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アデライト 逆行復讐編
アデライトの蜂蜜栄養ドリンク
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「ゴホゴホッ‥‥!!」
春になった。新しい季節がやってきて、マカロン家の評判は薬草事業や、お菓子店などの事業展開を広くしたお陰で大成功。沢山のドレスや宝石をこれで買えるわ、というか買って貰えた。
あれから、アルフレッド殿下の存在を公にしたことで裏ではアルフレッド殿下を王太子にするのかと混乱はあったものの、アルフレッド殿下が先に騎士団への道とルチータ殿下をサポートすると宣言をした。
正直私はどちらが王太子になろうが興味はない。ただルカが好きな勉強をできる環境を与えてあげればよかったもの。
ルチータ殿下達が後ろ盾となってくれたおかげで、学園の編入試験を無事合格したルカ。
因みにソフィアもジェイコブお兄様と同じく学園の中にある、私と同じだった特別普通科から、騎士学科へ編入したと聞いた。
あと三年したら、アルフレッド殿下と同じく本格的に騎士学校へ行くと何故か私に報告しにきたのが意味がわからない。
特別普通科は私とルカ、ルチータ殿下、
騎士科はジェイコブお兄様、ソフィア、アルフレッド殿下と分かれていった。
ルカと学年は違うけれど、同じ学園なので嬉しいのに‥‥なのに相変わらず、風邪をひきやすい私‥‥何故こんなことに‥‥。
学園へ通えず一ヶ月。私の体は徐々に疲れやすくなっている‥‥回帰前では元気だったのにおかしいわ。
私は自分の机にある薬草や本を手に取りながら、応接間へと向かう。
「‥‥薬草の調合が合っているかルカのお母様に見てもらいにいかなきゃならないわね。それにしても今回の体‥‥弱すぎるわ。薬作るのにも体力が必要なのに」
それでもルカが生きているだけで良かったから自分の事はどうでもよいわね。
ちょうどルカと、来なくてもよい愉快なお馬鹿達がやってきた。
「やあアディー、体調は大丈夫?」
「ルカ‥‥と何故ルチータ王子とアルフレッド王子まで来てるのかしら。ふふ、王子様ってお暇なのね」
そう私が話すとアルフレッド殿下は無表情のままで、ルチータ殿下はニコッと微笑むだけだった。
「アデライトお姉様、私が呼んだんです。アルはこの後合流するジェイコブお兄様と私とで剣術の練習に‥‥ルチータ王子もその付き添いで、それで‥」
「ふふ。ソフィア‥‥本当に貴女って空気を読まないわよね。練習なら他の場所ですれば良いと思うわ。貴女が騎士になる夢を抱くのは良いけど関係のない私まで巻きこまないでくれるかしら。気分が悪くなるわ」
「‥‥あ。ごめんなさい‥‥でもアデライトお姉様に知ってもらいたくて。私の‥」
「私の?何を?夢を語るぐらいなら私を無視して、自分の事だけ考えれば良いじゃないかしら。いちいち、私に報告しなくていいのよ。迷惑だわ」
そう私がソフィアに言うと、落ちこんだソフィアをアルフレッド殿下は彼女を連れて先に練習場へと足を運んで出ていった。
シンとなる空気の中、ルチータ殿下はため息混じりに笑顔で私に話しかける。
「私の病に関して色々とルカと話していた事を君にも話すべきかと今日来たけれど‥‥
アデライト嬢、君は妹に優しくできないのかい?なんというか‥‥ソフィア嬢に嫉妬をしているように見えるよ。いや、嫉妬というより‥‥‥少し恐れを感じてるよね」
私はピタッと体を止めてルチータ殿下の方へと振り向く。
「‥‥‥私が?あの子を恐れてるなんて有り得ないわ」
「君はいつも何処か自信がないように見えるね。何を怖がって‥‥」
「‥‥‥ルチータ王子‥‥私の目の前から消えてくださらないかしら。今にでもその顔をズタズタにしたくなりますわ」
「へえ。王子に対しての侮辱罪になるけど‥‥今の言葉は聞かないでおくよ。ルカ、また学園で」
そう言ってルチータ殿下も出て行った。
私はずっと黙って聞いていたルカの方を見た。ルカはただ私を見てニッコリと笑った。
「‥‥‥‥ルカは‥‥何も言わないのね」
「僕に何か言って欲しいの?」
「‥‥私はルカが思ってるより冷たい子よ」
「ううん、君は優しいこだって僕はわかってるよ。でもアディーは一度ソフィアちゃんと向き合って話すべきだよ」
ルカはそう私言って私の頭を撫でてくれた。
‥‥ルカ‥‥ソフィアは嫌い。嫌いなのよ。
何をどう向き合えと?
昔から私より出来てるのに嫉妬も文句を言わず、何食わぬ顔でやり遂げて‥‥私は誰よりも愛されていた存在だった。美しいのは私のはず。それでも‥‥ソフィアが目立っているようで苛々していた。
「‥‥‥‥ジェイコブお兄様達と‥‥剣術の練習をしているかしら」
「うん、そうだね。何かお菓子とか持っていこっか」
「その前に少し厨房を借りるわ」
私とルカは練習場へと足を運ぶと剣の刃の音と声が聞こえる。
そっと声をする方へと目を向けると、汗だくで必死に剣術の練習をしている姿のソフィアだった。
前もそうだけど、やっぱり剣の筋はジェイコブお兄様より良いわね。まあ、アメリーが1番なのでしょうけど、今世でもあの子は剣術を学ぶのかしら‥‥。
私が練習場に来るのが珍しいのか、ジェイコブお兄様とソフィアは驚いていた様子だった。
「アデライト!僕達の様子を見に来てくれたのか!」
「ふふ。お兄様‥‥あまり近寄らないでくださいませ。汗臭いですわ」
なんとなく‥‥気まずいわね。何故気まずいと感じるのかがわからないけれど、あまりソフィアの顔を見れないわ。‥‥まるで私が負けたような感じで‥‥腹が立ってしょうがない。目を逸らすなんてらしくないわね。
「アデライトお姉様、あの‥‥先程は気分を悪くさせてしまって‥‥ごめんなさい。ただ、今まで私の事を見てくれてなかったお姉様が‥‥なんだか、ようやく見てくれたようで‥‥‥
嬉しかったんです」
「‥‥‥‥‥そ。‥‥こ‥‥これをみんなで飲みなさい」
私はそっと先程ルカと一緒に作った薬草と蜂蜜入りのドリンクと軽いお菓子が入った籠を渡した。
「アデライトお姉様が私達の為に作ってくれたんですか?」
「‥‥‥ルカの案よ。ルカに感謝してちょうだい」
「違うよ。アディーの提案だよ?」
「‥‥ルカッ!余計な事は言わないでちょうだい」
間にジェイコブお兄様も入ってきて、ドリンクを飲んでくれた。蜂蜜入りなのが気にいっているようね。いつもは苦いドリンクを毒味してるから。
「おー!なんかわからないけれど疲れが吹っ飛んだ気がする!アルフレッド王子!もう一回僕と手合わせを!アデライト!ありがとう!さすが僕の妹だよ!」
「‥お兄様、褒めるなら宝石か何かを買ってくださるかしら」
そうジェイコブお兄様と話すとソフィアは満面な笑みで私の作った蜂蜜栄養ドリンクを大事そうに持って話す。
「やっぱり‥‥ふふ。アデライトお姉様が作ってくれたものですもの!嬉しい!私頑張って強くなりますね!」
「‥‥‥お好きにどうぞ。汗臭いのは嫌だから、私はもう行くわ」
私はルカの手を引っ張り、早足でその場から離れた。
栄養ドリンクを飲むアルフレッドはサッサと歩くアデライトを見てつぶやく。
「‥‥いい奴なんだかよくわからないな」
隣りにいたルカはニコニコしながら私を見つめていた。
「‥‥ルカ、何故笑ってるの?」
「だって‥‥アディー‥‥耳が真っ赤なんだもん。二人に喜んでもらえて良かったね」
「‥‥‥え?何が?」
「うん?嬉しいんだよね。二人共喜んでくれてて」
「違うわ」
なんとなく私はルカにも今の自分の顔を見られたくなく、プイッと向くとルカは私をまたおんぶをして部屋まで送ると言い出した。
「おんぶより、お姫様抱っこの方がいいのに‥‥」
「うん、でも僕の背中は温かいでしょ?それにアディーの顔真っ赤なの‥‥見られたくないんでしょ」
‥‥そうね。目を閉じると少しだけ‥貴方の心臓が音が聞こえるわ。とても安心する。
このままずっと平和な‥‥‥
『裏切り者!』
『助けて!』
頭によぎったたのは、今まで私が殺していった者達の死に顔‥。
私は‥‥ルカが幸せであればよいの‥。
「ハァハァ‥!アデライト嬢!ルカ!」
「あ、チーター君」
後ろから、ルチータ殿下が冷や汗をかきながら走ってきた。また邪魔ばかり‥‥
私はルカと二人っきりの時間を堪能したいのに。
それにしても何かに追いかけられてるようだわ。いつも余裕ある人が余裕じゃない無様な姿は見てて笑えるわね。
ルチータ殿下は私の方を見て話す。
「ハァハァ‥‥君の妹は何者なんだい?」
「はい?」
「とてつもなく速いんだよ」
「だから、何をおっしゃって‥‥」
そう私達が話している時、小さな影が物凄い勢いスピードで私達の元へとやってきた。
「あいあいたい!たーい!たいたい!」
「あらあら、アメリーだわ。ふふ。ハイハイが上手ね」
そう私が褒めるとルチータ殿下は私の肩を掴み
「‥‥いや、ハイハイのレベルの速さじゃないだろう!?」
アメリーはルチータ殿下を見ると、とにかくベッタリと離れないようでいた。
「ルチータ王子、乳母のナタリアがすぐ来ますわ。それまでアメリーを見てくださいませ。‥‥コホコホ‥ほら、私はこの通り‥体が弱くて‥‥」
「何を言って、ここの屋敷の者は赤ん坊をこんなにーー」
「あ、そうそう。例の人参ジャーのリーダーはアメリーにしましょう。ふふ、リーダーのアメリーをよろしくお願いいたしますね。ルチータ王子」
「ちょ‥」
「あはは!アメリーは、チーター君がお気に入りみたいだね。僕はアデライトを部屋まで送るからまたね」
そう私とルカは去ってていき、ルチータ殿下はアメリーを抱っこしたまま固まっていた。
ふふ、あんな王子の表情を見ててスカッとしたわ!!
「アディー、ご機嫌よくなったね?」
「ふふ、彼のあの困った顔を見た?」
そう私はルカに部屋を送ってもらい、そのあと薬草学に関してや、自分の知識で作った薬などを見てもらったりして、とても素敵な時間を過ごした。
体調も良くなったら早くルカと学園へ通いましょう。
「ん。ソフィア、そろそろ俺は城に戻る。ルチータがなんか疲れているし」
「もうそんな時間ね。今日はありがとう。ジェイコブお兄様はまた負けたと悔しがってたけれど、楽しそうにしていたもの」
「‥‥なあ、お前の姉ってさ。よくわからない」
そう話すアルフレッドにソフィアは剣を見つめながら困ったような顔をしながら笑顔でコクンと頷く。
「うん、私もよくわからないよ。‥‥ジェイコブお兄様と伯父様とも話したんだけどね、アデライト姉様の体調だんだんと悪化しはじめてるみたいなの‥‥まるで彼女を死に追いやるように‥‥それに‥‥」
「それに?」
「‥‥一人で何かを抱えこんでる」
「‥‥‥ふぅん」
そう話すアルフレッドとソフィア、そして疲れているルチータにジェイコブが蜂蜜入り栄養ドリンクを渡し飲ませていた。
「‥‥私は絶対、子供などいらないよ」
「あはは!次期国王になる方が何馬鹿げた事を言ってるんですか」
「ジェイコブ。私はこの一時間で育児とは恐ろしいと悟ったんだ」
そうジェイコブに話すルチータだった。
春になった。新しい季節がやってきて、マカロン家の評判は薬草事業や、お菓子店などの事業展開を広くしたお陰で大成功。沢山のドレスや宝石をこれで買えるわ、というか買って貰えた。
あれから、アルフレッド殿下の存在を公にしたことで裏ではアルフレッド殿下を王太子にするのかと混乱はあったものの、アルフレッド殿下が先に騎士団への道とルチータ殿下をサポートすると宣言をした。
正直私はどちらが王太子になろうが興味はない。ただルカが好きな勉強をできる環境を与えてあげればよかったもの。
ルチータ殿下達が後ろ盾となってくれたおかげで、学園の編入試験を無事合格したルカ。
因みにソフィアもジェイコブお兄様と同じく学園の中にある、私と同じだった特別普通科から、騎士学科へ編入したと聞いた。
あと三年したら、アルフレッド殿下と同じく本格的に騎士学校へ行くと何故か私に報告しにきたのが意味がわからない。
特別普通科は私とルカ、ルチータ殿下、
騎士科はジェイコブお兄様、ソフィア、アルフレッド殿下と分かれていった。
ルカと学年は違うけれど、同じ学園なので嬉しいのに‥‥なのに相変わらず、風邪をひきやすい私‥‥何故こんなことに‥‥。
学園へ通えず一ヶ月。私の体は徐々に疲れやすくなっている‥‥回帰前では元気だったのにおかしいわ。
私は自分の机にある薬草や本を手に取りながら、応接間へと向かう。
「‥‥薬草の調合が合っているかルカのお母様に見てもらいにいかなきゃならないわね。それにしても今回の体‥‥弱すぎるわ。薬作るのにも体力が必要なのに」
それでもルカが生きているだけで良かったから自分の事はどうでもよいわね。
ちょうどルカと、来なくてもよい愉快なお馬鹿達がやってきた。
「やあアディー、体調は大丈夫?」
「ルカ‥‥と何故ルチータ王子とアルフレッド王子まで来てるのかしら。ふふ、王子様ってお暇なのね」
そう私が話すとアルフレッド殿下は無表情のままで、ルチータ殿下はニコッと微笑むだけだった。
「アデライトお姉様、私が呼んだんです。アルはこの後合流するジェイコブお兄様と私とで剣術の練習に‥‥ルチータ王子もその付き添いで、それで‥」
「ふふ。ソフィア‥‥本当に貴女って空気を読まないわよね。練習なら他の場所ですれば良いと思うわ。貴女が騎士になる夢を抱くのは良いけど関係のない私まで巻きこまないでくれるかしら。気分が悪くなるわ」
「‥‥あ。ごめんなさい‥‥でもアデライトお姉様に知ってもらいたくて。私の‥」
「私の?何を?夢を語るぐらいなら私を無視して、自分の事だけ考えれば良いじゃないかしら。いちいち、私に報告しなくていいのよ。迷惑だわ」
そう私がソフィアに言うと、落ちこんだソフィアをアルフレッド殿下は彼女を連れて先に練習場へと足を運んで出ていった。
シンとなる空気の中、ルチータ殿下はため息混じりに笑顔で私に話しかける。
「私の病に関して色々とルカと話していた事を君にも話すべきかと今日来たけれど‥‥
アデライト嬢、君は妹に優しくできないのかい?なんというか‥‥ソフィア嬢に嫉妬をしているように見えるよ。いや、嫉妬というより‥‥‥少し恐れを感じてるよね」
私はピタッと体を止めてルチータ殿下の方へと振り向く。
「‥‥‥私が?あの子を恐れてるなんて有り得ないわ」
「君はいつも何処か自信がないように見えるね。何を怖がって‥‥」
「‥‥‥ルチータ王子‥‥私の目の前から消えてくださらないかしら。今にでもその顔をズタズタにしたくなりますわ」
「へえ。王子に対しての侮辱罪になるけど‥‥今の言葉は聞かないでおくよ。ルカ、また学園で」
そう言ってルチータ殿下も出て行った。
私はずっと黙って聞いていたルカの方を見た。ルカはただ私を見てニッコリと笑った。
「‥‥‥‥ルカは‥‥何も言わないのね」
「僕に何か言って欲しいの?」
「‥‥私はルカが思ってるより冷たい子よ」
「ううん、君は優しいこだって僕はわかってるよ。でもアディーは一度ソフィアちゃんと向き合って話すべきだよ」
ルカはそう私言って私の頭を撫でてくれた。
‥‥ルカ‥‥ソフィアは嫌い。嫌いなのよ。
何をどう向き合えと?
昔から私より出来てるのに嫉妬も文句を言わず、何食わぬ顔でやり遂げて‥‥私は誰よりも愛されていた存在だった。美しいのは私のはず。それでも‥‥ソフィアが目立っているようで苛々していた。
「‥‥‥‥ジェイコブお兄様達と‥‥剣術の練習をしているかしら」
「うん、そうだね。何かお菓子とか持っていこっか」
「その前に少し厨房を借りるわ」
私とルカは練習場へと足を運ぶと剣の刃の音と声が聞こえる。
そっと声をする方へと目を向けると、汗だくで必死に剣術の練習をしている姿のソフィアだった。
前もそうだけど、やっぱり剣の筋はジェイコブお兄様より良いわね。まあ、アメリーが1番なのでしょうけど、今世でもあの子は剣術を学ぶのかしら‥‥。
私が練習場に来るのが珍しいのか、ジェイコブお兄様とソフィアは驚いていた様子だった。
「アデライト!僕達の様子を見に来てくれたのか!」
「ふふ。お兄様‥‥あまり近寄らないでくださいませ。汗臭いですわ」
なんとなく‥‥気まずいわね。何故気まずいと感じるのかがわからないけれど、あまりソフィアの顔を見れないわ。‥‥まるで私が負けたような感じで‥‥腹が立ってしょうがない。目を逸らすなんてらしくないわね。
「アデライトお姉様、あの‥‥先程は気分を悪くさせてしまって‥‥ごめんなさい。ただ、今まで私の事を見てくれてなかったお姉様が‥‥なんだか、ようやく見てくれたようで‥‥‥
嬉しかったんです」
「‥‥‥‥‥そ。‥‥こ‥‥これをみんなで飲みなさい」
私はそっと先程ルカと一緒に作った薬草と蜂蜜入りのドリンクと軽いお菓子が入った籠を渡した。
「アデライトお姉様が私達の為に作ってくれたんですか?」
「‥‥‥ルカの案よ。ルカに感謝してちょうだい」
「違うよ。アディーの提案だよ?」
「‥‥ルカッ!余計な事は言わないでちょうだい」
間にジェイコブお兄様も入ってきて、ドリンクを飲んでくれた。蜂蜜入りなのが気にいっているようね。いつもは苦いドリンクを毒味してるから。
「おー!なんかわからないけれど疲れが吹っ飛んだ気がする!アルフレッド王子!もう一回僕と手合わせを!アデライト!ありがとう!さすが僕の妹だよ!」
「‥お兄様、褒めるなら宝石か何かを買ってくださるかしら」
そうジェイコブお兄様と話すとソフィアは満面な笑みで私の作った蜂蜜栄養ドリンクを大事そうに持って話す。
「やっぱり‥‥ふふ。アデライトお姉様が作ってくれたものですもの!嬉しい!私頑張って強くなりますね!」
「‥‥‥お好きにどうぞ。汗臭いのは嫌だから、私はもう行くわ」
私はルカの手を引っ張り、早足でその場から離れた。
栄養ドリンクを飲むアルフレッドはサッサと歩くアデライトを見てつぶやく。
「‥‥いい奴なんだかよくわからないな」
隣りにいたルカはニコニコしながら私を見つめていた。
「‥‥ルカ、何故笑ってるの?」
「だって‥‥アディー‥‥耳が真っ赤なんだもん。二人に喜んでもらえて良かったね」
「‥‥‥え?何が?」
「うん?嬉しいんだよね。二人共喜んでくれてて」
「違うわ」
なんとなく私はルカにも今の自分の顔を見られたくなく、プイッと向くとルカは私をまたおんぶをして部屋まで送ると言い出した。
「おんぶより、お姫様抱っこの方がいいのに‥‥」
「うん、でも僕の背中は温かいでしょ?それにアディーの顔真っ赤なの‥‥見られたくないんでしょ」
‥‥そうね。目を閉じると少しだけ‥貴方の心臓が音が聞こえるわ。とても安心する。
このままずっと平和な‥‥‥
『裏切り者!』
『助けて!』
頭によぎったたのは、今まで私が殺していった者達の死に顔‥。
私は‥‥ルカが幸せであればよいの‥。
「ハァハァ‥!アデライト嬢!ルカ!」
「あ、チーター君」
後ろから、ルチータ殿下が冷や汗をかきながら走ってきた。また邪魔ばかり‥‥
私はルカと二人っきりの時間を堪能したいのに。
それにしても何かに追いかけられてるようだわ。いつも余裕ある人が余裕じゃない無様な姿は見てて笑えるわね。
ルチータ殿下は私の方を見て話す。
「ハァハァ‥‥君の妹は何者なんだい?」
「はい?」
「とてつもなく速いんだよ」
「だから、何をおっしゃって‥‥」
そう私達が話している時、小さな影が物凄い勢いスピードで私達の元へとやってきた。
「あいあいたい!たーい!たいたい!」
「あらあら、アメリーだわ。ふふ。ハイハイが上手ね」
そう私が褒めるとルチータ殿下は私の肩を掴み
「‥‥いや、ハイハイのレベルの速さじゃないだろう!?」
アメリーはルチータ殿下を見ると、とにかくベッタリと離れないようでいた。
「ルチータ王子、乳母のナタリアがすぐ来ますわ。それまでアメリーを見てくださいませ。‥‥コホコホ‥ほら、私はこの通り‥体が弱くて‥‥」
「何を言って、ここの屋敷の者は赤ん坊をこんなにーー」
「あ、そうそう。例の人参ジャーのリーダーはアメリーにしましょう。ふふ、リーダーのアメリーをよろしくお願いいたしますね。ルチータ王子」
「ちょ‥」
「あはは!アメリーは、チーター君がお気に入りみたいだね。僕はアデライトを部屋まで送るからまたね」
そう私とルカは去ってていき、ルチータ殿下はアメリーを抱っこしたまま固まっていた。
ふふ、あんな王子の表情を見ててスカッとしたわ!!
「アディー、ご機嫌よくなったね?」
「ふふ、彼のあの困った顔を見た?」
そう私はルカに部屋を送ってもらい、そのあと薬草学に関してや、自分の知識で作った薬などを見てもらったりして、とても素敵な時間を過ごした。
体調も良くなったら早くルカと学園へ通いましょう。
「ん。ソフィア、そろそろ俺は城に戻る。ルチータがなんか疲れているし」
「もうそんな時間ね。今日はありがとう。ジェイコブお兄様はまた負けたと悔しがってたけれど、楽しそうにしていたもの」
「‥‥なあ、お前の姉ってさ。よくわからない」
そう話すアルフレッドにソフィアは剣を見つめながら困ったような顔をしながら笑顔でコクンと頷く。
「うん、私もよくわからないよ。‥‥ジェイコブお兄様と伯父様とも話したんだけどね、アデライト姉様の体調だんだんと悪化しはじめてるみたいなの‥‥まるで彼女を死に追いやるように‥‥それに‥‥」
「それに?」
「‥‥一人で何かを抱えこんでる」
「‥‥‥ふぅん」
そう話すアルフレッドとソフィア、そして疲れているルチータにジェイコブが蜂蜜入り栄養ドリンクを渡し飲ませていた。
「‥‥私は絶対、子供などいらないよ」
「あはは!次期国王になる方が何馬鹿げた事を言ってるんですか」
「ジェイコブ。私はこの一時間で育児とは恐ろしいと悟ったんだ」
そうジェイコブに話すルチータだった。
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