83 / 100
アデライト 逆行復讐編
私の罪って‥‥美しいこと
しおりを挟む
「トカゲの尻尾‥‥カエルの卵、フサフサ草‥木苺の実。ふふ‥‥美容によくなる薬草。この美容液は私のオリジナルね。効果を見て、売りに行きましょう」
美容に良い物を作りたくて、色々と実験(主に毒味はジェイコブお兄様)をしている私を心配する周りを無視して完成させた。
美しくあり続けるには必要なものだもの。
体調も良くなり、久しぶりの学園に通う事となった。クラスは誰かとなんてわからないけれど、ルカとルチータ殿下が一緒というのが腹が立つわ。私もあともう1歳上だったら‥。
メイドに制服を着せてもらい身支度を整えて朝食へ向かおうとした時、コンコンと窓からカラスがやってきた。
あのカラスは‥‥マックスね。
今ではカフェの店を開いて、情報屋などは足を洗ったとか言っても私のお願いは聞いてくれる。ルカのお母様とのデートを取り次いだからかしら。
カラスの足にはメモと小さな袋が縛ってあった。
「あらあら。ふふ、仕事が早いわね」
私はマックスからのメモを読んでから燃やして捨てて、小さな袋を制服のポケットに入れてから朝食へと向かう。
「アデライト、ヨーグルトだけで足りるのか?!」
「あの、アデライトお姉様、くるみのパン美味しいので一口食べませんか?」
「‥‥伯父の立場の私が言うのもなんだが、君はあまりにも食べないな。もっと食べたほうがよい」
「あーうっ!」
「‥‥‥」
うるさいわね。毎朝同じ事を言ってこの人達は飽きないのかしら。私は皆を無視して席をはずそうとした時、屋敷の外を見ると何故かルチータ殿下とアルフレッド殿下、そしてルカが待っていた。
「ルカ?何故貴方が一緒に‥」
「あ、おはようアディー。うん、アディーと一緒に学園へ行こうかなあと誘おうとしたら、チーター君達とたまたま会って」
‥‥たまたま、ね。私はチラッとルチータ殿下を見ると何故かニッコリと私に微笑んでいた。
私が久しぶりに学園へ通う事で、ルチータ殿下にメリットがあるから?とかかしら。そうなら、腹が立つわね。私は自分が人を使うのは良いけど、自分が使われるのは嫌なのよね。
ルチータ殿下はアメリーを見かけると慌てた様子で、ジェイコブお兄様とソフィアを呼び、馬車の中へと案内した。ジェイコブお兄様は笑いながらルチータ殿下に話しかけていた。
「あはは!ルチータ王子、妹アメリーに好かれてますね!学園の『噂』もなかなか面白いけれど、もしかしたら、ルチータ王子の運命な人は我が家の天使かもしれないけれど渡しませんよ!?」
「ジェイコブ、冗談はやめてくれ。私は歳下に興味がない。‥‥我が弟アルフレッド、何故笑っているんだい」
「‥‥いや、あんたが慌てる様子がおかしくてな」
アルフレッド殿下、私もその意見には同意するわ。慌てるルチータ殿下を見たいから今度からアメリーを連れてまわそうかしら。
それよりも‥‥
「ところで、学園の噂ってなんですの?」
そう私が聞くと、皆私の方へと見た。隣にいたルカとソフィアが少し困った顔をし、ジェイコブお兄様は「くだらない噂さ!」と何故怒っていた。ルチータ殿下は余裕ある笑みで私に話す。
「さて、もう少しで学園に着くけれど‥‥君がどう感じたか判断してもらおうかな?」
「ルチータ王子、その‥みんなで登校したら凄く目立ってしまうのでは?」
「うん。ソフィアちゃんのいうとおり、僕達色々と目をつけられがちだからね」
そうソフィアとルカが話すのをルチータ殿下は笑っていた。
「ソフィア嬢、目立つのが嫌いみたいだけど、君は既に目立っているよ?元々マカロン家であり女性で騎士科に編入しただけでも騒がれていたのに、さらに騎士科一年男子学生達より成績も良いからね。ルカもそうだね、私より一位を取ったのだから変に目立った」
あらまあ。ルカ、よくあの腹黒王子を負かしたわね。素晴らしい、さすがだわ。そう私が満足気に笑顔でいるとルカは照れ臭そうにしていた。
「で、『噂』って何かしら?」
「それはアデライト嬢。君がどう思うかだね」
‥‥ルチータ殿下‥‥少し面白がっているわね。私は朝マックスから届いた袋をポケットから取り出し、ルチータ殿下に見せた。
ルチータ殿下の隣にいたアルフレッド殿下は怪しそうに尋ねてきた。
「アデライト嬢、それはなんだ?」
「ふふ、これはフォース国しか咲いてない薬草の種ですわ。誰かさんの病を治せるかもしれない、とても有難い種よ。あら、でも学園に着いたわね?みんな、いきましょう」
ルチータ殿下は先に馬車へと降りて私に手を差し伸べエスコートをする。
「君に何かを頼む時は対価を払わないといけないんだっけ」
「ふふ、そうですわ‥それよりも」
学園へついた瞬間ザワザワと視線を感じるわね。尊敬の眼差しとかではない。
「ルチータ王子とアルフレッド王子と一緒だわ!‥‥でも本当にアルフレッド王子は王位継承権放棄したのかしら‥‥怪しいわ」
「‥‥マカロン家の次女‥‥女性なのに、騎士科に編入しておかしいよな。この前男子生徒をボコボコにしたらしいぞ。淑女のカケラもない」
「以前のジェイコブ様が良かったのに、乙女な趣味はやめたほうがと言ってもわかってくださらないし悲しいわ」
「‥‥おい。あいつ‥‥平民の癖に王子達と一緒だぞ。学年一位だからと生意気だ」
「何よりも‥‥アデライト嬢の頭がおかしくなったらしい。いつも毒を作ったり、世の中の男を虜にする媚薬を作ってるらしいぞ。花の女神様でなくなった。だからルチータ王子は彼女にメロメロなんだ」
成る程‥‥‥。ヒソヒソと話しているようだけど、口の動きでなんとなく察したわ。
私は後ろにいるジェイコブお兄様やソフィア達を見たけれど、本人達は慣れたのか気にしないようでいた。むしろ、私の方を心配をしているようだけど‥‥
「ふふ。ルカが生意気という点だけは合ってないわね。あとは全部噂ではなく、真実のようなものよ」
「ちなみにアデライト嬢、今私の婚約者だと名前が上がっているんだよね」
「あら。ふふ、ルチータ王子の婚約者だなんて、死んでも嫌ですわね。そんな噂を流した者の口を封じなければいけませんわ」
「その件に関しては、私も同じ気持ちだ」
私はルチータ殿下から離れて1番後ろにいたルカの方へと寄り、腕を組んだ。ルカは困った顔をしながら私に話しかけた。
「えっと‥アディー、僕の立場はあまり良くないから一緒に歩かない方いいかもよ。学園にきて今更だけど、僕はただの平民だし」
「ふふ。私はルカと一緒に歩きたいのよ」
そうニッコリと笑うアデライトの笑顔に、さっきまで文句や陰口を叩いていた周りの男子学生は頬を赤らめて彼女を見つめていた。
「‥‥‥んー、アディーの笑顔は兵器だよね。ちょっと妬けちゃうな」
「でも私はルカとこうやって一緒に学園へ通える事が楽しみだったもの」
「アデライト!兄の僕とは!?僕だって兄妹3人通えると信じてーー」
「お兄様、声がうるさいですわ。話しかけないでくださいませ。騎士科のみなさんは早く向こうの校舎へ行ったほうがよろしいのでは?」
「がーん!」
そうルカ達は笑って、私達はそれぞれ自分のクラスへと足を運んでいった。
久しぶりの学園だわ。私は教室へ向かうと、シンと静かになり、窓際にはオスカー様がいた。
あら、同じクラスだったのね。すっかり貴方を忘れていたわ。ソフィアは時々手紙を出していたようだけど‥‥。
そして、何故かあの女も、、アイラもいた。
親戚が不正で逮捕されていても、彼女自身には罪はなく、むしろ教会や孤児院への寄付、ボランティアに参加をしているので聖女様と親しまれている。彼女の後ろには‥‥多分、『彼』がいるのでしょうね。怪しいもの、確実な罪を見つけないといけないけれど‥‥
「アデライト様!体の体調は大丈夫ですの!?あぁ、私達本当に心配してましたわ‥‥アデライト様が不在をいいことにあの、アイラ嬢が‥‥‥」
何人かの私の取り巻き達がやってきて、不満そうな顔をしながらアイラを睨んでいた。
私がいない間、アイラは随分とお仲間集めに夢中だったようね。
何やらワザとらしく落ち込んでいる様子のアイラに、ハンカチを渡すオスカー様。オスカー様は私をチラッと見ては、また見つめ直す。
何か言いたいのかしら。
アイラの取り巻き達が私の元へやってきた。
「アデライト様!あの、アイラ嬢があまりにも可哀想です!アイラ嬢がルチータ王子をお慕いしているのを知ってて、ワザと近づいて‥‥!婚約者な素振りをして!卑怯だわ!花の女神とはもう誰も思ってないわよ!?」
「‥‥‥ぐすっ。みんな、やめて。いいの‥‥私は身分は低いほうだし‥‥アデライト様みたいに美しくないもの」
そう涙を流すアイラに、みんな励まし合っている。
「‥‥ふふ。ねえ‥‥あの無駄な劇は毎日なのかしら」
そう近くにいた私の取り巻きに聞くと、彼女達も呆れた顔で頷いていた。私はアイラのそばへ来て泣いている彼女に、私が最近作った美容薬の小瓶を渡すと、アイラは首を傾げる。
「ふふ、アイラ様‥‥こちらの小瓶は私お手製の美容液ですわ。肌がボロボロのようなので、お譲りします」
アイラはキッと私を睨む。
「い、いらないわ‥‥!遠慮します!」
「あら、そう。クラスが一緒で仲良しの印に、全然美しくない貴女にプレゼントをしたかったのですが‥‥ふふ。残念ですわ」
「‥‥なっ‥やっぱり!アデライト様はルチータ王子や周りの男性をモテ遊んでるのね?!そういうのはよくないわ!神は見ているわ!アデライト様はみんなの憧れなのに、貴女は毒や薬を作ってると‥貴族の女性がそんな事はおかしいわ!早く罪を認めて‥神に懺悔を」
「‥‥‥罪?あら、美しいだけで罪だなんて困るわね」
そう微笑んで話すと、アイラは口をポカンとマヌケな顔をしていた。近くにいたオスカー様は気まずい顔をしながら私に話しかけてきた。
「‥‥アデライト、君までも変になったのかい?あぁ‥‥可憐で美しい女神だったのに」
「あら、そんな事よりソフィアから手紙が届いておりますわよね。何故無視をしているのです」
「‥うっ‥それは‥‥アデライト‥‥僕はアイラ嬢を支えなければ‥」
「‥‥ふふ、本当に前も今も、嘘の涙に弱いかたね」
さて‥‥学園の噂とは色々あるようだけど‥‥
ルカは何かされていないかしら?心配だわ。
美容に良い物を作りたくて、色々と実験(主に毒味はジェイコブお兄様)をしている私を心配する周りを無視して完成させた。
美しくあり続けるには必要なものだもの。
体調も良くなり、久しぶりの学園に通う事となった。クラスは誰かとなんてわからないけれど、ルカとルチータ殿下が一緒というのが腹が立つわ。私もあともう1歳上だったら‥。
メイドに制服を着せてもらい身支度を整えて朝食へ向かおうとした時、コンコンと窓からカラスがやってきた。
あのカラスは‥‥マックスね。
今ではカフェの店を開いて、情報屋などは足を洗ったとか言っても私のお願いは聞いてくれる。ルカのお母様とのデートを取り次いだからかしら。
カラスの足にはメモと小さな袋が縛ってあった。
「あらあら。ふふ、仕事が早いわね」
私はマックスからのメモを読んでから燃やして捨てて、小さな袋を制服のポケットに入れてから朝食へと向かう。
「アデライト、ヨーグルトだけで足りるのか?!」
「あの、アデライトお姉様、くるみのパン美味しいので一口食べませんか?」
「‥‥伯父の立場の私が言うのもなんだが、君はあまりにも食べないな。もっと食べたほうがよい」
「あーうっ!」
「‥‥‥」
うるさいわね。毎朝同じ事を言ってこの人達は飽きないのかしら。私は皆を無視して席をはずそうとした時、屋敷の外を見ると何故かルチータ殿下とアルフレッド殿下、そしてルカが待っていた。
「ルカ?何故貴方が一緒に‥」
「あ、おはようアディー。うん、アディーと一緒に学園へ行こうかなあと誘おうとしたら、チーター君達とたまたま会って」
‥‥たまたま、ね。私はチラッとルチータ殿下を見ると何故かニッコリと私に微笑んでいた。
私が久しぶりに学園へ通う事で、ルチータ殿下にメリットがあるから?とかかしら。そうなら、腹が立つわね。私は自分が人を使うのは良いけど、自分が使われるのは嫌なのよね。
ルチータ殿下はアメリーを見かけると慌てた様子で、ジェイコブお兄様とソフィアを呼び、馬車の中へと案内した。ジェイコブお兄様は笑いながらルチータ殿下に話しかけていた。
「あはは!ルチータ王子、妹アメリーに好かれてますね!学園の『噂』もなかなか面白いけれど、もしかしたら、ルチータ王子の運命な人は我が家の天使かもしれないけれど渡しませんよ!?」
「ジェイコブ、冗談はやめてくれ。私は歳下に興味がない。‥‥我が弟アルフレッド、何故笑っているんだい」
「‥‥いや、あんたが慌てる様子がおかしくてな」
アルフレッド殿下、私もその意見には同意するわ。慌てるルチータ殿下を見たいから今度からアメリーを連れてまわそうかしら。
それよりも‥‥
「ところで、学園の噂ってなんですの?」
そう私が聞くと、皆私の方へと見た。隣にいたルカとソフィアが少し困った顔をし、ジェイコブお兄様は「くだらない噂さ!」と何故怒っていた。ルチータ殿下は余裕ある笑みで私に話す。
「さて、もう少しで学園に着くけれど‥‥君がどう感じたか判断してもらおうかな?」
「ルチータ王子、その‥みんなで登校したら凄く目立ってしまうのでは?」
「うん。ソフィアちゃんのいうとおり、僕達色々と目をつけられがちだからね」
そうソフィアとルカが話すのをルチータ殿下は笑っていた。
「ソフィア嬢、目立つのが嫌いみたいだけど、君は既に目立っているよ?元々マカロン家であり女性で騎士科に編入しただけでも騒がれていたのに、さらに騎士科一年男子学生達より成績も良いからね。ルカもそうだね、私より一位を取ったのだから変に目立った」
あらまあ。ルカ、よくあの腹黒王子を負かしたわね。素晴らしい、さすがだわ。そう私が満足気に笑顔でいるとルカは照れ臭そうにしていた。
「で、『噂』って何かしら?」
「それはアデライト嬢。君がどう思うかだね」
‥‥ルチータ殿下‥‥少し面白がっているわね。私は朝マックスから届いた袋をポケットから取り出し、ルチータ殿下に見せた。
ルチータ殿下の隣にいたアルフレッド殿下は怪しそうに尋ねてきた。
「アデライト嬢、それはなんだ?」
「ふふ、これはフォース国しか咲いてない薬草の種ですわ。誰かさんの病を治せるかもしれない、とても有難い種よ。あら、でも学園に着いたわね?みんな、いきましょう」
ルチータ殿下は先に馬車へと降りて私に手を差し伸べエスコートをする。
「君に何かを頼む時は対価を払わないといけないんだっけ」
「ふふ、そうですわ‥それよりも」
学園へついた瞬間ザワザワと視線を感じるわね。尊敬の眼差しとかではない。
「ルチータ王子とアルフレッド王子と一緒だわ!‥‥でも本当にアルフレッド王子は王位継承権放棄したのかしら‥‥怪しいわ」
「‥‥マカロン家の次女‥‥女性なのに、騎士科に編入しておかしいよな。この前男子生徒をボコボコにしたらしいぞ。淑女のカケラもない」
「以前のジェイコブ様が良かったのに、乙女な趣味はやめたほうがと言ってもわかってくださらないし悲しいわ」
「‥‥おい。あいつ‥‥平民の癖に王子達と一緒だぞ。学年一位だからと生意気だ」
「何よりも‥‥アデライト嬢の頭がおかしくなったらしい。いつも毒を作ったり、世の中の男を虜にする媚薬を作ってるらしいぞ。花の女神様でなくなった。だからルチータ王子は彼女にメロメロなんだ」
成る程‥‥‥。ヒソヒソと話しているようだけど、口の動きでなんとなく察したわ。
私は後ろにいるジェイコブお兄様やソフィア達を見たけれど、本人達は慣れたのか気にしないようでいた。むしろ、私の方を心配をしているようだけど‥‥
「ふふ。ルカが生意気という点だけは合ってないわね。あとは全部噂ではなく、真実のようなものよ」
「ちなみにアデライト嬢、今私の婚約者だと名前が上がっているんだよね」
「あら。ふふ、ルチータ王子の婚約者だなんて、死んでも嫌ですわね。そんな噂を流した者の口を封じなければいけませんわ」
「その件に関しては、私も同じ気持ちだ」
私はルチータ殿下から離れて1番後ろにいたルカの方へと寄り、腕を組んだ。ルカは困った顔をしながら私に話しかけた。
「えっと‥アディー、僕の立場はあまり良くないから一緒に歩かない方いいかもよ。学園にきて今更だけど、僕はただの平民だし」
「ふふ。私はルカと一緒に歩きたいのよ」
そうニッコリと笑うアデライトの笑顔に、さっきまで文句や陰口を叩いていた周りの男子学生は頬を赤らめて彼女を見つめていた。
「‥‥‥んー、アディーの笑顔は兵器だよね。ちょっと妬けちゃうな」
「でも私はルカとこうやって一緒に学園へ通える事が楽しみだったもの」
「アデライト!兄の僕とは!?僕だって兄妹3人通えると信じてーー」
「お兄様、声がうるさいですわ。話しかけないでくださいませ。騎士科のみなさんは早く向こうの校舎へ行ったほうがよろしいのでは?」
「がーん!」
そうルカ達は笑って、私達はそれぞれ自分のクラスへと足を運んでいった。
久しぶりの学園だわ。私は教室へ向かうと、シンと静かになり、窓際にはオスカー様がいた。
あら、同じクラスだったのね。すっかり貴方を忘れていたわ。ソフィアは時々手紙を出していたようだけど‥‥。
そして、何故かあの女も、、アイラもいた。
親戚が不正で逮捕されていても、彼女自身には罪はなく、むしろ教会や孤児院への寄付、ボランティアに参加をしているので聖女様と親しまれている。彼女の後ろには‥‥多分、『彼』がいるのでしょうね。怪しいもの、確実な罪を見つけないといけないけれど‥‥
「アデライト様!体の体調は大丈夫ですの!?あぁ、私達本当に心配してましたわ‥‥アデライト様が不在をいいことにあの、アイラ嬢が‥‥‥」
何人かの私の取り巻き達がやってきて、不満そうな顔をしながらアイラを睨んでいた。
私がいない間、アイラは随分とお仲間集めに夢中だったようね。
何やらワザとらしく落ち込んでいる様子のアイラに、ハンカチを渡すオスカー様。オスカー様は私をチラッと見ては、また見つめ直す。
何か言いたいのかしら。
アイラの取り巻き達が私の元へやってきた。
「アデライト様!あの、アイラ嬢があまりにも可哀想です!アイラ嬢がルチータ王子をお慕いしているのを知ってて、ワザと近づいて‥‥!婚約者な素振りをして!卑怯だわ!花の女神とはもう誰も思ってないわよ!?」
「‥‥‥ぐすっ。みんな、やめて。いいの‥‥私は身分は低いほうだし‥‥アデライト様みたいに美しくないもの」
そう涙を流すアイラに、みんな励まし合っている。
「‥‥ふふ。ねえ‥‥あの無駄な劇は毎日なのかしら」
そう近くにいた私の取り巻きに聞くと、彼女達も呆れた顔で頷いていた。私はアイラのそばへ来て泣いている彼女に、私が最近作った美容薬の小瓶を渡すと、アイラは首を傾げる。
「ふふ、アイラ様‥‥こちらの小瓶は私お手製の美容液ですわ。肌がボロボロのようなので、お譲りします」
アイラはキッと私を睨む。
「い、いらないわ‥‥!遠慮します!」
「あら、そう。クラスが一緒で仲良しの印に、全然美しくない貴女にプレゼントをしたかったのですが‥‥ふふ。残念ですわ」
「‥‥なっ‥やっぱり!アデライト様はルチータ王子や周りの男性をモテ遊んでるのね?!そういうのはよくないわ!神は見ているわ!アデライト様はみんなの憧れなのに、貴女は毒や薬を作ってると‥貴族の女性がそんな事はおかしいわ!早く罪を認めて‥神に懺悔を」
「‥‥‥罪?あら、美しいだけで罪だなんて困るわね」
そう微笑んで話すと、アイラは口をポカンとマヌケな顔をしていた。近くにいたオスカー様は気まずい顔をしながら私に話しかけてきた。
「‥‥アデライト、君までも変になったのかい?あぁ‥‥可憐で美しい女神だったのに」
「あら、そんな事よりソフィアから手紙が届いておりますわよね。何故無視をしているのです」
「‥うっ‥それは‥‥アデライト‥‥僕はアイラ嬢を支えなければ‥」
「‥‥ふふ、本当に前も今も、嘘の涙に弱いかたね」
さて‥‥学園の噂とは色々あるようだけど‥‥
ルカは何かされていないかしら?心配だわ。
3
お気に入りに追加
5,805
あなたにおすすめの小説
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。