8 / 64
え?泥を被ったけどラッキーが起こったよ!
しおりを挟むさてあれから1ヶ月ほど経ちました。
姉様や、エリオス、スクアーロは、現在王立学園に通っている。そんな王立学園は基本貴族達しか通えないウルトラ金持ち学園!
そんななか、クロとトムが途中入学すると耳にはいった。私達より年齢が二つ上の二人は3学年。ほかにも少数だがいるらしい。
「クロとトムが王立学園に入学するの?」
クロはあれから執事見習いとして、今は私のそばにいて色々と遊んでくれている。あの、冷酷非道なクロエラとは違い、とても良いこのクロです。このまま大きく成長し、ヒロインと出会いメロメロになるわね!今のところ、姉様との関係も良好!これで姉様はクロに断罪されないわ!
クロはまだ慣れない手つきで、紅茶を淹れながら
「はい、トムと途中入学ですが、せっかくのチャンスです。頑張って勉強をしたいと思います」
笑顔でそう答えるクロに、ミルクティーを飲みながら姉様は、
「恥のないよう心がけなさい。貴方を馬鹿にしてくる人もいるのだから気をつけなさい。あとこの紅茶渋いわ」
クロは慌てて謝って、再度いれなおしていた。
いつ見ても、美しいです。我が姉は。
私はニコニコ姉様を見つめていると、隣に座っているエリオスに、
「他人事のように見ているようだけど、マリアも今年一学年として、入学するんだよ?」
「え?あれ?そーだっけ?」
ケーキを沢山食べている、スクアーロに
「お前まさか、忘れてたのか??ははっ!」
そんな、まさかの、すっかり忘れていた私に姉様は少し呆れていて、またそれも可愛いらしい。
「学校かあートムもクロも学年違うけど、楽しみだね!友達百人作れるかなあー」
「何かあったなら、直ぐに報告しなさいよ。ただでさえ、マリアは何をしでかすか…」
姉に心配されてる私は…幸せ過ぎる!!
とまあ、そんな感じで入学して一週間。
ハイ!いっこうに友達できませんよ!わたしは!
なんでだ!?えー6歳とかあまり深く考えず、
「おはなしにいーれーてっ!」とか仲良くなるもんじゃん?鬼ごっこしたりとかさあーするじゃん?
なんだろ、クラスの皆んなはいつも避ける。
これが俗にいう、ぼっちなのか…ぼっち、ツライ。
私はとりあえず教室の空を眺めて、今日の晩御飯はなんだろうか、と考えていた。
クラスの生徒や廊下をわざと通る生徒達がこそこそとマリアを見ていた。
「マリア様、お人形さんみたくて、可愛いーよね」
「お空を眺めてて、多分婚約者のエリオス王子の事を考えているのよ」
「姉のマリエ様も素敵だし」
「僕は断然、姉マリエ様派だったけど、やっぱ可愛いーよな」
「俺、声かけてみよっかなあー」
「バカ!私達はマリア様を見守る会なのよ!」
マリアはただ空を見て呟いた。
「はあ…わたあめが、食べたい…」
そして姉様に会いたい。とても会いたい。
廊下から歓声が聞こえてきた。
ふと、見ると、マリエお姉様とエリオス、スクアーロだった。
三人目立つなあーと感心して見ていたら、マリエお姉様が手を振ってきたので、ダッシュでマリエお姉様の胸に飛び込んでいきましたとも!
「マリア、走っては駄目よ。さ、そろそろ帰るわよ」
「ハイ!姉様」
マリエお姉様の匂い、素敵な匂いだわ。薔薇や!薔薇だー!
隣で両手いっぱい手を広げようとしていたエリオスに、マリエは鼻で笑って
「ふっ、残念でしたわね?エリオス様」
エリオスは笑顔のまま
「はは、そういう余裕な表情をトムにも見せてあげるべきだよ?」
そんな、二人の会話を聞いてるスクアーロは
「こわっ」と呟いていた。
とまあ、最近二人は、仲良しです。本来なら、姉様の片思いで一方的な婚約者となり関係は悪くなるのだけど、なんだろー?仲良くなってるよね。これって姉様の断罪回避したってことだよね!!
「二人共仲良しでよかったね!」
にっこり褒めたのに、二人は何故か固まっていた。そんな私を見てスクアーロはまた笑っていたから、
「姉様が可愛いからって、二人共争いはやめなさいよ!」と注意をしたら、三人共固まっていた。
なんで???
「あー、てかマリアは友達できたか?」
何気ないスクアーロの質問に深い溜息をする私。
「ふっ、百人じゃなくていいから、一人ぐらい欲しいかなあー。まあ、そのうち仲良しなこ見つかるよ。うん」
「ま、俺もさーあまり人とつるんだりしてなかったけどエリオスと出会って楽しかったりするからなあーきっといいやつと出会うよ!」
なんだか、やっぱり将来はエリオスの盾となる絶対的な信頼できる騎士のスクアーロだなと感じた。
優しい兄ちゃん!ってこんな感じかもね。
「マリア、今日のおやつはショコラプリンをシェフに頼んでおいたんだ。一緒に食べよう」
エリオスが私の頭を撫でながら、微笑んでくるけど、周りにいる姉様達以外鼻血出して、キャーキャー騒いでいるのは無視なのかしら。罪な男よのぉ。でもショコラプリンは食べたい!
「行く!皆んなと一緒に食べよう!」
ということで3学年教室にいるクロとトムも呼ぼうと私はダッシュで走った。後ろから姉様の声が聞こえたけど、とりあえず皆んなで美味しいおやつを食べたいもんね!
階段を下り、少し庭先へ向かえば3学年の教室なのだ。
角を曲がり、クロとトムを見つけた。
おや?クロには沢山のお友達ができたようだわ!
お友達に囲まれている、いいなあ。
「おーい!クロー!トムー!今日のね、おやつね、ショコラプリンだよー」
私の存在に気付いた二人は慌てた様子で
「お嬢様!来てはなりません!」
二人の目の前に着いた瞬間…
バシャッ!!!!
「へ…?」
一瞬の出来事でわけがわからず自分の服や髪が泥だらけになっていた。
「うあ!?マリア様じゃん?!なっなななんで!」
「泥かぶせちゃたじゃん!どどしーよ!」
「おい!お前らみたいな平民がこの学園にきたからこーなったんだぞ!」
五人の男子学生が逆キレして、クロとトムに突っかかっていた。
意味がわからず、呆然としていると、クロはハンカチを出して
「またお嬢様に守ってもらい、情けないですね」
と悲しい顔をしていた。
「トム、お嬢様を頼む。お嬢様、出来たら目を閉じて耳を塞いで欲しいです」
え?何?クロよ、可愛らしい男の子から、目つきが鋭くなってるのは気のせい?
「マリアお嬢様、少しだけ我慢してくださいね」
トムにそっと耳を塞ぎこまれ、クロにお願いされたし黙って目を閉じた私。
なんだかトムの匂いが、姉様の薔薇の匂いと同じでなんかわからないけど、安心して、少しそのまま寝てしまった。
目が覚めたら、泥を被せた学生達は消えて、私を追いかけてきたエリオス、スクアーロがクロと三人で怖い顔をしながら何やら話ていた。
攻略対象の三人並んでるの見ると、凄いわ。美形だわー。
ボ~と見て感心していたら、トムと愛しい姉様が声をかけてきた。
「マリア、大丈夫?」
「申し訳ありません…自分達の事にお嬢様を巻き込んでしまって…」
トムは平民である自分達がこの学園に通う事に相応しくないと嫌味を言われて、嫌がらせがあったとのこと。
「ひど!」
私はトムもクロも大事なお友達だと思ってるから許せないので、一発ぶん殴る勢いで行こうとしたら姉様に止められた。
「たしかに、相応しいかどうかといったら、まだ貴方達は相応しくはないわね」
おぉ!なんかズバッというね!姉様!
「ならば、落ち込んでいないで、今後相応しくなるよう努力を怠らず、が、が、がっ、頑張ればいいのよ!」
トムは笑って
「はは、貴女にはほんと敵わないなあ」
「ふんっ」
私が起きたのに気づいたクロは走っていき、
私をギュッと抱きしめた。
「本当に、申し訳ありませんっ!今後は絶対マリアお嬢様をお守りするよう強くなります」
「私はいーから、姉様を守ってねーでもありがと!」
私もギュッと抱きしめ返したら、クロは照れていた。
エリオスとスクアーロは後ろで、なんだか面白くない顔をしているけど、お腹でもすいたのか。
私は泥だらけのままでは馬車に乗れなかったので姉様の運動用の服を借りた。
「はうっ!推しの!推しの体操着を借りた!幸せ!」
泥を被ったおかげで姉様の体操着を借りたんだから、ラッキーじゃね?と思った一日でした!
「まったく……あぁエリオス様。今回の件は何も口も手も出さないでください」
「…何故?僕の可愛い婚約者がこんな目にあったというのに?」
「トムとクロは我がクリスタルティーン家の者ですわ。そして、マリアは我が妹。我が家を敵に回してしまったことを教えてさしあげなきゃなりませんから。
後始末はクリスタルティーン家がいたします」
「…ふーん。わかったよ、今回は黙っておく」
おや?エリオスと姉様がまた二人で話をしてる!
ハッ!まさか!!エリオスは姉様が好きなったんか!?いや、ヒロインちゃんを好きになる筈だから、それはないかー。
それにしても、姉様の顔!!とても悪どい顔になってます!いかにも悪役令嬢っぽい表情!
「なにかを企んでる姉様の顔が可愛いすぎだわっ!」
50
お気に入りに追加
3,344
あなたにおすすめの小説

谷間の姫百合は黒薔薇を愛でる~愛しの黒薔薇のプリンス様を救済して、彼の愛する人と結ばせてやります~
スズキアカネ
恋愛
ヒロインと敵対する悪役王子でありながら、彼女のために命を投げ出した黒薔薇のプリンス様。
孤独だけど気高く、誰よりも麗しいあなたの一途な思い、それが叶うことなく死ぬとか本当アニメ制作会社絶許!!
二次元の壁を超えて私はあなたと同じ世界に生まれ変わりました。なので私、あなたを幸せにしてみせます!
ひとまずプリンセスコスモを拉致して催眠術掛けて、貴方の花嫁に仕立てますから待っていてくださいね!
◆◇◆
「攻略対象の影薄い姉になったけど、モブってなにしたらいいの?」作品中に出てくる架空アニメ「キュートプリンセス」の世界に転生した別のモブヒロインが推しを救済するために奮闘する物語です。
転載転用は禁止です。Do not repost.

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
【お前を愛することはない……ことも、ない】と言ったその氷の貴公子(火属性)が描く彼女の肖像画はとても可愛い。
ぷり
恋愛
★ネトコン12一次選考通過作品(通過率約8.4%)★
お前を愛することはない、ことも……ない。
それは幼い少年と少女のお見合いの席でのトラブルであった。
彼は彼女に一目惚れだったのに素直になれないどころか、暴言を吐いてしまったのである。
果たして彼は彼女との関係修復をすることができるのだろうか?
これは小さな二人が婚約するまでの物語。
★主人公であるルイスが6歳から話は始まりますが、メインは10歳(小等部4年生)の話となります。
★まったりほのぼの路線で刺激の少ない物語を目指しております。
★40話。
※ネタバレしておくと公爵令嬢は味方?です。
◆初めて3人称で書く習作のため、つたないところが多々あるかと思いますがどうぞよろしくお願いします。
◆主な登場人物◆
ルイス=ヴィンケル侯爵令息
エステル=クラーセン伯爵令嬢
カンデラリア=ジョンパルト公爵令嬢
アート部長(アダルベルト美術部部長)
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。

【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ@ざまされ書籍化決定
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~
汐埼ゆたか
恋愛
伯爵令嬢に転生したリリィ=ブランシュは第四王子の許嫁だったが、悪女の汚名を着せられて辺境へ追放された。
――というのは表向きの話。
婚約破棄大成功! 追放万歳!!
辺境の地で、前世からの夢だったスローライフに胸躍らせるリリィに、新たな出会いが待っていた。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール(19)
第四王子の元許嫁で転生者。
悪女のうわさを流されて、王都から去る
×
アル(24)
街でリリィを助けてくれたなぞの剣士
三食おやつ付きで臨時護衛を引き受ける
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
「さすが稀代の悪女様だな」
「手玉に取ってもらおうか」
「お手並み拝見だな」
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
**********
※他サイトからの転載。
※表紙はイラストAC様からお借りした画像を加工しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる