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スター国の王の初恋
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スター国の王は星を眺めながら赤ワインを飲んでいた。
南の森の奥はサン国とスター国の国境近くだった。
そんな森で昔一人の王子と姫が出会い恋に落ちていた。
二人は互いに惹かれ合ったものの、結ばれることはなかった。
「私は、サン国女王になり…だから…この国を捨てるわけにはいけないわ…」
「それでも私は君を愛している。ずっと…君を愛しているよ」
白い髪のサラサラのストレート。薔薇のような美しい赤い瞳と白と銀色のレース調のドレスが似合う彼女をとても愛していた。それは淡くて儚い初恋と失恋。
彼女はサン国の女王となり、私はスター国の王となった。私達の親世代から両国は敵同士でどんなに想いあっても結ばれない、そういう運命だった。
私達の代では良好な関係でいこう、そう思っていたが…
当時サン国の王となったジンは私達が昔恋仲だった事を知り、嫉妬に狂い戦争をけしかけてきた。
それを止めようとしたサン国の女王・サハラ。
元々心臓の病に侵されていた彼女。弱っていた体のまま戦争を止める為…私達の目の前で自害をした。
それしかなかったのか。
止める方法はなかったのか。
私が彼女を殺してしまったのか。
もし、王子の頃すぐに諦めずに彼女の手を離さければ、何かが変わっていただろうか。
「サハラ…君の息子アスラ王子は君にそっくりだな」
カタッ
「誰だ」
金髪色の女性。この国の王妃・ダイアナがそこに立っていた。
「…なんだ。ダイアナ、お前か」
「…いえ、あまりワインばかり飲んでいらっしゃったのでお体に悪いかと思いお水を…」
「そうか…用はそれだけなら水をそこに置いて寝室に戻れ」
王妃はただ国王の背中を見つめてから、お辞儀をして部屋を出た。星を眺めている国王はそんな視線に気付かずただ、ワインを飲み続けていた。
コンコン
「入れ」
「夜遅く失礼します。国王、やはりサン国の王はまた戦争を仕掛けるかと…その準備をしていると情報が先程はいりました」
「…なるほどな」
なあ、サハラよ。私は君が愛した国を壊すかもしれない。
君の愛する息子を殺してしまうかもしれない。
いや…殺されるかもしれない。
「赤ワインまだ飲み足りんな…」
赤くて綺麗な瞳を持つ彼女は私の初恋だった。
南の森の奥はサン国とスター国の国境近くだった。
そんな森で昔一人の王子と姫が出会い恋に落ちていた。
二人は互いに惹かれ合ったものの、結ばれることはなかった。
「私は、サン国女王になり…だから…この国を捨てるわけにはいけないわ…」
「それでも私は君を愛している。ずっと…君を愛しているよ」
白い髪のサラサラのストレート。薔薇のような美しい赤い瞳と白と銀色のレース調のドレスが似合う彼女をとても愛していた。それは淡くて儚い初恋と失恋。
彼女はサン国の女王となり、私はスター国の王となった。私達の親世代から両国は敵同士でどんなに想いあっても結ばれない、そういう運命だった。
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当時サン国の王となったジンは私達が昔恋仲だった事を知り、嫉妬に狂い戦争をけしかけてきた。
それを止めようとしたサン国の女王・サハラ。
元々心臓の病に侵されていた彼女。弱っていた体のまま戦争を止める為…私達の目の前で自害をした。
それしかなかったのか。
止める方法はなかったのか。
私が彼女を殺してしまったのか。
もし、王子の頃すぐに諦めずに彼女の手を離さければ、何かが変わっていただろうか。
「サハラ…君の息子アスラ王子は君にそっくりだな」
カタッ
「誰だ」
金髪色の女性。この国の王妃・ダイアナがそこに立っていた。
「…なんだ。ダイアナ、お前か」
「…いえ、あまりワインばかり飲んでいらっしゃったのでお体に悪いかと思いお水を…」
「そうか…用はそれだけなら水をそこに置いて寝室に戻れ」
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「…なるほどな」
なあ、サハラよ。私は君が愛した国を壊すかもしれない。
君の愛する息子を殺してしまうかもしれない。
いや…殺されるかもしれない。
「赤ワインまだ飲み足りんな…」
赤くて綺麗な瞳を持つ彼女は私の初恋だった。
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