【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま

文字の大きさ
上 下
94 / 100
アデライト  逆行復讐編

ルカの復讐

しおりを挟む
森の奥深くにある、薄暗い地下には鼠が何匹かウロチョロと走っていた。

窓もなく、鉄格子の向こうには両手を縛られて血だらけの姿のルカが身動きを取れないでいた。

カツン‥‥と誰かがルカのいる地下牢へとやってきた。可愛いらしい顔立ちでピンク色の髪の少女、何人かの男達を連れてやってきたのはアイラだった。

「わあー!鼠みたくしぶとい人初めてだわ!あんな拷問によく耐えられるなんて凄いわ。
でも、私の顔の好みじゃないの。ごめんね?」

そう近くにあった汚い泥水をルカに浴びせて起こした。

スッと目を覚ますルカは黙ったままアイラ達を笑顔で見つめていた。アイラはそんなルカの表情をみて背筋が一瞬凍って固まった。

「‥‥な、なんで笑ってるのかしら?気持ち悪い男」

そう自分の薬漬けにして取り巻き達の後ろに隠れていた時、ヒューゴ王子が現れた。

「ヒューゴ様!あの不細工で気持ち悪い男から早く殺しましょうよ!」

「あはな⭐︎そうだねえー。でも、彼の心臓は必要だから優しくしてあげないとね!それに、アデライトの前で殺すのも彼女がどんな表情するか見てみたいし」

ニヤニヤとルカに近づくヒューゴ王子はルカの顔を見て笑顔で何度も何度も硬い棒で殴った後話しかけた。

「小さい時お店に一度と平和協定パーティー以来だなあー。俺の事覚えてるかなあー。今回で三度目だねえ⭐︎」

沈黙が少し続き、ヒューゴ王子は後ろにいたアイラ達に指示をし始める。

「多分、もう俺らの場所は知っているだろうからありったけの衛兵使って、奴らを殺しちゃおっか。あ、アデライトは駄目だから」

「え!?私はあの女がいっちばん嫌いでーーガハッ!?」

ヒューゴ王子はアイラの首を絞めて言う。

「二度言わせるなよ?アデライトは俺の女だ、何もするな」

ヒューゴは牢屋の近くにあった自分のワインを飲んだ。
アイラはコクンと頷き、地上の方へと向かっていくのを見届けたヒューゴ王子は、ルカの髪を鷲掴みにした時小さな声で囁くようにルカは俯いたまま声を出す。


「ハァハァ‥‥カハ‥【4度目】だよ‥‥‥あぁ‥‥そうだ。4度目だ」

そう呟くルカに首を傾げるヒューゴ王子は笑いながらルカのお腹に蹴りを入れた。

「なになに?あまりにも痛くて頭おかしくなっちゃった?」

そうもう一度ルカの表情をみようとしたヒューゴ王子は、ゾクっと背筋が凍り固まってしまった。あまりそう人に対して恐怖を感じないヒューゴ王子な筈が、少しだけ冷や汗をかく。

本能で‥‥‥自分より『ヤバい』と感じたからだ。


「‥‥‥ガハッ‥‥‥ハァハァ‥‥痛い、ね。‥‥そうだね。痛いんだ。僕は父さん達に何度も『助けて』と泣いて叫んでたよ。
叫んでも叫んでも叫んでも、沢山の血が流れ、誰も僕が苦しいと痛いと泣いてもなんとも思っていなかった」

「‥‥?お前何を言ってーー」

「父さん達の後ろであざ笑っていた君を初めて見て、意識は無くなった。気づけば、彼女の中。君は知らないだろうね‥‥‥好きな子の温もりを君が‥‥‥お前が触り、おかしくさせ、近くにいた事が許せなかった。彼女を汚しーー」

「まてまてまて!え?ま、まさか‥‥記憶があるわけ?アデライトの心臓として記憶が残ってたのか?!」

そうヒューゴ王子はあり得ないと言い張りたいが、自分は一度死んで過去に来た経緯があるので、まさか‥と驚きつつも引きつって笑っていた。

「ブハッ!なら、何?今までの記憶が残ってわかっているのならばーーあぁ、彼女と俺の初めての夜も、彼女が沢山の人を殺していたのかも、‥‥それもお前の心臓をずっと探していたこともわかってたわけ!?あはは!笑えるわー!」

そうヒューゴ王子は自分の剣を取り出し、ルカに刃を向ける。

「んー、予定変更だわ。お前やっぱり今殺すわ。心臓なんて沢山集めて適合するのを見つければ良いし。そもそも、体が弱いけど、彼女丈夫になったみたいだからー、お前は用済みだな」

そう俯いたままのルカの首を斬り落とそうとした時、急にヒューゴ王子の右の手首が痺れて剣を落としてしまった。

「は?なんだ?急に手がーー‥‥」

クスクスと不気味に笑っているルカはようやくヒューゴ王子を見つめる。

「‥‥誰も知らない。僕が『いい子』だなんて勝手に周りが決めつけているだけ」

「何、急にわけのわからない事を‥‥」

「ヒューゴ王子、君をどれだけ憎んだろう‥‥‥‥それ以上に自分が一番憎かった」

「‥‥なに、がはっ!!?‥なっ‥なんで急に血が‥薬をーー何処から‥‥まさか‥」

「‥‥あれから、誰にもバレずに、綿密に時間をかけて準備してきたんだ。金も人も、全て‥‥‥邪魔はさせない。


‥‥ようやくアディーは‥‥家族と向き合う時間ができたんだ」



ヒューゴ王子は先程、自分が飲んだワインの方を見た。誰が毒をいれた!?と焦りながら血を吐き出す。

ルカはそんなヒューゴ王子を嘲笑い、不気味な笑顔を向けて笑いだした。


「いい?僕は『薬草』専門じゃない。
『毒』なんだよ。ヒューゴ王子‥‥」






しおりを挟む
感想 724

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?

藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」 9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。 そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。 幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。 叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。