93 / 100
アデライト 逆行復讐編
アデライトの仮面
しおりを挟む
「アディー、元気?」
「‥‥‥まだ具合が悪いわ」
「そっか」
朝と学園が終わるとルカは必ず私の部屋の前まで来て声をかけてくれている。無理矢理部屋に入るわけでもなく、私達はドア越しで話しをしていた。ルカのお店の繁盛が良い事や、学園の事、最近ルカのお母さんとマックスがようやくデートをしたという、たわいもない話ばかり。
‥‥気を使ってくれてるのね‥‥。
「あ、そうだ。アディーが興味ありそうな美容に良い薬草学の本があったからドアの前に置いておくから後で感想を聞かせてね。約束だよ」
「‥‥‥わかったわ。ルカ‥‥ありがとう」
「うん、どういたしまして」
そう声を聞いてルカは帰っていった。
キィとドアを開けてルカがもういない事を確認して本を手にする。
「‥‥花の女神と呼ばれていた私が‥‥引きこもりだなんて笑えるわね」
私が醜くなったと世間ではずっとウワサされていた。「ルチータ王子の婚約者を狙って罰が当たった」という声もある。
友好国となったフォース国とは少し気まずい関係ともなり、フレデリック王子とルチータ殿下は特に問題がないと仲良くアピールはしているみたいね。
因みに私の信者というべき者達もちらほらいるようだけど‥‥とにかく、ルカだけにはどうしても、こんな顔を見せたくないのよね。
「ふふ、惨めで情けない私ね‥‥」
「にーんじんを食べましょう♫たべましたあ♪今日もー明日もー王子さまーのお嫁さんにーなるんだよぉお♪あ!ルカ兄!」
アメリーは後ろ姿のルカを見つけて話しかけた。ルカの手を握ろうとした時、ピタッと止まるアメリーに、振り向いたルカが首を傾げながら微笑み返した。
「アメリーちゃん、こんにちわ。ん?顔になんか付いてるかな?」
「‥え、ううん。カッコいいよー、4番目だけど」
「あはは、僕4番目か」
「‥‥一番はルチータ王子で、二番は、アル兄なの。で、三番目はジェイコブお兄さま‥‥ルカ兄、コレあげる!私お手製のお花の香りをしたお守り!」
「匂い袋だね。ありがとう」
「うん、バイバイ、またね‥‥」
そうルカが帰る様子をアメリーは心配そうにジッと見つめていた。
「‥‥‥うーん、目が笑ってなかたなあ。なんか‥‥やらかしそうな顔してた。うん」
そう呟いていた。
真夜中の夜、何故か胸騒ぎがした。
「‥‥水‥‥」
チリンと呼び鈴を鳴らしてもメイドが来る気配もなければ、いつもなら邪魔なあの三人の誰かが私の部屋にいるのに、兄と妹達もいなかった。
まだ歩くには全身が痛いけれど、部屋に出て廊下を歩いていると、外から声が聞こえた。
ジェイコブお兄様とソフィアに‥‥青ざめたルカのお母様とルカのお母様をなだめていたマックスもいた。
「‥‥‥あれは‥‥ルチータ王子とアルフレッド王子‥‥それに王族直属の騎士団?」
嫌な予感がするわ‥‥。ずっと前から警戒をするべきだった。私らしくもなく、ぬるま湯に浸かっていたから‥‥大きな落とし穴を見失ってんだわ‥‥。
「ルカが!突然知らない人達に襲われて‥‥ルカは私の背中を押して隠してくれたのだけど‥‥お、お願いします、私の息子を‥‥ルカを‥‥助けてください。なんでもしますから!お願いします!」
「お、落ちついてください!犯人はもうわかっているので‥‥!ルチータ王子!これは、、」
「うん、フレデリック王子達も彼を探してる。遠くには行ってないはずだから、今はこんなに騒いでしまったら彼女が起きてーー‥‥おや‥まいったな」
ルチータは罰が悪そうな顔で屋敷の玄関先で包帯姿のアデライトを見つめた。
ソフィアとジェイコブはハッ!と後ろを見てアデライトがいる事に驚いていた。
「‥‥‥‥‥どういうこと?‥‥‥ルカ‥‥‥
【また】‥‥拐われたの」
ソフィアは私の元へ駆け寄り、体を支えてくれた。駄目だわ。全身が寒くて震えてる‥‥。
また、殺されるの?そうなる運命なの?いいえ、運命などそんな言葉は嫌い。違う‥‥
殺されてなんかいない‥‥
嫌‥‥
嫌だ。
私は‥‥まだルカと‥‥会えてないわ‥‥。
「‥‥ルカと‥‥約束をしたのよ。私に美容のいい‥‥いい本だと渡して‥‥‥‥だから‥‥私、無視してたから‥‥謝って‥‥‥うっ‥‥」
目の前が真っ暗だわ。泣きたくもないのに、涙が沢山でた。
色々な人間を虐め、殺していった私が泣くなんて、誰も許さない筈。許してはいけない。
どんなに叫んでいても、私にこんな事を言う資格なんてない。
「アデライト、大丈夫さ。僕が直ぐに見つける!」
「アデライトお姉さま!泣かないで!人参たべる?食べて元気だして?」
「アデライトお姉様‥‥必ず見つかります!だからーー」
喚いても、見苦しくても、醜くくても良い‥‥‥
だから、どうか‥‥‥一度だけ‥‥
「‥‥い‥‥ごめ‥‥‥んなさ‥」
必死にソフィアの腕を弱々しく震えて掴むアデライトにソフィアは戸惑っていた。
「‥‥‥ソフィア‥‥‥私は貴女が羨ましかったわ‥‥‥私よりも真っ直ぐで、美しくて‥‥‥わかってたの、あの時も、正しいのは貴女だった!!いつも‥私の影にいた貴女だったけど、結局‥‥貴女が眩しかった!!ジェイコブお兄様やアメリーにも‥‥酷い事をしていた‥。沢山アメリーを叩いたわ!アメリーが泣いてても、私はその分笑ったわ!ソフィアに嫌がらせをしていたのも、ジェイコブお兄様の殻を閉じ込めたのも!!馬鹿にしたわ!
全部私がやったわ!!」
「‥アデライトお姉さま?私アデライトお姉さまに叩かれたことないよ??」
「いや、僕はあるけどな。でも、僕の趣味を馬鹿にしたかもしれないが‥‥いつも黙ってお菓子を食べてくれたじゃないか」
違う‥‥今のあなた達じゃない。前の‥‥前のあなた達に私はどれだけ酷い事をしていたか数えきれないほどしたのよ。それが楽しかったのよ。
私は深々と頭を下げた。
「‥‥‥‥私が悪い女性なのは自分自身わかってるわ。でも‥‥‥お願い‥‥‥ルカを助けて‥‥お願い」
クシャクシャな顔と、動いたせいか、包帯はとれて火傷の跡を兄妹達に見られてるのにもかかわらず、土下座をしながら泣いて何度も謝るアデライトに、ソフィアはぎゅっと抱きしめた。そんなソフィアにジェイコブとアメリーも一緒に抱きしめた。
「アデライトお姉様は確かに性格は少し悪いですね」
「‥‥‥」
「確かに。その自己中な部分を取り除けば可愛い妹なんだけどなあ。僕は我儘な妹をもって苦労するよ」
「‥‥‥」
「ソフィア姉さま!アデライト姉さまの性格は少しじゃなくて、かなーり、性格悪いよ!人参食べないもん!私ね、同い年だったら、絶対ともだちなりたくないもん!」
「‥‥‥」
‥‥なんか涙を流して土下座はらしくなかったような気がするわね。やっぱり私はこの家族はーー‥‥
「「「マカロン家のモットーは、やられたらやり返す!」」」
そうジェイコブお兄様、ソフィア、アメリーは笑って私に話しながら手を引っ張り、立たせてくれた。
「‥‥‥そんなモットー初めて聞いたわね」
「今僕達が決めたんだ。僕は次期マカロン家当主だろう?なら、決まりは僕が決めるのさ!」
「あ、アデライトお姉さま。たぶん、ルカ兄に場所わかるよ?すこーし目印つけておいたの!よく、ルチータ王子にも別な目印を持たせてたんだけどね!余ってたやつルカ兄に持たせてるはずだから居場所わかるよー!」
どうやら、いつもルチータ王子に特殊な匂い袋をもたせていたアメリー。いつどこにいるかわかるためとそう話すアメリーに、ルチータ王子は「これのことか」と呆れて固まっていた。
ずっと黙っていたアルフレッド王子が私の方へと近く。
「‥‥‥‥これ。ルカが特注でアンタに買ったもの。結構デザインも悩んでた」
そう私に話して渡したのは、半分顔が隠れる仮面だった。白と薄くひまわり模様のあるものだった。
ルカはいつも私に向日葵のようにキラキラしていると言っているけれど、私にとって貴方の方が向日葵のようよ。
今ここで泣いてもしょうがない。誰かに縋って泣いてお願いするなんて‥‥私のプライドが許さないわね。
私は仮面をつけて決意した。
「なんで、私はついてっちゃだめなのー?!私役にたつよ!?ジェイコブお兄さまと、ソフィア姉さまは、あまり頭つかわないでしょー?すぐに頭に血が昇って誰が止めるの?ここは兄妹末っ子のアメリー・マカロンに任せて!」
「我儘を言わないで、貴女はアデライトお姉様と屋敷で待機しててちょうだい。ジェイコブお兄様も甘やかしてはいけないですよ」
「う、うむ。そうだな、可愛い天使アメリー、僕達は行ってくるから‥‥さあ、アデライトもーー」
そうジェイコブが振り向くと、アデライトは騎士団の馬に乗っていた。
「ふふ。愚図過ぎるわよ、早くあなた達も準備なさい」
「あ、アデライト?あれ、いつのまにフードを着て‥」
「二度言わせないで、早く出る準備なさい。そこの王子二人も、全員」
冷たい眼差しを放つアデライトに、何故か近くにいた騎士団達は顔をこわばらせた。
「アデライトお姉様、無理はしないようにしてくださいね」
「ふふ、ソフィアの割に気がきくじゃない。鞭ね‥‥」
アデライトに鞭を渡し、アデライトの隣には、しれっと馬に乗っているソフィアもいた。そんな二人にジェイコブは冷や汗を垂らした。
「あ、アデライト‥‥ソフィアもだけど、僕は正直二人には大人しく」
「「早く」」
「あ、ハイ。うん。そうだね。みんな行こうか」
ジェイコブは深呼吸しながら編み物をし始め、ルチータ王子とアルフレッドは少し呆れていた。
ルチータ王子はクスクス笑いながらでアメリーに声をかけた。
「頭に血が昇って暴走している姉達がいるみたいだから、末っ子の登場じゃないかな?」
「へへ、あれは無理!!!」
王子二人がいるのにも関わらず、先頭に立って走りだすアデライトの姿がそこにあった。
仮面をつけた【魔女】と、この日からそう彼女は呼ばれる。
「‥‥‥まだ具合が悪いわ」
「そっか」
朝と学園が終わるとルカは必ず私の部屋の前まで来て声をかけてくれている。無理矢理部屋に入るわけでもなく、私達はドア越しで話しをしていた。ルカのお店の繁盛が良い事や、学園の事、最近ルカのお母さんとマックスがようやくデートをしたという、たわいもない話ばかり。
‥‥気を使ってくれてるのね‥‥。
「あ、そうだ。アディーが興味ありそうな美容に良い薬草学の本があったからドアの前に置いておくから後で感想を聞かせてね。約束だよ」
「‥‥‥わかったわ。ルカ‥‥ありがとう」
「うん、どういたしまして」
そう声を聞いてルカは帰っていった。
キィとドアを開けてルカがもういない事を確認して本を手にする。
「‥‥花の女神と呼ばれていた私が‥‥引きこもりだなんて笑えるわね」
私が醜くなったと世間ではずっとウワサされていた。「ルチータ王子の婚約者を狙って罰が当たった」という声もある。
友好国となったフォース国とは少し気まずい関係ともなり、フレデリック王子とルチータ殿下は特に問題がないと仲良くアピールはしているみたいね。
因みに私の信者というべき者達もちらほらいるようだけど‥‥とにかく、ルカだけにはどうしても、こんな顔を見せたくないのよね。
「ふふ、惨めで情けない私ね‥‥」
「にーんじんを食べましょう♫たべましたあ♪今日もー明日もー王子さまーのお嫁さんにーなるんだよぉお♪あ!ルカ兄!」
アメリーは後ろ姿のルカを見つけて話しかけた。ルカの手を握ろうとした時、ピタッと止まるアメリーに、振り向いたルカが首を傾げながら微笑み返した。
「アメリーちゃん、こんにちわ。ん?顔になんか付いてるかな?」
「‥え、ううん。カッコいいよー、4番目だけど」
「あはは、僕4番目か」
「‥‥一番はルチータ王子で、二番は、アル兄なの。で、三番目はジェイコブお兄さま‥‥ルカ兄、コレあげる!私お手製のお花の香りをしたお守り!」
「匂い袋だね。ありがとう」
「うん、バイバイ、またね‥‥」
そうルカが帰る様子をアメリーは心配そうにジッと見つめていた。
「‥‥‥うーん、目が笑ってなかたなあ。なんか‥‥やらかしそうな顔してた。うん」
そう呟いていた。
真夜中の夜、何故か胸騒ぎがした。
「‥‥水‥‥」
チリンと呼び鈴を鳴らしてもメイドが来る気配もなければ、いつもなら邪魔なあの三人の誰かが私の部屋にいるのに、兄と妹達もいなかった。
まだ歩くには全身が痛いけれど、部屋に出て廊下を歩いていると、外から声が聞こえた。
ジェイコブお兄様とソフィアに‥‥青ざめたルカのお母様とルカのお母様をなだめていたマックスもいた。
「‥‥‥あれは‥‥ルチータ王子とアルフレッド王子‥‥それに王族直属の騎士団?」
嫌な予感がするわ‥‥。ずっと前から警戒をするべきだった。私らしくもなく、ぬるま湯に浸かっていたから‥‥大きな落とし穴を見失ってんだわ‥‥。
「ルカが!突然知らない人達に襲われて‥‥ルカは私の背中を押して隠してくれたのだけど‥‥お、お願いします、私の息子を‥‥ルカを‥‥助けてください。なんでもしますから!お願いします!」
「お、落ちついてください!犯人はもうわかっているので‥‥!ルチータ王子!これは、、」
「うん、フレデリック王子達も彼を探してる。遠くには行ってないはずだから、今はこんなに騒いでしまったら彼女が起きてーー‥‥おや‥まいったな」
ルチータは罰が悪そうな顔で屋敷の玄関先で包帯姿のアデライトを見つめた。
ソフィアとジェイコブはハッ!と後ろを見てアデライトがいる事に驚いていた。
「‥‥‥‥‥どういうこと?‥‥‥ルカ‥‥‥
【また】‥‥拐われたの」
ソフィアは私の元へ駆け寄り、体を支えてくれた。駄目だわ。全身が寒くて震えてる‥‥。
また、殺されるの?そうなる運命なの?いいえ、運命などそんな言葉は嫌い。違う‥‥
殺されてなんかいない‥‥
嫌‥‥
嫌だ。
私は‥‥まだルカと‥‥会えてないわ‥‥。
「‥‥ルカと‥‥約束をしたのよ。私に美容のいい‥‥いい本だと渡して‥‥‥‥だから‥‥私、無視してたから‥‥謝って‥‥‥うっ‥‥」
目の前が真っ暗だわ。泣きたくもないのに、涙が沢山でた。
色々な人間を虐め、殺していった私が泣くなんて、誰も許さない筈。許してはいけない。
どんなに叫んでいても、私にこんな事を言う資格なんてない。
「アデライト、大丈夫さ。僕が直ぐに見つける!」
「アデライトお姉さま!泣かないで!人参たべる?食べて元気だして?」
「アデライトお姉様‥‥必ず見つかります!だからーー」
喚いても、見苦しくても、醜くくても良い‥‥‥
だから、どうか‥‥‥一度だけ‥‥
「‥‥い‥‥ごめ‥‥‥んなさ‥」
必死にソフィアの腕を弱々しく震えて掴むアデライトにソフィアは戸惑っていた。
「‥‥‥ソフィア‥‥‥私は貴女が羨ましかったわ‥‥‥私よりも真っ直ぐで、美しくて‥‥‥わかってたの、あの時も、正しいのは貴女だった!!いつも‥私の影にいた貴女だったけど、結局‥‥貴女が眩しかった!!ジェイコブお兄様やアメリーにも‥‥酷い事をしていた‥。沢山アメリーを叩いたわ!アメリーが泣いてても、私はその分笑ったわ!ソフィアに嫌がらせをしていたのも、ジェイコブお兄様の殻を閉じ込めたのも!!馬鹿にしたわ!
全部私がやったわ!!」
「‥アデライトお姉さま?私アデライトお姉さまに叩かれたことないよ??」
「いや、僕はあるけどな。でも、僕の趣味を馬鹿にしたかもしれないが‥‥いつも黙ってお菓子を食べてくれたじゃないか」
違う‥‥今のあなた達じゃない。前の‥‥前のあなた達に私はどれだけ酷い事をしていたか数えきれないほどしたのよ。それが楽しかったのよ。
私は深々と頭を下げた。
「‥‥‥‥私が悪い女性なのは自分自身わかってるわ。でも‥‥‥お願い‥‥‥ルカを助けて‥‥お願い」
クシャクシャな顔と、動いたせいか、包帯はとれて火傷の跡を兄妹達に見られてるのにもかかわらず、土下座をしながら泣いて何度も謝るアデライトに、ソフィアはぎゅっと抱きしめた。そんなソフィアにジェイコブとアメリーも一緒に抱きしめた。
「アデライトお姉様は確かに性格は少し悪いですね」
「‥‥‥」
「確かに。その自己中な部分を取り除けば可愛い妹なんだけどなあ。僕は我儘な妹をもって苦労するよ」
「‥‥‥」
「ソフィア姉さま!アデライト姉さまの性格は少しじゃなくて、かなーり、性格悪いよ!人参食べないもん!私ね、同い年だったら、絶対ともだちなりたくないもん!」
「‥‥‥」
‥‥なんか涙を流して土下座はらしくなかったような気がするわね。やっぱり私はこの家族はーー‥‥
「「「マカロン家のモットーは、やられたらやり返す!」」」
そうジェイコブお兄様、ソフィア、アメリーは笑って私に話しながら手を引っ張り、立たせてくれた。
「‥‥‥そんなモットー初めて聞いたわね」
「今僕達が決めたんだ。僕は次期マカロン家当主だろう?なら、決まりは僕が決めるのさ!」
「あ、アデライトお姉さま。たぶん、ルカ兄に場所わかるよ?すこーし目印つけておいたの!よく、ルチータ王子にも別な目印を持たせてたんだけどね!余ってたやつルカ兄に持たせてるはずだから居場所わかるよー!」
どうやら、いつもルチータ王子に特殊な匂い袋をもたせていたアメリー。いつどこにいるかわかるためとそう話すアメリーに、ルチータ王子は「これのことか」と呆れて固まっていた。
ずっと黙っていたアルフレッド王子が私の方へと近く。
「‥‥‥‥これ。ルカが特注でアンタに買ったもの。結構デザインも悩んでた」
そう私に話して渡したのは、半分顔が隠れる仮面だった。白と薄くひまわり模様のあるものだった。
ルカはいつも私に向日葵のようにキラキラしていると言っているけれど、私にとって貴方の方が向日葵のようよ。
今ここで泣いてもしょうがない。誰かに縋って泣いてお願いするなんて‥‥私のプライドが許さないわね。
私は仮面をつけて決意した。
「なんで、私はついてっちゃだめなのー?!私役にたつよ!?ジェイコブお兄さまと、ソフィア姉さまは、あまり頭つかわないでしょー?すぐに頭に血が昇って誰が止めるの?ここは兄妹末っ子のアメリー・マカロンに任せて!」
「我儘を言わないで、貴女はアデライトお姉様と屋敷で待機しててちょうだい。ジェイコブお兄様も甘やかしてはいけないですよ」
「う、うむ。そうだな、可愛い天使アメリー、僕達は行ってくるから‥‥さあ、アデライトもーー」
そうジェイコブが振り向くと、アデライトは騎士団の馬に乗っていた。
「ふふ。愚図過ぎるわよ、早くあなた達も準備なさい」
「あ、アデライト?あれ、いつのまにフードを着て‥」
「二度言わせないで、早く出る準備なさい。そこの王子二人も、全員」
冷たい眼差しを放つアデライトに、何故か近くにいた騎士団達は顔をこわばらせた。
「アデライトお姉様、無理はしないようにしてくださいね」
「ふふ、ソフィアの割に気がきくじゃない。鞭ね‥‥」
アデライトに鞭を渡し、アデライトの隣には、しれっと馬に乗っているソフィアもいた。そんな二人にジェイコブは冷や汗を垂らした。
「あ、アデライト‥‥ソフィアもだけど、僕は正直二人には大人しく」
「「早く」」
「あ、ハイ。うん。そうだね。みんな行こうか」
ジェイコブは深呼吸しながら編み物をし始め、ルチータ王子とアルフレッドは少し呆れていた。
ルチータ王子はクスクス笑いながらでアメリーに声をかけた。
「頭に血が昇って暴走している姉達がいるみたいだから、末っ子の登場じゃないかな?」
「へへ、あれは無理!!!」
王子二人がいるのにも関わらず、先頭に立って走りだすアデライトの姿がそこにあった。
仮面をつけた【魔女】と、この日からそう彼女は呼ばれる。
82
あなたにおすすめの小説
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】王女と駆け落ちした元旦那が二年後に帰ってきた〜謝罪すると思いきや、聖女になったお前と僕らの赤ん坊を育てたい?こんなに馬鹿だったかしら
冬月光輝
恋愛
侯爵家の令嬢、エリスの夫であるロバートは伯爵家の長男にして、デルバニア王国の第二王女アイリーンの幼馴染だった。
アイリーンは隣国の王子であるアルフォンスと婚約しているが、婚姻の儀式の当日にロバートと共に行方を眩ませてしまう。
国際規模の婚約破棄事件の裏で失意に沈むエリスだったが、同じ境遇のアルフォンスとお互いに励まし合い、元々魔法の素養があったので環境を変えようと修行をして聖女となり、王国でも重宝される存在となった。
ロバートたちが蒸発して二年後のある日、突然エリスの前に元夫が現れる。
エリスは激怒して謝罪を求めたが、彼は「アイリーンと自分の赤子を三人で育てよう」と斜め上のことを言い出した。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
奪われたものは、もう返さなくていいです
gacchi(がっち)
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。