は小さい頃から心臓が弱いのに、うさぎさんを産んで更に弱々しくなったらしいけど…
昔スター国の王子…今の国王と恋人だった!?
んで嫉妬したサン国の国王は以前、戦争を始めようとするけどそれを止めたのが、うさぎさんの母親だった。
その時心臓が止まり、亡くなった。
うさぎさんは幼少期から、父親に瓜二つの母親似の息子に嫌味を言われたり、殴られて、サン国の王のいいなりだという。
「腹たつ!何それ!だからってうさぎさんにはなんも罪ないよ!…あ、でもなんで私にそれを教えてくれたのかな?」
忍者君は私に膝まついて、
「…王子が貴女といると普通に笑っていたからです…王子はあの王がいる限り自由でない…」
キルさんは
「せめて、王子の隣にはマリア様、貴女にいてほしいのです」
ラウル君は
「クソ国王のせいでっ…笑わない悪魔の王子といわれてんだぞ!」
「うん!ぶっ壊そう!そして戦争とかやめよう!!あ、それと私お妃とかお嫁さんならないよ!」
「「えっ…」」
「マリア?目が覚めたの?」
うさぎさんが部屋に入ってくるなり私は先程うさぎさんが叩かれていた頰を優しく触った。
「あぁ、これ?私は大丈夫だ。先程の父上とのやりとりを見たのだろう?私にはマリア君がいてくれれば」
そして…
バシーン!!!
「え…」
キル、ラウル、ゼン、そしてアスラは目が点になった。
「甘えちゃだめ!うさぎさんなんで立ち向かわないの!?諦めたら試合終了!!」
「君も…マリアも自分の病気、諦めかけていたじゃないか」
「違う!!私は諦めてなんかない!うさぎさん!今自分の国が大変な事になりそうなんだよ!?いっぱい人が死んじゃうんだよ!」
うさぎさんは少し黙った。
「虐待も色々よくないし、正直この国はうさぎさんにとっていいかわからない、スター国へ行って謝ろう!皆んなに戦争やめよう言おう!」
うさぎさんの手を握り締め私はうさぎさんをまっすぐ見つめた。
うさぎさんはクスクス笑った。
「ふはっ、多分スター国行ったらあの王子に殺されると思うけど」
「大丈夫!私が守るから!」
うさぎさんを心配するように、キルさんは
「アスラ王子…私は…私達は貴方に仕えております。いつでも私達は心がけております…ですから…」
ふぅーとため息をするうさぎさん。
「正直マリアを連れてきて仲良く暮らしたかったんだがな…」
クスッと笑ううさぎさん。
「それは無理!お嫁さんはなれないからごめんね!」
「そうか…ならば私がする事は決まっているな…キル、ラウル、ゼン…力を貸してくれ」
「「…御意っ」」
「しかし、もう夜になったものの…城の周りにはまだ衛兵がいる。私が外に出てもすぐに出れないぞ」
「ふふ!大丈夫よ!でもその前に!!」
「「その前に?」」
「この国の納豆とご飯と味噌汁いただけるかしら!?」
さあ!戦いには力をつけなきゃならないもんね!!
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