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アデライト 逆行復讐編
狂ったお茶会
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あのパーティーから、数日間過ぎフォース国の王子達だけ何故か未だにこの国に残っていた。
あの男は何か企んでいるに違いないわ。
「…アデライトお姉様?朝食はそれだけでは体力もつかないですよ」
「アデライト、また食べないのか?最近…更に食べないじゃないか…。夜なんて、ブロッコリー1つだけで、腕もこんなに折れそうだよ。医者にも言われただろ、きちんと栄養をとらないと」
「ふふ。沢山食べたら太りますわ」
ジェイコブお兄様とポニーテール姿の真っ直ぐな目で見て話すソフィアが最近……更に生意気なのよね。
「ふふ。私は食べなくても生きていけるの。これもまた美しくなるためだもの」
「アデライト姉様、そんなのは間違っているわ。今はきちんと栄養をとるべきなのに、お姉様のやり方は美しくありまーー」
私は隣にいたソフィアの髪を強く引っ張り出し睨んだ。
「……ねえ、いつから私に指図するようになったのかしら。『二度』も私に間違いがあるなど、言わないでちょうだい」
「…二度?よくわかりませんけど、アデライトお姉様は美に固執し過ぎです。どんなアデライトお姉様でも私達家族は好きですよ」
前回は嫌いだのなんだのとほざいてたくせに……
「あ、でも、その自己中心的な考え方はたまに苛々しますけど。人参だけでも食べてください。アメリーなんて、黙って涙を流しながら食べてますよ?」
ソフィア…私はやっぱり貴女が嫌いだわ。
私はサラダだけ(人参以外)食べて直ぐに席に立とうとした時に、執事が一通の手紙を私に渡してきた。
手紙の印には、フォース国の紋章…ということは、あの男からのようね。私は手紙の中身を開けるとお茶会の招待だった。
あらあら…しかもお茶会のメンバーは……
「アデライトお姉様、その手紙は…もしやフォース国のヒューゴ王子様からですか?」
「ふふ、そうね。それにお茶会のメンバーにはオスカー様もいるみたいだわ」
あの男の周りにいる人間は、彼側という事。邪魔者は早めに始末しなきゃいけないわね。
「…そのお茶会へいくのですか?」
「えぇ、体調も良いし友好関係となった王族からの直々のご招待だわ。ふふ、それに今回のお茶会は昼間なのに仮面をつけての楽しいお茶会みたいだわ」
ソフィアはどうもあのヒューゴ王子を気にいらないようね。野生の勘というべきかしら。ソフィアは何やら考えている顔で、ジェイコブお兄様は慌てて私の手を握って止めた。
「アデライト!君がそのお茶会へ行けば、あのヒューゴ王子の恋人なんじゃないかとか、色々言われるんだぞ!?この前のパーティーで二人共目立っていたし」
「ふふ、わかったわ。行かないわ。体調も良くないだろうし」
私はただ二人に微笑んだ後、部屋から出た。
お茶会当日、ジェイコブお兄様もソフィアもルチータ殿下に用があると出て行った。私は容体が悪いフリをし、部屋へいたけれど、メイド達の目を誤魔化すため、部屋にある隠し通路を使い、外へとでた。
回帰前の私がよく着ていたドレスを着ている
真っ赤なドレスに黒いレース……。
ルカはひまわり色が似合うと言っていたけれど、赤は特別。
誰かの血が跳ね返っても目立たないんだもの。それに、誰よりも自分の存在を出せる色。
私はジェイコブお兄様達には挨拶をせず、一人で馬車に乗りお茶会へと向かった。
ーーピョコンと影ではアメリーだけが、アデライトに出かけた事を知っていたーー。
大きな屋敷へ着くと、沢山の貴族達がお茶会を既に始まっていた。
いえ、お茶会という名の、危険な取引をしている者達。
「……あら、薬漬けされてるのもいるのね」
楽しそうなお茶会の裏には、男女が屋敷内で入り乱れている姿を窓から見えた。
女の奴隷らしきもの達を男性の貴族が裸にしようとし、鞭で叩いていた。…なんともまあ…
「…ご、ご主人様!許してくださいませ!こ、こんな、人の前で裸になるなど…ヒック…」
「五月蝿い!お前はただ、ここにいる皆様を楽しませてやるだけだ!ほら!こっちへこーーギャァ!いたたたたたた!誰だ!?私の髪を引っ張ったのは……って貴女は」
「ふふ、ご機嫌様。ポート男爵」
「わ、私なんぞの名前を知っていたとは…はは。アデライト様もこちら側の人間だったとは。皆も心強いでしょう!」
そう男爵が話すと、周りにいた貴族達がワアと喜んで拍手をされた。
私は男爵が持っていた鞭を取り出して、男爵に笑顔を向けると、男爵や男爵の周りにいた者達は頬を赤らめて残念な顔をしているわね。
「ふふ、鞭の使い方は間違えてるわ」
「な、なるほど!いやいや、勉強になりますな!アデライト様はヒューゴ王子をお待ちですか?主催者である、まだ来てませんので、こやつを痛めながらお茶を楽しもうでありませんかーーってぎゃあああああ!痛っ!え?え?痛ー!う、腕が!」
「ふふふ、これが正しい鞭の仕方ですわ。みなさんにも体験してもらわないと、ね?」
「「ぎゃああああ!」」
「やめて!私達は関係ないわ!」
「金ならいくらでも渡すから!」
「…ふふ。あなた達全員…そう邪魔なのよ」
私は素早くその汚い顔と腕を何度も何度も、男爵を鞭打ちした。止めようとした者達も何人か来たけれど。
貴族達が怪我などと騒いでいるのに、ヒューゴ王子の警備する兵は、そう予想していたかのようにピクリとも動かないみたいなのよね。
男爵のほかに、貴族達も鞭で打ち気絶させた。屋敷にいてお楽しみにしていた者達も。
「……ッゴホ!……本当私の体は体力がないわね」
あとは面倒だから……
私は自分の胸元にある香水を怯えている残っていた貴族達数人にふりかけると、彼らは気絶した。
私は屋敷から出て、もう一度周りを見渡すと先程の奴隷の少女が私を見つめてから涙を流していた。
「…あ、あ、ありがとうございますっ…ヒック」
「ふふ、汚いし臭いがうつるから近寄らないでちょうだい。……この屋敷へ出て王都にある南側の【チェイロ】という喫茶店でマックスという使える男がいるわ。
とにかく臭いが酷いわ。同じ女性とは思えないから早く消えてちょうだい」
金貨一枚あげると、何故か少女は嬉しそうに私に笑顔を向けた。
「ハイ!ありがとうございます!」
そう少女が屋敷の外へ出ようとした瞬間、彼女は剣に突かれ倒れた。
沢山の血が流れてきた。あぁ、やっぱり赤いドレスにして正解だわ。それに少女を殺したのは……
パチパチと拍手をしながら登場する青い髪色の青年。
「いやあー凄いねー。みーんな、きみがやったの?でもさあ、【お茶会】懐かしいだろう?」
そう私に声をかけたのはヒューゴ王子だった。
後ろには、あの馬鹿女とオスカー様もいた。
「……ふふ、そうね。こんな狂ったお茶会。変わったというのであればオスカー様が加わっているぐらいかしら?」
そうオスカー様を見ると、彼は私を見て驚いていた。
「き、きみが、こんなに人を痛めつけるなんて…やっぱりおかしくなったんだ!」
とかなんとか、騒いでいた。無視が一番ね。
オスカー様は信じられないと言いながら、涙を流して走り出して、隣にいた馬鹿女は溜息混じりで「あーもう!面倒な男ね!」といい追いかけていった。
二人っきりになった私達に、ヒューゴ王子は私の血がついていた頬をハンカチで拭き取ってくれながら話す。
「彼らの罪を暴く為にお茶会を用意してたんだよ」
「ふふ、嘘。この貴族達は禁止されている奴隷の売買や、薬、裏の取引をしているヒューゴ王子様の味方だったのでありません?前回と同じよ」
「俺にとってどうでも良い奴だ。あとは、適当に逮捕したとかなんとかいうさ。それよりも……」
ヒューゴ王子は私の腰に手を回した。
「ちょっと……」
「俺達だって仲良くしていただろう?身分を隠していたけれど、君に剣を教えて女性の喜びをベットで教えたじゃないか」
「それは前の話よ」
気持ち悪い…。本当に気持ちが悪い男。そんな気持ち悪い男と同じなのは私もよね……。
ルカが思ってくれてるほど、私は清くなどない。
「ねえ、アデライト。きみは知っていた?」
「そんな事より離れてちょうだい」
「ヤダね。アデライトの為を想って、良いことを教えてあげる。そのためにゆっくりお茶をしようと誘ったんだよ」
「……何を?」
ヒューゴ王子はニヤリと笑いながら、私の左胸をそっと触った。
「ちょっ!?貴方…正気!!?なんなーー」
「回帰前の心臓の居場所❤︎」
ドクン!と鳴り響く。何故か聞いてはいけないような気がするわ。
「……な、何が…」
離れようとするもののヒューゴ王子は力強く私から離れなかった。
「ずぅっと、あの男の心臓は君の心臓としていたんだよ♪」
何かが、崩れ始めた瞬間だった……。
「ルカ兄ー!!ルカ兄ぃ、いますかあー!アメリーですよー!って、あれれ、みんな揃ってる。ハッ!ルチータ王子さまだ!」
アメリーはルカのお店に行くと、既にソフィアやジェイコブ、アルフレッドやルチータも店にいた。
「アメリー貴女、今の時間はレッスンの時間じゃないの?」
「ソフィア姉さま!いまはね、そんなんじゃないの!アデライト姉さまがお茶会へいったんだよ?いーの?お仕置きに人参アタックしちゃう?」
「へえ、アデライト嬢は、そのお茶会の意味をわかっているのかな?」
そうルチータ王子が話すとジェイコブは「お茶会?ですよね?」そう聞くと、ルチータ王子はそばにいたアメリーが聞こえないように彼女の耳を塞ぎ、笑顔で答えた。
「お茶会という名の男女で薬を使い●●したり、違法奴隷を連れて●●したり、あ、確か裏の取引場所でもあるらしいね。今日フレデリック王子から聞いた話だから、彼らは逮捕しようと向かってるかもねぇ。一応、それを教えに来て一緒に来て貰おうとしたんだけど、アデライト嬢が先に行ったみたいだね」
ソフィアとジェイコブは固まっていた。
「今日は体調が悪いと部屋で寝てるはずだぞ?」
パリン!とガラスが割れる音に皆ビックリをして振り向くと、ポタポタとジュースと血が入り混じっていたのとガラスの破片が床に流れていた。
ガラスを強く握りしめ過ぎたルカの両手は血だらけだった。
「ル、ルカ?えーと、あの、大丈夫か?」
「大変、怪我をしたのね。アル、傷の手当てをしたいから包帯もってきてくれる?」
「……ん。わかっーー」
その瞬間、その場にいた者達は殺気で凍りついて固まっていた。アルフレッドは身構えるほどに。そばにいたルチータはクスッと笑いながら
「…きみが余程焦って怒る姿を初めて見るのも悪くないね」
「ルチータ君、きみも性格が悪いね。知ってて行かせたのかな。いやいまは別にいい。あとで話を聞かせてもらうよ?とにかく、うん……アディーは本当にお転婆だね…?」
爽やかな笑顔で語るルカの姿に皆なんだか逆らっていけないんだと、ルチータ以外は固まっていた。
あの男は何か企んでいるに違いないわ。
「…アデライトお姉様?朝食はそれだけでは体力もつかないですよ」
「アデライト、また食べないのか?最近…更に食べないじゃないか…。夜なんて、ブロッコリー1つだけで、腕もこんなに折れそうだよ。医者にも言われただろ、きちんと栄養をとらないと」
「ふふ。沢山食べたら太りますわ」
ジェイコブお兄様とポニーテール姿の真っ直ぐな目で見て話すソフィアが最近……更に生意気なのよね。
「ふふ。私は食べなくても生きていけるの。これもまた美しくなるためだもの」
「アデライト姉様、そんなのは間違っているわ。今はきちんと栄養をとるべきなのに、お姉様のやり方は美しくありまーー」
私は隣にいたソフィアの髪を強く引っ張り出し睨んだ。
「……ねえ、いつから私に指図するようになったのかしら。『二度』も私に間違いがあるなど、言わないでちょうだい」
「…二度?よくわかりませんけど、アデライトお姉様は美に固執し過ぎです。どんなアデライトお姉様でも私達家族は好きですよ」
前回は嫌いだのなんだのとほざいてたくせに……
「あ、でも、その自己中心的な考え方はたまに苛々しますけど。人参だけでも食べてください。アメリーなんて、黙って涙を流しながら食べてますよ?」
ソフィア…私はやっぱり貴女が嫌いだわ。
私はサラダだけ(人参以外)食べて直ぐに席に立とうとした時に、執事が一通の手紙を私に渡してきた。
手紙の印には、フォース国の紋章…ということは、あの男からのようね。私は手紙の中身を開けるとお茶会の招待だった。
あらあら…しかもお茶会のメンバーは……
「アデライトお姉様、その手紙は…もしやフォース国のヒューゴ王子様からですか?」
「ふふ、そうね。それにお茶会のメンバーにはオスカー様もいるみたいだわ」
あの男の周りにいる人間は、彼側という事。邪魔者は早めに始末しなきゃいけないわね。
「…そのお茶会へいくのですか?」
「えぇ、体調も良いし友好関係となった王族からの直々のご招待だわ。ふふ、それに今回のお茶会は昼間なのに仮面をつけての楽しいお茶会みたいだわ」
ソフィアはどうもあのヒューゴ王子を気にいらないようね。野生の勘というべきかしら。ソフィアは何やら考えている顔で、ジェイコブお兄様は慌てて私の手を握って止めた。
「アデライト!君がそのお茶会へ行けば、あのヒューゴ王子の恋人なんじゃないかとか、色々言われるんだぞ!?この前のパーティーで二人共目立っていたし」
「ふふ、わかったわ。行かないわ。体調も良くないだろうし」
私はただ二人に微笑んだ後、部屋から出た。
お茶会当日、ジェイコブお兄様もソフィアもルチータ殿下に用があると出て行った。私は容体が悪いフリをし、部屋へいたけれど、メイド達の目を誤魔化すため、部屋にある隠し通路を使い、外へとでた。
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私はジェイコブお兄様達には挨拶をせず、一人で馬車に乗りお茶会へと向かった。
ーーピョコンと影ではアメリーだけが、アデライトに出かけた事を知っていたーー。
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「……あら、薬漬けされてるのもいるのね」
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「ふふ、ご機嫌様。ポート男爵」
「わ、私なんぞの名前を知っていたとは…はは。アデライト様もこちら側の人間だったとは。皆も心強いでしょう!」
そう男爵が話すと、周りにいた貴族達がワアと喜んで拍手をされた。
私は男爵が持っていた鞭を取り出して、男爵に笑顔を向けると、男爵や男爵の周りにいた者達は頬を赤らめて残念な顔をしているわね。
「ふふ、鞭の使い方は間違えてるわ」
「な、なるほど!いやいや、勉強になりますな!アデライト様はヒューゴ王子をお待ちですか?主催者である、まだ来てませんので、こやつを痛めながらお茶を楽しもうでありませんかーーってぎゃあああああ!痛っ!え?え?痛ー!う、腕が!」
「ふふふ、これが正しい鞭の仕方ですわ。みなさんにも体験してもらわないと、ね?」
「「ぎゃああああ!」」
「やめて!私達は関係ないわ!」
「金ならいくらでも渡すから!」
「…ふふ。あなた達全員…そう邪魔なのよ」
私は素早くその汚い顔と腕を何度も何度も、男爵を鞭打ちした。止めようとした者達も何人か来たけれど。
貴族達が怪我などと騒いでいるのに、ヒューゴ王子の警備する兵は、そう予想していたかのようにピクリとも動かないみたいなのよね。
男爵のほかに、貴族達も鞭で打ち気絶させた。屋敷にいてお楽しみにしていた者達も。
「……ッゴホ!……本当私の体は体力がないわね」
あとは面倒だから……
私は自分の胸元にある香水を怯えている残っていた貴族達数人にふりかけると、彼らは気絶した。
私は屋敷から出て、もう一度周りを見渡すと先程の奴隷の少女が私を見つめてから涙を流していた。
「…あ、あ、ありがとうございますっ…ヒック」
「ふふ、汚いし臭いがうつるから近寄らないでちょうだい。……この屋敷へ出て王都にある南側の【チェイロ】という喫茶店でマックスという使える男がいるわ。
とにかく臭いが酷いわ。同じ女性とは思えないから早く消えてちょうだい」
金貨一枚あげると、何故か少女は嬉しそうに私に笑顔を向けた。
「ハイ!ありがとうございます!」
そう少女が屋敷の外へ出ようとした瞬間、彼女は剣に突かれ倒れた。
沢山の血が流れてきた。あぁ、やっぱり赤いドレスにして正解だわ。それに少女を殺したのは……
パチパチと拍手をしながら登場する青い髪色の青年。
「いやあー凄いねー。みーんな、きみがやったの?でもさあ、【お茶会】懐かしいだろう?」
そう私に声をかけたのはヒューゴ王子だった。
後ろには、あの馬鹿女とオスカー様もいた。
「……ふふ、そうね。こんな狂ったお茶会。変わったというのであればオスカー様が加わっているぐらいかしら?」
そうオスカー様を見ると、彼は私を見て驚いていた。
「き、きみが、こんなに人を痛めつけるなんて…やっぱりおかしくなったんだ!」
とかなんとか、騒いでいた。無視が一番ね。
オスカー様は信じられないと言いながら、涙を流して走り出して、隣にいた馬鹿女は溜息混じりで「あーもう!面倒な男ね!」といい追いかけていった。
二人っきりになった私達に、ヒューゴ王子は私の血がついていた頬をハンカチで拭き取ってくれながら話す。
「彼らの罪を暴く為にお茶会を用意してたんだよ」
「ふふ、嘘。この貴族達は禁止されている奴隷の売買や、薬、裏の取引をしているヒューゴ王子様の味方だったのでありません?前回と同じよ」
「俺にとってどうでも良い奴だ。あとは、適当に逮捕したとかなんとかいうさ。それよりも……」
ヒューゴ王子は私の腰に手を回した。
「ちょっと……」
「俺達だって仲良くしていただろう?身分を隠していたけれど、君に剣を教えて女性の喜びをベットで教えたじゃないか」
「それは前の話よ」
気持ち悪い…。本当に気持ちが悪い男。そんな気持ち悪い男と同じなのは私もよね……。
ルカが思ってくれてるほど、私は清くなどない。
「ねえ、アデライト。きみは知っていた?」
「そんな事より離れてちょうだい」
「ヤダね。アデライトの為を想って、良いことを教えてあげる。そのためにゆっくりお茶をしようと誘ったんだよ」
「……何を?」
ヒューゴ王子はニヤリと笑いながら、私の左胸をそっと触った。
「ちょっ!?貴方…正気!!?なんなーー」
「回帰前の心臓の居場所❤︎」
ドクン!と鳴り響く。何故か聞いてはいけないような気がするわ。
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「ずぅっと、あの男の心臓は君の心臓としていたんだよ♪」
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「お茶会という名の男女で薬を使い●●したり、違法奴隷を連れて●●したり、あ、確か裏の取引場所でもあるらしいね。今日フレデリック王子から聞いた話だから、彼らは逮捕しようと向かってるかもねぇ。一応、それを教えに来て一緒に来て貰おうとしたんだけど、アデライト嬢が先に行ったみたいだね」
ソフィアとジェイコブは固まっていた。
「今日は体調が悪いと部屋で寝てるはずだぞ?」
パリン!とガラスが割れる音に皆ビックリをして振り向くと、ポタポタとジュースと血が入り混じっていたのとガラスの破片が床に流れていた。
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「ル、ルカ?えーと、あの、大丈夫か?」
「大変、怪我をしたのね。アル、傷の手当てをしたいから包帯もってきてくれる?」
「……ん。わかっーー」
その瞬間、その場にいた者達は殺気で凍りついて固まっていた。アルフレッドは身構えるほどに。そばにいたルチータはクスッと笑いながら
「…きみが余程焦って怒る姿を初めて見るのも悪くないね」
「ルチータ君、きみも性格が悪いね。知ってて行かせたのかな。いやいまは別にいい。あとで話を聞かせてもらうよ?とにかく、うん……アディーは本当にお転婆だね…?」
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