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アデライト  逆行復讐編

私の罪って‥‥美しいこと

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「トカゲの尻尾‥‥カエルの卵、フサフサ草‥木苺の実。ふふ‥‥美容によくなる薬草。この美容液は私のオリジナルね。効果を見て、売りに行きましょう」

美容に良い物を作りたくて、色々と実験(主に毒味はジェイコブお兄様)をしている私を心配する周りを無視して完成させた。

美しくあり続けるには必要なものだもの。

体調も良くなり、久しぶりの学園に通う事となった。クラスは誰かとなんてわからないけれど、ルカとルチータ殿下が一緒というのが腹が立つわ。私もあともう1歳上だったら‥。

メイドに制服を着せてもらい身支度を整えて朝食へ向かおうとした時、コンコンと窓からカラスがやってきた。

あのカラスは‥‥マックスね。

今ではカフェの店を開いて、情報屋などは足を洗ったとか言っても私のお願いは聞いてくれる。ルカのお母様とのデートを取り次いだからかしら。

カラスの足にはメモと小さな袋が縛ってあった。

「あらあら。ふふ、仕事が早いわね」

私はマックスからのメモを読んでから燃やして捨てて、小さな袋を制服のポケットに入れてから朝食へと向かう。


「アデライト、ヨーグルトだけで足りるのか?!」

「あの、アデライトお姉様、くるみのパン美味しいので一口食べませんか?」

「‥‥伯父の立場の私が言うのもなんだが、君はあまりにも食べないな。もっと食べたほうがよい」

「あーうっ!」

「‥‥‥」

うるさいわね。毎朝同じ事を言ってこの人達は飽きないのかしら。私は皆を無視して席をはずそうとした時、屋敷の外を見ると何故かルチータ殿下とアルフレッド殿下、そしてルカが待っていた。

「ルカ?何故貴方が一緒に‥」

「あ、おはようアディー。うん、アディーと一緒に学園へ行こうかなあと誘おうとしたら、チーター君達とたまたま会って」

‥‥たまたま、ね。私はチラッとルチータ殿下を見ると何故かニッコリと私に微笑んでいた。
私が久しぶりに学園へ通う事で、ルチータ殿下にメリットがあるから?とかかしら。そうなら、腹が立つわね。私は自分が人を使うのは良いけど、自分が使われるのは嫌なのよね。

ルチータ殿下はアメリーを見かけると慌てた様子で、ジェイコブお兄様とソフィアを呼び、馬車の中へと案内した。ジェイコブお兄様は笑いながらルチータ殿下に話しかけていた。

「あはは!ルチータ王子、妹アメリーに好かれてますね!学園の『噂』もなかなか面白いけれど、もしかしたら、ルチータ王子の運命な人は我が家の天使かもしれないけれど渡しませんよ!?」

「ジェイコブ、冗談はやめてくれ。私は歳下に興味がない。‥‥我が弟アルフレッド、何故笑っているんだい」

「‥‥いや、あんたが慌てる様子がおかしくてな」

アルフレッド殿下、私もその意見には同意するわ。慌てるルチータ殿下を見たいから今度からアメリーを連れてまわそうかしら。
それよりも‥‥

「ところで、学園の噂ってなんですの?」

そう私が聞くと、皆私の方へと見た。隣にいたルカとソフィアが少し困った顔をし、ジェイコブお兄様は「くだらない噂さ!」と何故怒っていた。ルチータ殿下は余裕ある笑みで私に話す。

「さて、もう少しで学園に着くけれど‥‥君がどう感じたか判断してもらおうかな?」

「ルチータ王子、その‥みんなで登校したら凄く目立ってしまうのでは?」

「うん。ソフィアちゃんのいうとおり、僕達色々と目をつけられがちだからね」

そうソフィアとルカが話すのをルチータ殿下は笑っていた。

「ソフィア嬢、目立つのが嫌いみたいだけど、君は既に目立っているよ?元々マカロン家であり女性で騎士科に編入しただけでも騒がれていたのに、さらに騎士科一年男子学生達より成績も良いからね。ルカもそうだね、私より一位を取ったのだから変に目立った」

あらまあ。ルカ、よくあの腹黒王子を負かしたわね。素晴らしい、さすがだわ。そう私が満足気に笑顔でいるとルカは照れ臭そうにしていた。

「で、『噂』って何かしら?」

「それはアデライト嬢。君がどう思うかだね」

‥‥ルチータ殿下‥‥少し面白がっているわね。私は朝マックスから届いた袋をポケットから取り出し、ルチータ殿下に見せた。

ルチータ殿下の隣にいたアルフレッド殿下は怪しそうに尋ねてきた。

「アデライト嬢、それはなんだ?」

「ふふ、これはフォース国しか咲いてない薬草の種ですわ。誰かさんの病を治せるかもしれない、とても有難い種よ。あら、でも学園に着いたわね?みんな、いきましょう」

ルチータ殿下は先に馬車へと降りて私に手を差し伸べエスコートをする。

「君に何かを頼む時は対価を払わないといけないんだっけ」

「ふふ、そうですわ‥それよりも」


学園へついた瞬間ザワザワと視線を感じるわね。尊敬の眼差しとかではない。




「ルチータ王子とアルフレッド王子と一緒だわ!‥‥でも本当にアルフレッド王子は王位継承権放棄したのかしら‥‥怪しいわ」


「‥‥マカロン家の次女‥‥女性なのに、騎士科に編入しておかしいよな。この前男子生徒をボコボコにしたらしいぞ。淑女のカケラもない」

「以前のジェイコブ様が良かったのに、乙女な趣味はやめたほうがと言ってもわかってくださらないし悲しいわ」

「‥‥おい。あいつ‥‥平民の癖に王子達と一緒だぞ。学年一位だからと生意気だ」

「何よりも‥‥アデライト嬢の頭がおかしくなったらしい。いつも毒を作ったり、世の中の男を虜にする媚薬を作ってるらしいぞ。花の女神様でなくなった。だからルチータ王子は彼女にメロメロなんだ」



成る程‥‥‥。ヒソヒソと話しているようだけど、口の動きでなんとなく察したわ。

私は後ろにいるジェイコブお兄様やソフィア達を見たけれど、本人達は慣れたのか気にしないようでいた。むしろ、私の方を心配をしているようだけど‥‥

「ふふ。ルカが生意気という点だけは合ってないわね。あとは全部噂ではなく、真実のようなものよ」

「ちなみにアデライト嬢、今私の婚約者だと名前が上がっているんだよね」

「あら。ふふ、ルチータ王子の婚約者だなんて、死んでも嫌ですわね。そんな噂を流した者の口を封じなければいけませんわ」

「その件に関しては、私も同じ気持ちだ」

私はルチータ殿下から離れて1番後ろにいたルカの方へと寄り、腕を組んだ。ルカは困った顔をしながら私に話しかけた。

「えっと‥アディー、僕の立場はあまり良くないから一緒に歩かない方いいかもよ。学園にきて今更だけど、僕はただの平民だし」

「ふふ。私はルカと一緒に歩きたいのよ」

そうニッコリと笑うアデライトの笑顔に、さっきまで文句や陰口を叩いていた周りの男子学生は頬を赤らめて彼女を見つめていた。


「‥‥‥んー、アディーの笑顔は兵器だよね。ちょっと妬けちゃうな」

「でも私はルカとこうやって一緒に学園へ通える事が楽しみだったもの」

「アデライト!兄の僕とは!?僕だって兄妹3人通えると信じてーー」

「お兄様、声がうるさいですわ。話しかけないでくださいませ。騎士科のみなさんは早く向こうの校舎へ行ったほうがよろしいのでは?」

「がーん!」


そうルカ達は笑って、私達はそれぞれ自分のクラスへと足を運んでいった。

久しぶりの学園だわ。私は教室へ向かうと、シンと静かになり、窓際にはオスカー様がいた。

あら、同じクラスだったのね。すっかり貴方を忘れていたわ。ソフィアは時々手紙を出していたようだけど‥‥。

そして、何故かあの女も、、アイラもいた。
親戚が不正で逮捕されていても、彼女自身には罪はなく、むしろ教会や孤児院への寄付、ボランティアに参加をしているので聖女様と親しまれている。彼女の後ろには‥‥多分、『彼』がいるのでしょうね。怪しいもの、確実な罪を見つけないといけないけれど‥‥

「アデライト様!体の体調は大丈夫ですの!?あぁ、私達本当に心配してましたわ‥‥アデライト様が不在をいいことにあの、アイラ嬢が‥‥‥」

何人かの私の取り巻き達がやってきて、不満そうな顔をしながらアイラを睨んでいた。

私がいない間、アイラは随分とお仲間集めに夢中だったようね。

何やらワザとらしく落ち込んでいる様子のアイラに、ハンカチを渡すオスカー様。オスカー様は私をチラッと見ては、また見つめ直す。

何か言いたいのかしら。

アイラの取り巻き達が私の元へやってきた。

「アデライト様!あの、アイラ嬢があまりにも可哀想です!アイラ嬢がルチータ王子をお慕いしているのを知ってて、ワザと近づいて‥‥!婚約者な素振りをして!卑怯だわ!花の女神とはもう誰も思ってないわよ!?」

「‥‥‥ぐすっ。みんな、やめて。いいの‥‥私は身分は低いほうだし‥‥アデライト様みたいに美しくないもの」

そう涙を流すアイラに、みんな励まし合っている。

「‥‥ふふ。ねえ‥‥あの無駄な劇は毎日なのかしら」

そう近くにいた私の取り巻きに聞くと、彼女達も呆れた顔で頷いていた。私はアイラのそばへ来て泣いている彼女に、私が最近作った美容薬の小瓶を渡すと、アイラは首を傾げる。

「ふふ、アイラ様‥‥こちらの小瓶は私お手製の美容液ですわ。肌がボロボロのようなので、お譲りします」

アイラはキッと私を睨む。

「い、いらないわ‥‥!遠慮します!」

「あら、そう。クラスが一緒で仲良しの印に、全然美しくない貴女にプレゼントをしたかったのですが‥‥ふふ。残念ですわ」

「‥‥なっ‥やっぱり!アデライト様はルチータ王子や周りの男性をモテ遊んでるのね?!そういうのはよくないわ!神は見ているわ!アデライト様はみんなの憧れなのに、貴女は毒や薬を作ってると‥貴族の女性がそんな事はおかしいわ!早く罪を認めて‥神に懺悔を」

「‥‥‥罪?あら、美しいだけで罪だなんて困るわね」


そう微笑んで話すと、アイラは口をポカンとマヌケな顔をしていた。近くにいたオスカー様は気まずい顔をしながら私に話しかけてきた。

「‥‥アデライト、君までも変になったのかい?あぁ‥‥可憐で美しい女神だったのに」

「あら、そんな事よりソフィアから手紙が届いておりますわよね。何故無視をしているのです」

「‥うっ‥それは‥‥アデライト‥‥僕はアイラ嬢を支えなければ‥」

「‥‥ふふ、本当に前も今も、嘘の涙に弱いかたね」

さて‥‥学園の噂とは色々あるようだけど‥‥
ルカは何かされていないかしら?心配だわ。


















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