【完結】悪役令嬢の妹に転生しちゃったけど推しはお姉様だから全力で断罪破滅から守らせていただきます!

くま

文字の大きさ
上 下
45 / 64

え?恋は嵐のようらしい!

しおりを挟む
周りの空気が重い中、更に重くなるような空気を出す人物が現れた。
スター国の国王だった。

エリオスも皆国王に頭を下げる中、サン国の王子アスラだけは頭を下げずに国王を見て笑顔で睨んでいた。

「…母親に似ているな」

国王はアスラを見て懐かしそうにただ見つめていた。


「父上、マリアが具合悪そうなので少しこの場から抜けます」


エリオスはマリアの手を引っ張り出してその場を去ろうとしたときアスラはマリアに
「私はマリアと同じ学園に留学しに行く事になったよ。
…またね」

「う、うん。またね」


エリオスとマリアがいなくなり、アスラはマリエを見て
「君がマリアの姉か…」

マリアがいた時とは違う雰囲気をだすアスラにマリエはお辞儀をし挨拶をした。
「マリエ・クリスタルティーンでございますわ。具合が悪くなった妹のマリアの面倒を見て頂きありがとうございます」

「美しく礼儀正しいのだな。お転婆なマリアとは正反対…
とても壊したくなるタイプだ」

不気味な笑顔でマリエに近づくもマリエはアスラに
「まあ、そんな壊したくなるタイプだなんて物騒な…
クリスタルティーン家は常に鋼の精神力を持ち国の安泰の為動いていますわ」


クロはマリエを庇うように前にでた。
トムもいつもニコニコ顔なのにマリエの隣に立ち無表情だった。

ニッコリ微笑むマリエとその周りにいるクロやスクアーロを見渡しアスラのそばにいた従者三人は今にでも攻撃しようと殺気だっていた。
「…生意気な者は邪魔だがマリアの願いが優先だ。何もするな」


「…はい、アスラ王子」












はい、マリアです。え?いま何をしているかって?ベッドの上で正座をしています。
目の前には腕を組んで真っ黒な笑顔を向けているエリオスがいます。メインヒーローなのに、なんかもう悪役ポジションが一番合うのではないかと思います。


「マリア、君はどうして自分が正座をさせられているかわかってる?」

「あの、チョコレートを食べ過ぎました」

「そうだね。パーティーでまたお菓子を食べに行ったね。皆んなとはぐれはするし、隣国の王子には声をかけられ…」

「エリオス…?」


エリオスは私に近づき、力強く私を押し倒した。


「君は余りにも無防備すぎる。もっと自分を大事にしろ」

真剣な顔で見つめてくるエリオス。


「今もこうして密室に男女がいることに違和感はないかな。ホイホイ付いて行くのも危ないんだよ」




「わ、私ね、自分より姉様を守るのが宿命というか運命なんだよ。だから、だいじょー…」

なんだろ。なんか何も言えない。
エリオスはただ黙って私を見つめてくる。

あれ、なんか、動悸がヤバイ。
風邪か!?また風邪引いたかな!!?

よくわからないけど、エリオスの顔が見れない!
目を逸らして顔をそっぽ向いたらエリオスはうれしそうな顔をした。

「‥へぇ。あの王子が顔近づけてもなんともない顔をしていたのに…その表情は脈ありって事かな」


「へぁ!?脈!?脈は今正常だよ!?」


「ふーん。そっか、そっか」


さっきまですごく怖かったのに、次はヘニャンとした顔をするエリオス。いや、なんか獲物狙っているトラに見えてきたかも。これはこれでこわいよ!?



バンッ!!


急に部屋のドアが開けられ、ヒュンとエリオスに向かって薔薇の扇が投げつけられた。
エリオスは薔薇の扇を上手く手にとり

「二人っきりの時間はおしまいみたいだ」
そう呟いた。

姉様やスクアーロ、クロ、レオ君、トムとカナちゃん達だ。

姉様は
「ふふ、エリオス様ごめんなさい。手元が狂ってましたの」

「あははは、その割には見事に僕に向かってたけどね?」


「エリオス様!そーいうのは付き合ってからなんですよ!?こ、こんな密室で!!」

顔を赤くしながらプンスカ怒っているレオ君。


「よし、エリオス。お前ちょっと外でろ!」

剣をエリオスに向けて勝負しようとするスクアーロ。

「マリアお嬢様大丈夫ですか?なにもされてませんよね?」

私をなにやら心配しているクロ。


「エリオス様は一体何を考えてらっしゃるのかしら?マリアはまだ貴方の婚約者ではありませんわ」

「ん?今でも婚約者だと僕は思ってるけど?」

「エリオス様それは昔のお話でしょう?今は
ただの候補者という立場なんですから」


「僕はこういうのは良くないかと思います!」


何やら皆んな騒いで揉めている模様。

カナちゃんがきて
「疲れた…。マリアあんたいつ隣国の王子とのフラグ立てちゃったのよ。あー、もう恋は嵐のようなもんだわ」


そうカナちゃんは私に言ってお腹が空いたと嘆いてた。


エリオスはふと私のほうを見て微笑んでいた。

これがまたなんだか、くすぐったい感じだった。


…風邪かな!!?
しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜

晴行
恋愛
 乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。  見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。  これは主人公であるアリシアの物語。  わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。  窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。 「つまらないわ」  わたしはいつも不機嫌。  どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。  あーあ、もうやめた。  なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。  このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。  仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。  __それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。  頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。  の、はずだったのだけれど。  アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。  ストーリーがなかなか始まらない。  これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。  カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?  それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?  わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?  毎日つくれ? ふざけるな。  ……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?

恋愛戦線からあぶれた公爵令嬢ですので、私は官僚になります~就業内容は無茶振り皇子の我儘に付き合うことでしょうか?~

めもぐあい
恋愛
 公爵令嬢として皆に慕われ、平穏な学生生活を送っていたモニカ。ところが最終学年になってすぐ、親友と思っていた伯爵令嬢に裏切られ、いつの間にか悪役公爵令嬢にされ苛めに遭うようになる。  そのせいで、貴族社会で慣例となっている『女性が学園を卒業するのに合わせて男性が婚約の申し入れをする』からもあぶれてしまった。  家にも迷惑を掛けずに一人で生きていくためトップであり続けた成績を活かし官僚となって働き始めたが、仕事内容は第二皇子の無茶振りに付き合う事。社会人になりたてのモニカは日々奮闘するが――

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

【完結】モブなのに最強?

らんか
恋愛
 「ミーシャ・ラバンティ辺境伯令嬢! お前との婚約は破棄とする! お前のようなオトコ女とは結婚出来ない!」    婚約者のダラオがか弱そうな令嬢を左腕で抱き寄せ、「リセラ、怯えなくていい。私が君を守るからね」と慈しむように見つめたあと、ミーシャを睨みながら学園の大勢の生徒が休憩している広い中央テラスの中で叫んだ。  政略結婚として学園卒業と同時に結婚する予定であった婚約者の暴挙に思わず「はぁ‥」と令嬢らしからぬ返事をしてしまったが、同時に〈あ、これオープニングだ〉と頭にその言葉が浮かんだ。そして流れるように前世の自分は日本という国で、30代の会社勤め、ワーカーホリックで過労死した事を思い出した。そしてここは、私を心配した妹に気分転換に勧められて始めた唯一の乙女ゲームの世界であり、自分はオープニングにだけ登場するモブ令嬢であったとなぜか理解した。    (急に思い出したのに、こんな落ち着いてる自分にびっくりだわ。しかもこの状況でも、あんまりショックじゃない。私、この人の事をあまり好きじゃなかったのね。まぁ、いっか。前世でも結婚願望なかったし。領地に戻ったらお父様に泣きついて、領地の隅にでも住まわせてもらおう。魔物討伐に人手がいるから、手伝いながらひっそりと暮らしていけるよね)  もともと辺境伯領にて家族と共に魔物討伐に明け暮れてたミーシャ。男勝りでか弱さとは無縁だ。前世の記憶が戻った今、ダラオの宣言はありがたい。前世ではなかった魔法を使い、好きに生きてみたいミーシャに、乙女ゲームの登場人物たちがなぜかその後も絡んでくるようになり‥。    (私、オープニングで婚約破棄されるだけのモブなのに!)  初めての投稿です。  よろしくお願いします。

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。 人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。 転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。 せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。 少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。

88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう

冬月光輝
恋愛
 ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。  前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。  彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。  それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。  “男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。  89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。

処理中です...