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アデライト  逆行復讐編

私の美しい顔

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「意識は!?」

「先生!アデライト嬢の体が急変しています!」


「せせせ先生!アデライトは、アデライト大丈夫ですか!?」

「ジェイコブお兄様!今は落ちついてください!編み物をしすぎです!」

「ソフィア!編み物以外どう落ちつけと!?」

「うあああん!アデライドおねうえさまがあえ!!」

涙を流しながら編み物をしだすジェイコブとアデライトの変わり果てた姿を見たアメリーは泣きだし、それをあやしながらグッと堪えていたソフィアだった。

意識を失い、火傷も負ってしまったアデライトは昏睡状態を見たルカは真っ青な顔をしていた。

ルカの隣りにいたルチータはただ黙って彼の隣りに座る。

「‥‥‥すまない」

「‥‥‥‥アディの心臓が弱っている‥‥代わりに僕のをあげたいよ」

「‥どうかな。それは彼女は喜ばないかもしれないね」

「‥‥‥そうだね‥‥‥喜ばないだろうね。君はアル君と一緒に色々とやる事があるだろう?ここは僕達が残ってアディーのそばにいるから」

ニッコリと微笑むルカに、少しだけ違和感を感じるルチータは

「‥‥‥変な行動はしないように頼むよ」

「なんのことだか」

ふうと笑いながらため息を出すルチータは、ルカの肩を軽くポンと叩いた後、すぐに城へと向かいヒューゴ王子の居場所などをフレデリック王子と共に探す手配をしにいった。







全身の体が痛い‥‥。息をするのも苦しい。
誰かが私の手をぎゅっと握ってくれていた。

目を覚ますと、体中から激痛が走り、少しだけ声を出す事が精一杯だった。

‥‥天井‥‥私の部屋だわ‥‥。手を握っていたのは‥‥左にはソフィアがいた。

「アデライトお姉様‥‥」

「‥‥‥ソ‥‥フィア‥うっ‥」

「あ、まだ体は動けないかと‥‥ここ三日寝ていましたから」

右手には、小さな手とゴツくて手汗が凄い手が私の手を握っていた。‥‥右側には、ぐっすりと眠っているアメリーとジェイコブお兄様がいた。‥‥とてつもなく邪魔なんだけど、この二人は一体なんなの。

瞼が腫れていて、どのくらい惨めに泣いていたか丸わかりね。

さて‥‥包帯だらけの私はもうなんとなく察したわ。

「‥‥鏡を‥‥もってきてちょうだい」

そう私が言うと、ソフィアはビクンと体を動かし、気まずい顔をしていた。

「今は見ない方がいいかと‥」

「大丈夫よ。もう【慣れて】いるから。早く」

体がまだ痛いけれど、私はソフィアに起こしてもらった。‥‥それにしても、お兄様とアメリーは何故自分の部屋で寝ないのかしら。あとで金貨一枚払ってもらったほうが良さそうね。

私はソフィアに手鏡を持ってきてもらい、顔に巻かれている包帯を外して鏡に映る自分の姿を確認した。

「‥‥‥ふふ‥‥はは‥‥」

「お、お姉様‥‥今はやはり安静にすべきかと‥‥」


回帰前のほうがまだマシだったわね‥‥。顔半分の火傷だけではなく‥‥手や肩、足‥‥。

笑うしかないじゃない。

化け物の姿になった私。

美しくない私を見て、笑うしかなかった。


「‥‥ルカには絶対会わないし、部屋を通さないでちょうだい‥‥」

「‥‥‥でもルカ君は‥‥いえ、わかりました。今は安静が第一ですもんね‥‥」

そうソフィアはまた黙って座っていた。

「‥‥‥みんな自分の部屋に帰りなさいよ。暑苦しいわ」

「嫌です。私達家族でしょう?こんな時こそ、一緒にいるべきです」

そう微笑むソフィアが‥‥‥腹が立ってしょうがないわね。そのみんな仲良くしましょうという雰囲気嫌いなのよね。

「‥‥‥私はあなた達家族が嫌いよ」

ソフィアは少し寂しげな顔をしつつも窓の外を眺めて話す。

「では、嫌いな妹の秘密をアデライトお姉様に一つ教えちゃいます。アルも知らない事です」

「‥‥別に何も知りたくないわね」

「‥‥‥実は私、前世の記憶があるんですよ」

「あ、そ」

「え!驚かないのですか?」

私は殺されて回帰したから、なんかそういう類い話はどうでもよいのよね。

ソフィアは私の反応を無視して、一人で語った。
前世ではニホンという国で育っていた事。男女関係なく、自由な国であったことなど、コンビニというお店のデザートが好きで今でも新作が食べれず無念だと長々と話していた。

「何故私に話すのよ。頭がおかしいと思われるわよ‥あぁ、もう頭がおかしかったわね」

そう嫌味を言う私に、ソフィアは笑った。

「‥‥‥なんとなく、なんとなくですけど、アデライトお姉様には知ってもらいたかっただけです」

そうソフィアが話した後、私はまた深い眠りについた。


さらに二日後、まだ痛いけれど、少しはマシになったかしら。とはいえ、ベッドからは出れない私に、しつこいくらいジェイコブお兄様とアメリーが来る。しまいには、私の部屋で寝ると、金貨を大量に持って来た二人に呆れてしまったわ。

私がベッドで寝ていると、メイドがやってきて、ひまわりの花束を私に渡した。

「‥‥‥ルカからね」

「ハイ、まだお嬢様は体調が優れないからとお会いできないとお断りはしました。それでは失礼しました」

「‥‥そう」



毎日、ひまわりの花束を届けてくれていたルカ‥‥‥。意識がないときでも毎日屋敷へ来ていた。

でも‥‥長い髪も燃えてしまい、髪は男のように短い私‥‥何よりこんな醜い姿をルカにだけは見られたくない。回帰前はルカはいなかったから、別によかった。でも今ルカが生きている今‥‥絶対がっかりして、嫌われるはず。

美しくない私は私じゃないもの。



花束の中にはメッセージカードが添えてあった。

【アディーへ

    早く会いたいよ】






「‥‥‥‥私もよ‥ルカ‥‥」













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