3 / 100
1巻
1-2
しおりを挟む
ハアとため息を吐きながらハムエッグを食べる私に、アデライト姉様が声を掛ける。
「ねえ、ソフィア。怒らないで聞いて? 来週、私たちの婚約祝いを兼ねて、友人を呼んでお茶会を開くの。オスカー様のご友人である王子様も呼ぶのだけど、やっぱり華やかな雰囲気がいいと思うのよ」
「……? そうですか。私には関係のない話なので、これにて失礼します」
食事を終えた私が席を立つと、彼女はキョトンと可愛らしい表情で首を傾げる。
「関係ない? お茶会は主催者の令嬢が自分で準備をするのに……」
「……そうですね。この国のお茶会は『主催者』が準備をするんですよね」
「……⁇ だから、いつもソフィアが準備してくれてるわよね。この前のパーティーはとても素晴らしいと、みんなが褒めてくれたわ」
そうね、私が準備したんですけどね⁉
「……アデライト姉様……」
「なあに? ソフィア。あっ、私、白い薔薇の飾り付けをお願いしたいわ! ね、素敵でしょ?」
私は再び大きなため息を吐き、アデライト姉様を睨む。
「アデライト姉様は馬鹿なのかしら。自分のことは自分でしなさいよ。なんで私が貴女のお茶会の準備をしなきゃならないのか、説明してほしいわ」
そう言い放つと、周りにいた家族が私に大ブーイングをした。アデライト姉様は無表情で静かに私を見つめる。
……なんとなく女の勘だけど、アデライト姉様は蛇のように陰険な人なのかも。
「……ソフィア……私は姉よ」
「戸籍上は、そうですね」
「ふふ、やだわ。ソフィア、オスカー様のこと、まだ根に持ってるの? あぁ、可哀想なことをしちゃったわ」
最後にぐすんと涙を流すアデライト姉様……だけど、それ、嘘泣きよね?
「……面倒くさ」
悲劇のヒロインを演じるアデライト姉様は、大女優だ。
私は彼女の名演技を無視して、部屋を出た。
あれからお父様たちは何度も何度も、お茶会の準備をするように私を説得した。けれど、意味が分からないし、断固として拒否する。
アデライト姉様はシクシクと泣いているだけ。
そんな姉様を見てメイドや執事は可哀想だと言う。私は意地悪だと、陰口を叩かれるようになった。
いやいや、自分のことは自分でしなさいと言っただけよ⁉
結局、お茶会はお母様が慌てて手伝っていた。
当日。
ぎりぎりではあるが、なんとか無事に準備ができたようだ。
そっと窓から外を見ると、馬車がズラリと並んでいる。沢山の令嬢や子息たちがお姉様のお茶会にやってきた。
「私は自分の部屋で本でも読んでようかなー」
そう呟きながら、ふとまた窓の外を見る。そこで、業者の馬車の中に意外な店のものがあるのを目にした。
茶色の帽子を被った黒髪の青年が、沢山の白い薔薇を持っている。
ん? 白薔薇を持って帰ろうと……している⁇
「え? なんで、アル⁉」
私は急いでその青年――アルのもとに駆け出した。
アルと彼のお父様に声を掛ける。
「アル!」
「ソフィア」
「ハァハァ……どうして屋敷から薔薇を?」
「あー……これな」
アルは少し苛立った表情で大量の白薔薇を指差す。
「今日のお茶会に飾り付け用の白薔薇を大量発注したくせに、昨日の夜、やっぱり薔薇ではない花が良いと言ってきてさ。別の花屋に注文するから、白薔薇は処分しろだとさ」
なんてことを! 大量発注しておいて⁉
「……ごめんなさい。家の者が……」
「いや、ソフィアが悪いわけではないから。それに代金は払ってもらった。お金払ったんだから文句ないだろ、だとさ」
呆れたように話すアルに、私はただ謝るしかできない。
それにしても大量の白薔薇がもったいないわね。破棄したくないもの。何か別なことに使えないか、考えたほうが良さそう。
私はアルに後でお店に行くと約束をして、急いで外へ出る準備をする。
その時、聞きたくない声を聞いてしまった。
「ソフィア! ここにいたのね!」
「……げ。アデライト姉様」
タイミング悪く、アデライト姉様と、隣には歯欠けのオスカー様までいる。オスカー様は私の姿を見ると慌てた様子になった。
「や、やあ。ソフィア。僕は……その、とりあえず席を外すよ」
そう言って、逃げていく。そんなオスカー様の様子を見ていたアデライト姉様の友人たちが、アデライト姉様に同情を示した。
「はぁー。お可哀想に、暴力を振るう妹を持つなんて、アデライト様はご苦労されるわね」
「最近、妹の暴言に酷くショックを受けて眠れないのだとか」
「虐められてもいるらしいわ! それなのに笑顔で我慢してるのよ! アデライト様は!」
「「まあ! なんて酷い妹なのかしら」」
いや、目の前でコソコソ言うくらいなら私に直接言えば?
アデライト姉様は友人、いや、自分の取り巻きたちの言葉を一応、止めようとする。
「みんな! そんな、妹の前でやめて……わ、私は大丈夫よ。信じてるもの……本当は良い子なんだって、可愛い妹ですし」
ウルウルと涙を見せるアデライト姉様に周りの人たちはまた同情し、そして私を睨む。
姉様は私を悪者にしたいようね。だって、目はウルウルと涙していても、口元が……微笑んでいるもの。
どよんと嫌な空気が漂う。
そこに、パチパチと拍手が鳴り響いた。
「これは見事なお茶会だな」
声のするほうを振り向くと、我が国の第一王子、次期国王でもある王太子のルチータ王子が手を叩いている。
「「我が栄光の太陽――ルチータ王子にご挨拶を」」
皆が一斉に頭を下げた。
私は初めてルチータ王子にお会いした。
とても高貴なオーラを放っていて、なんだか緊張しちゃうわね。
金髪に紫色の瞳のイケメンは、誰かに似ているような似ていないような、不思議な雰囲気がある。
「まあ! ルチータ王子様っ、申し訳ございません。お見苦しいところを。あちらで我が家自慢のシェフのお菓子を――あの……ルチータ王子様?」
ルチータ王子はアデライト姉様の話には耳を傾けず、何故か私をジーッと見てニコニコと笑う。
……えっと、私、変な顔をしているのかしら?
「あ、あの……? ルチータ王子、何か私、気に障るようなことをしましたか?」
「君がソフィアか! そうか!」
王子がウンウンと頷きながら嬉しそうに私を見るものだから、周りの人たちは混乱しているようだった。
中でも、一番訳が分からないという顔をしているのはアデライト姉様だ。
そんな姉様にルチータ王子はチラッと一瞥を投げる。
「先程も言ったが、素敵な雰囲気のお茶会だ」
「ふふ、ありがとうございますっ。私が気に入っているブランドの食器に合わせて黄色の花を準備するなど、色々と工夫しましたの!」
「なるほど。だが、私は白い花のほうが好きだけどね」
「……え、そう……ですか……。あ、ルチータ王子様! 先程、私の婚約者であるオスカー様が来ましたので、向こうのほうで話しましょう」
アデライト姉様は話を逸らし、可愛らしくにっこりと微笑みかけた。ルチータ王子の腕に手を添えて、甘えた仕草をする。
そんな彼女を周りにいた子息たちが眩しそうに眺めている。けれど、ルチータ王子は私に話し掛けてきた。
「ソフィア嬢、来月、剣術大会を行うから、参加してみて」
「へ⁇ 参加? え? 私がですか?」
「そうだよ。それじゃあ、またね」
剣術大会を見に来てではなくて、参加してみて⁇
どういうことだろう?
いまいちよく分からない王子様だけど、悪い人じゃなさそうだわ。
そう! 何故なら、あのアデライト姉様の甘える姿になびかないんだもの! ビックリしたわ。普通の令息たちは鼻の下を伸ばすのに。
私とルチータ王子とのやり取りを聞いた令嬢たちはくすくす笑った。
「……あらやだ、聞いた? 女性に剣術大会への参加をすすめるなんて……ふふふ、ルチータ王子様はあの性悪の妹に改心しろと言ってるんだわ」
アデライト姉様も私を見て、クスリと笑う。
その後は、王子様とオスカー様の間に挟まれてご満悦だった。
とりあえず……私はアルのお店に行っていいわよね? あの沢山の白薔薇をなんとかしなくちゃいけないわ‼
私は彼女たちの態度を気にせず、花屋に急いだのだった。
「――白薔薇の香り袋に、押し花に、薔薇入りのシフォンケーキって……よく作れたな」
「アルごめんなさい、それでも廃棄になるほうが多かったわよね」
「いや、十分だよ。枯れた白薔薇もまた別の使い道があるし。わざわざありがとうな」
お茶会から一週間。
我が家がアルのお店に迷惑をかけ大量の白薔薇を廃棄させることになったのが、本当に申し訳ない。
私はアルから譲り受けた白薔薇で香り袋やケーキを作って彼に渡した。
……普通なら私とも仲良くなんかしたくないだろうに、アルはいつも通りだ。
「本当にごめんなさい……」
落ち込む私の髪に、彼は一輪の白薔薇を飾ってくれる。
「ん。別にいいよ。何度も言うけど、ソフィアのせいじゃない。逆に色々と手伝ってくれてありがとうな。これ俺からのお礼」
「ふふ、ありがとう。頭に白薔薇を飾るなんて、なんだか結婚式みたいだわ」
冗談を言うと、アルの耳が真っ赤になる。彼は顔を逸らして、別の花をいじり出した。そんな私たちをアルのお父様が笑う。
「いやー! 青春ですねー! いや、青春だな! うん!」
「アルのお父様ってたまに敬語になるわよね? 癖?」
「……そんなもんだな。親父! 俺たち、用があるから」
「はいよー、二人とも気をつけてなあ」
アルに連れられて、私は外に出た。
「俺たちは用があるって、あったかしら?」
「昼飯、食べてないだろ。それとも、お嬢様は一流シェフのものしか食べないか?」
「そうやって意地悪な言い方をして……ふふ、あっ! 私ね、新しくできた出店のホットドッグ屋さんに行きたいわ!」
「ん。了解」
冗談を言い合いながら、ホットドッグ屋さんに向かう。
私はマスタードがたっぷり入っているホットドッグを注文した。
「美味しいわね」
「だな」
外で食べるのははしたないと言われるけど、天気の良い日に外で食べるのは最高なのよね!
店の近くでは通りかかる人たちにチラシを配っているお兄さんがいて、私にもそのチラシをくれた。
「ハーイ! 今年もまた始まるよー! 剣術大会! ハイ! 綺麗なお姉さんも!」
「あら、ありがとう」
なるほど、来月開かれる王家主催の剣術大会の宣伝だわ。毎年、ジェイコブお兄様がこの大会に出て、優勝していたわね。
「どうした? もう食べないのか」
「いえ、もう一つ食べるわ」
「……食べるのかよ。見てるそのチラシ、何? あぁ、来月の剣術大会か」
「そうよ。あ、そういえば私ね、この前のお茶会で初めてルチータ王子に会ったわ。とてもカッコ良くて素敵だった」
「ルチータ王子?」
アルは何故かムスッとした顔になる。そして、大きく口を開け、ホットドッグを一口で食べた。
頬を膨らませて、リスみたいね。
「……なに、あーいうのが好み?」
「ん? 別に。それより、剣術大会に参加してみてはどうかと言われたのよね」
「……ッゲホゲホ‼ は⁉」
突然むせたアルに、私は慌てて水を渡す。
大丈夫かしら⁉ ホットドッグが美味しいからって、一気に食べるからよ。
「まったく。アルって意外と食いしん坊さんよね」
「……ケホ……出るの?」
「え? 何が? ホットドッグ食べたいの?」
「……違う。剣術大会」
「……んー、実は少し興味はあるのよね」
そう私が答えると、アルはただ黙って話を聞いてくれる。
いつも家族優先で物事を決めていた私だが、自分自身が好きなものは何かと考えると、答えは本と剣だ。
自分がこれから何をしたいのか、まだよく分からないものの……好きなことはやり続けたい。
そんな話をアルにする。
彼はふぅと小さなため息を吐いた。
「まあ、出てみたら? 大会。男女は問わないと記載されてるし」
「でも……女性で剣術大会に出るって、あまりないのよね。それにジェイコブお兄様も参加するはずだし」
「……ソフィア。もっと自分の力を信用しろよ。お前に剣術を教えたのは、誰だ?」
「んー、アルね」
「そっ。ストレス発散しに行くと思えばいい。……というか、多分、ソフィアが一番強いと思うけどな」
なるほど! ストレス発散ね!
「……うん、参加。そうね……してみるわ」
頷くと、アルは背中をポンと押してくれる。
ホットドッグ、美味しかったわ!
その後、私はこのホットドッグのお店の常連になり、よくアルと食べに行くようになった。
◆ ◆ ◆
「――ソフィア姉様! 人参食べて‼」
「は? 嫌よ。何度も言うけれど、自分で食べなさい。甘えるな、アナタは何歳なのよ」
「がーん‼」
最近、ソフィア姉様が変だ。
変でおかしい。
今までは微笑んで、私の人参を食べてくれていたのに、食べてくれない。オヤツも沢山くれたのに、食べさせてくれない。
宿題もしてくれない。
何もしてくれない。
私のお姉様はおかしくなっちゃったんだ‼
病気かもしれない! お医者さんを呼ばないと!
「私が嫌いになったのかな?」
ううん! それはない。
だってみんな、私を天使さんだと言ってくれるもん! ソフィア姉様だって、きっと――
「いや、天使じゃないわよ」
「ががーん‼」
「アメリ、天使は神の意志を伝える役割を果たすものだけれど、必ずしも人間に好意的とは限らないわ。人間に悪事を働き、神に反逆する天使もいて、それが、いわゆる悪魔になるのよ」
白薔薇の花びらを袋に詰める作業をしているソフィア姉様は、私にそう話す。
あ、悪魔?
天使は悪魔になるの?
私がプルプル震えていると、ソフィア姉様は白薔薇の花びらが入っている袋をくれた。
「ふあ、いい匂い‼」
「アメリ、人参を食べれば悪魔になんかならないわ」
「……そ、そうなの? 人参食べれたら、いい子? そうなの?」
「好き嫌いする子は悪魔になりやすいのよ」
私は悪魔になんかなりたくない! いい子でいたいもの!
その日の夕飯には人参サラダがあったけれど、私は勇気を振り絞ってパクリと食べた。
やっぱりまずい。嫌いだな。
でもでも、悪い子は嫌だもん。
お父様やお母様たちは涙を流す私に「もう食べなくていいよ」と言うけど、悪魔になっちゃうから駄目なの!
私はチラッとソフィア姉様を見る。姉様はにっこりと笑ってくれた。
最近のソフィア姉様は怒ってばかりで怖かったのに……やっぱり、やっぱり、優しいいつもの姉様だ‼
「アメリは人参を克服しましたー!」
私は鼻水と涙を出しながら、発表する。
みんなが褒めてくれた。
ソフィア姉様はただ黙っていたけどね!
「あ、アデライト姉様!」
「ん? なあに、可愛い天使ちゃん」
「あのね、あのね、アデライト姉様も人参嫌いでしょ? でもね、好き嫌いすると悪魔になっちゃうよ! 気をつけて悪魔にならないようにね!」
そう私が教えてあげると、何故かソフィア姉様は笑い、アデライト姉様は固まった。
なんでだろう?
人参はやっぱり嫌い。仲良くなれない。
だけどね、悪魔にはなりたくないものね!
ふかふかのベッドの中、私はソフィア姉様のことを考える。怖いけど、でも大好きな姉様なの。
だからね、だから――
「ソフィア姉様と……またお話し……むにゃ……しよ……」
――我儘で小さな末っ子はヨダレを垂らしながら深い眠りについた。
第二章
「――ソフィア‼ いるか⁉」
その日。
私は静かに本を読んでいた。
そこへ、ノックもせずドカドカと我が家ご自慢の次期当主であるジェイコブお兄様が、部屋に入ってくる。
「ジェイコブお兄様、レディの部屋へノックもせず入るのは――」
「そんなことはどうでもいい! アデライトに聞いたぞ⁉」
「何をです?」
ジェイコブお兄様はハァァと呆れた声を出す。
「結局、最後までお茶会の準備を拒否したよな? アデライトはただでさえ身体が弱いんだ、少しは協力してやったらどうなんだ? その上、お茶会でルチータ王子に色目を使っていたと令嬢たちの間で噂になっているんだぞ……」
「ジェイコブお兄様はそんな噂を信じてるのですか?」
私が質問をすると、お兄様は頭を抱えてまたため息を吐いた。
「俺の通う騎士学校の生徒の間でも広まっている。もう夏休みも終わりだ。アデライトもソフィアも来週から私立の学園に通うだろう。俺は心配をしているんだ、ソフィア……最近おかしいぞ。来月の剣術大会に出るという話も……冗談だよな?」
それが一番聞きたかったようね。
剣術大会は騎士を目指す学生たちがメインの大会。優勝となれば、王子の護衛に推薦されやすくなるなど、将来が明るくなる。
女性の私が大会に出るのはおかしいとジェイコブお兄様は言う。
「……私、ジェイコブお兄様のように、強くなりたかったんです」
「女性は守られてお淑やかでなければならない! アデライトのように! 何故これが分からない⁉ 父上も母上も最近のお前に頭を悩ませてるぞ!」
なんだかジェイコブお兄様と話すと……苛々するわね。
――女性はお淑やかでなければならない、なんて。
確かにこの国ではそうかもしれないけれど……
「女性の騎士も数名ですがいると聞きました」
「……ソフィアッ! まさか騎士になりたいとか……」
「あら、それも面白そうですわね」
「ソフィア‼ いいかげんにしろ!」
パァンとジェイコブお兄様が私の頬を叩いた。
「ねえ、ソフィア。怒らないで聞いて? 来週、私たちの婚約祝いを兼ねて、友人を呼んでお茶会を開くの。オスカー様のご友人である王子様も呼ぶのだけど、やっぱり華やかな雰囲気がいいと思うのよ」
「……? そうですか。私には関係のない話なので、これにて失礼します」
食事を終えた私が席を立つと、彼女はキョトンと可愛らしい表情で首を傾げる。
「関係ない? お茶会は主催者の令嬢が自分で準備をするのに……」
「……そうですね。この国のお茶会は『主催者』が準備をするんですよね」
「……⁇ だから、いつもソフィアが準備してくれてるわよね。この前のパーティーはとても素晴らしいと、みんなが褒めてくれたわ」
そうね、私が準備したんですけどね⁉
「……アデライト姉様……」
「なあに? ソフィア。あっ、私、白い薔薇の飾り付けをお願いしたいわ! ね、素敵でしょ?」
私は再び大きなため息を吐き、アデライト姉様を睨む。
「アデライト姉様は馬鹿なのかしら。自分のことは自分でしなさいよ。なんで私が貴女のお茶会の準備をしなきゃならないのか、説明してほしいわ」
そう言い放つと、周りにいた家族が私に大ブーイングをした。アデライト姉様は無表情で静かに私を見つめる。
……なんとなく女の勘だけど、アデライト姉様は蛇のように陰険な人なのかも。
「……ソフィア……私は姉よ」
「戸籍上は、そうですね」
「ふふ、やだわ。ソフィア、オスカー様のこと、まだ根に持ってるの? あぁ、可哀想なことをしちゃったわ」
最後にぐすんと涙を流すアデライト姉様……だけど、それ、嘘泣きよね?
「……面倒くさ」
悲劇のヒロインを演じるアデライト姉様は、大女優だ。
私は彼女の名演技を無視して、部屋を出た。
あれからお父様たちは何度も何度も、お茶会の準備をするように私を説得した。けれど、意味が分からないし、断固として拒否する。
アデライト姉様はシクシクと泣いているだけ。
そんな姉様を見てメイドや執事は可哀想だと言う。私は意地悪だと、陰口を叩かれるようになった。
いやいや、自分のことは自分でしなさいと言っただけよ⁉
結局、お茶会はお母様が慌てて手伝っていた。
当日。
ぎりぎりではあるが、なんとか無事に準備ができたようだ。
そっと窓から外を見ると、馬車がズラリと並んでいる。沢山の令嬢や子息たちがお姉様のお茶会にやってきた。
「私は自分の部屋で本でも読んでようかなー」
そう呟きながら、ふとまた窓の外を見る。そこで、業者の馬車の中に意外な店のものがあるのを目にした。
茶色の帽子を被った黒髪の青年が、沢山の白い薔薇を持っている。
ん? 白薔薇を持って帰ろうと……している⁇
「え? なんで、アル⁉」
私は急いでその青年――アルのもとに駆け出した。
アルと彼のお父様に声を掛ける。
「アル!」
「ソフィア」
「ハァハァ……どうして屋敷から薔薇を?」
「あー……これな」
アルは少し苛立った表情で大量の白薔薇を指差す。
「今日のお茶会に飾り付け用の白薔薇を大量発注したくせに、昨日の夜、やっぱり薔薇ではない花が良いと言ってきてさ。別の花屋に注文するから、白薔薇は処分しろだとさ」
なんてことを! 大量発注しておいて⁉
「……ごめんなさい。家の者が……」
「いや、ソフィアが悪いわけではないから。それに代金は払ってもらった。お金払ったんだから文句ないだろ、だとさ」
呆れたように話すアルに、私はただ謝るしかできない。
それにしても大量の白薔薇がもったいないわね。破棄したくないもの。何か別なことに使えないか、考えたほうが良さそう。
私はアルに後でお店に行くと約束をして、急いで外へ出る準備をする。
その時、聞きたくない声を聞いてしまった。
「ソフィア! ここにいたのね!」
「……げ。アデライト姉様」
タイミング悪く、アデライト姉様と、隣には歯欠けのオスカー様までいる。オスカー様は私の姿を見ると慌てた様子になった。
「や、やあ。ソフィア。僕は……その、とりあえず席を外すよ」
そう言って、逃げていく。そんなオスカー様の様子を見ていたアデライト姉様の友人たちが、アデライト姉様に同情を示した。
「はぁー。お可哀想に、暴力を振るう妹を持つなんて、アデライト様はご苦労されるわね」
「最近、妹の暴言に酷くショックを受けて眠れないのだとか」
「虐められてもいるらしいわ! それなのに笑顔で我慢してるのよ! アデライト様は!」
「「まあ! なんて酷い妹なのかしら」」
いや、目の前でコソコソ言うくらいなら私に直接言えば?
アデライト姉様は友人、いや、自分の取り巻きたちの言葉を一応、止めようとする。
「みんな! そんな、妹の前でやめて……わ、私は大丈夫よ。信じてるもの……本当は良い子なんだって、可愛い妹ですし」
ウルウルと涙を見せるアデライト姉様に周りの人たちはまた同情し、そして私を睨む。
姉様は私を悪者にしたいようね。だって、目はウルウルと涙していても、口元が……微笑んでいるもの。
どよんと嫌な空気が漂う。
そこに、パチパチと拍手が鳴り響いた。
「これは見事なお茶会だな」
声のするほうを振り向くと、我が国の第一王子、次期国王でもある王太子のルチータ王子が手を叩いている。
「「我が栄光の太陽――ルチータ王子にご挨拶を」」
皆が一斉に頭を下げた。
私は初めてルチータ王子にお会いした。
とても高貴なオーラを放っていて、なんだか緊張しちゃうわね。
金髪に紫色の瞳のイケメンは、誰かに似ているような似ていないような、不思議な雰囲気がある。
「まあ! ルチータ王子様っ、申し訳ございません。お見苦しいところを。あちらで我が家自慢のシェフのお菓子を――あの……ルチータ王子様?」
ルチータ王子はアデライト姉様の話には耳を傾けず、何故か私をジーッと見てニコニコと笑う。
……えっと、私、変な顔をしているのかしら?
「あ、あの……? ルチータ王子、何か私、気に障るようなことをしましたか?」
「君がソフィアか! そうか!」
王子がウンウンと頷きながら嬉しそうに私を見るものだから、周りの人たちは混乱しているようだった。
中でも、一番訳が分からないという顔をしているのはアデライト姉様だ。
そんな姉様にルチータ王子はチラッと一瞥を投げる。
「先程も言ったが、素敵な雰囲気のお茶会だ」
「ふふ、ありがとうございますっ。私が気に入っているブランドの食器に合わせて黄色の花を準備するなど、色々と工夫しましたの!」
「なるほど。だが、私は白い花のほうが好きだけどね」
「……え、そう……ですか……。あ、ルチータ王子様! 先程、私の婚約者であるオスカー様が来ましたので、向こうのほうで話しましょう」
アデライト姉様は話を逸らし、可愛らしくにっこりと微笑みかけた。ルチータ王子の腕に手を添えて、甘えた仕草をする。
そんな彼女を周りにいた子息たちが眩しそうに眺めている。けれど、ルチータ王子は私に話し掛けてきた。
「ソフィア嬢、来月、剣術大会を行うから、参加してみて」
「へ⁇ 参加? え? 私がですか?」
「そうだよ。それじゃあ、またね」
剣術大会を見に来てではなくて、参加してみて⁇
どういうことだろう?
いまいちよく分からない王子様だけど、悪い人じゃなさそうだわ。
そう! 何故なら、あのアデライト姉様の甘える姿になびかないんだもの! ビックリしたわ。普通の令息たちは鼻の下を伸ばすのに。
私とルチータ王子とのやり取りを聞いた令嬢たちはくすくす笑った。
「……あらやだ、聞いた? 女性に剣術大会への参加をすすめるなんて……ふふふ、ルチータ王子様はあの性悪の妹に改心しろと言ってるんだわ」
アデライト姉様も私を見て、クスリと笑う。
その後は、王子様とオスカー様の間に挟まれてご満悦だった。
とりあえず……私はアルのお店に行っていいわよね? あの沢山の白薔薇をなんとかしなくちゃいけないわ‼
私は彼女たちの態度を気にせず、花屋に急いだのだった。
「――白薔薇の香り袋に、押し花に、薔薇入りのシフォンケーキって……よく作れたな」
「アルごめんなさい、それでも廃棄になるほうが多かったわよね」
「いや、十分だよ。枯れた白薔薇もまた別の使い道があるし。わざわざありがとうな」
お茶会から一週間。
我が家がアルのお店に迷惑をかけ大量の白薔薇を廃棄させることになったのが、本当に申し訳ない。
私はアルから譲り受けた白薔薇で香り袋やケーキを作って彼に渡した。
……普通なら私とも仲良くなんかしたくないだろうに、アルはいつも通りだ。
「本当にごめんなさい……」
落ち込む私の髪に、彼は一輪の白薔薇を飾ってくれる。
「ん。別にいいよ。何度も言うけど、ソフィアのせいじゃない。逆に色々と手伝ってくれてありがとうな。これ俺からのお礼」
「ふふ、ありがとう。頭に白薔薇を飾るなんて、なんだか結婚式みたいだわ」
冗談を言うと、アルの耳が真っ赤になる。彼は顔を逸らして、別の花をいじり出した。そんな私たちをアルのお父様が笑う。
「いやー! 青春ですねー! いや、青春だな! うん!」
「アルのお父様ってたまに敬語になるわよね? 癖?」
「……そんなもんだな。親父! 俺たち、用があるから」
「はいよー、二人とも気をつけてなあ」
アルに連れられて、私は外に出た。
「俺たちは用があるって、あったかしら?」
「昼飯、食べてないだろ。それとも、お嬢様は一流シェフのものしか食べないか?」
「そうやって意地悪な言い方をして……ふふ、あっ! 私ね、新しくできた出店のホットドッグ屋さんに行きたいわ!」
「ん。了解」
冗談を言い合いながら、ホットドッグ屋さんに向かう。
私はマスタードがたっぷり入っているホットドッグを注文した。
「美味しいわね」
「だな」
外で食べるのははしたないと言われるけど、天気の良い日に外で食べるのは最高なのよね!
店の近くでは通りかかる人たちにチラシを配っているお兄さんがいて、私にもそのチラシをくれた。
「ハーイ! 今年もまた始まるよー! 剣術大会! ハイ! 綺麗なお姉さんも!」
「あら、ありがとう」
なるほど、来月開かれる王家主催の剣術大会の宣伝だわ。毎年、ジェイコブお兄様がこの大会に出て、優勝していたわね。
「どうした? もう食べないのか」
「いえ、もう一つ食べるわ」
「……食べるのかよ。見てるそのチラシ、何? あぁ、来月の剣術大会か」
「そうよ。あ、そういえば私ね、この前のお茶会で初めてルチータ王子に会ったわ。とてもカッコ良くて素敵だった」
「ルチータ王子?」
アルは何故かムスッとした顔になる。そして、大きく口を開け、ホットドッグを一口で食べた。
頬を膨らませて、リスみたいね。
「……なに、あーいうのが好み?」
「ん? 別に。それより、剣術大会に参加してみてはどうかと言われたのよね」
「……ッゲホゲホ‼ は⁉」
突然むせたアルに、私は慌てて水を渡す。
大丈夫かしら⁉ ホットドッグが美味しいからって、一気に食べるからよ。
「まったく。アルって意外と食いしん坊さんよね」
「……ケホ……出るの?」
「え? 何が? ホットドッグ食べたいの?」
「……違う。剣術大会」
「……んー、実は少し興味はあるのよね」
そう私が答えると、アルはただ黙って話を聞いてくれる。
いつも家族優先で物事を決めていた私だが、自分自身が好きなものは何かと考えると、答えは本と剣だ。
自分がこれから何をしたいのか、まだよく分からないものの……好きなことはやり続けたい。
そんな話をアルにする。
彼はふぅと小さなため息を吐いた。
「まあ、出てみたら? 大会。男女は問わないと記載されてるし」
「でも……女性で剣術大会に出るって、あまりないのよね。それにジェイコブお兄様も参加するはずだし」
「……ソフィア。もっと自分の力を信用しろよ。お前に剣術を教えたのは、誰だ?」
「んー、アルね」
「そっ。ストレス発散しに行くと思えばいい。……というか、多分、ソフィアが一番強いと思うけどな」
なるほど! ストレス発散ね!
「……うん、参加。そうね……してみるわ」
頷くと、アルは背中をポンと押してくれる。
ホットドッグ、美味しかったわ!
その後、私はこのホットドッグのお店の常連になり、よくアルと食べに行くようになった。
◆ ◆ ◆
「――ソフィア姉様! 人参食べて‼」
「は? 嫌よ。何度も言うけれど、自分で食べなさい。甘えるな、アナタは何歳なのよ」
「がーん‼」
最近、ソフィア姉様が変だ。
変でおかしい。
今までは微笑んで、私の人参を食べてくれていたのに、食べてくれない。オヤツも沢山くれたのに、食べさせてくれない。
宿題もしてくれない。
何もしてくれない。
私のお姉様はおかしくなっちゃったんだ‼
病気かもしれない! お医者さんを呼ばないと!
「私が嫌いになったのかな?」
ううん! それはない。
だってみんな、私を天使さんだと言ってくれるもん! ソフィア姉様だって、きっと――
「いや、天使じゃないわよ」
「ががーん‼」
「アメリ、天使は神の意志を伝える役割を果たすものだけれど、必ずしも人間に好意的とは限らないわ。人間に悪事を働き、神に反逆する天使もいて、それが、いわゆる悪魔になるのよ」
白薔薇の花びらを袋に詰める作業をしているソフィア姉様は、私にそう話す。
あ、悪魔?
天使は悪魔になるの?
私がプルプル震えていると、ソフィア姉様は白薔薇の花びらが入っている袋をくれた。
「ふあ、いい匂い‼」
「アメリ、人参を食べれば悪魔になんかならないわ」
「……そ、そうなの? 人参食べれたら、いい子? そうなの?」
「好き嫌いする子は悪魔になりやすいのよ」
私は悪魔になんかなりたくない! いい子でいたいもの!
その日の夕飯には人参サラダがあったけれど、私は勇気を振り絞ってパクリと食べた。
やっぱりまずい。嫌いだな。
でもでも、悪い子は嫌だもん。
お父様やお母様たちは涙を流す私に「もう食べなくていいよ」と言うけど、悪魔になっちゃうから駄目なの!
私はチラッとソフィア姉様を見る。姉様はにっこりと笑ってくれた。
最近のソフィア姉様は怒ってばかりで怖かったのに……やっぱり、やっぱり、優しいいつもの姉様だ‼
「アメリは人参を克服しましたー!」
私は鼻水と涙を出しながら、発表する。
みんなが褒めてくれた。
ソフィア姉様はただ黙っていたけどね!
「あ、アデライト姉様!」
「ん? なあに、可愛い天使ちゃん」
「あのね、あのね、アデライト姉様も人参嫌いでしょ? でもね、好き嫌いすると悪魔になっちゃうよ! 気をつけて悪魔にならないようにね!」
そう私が教えてあげると、何故かソフィア姉様は笑い、アデライト姉様は固まった。
なんでだろう?
人参はやっぱり嫌い。仲良くなれない。
だけどね、悪魔にはなりたくないものね!
ふかふかのベッドの中、私はソフィア姉様のことを考える。怖いけど、でも大好きな姉様なの。
だからね、だから――
「ソフィア姉様と……またお話し……むにゃ……しよ……」
――我儘で小さな末っ子はヨダレを垂らしながら深い眠りについた。
第二章
「――ソフィア‼ いるか⁉」
その日。
私は静かに本を読んでいた。
そこへ、ノックもせずドカドカと我が家ご自慢の次期当主であるジェイコブお兄様が、部屋に入ってくる。
「ジェイコブお兄様、レディの部屋へノックもせず入るのは――」
「そんなことはどうでもいい! アデライトに聞いたぞ⁉」
「何をです?」
ジェイコブお兄様はハァァと呆れた声を出す。
「結局、最後までお茶会の準備を拒否したよな? アデライトはただでさえ身体が弱いんだ、少しは協力してやったらどうなんだ? その上、お茶会でルチータ王子に色目を使っていたと令嬢たちの間で噂になっているんだぞ……」
「ジェイコブお兄様はそんな噂を信じてるのですか?」
私が質問をすると、お兄様は頭を抱えてまたため息を吐いた。
「俺の通う騎士学校の生徒の間でも広まっている。もう夏休みも終わりだ。アデライトもソフィアも来週から私立の学園に通うだろう。俺は心配をしているんだ、ソフィア……最近おかしいぞ。来月の剣術大会に出るという話も……冗談だよな?」
それが一番聞きたかったようね。
剣術大会は騎士を目指す学生たちがメインの大会。優勝となれば、王子の護衛に推薦されやすくなるなど、将来が明るくなる。
女性の私が大会に出るのはおかしいとジェイコブお兄様は言う。
「……私、ジェイコブお兄様のように、強くなりたかったんです」
「女性は守られてお淑やかでなければならない! アデライトのように! 何故これが分からない⁉ 父上も母上も最近のお前に頭を悩ませてるぞ!」
なんだかジェイコブお兄様と話すと……苛々するわね。
――女性はお淑やかでなければならない、なんて。
確かにこの国ではそうかもしれないけれど……
「女性の騎士も数名ですがいると聞きました」
「……ソフィアッ! まさか騎士になりたいとか……」
「あら、それも面白そうですわね」
「ソフィア‼ いいかげんにしろ!」
パァンとジェイコブお兄様が私の頬を叩いた。
23
お気に入りに追加
5,804
あなたにおすすめの小説
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。