上 下
77 / 100
アデライト  逆行復讐編

味方か敵か

しおりを挟む

ジェイコブお兄様はテーブルにある紅茶のシフォンケーキを食べて幸せそうにしている姿が周りにいた令嬢達は頬を赤らめていた。
顔はまあまあ良いものね、ソフィアもあまり目立つ事は無かったけれどよくも悪くも陰では彼女を注目している者もいる‥‥。

これからどんどんとソフィアは注目される。

ルカは‥‥‥ソフィアのような子が良いのかしら‥‥。




「‥‥ゴホッゴホッ!」

「アデライト!大丈夫か?もう僕達は早く帰ろか?ルチータ王子とも挨拶をしたし、シフォンケーキも食べたし‥」

「アデライトお姉様‥ッ。顔が真っ青ですよ?やっぱり無理してこられて‥」

ジェイコブお兄様とソフィアは慌てた様子で
私の元へ寄ってきた。ソフィアは私の手を触ろうとしたので私は避けてソフィアを睨む。

「ふふ、同情などいらないわ。貴女は貴女でやる事があるでしょう」

「え?」

「オスカー様がこちらを見てるわ。婚約者として色々と話してきなさい」

「‥‥でも‥‥」

私はもう一度ソフィアを見た。やっぱり貴女のその瞳が嫌いだわ。私はソフィアを無視すると、ソフィアはルチータ殿下に頭を下げてからオスカー様の席へと向かっていった。

「‥‥ジェイコブお兄様」

「僕は席を外したくない。ルチータ王子とはいえ、可愛い妹と二人っきりとなると心配だからね」

「おや、私の隣にはぬいぐるみがいるみたいだけどね?」

「‥‥ジェイコブお兄様、少し話したら帰りますわ」

ルチータ殿下はそうジェイコブお兄様にからかいながら話すとジェイコブお兄様は私をジッと見てから少しシフォンケーキを食べてから席を立った。

「アデライト、僕はあえて空気を読まないようにしていたけど‥‥‥一人で色々と抱え込まないで欲しい。僕は頼りのない兄なのだろうか」

「‥‥‥‥」

‥‥少し驚いたわ。以前のジェイコブお兄様とは違う‥‥周りを見ずに前を見てばかりで、自分自信の力だけを信じていた。マカロン家の次期当主として、良い兄として、私を可愛がるばかりのお馬鹿な兄‥‥。

「‥‥頼りになるのはもう少し先かもしれませんわね」

「五分だけだぞ」

「ふふ。わかりました」

そう返答すると、ジェイコブお兄様はウサギのぬいぐるみを私とルチータ殿下の間に椅子に置いてソフィアの後を追った。

私は紅茶を一口飲んでからルチータ王子の方を見るとルチータ王子は何かを詮索するかのように私を見つめていた。


「私が美しいからと言ってそんなに熱く見つめないでくださるかしら?‥‥五分しかありませんので、単刀直入に話します。まず、今回の流行りの皮膚病の薬ですが、その薬が貴族達だけにしかまわっていない事も皮膚の病の原因は既にわかってはいらっしゃいますわよね」

「そうだね、君とルカの話を聞いて私は半分信じてすぐに城の者を呼び川の汚染を確認させたよ。あそこはもう駄目だ、それで早急に新しく生活に使えるよう建築家や学者などの意見を聞きながら父上は新しく川を作るらしいけどね」

「問題は貴族ですわ」

そう私が話すとルチータ殿下はクスッと笑いながら話す。

「おかしいね。‥私が知る君が1番『貴族らしい』思考の持ち主だと思っていたけど‥‥」

私はルチータ殿下の話には乗らず、紙一枚ルチータ殿下に渡した。ルチータ殿下は不思議に紙の内容を見て私を再度見た。

「そのレシピは今回の皮膚病に関しての薬ですわ。今出回っているのは役に立たないものですから。‥‥私を疑うのであれば、ルカのお母様に一度お会いし確認してくださいませ。彼女はそこらへんの医者以上に腕はありますわ。それと今日中に、貴族だけにしか薬を売らない馬鹿な男の不正の証拠類も届きますわ」

「‥‥‥‥アデライト嬢がよくわからないな。我々がプラスになる話しばかりだけど。何が目的なんだい?国にそこまで忠誠心なんて‥‥ないよね。それに簡単に私を信じて話していいのかい?沢山聞きたいことがあるけれど」

「ふふ、いやだわ。国を思っての忠誠心からですわ」

「嘘だね。大体察するけれど、ルカの為だよね」

そうルチータ殿下は口元をニヤリと笑っているのが‥‥気に食わないわね。

「‥‥ルチータ王子。ルカにあまり近づかないでくださいませ」

「はは。ルカはかなりの知能が優れているね。私が貸した本を全て覚えている。試しに学者が読んでいるものや、王宮の本を貸したら飲み込みが早く驚いたよ。将来が楽しみだ。私の側近として申し分ないくらいーー」

「‥‥‥ルカの邪魔をするようなのであれば、いくら国の王子であれ容赦いたしませんわ」

「‥‥アデライト嬢。それ反逆すると言っているようなもんだよ?」

私はキッとルチータ殿下を睨んだ。やはりこの王子は殺してルカとルカのお母様を連れて国外へ逃亡したほうがよいかしら。

私がこんなにも優しく教えてあげたのだから、跪ついてありがたく敬って欲しいわ。

「君のそのルカに対する想いは、純粋な恋というより、執着に近い」

「‥‥ルカに近づかないでくださいませ」

あぁ‥‥末の妹の未来の旦那様なんでしょうけれど‥‥この男もやっぱり邪魔だわ。
近寄って欲しくない。
彼をこれ以上奪われたくない。
ルカが過ごしやすい毎日を送るようにしたいだけなのに、周りはただのゴミだわ。


「‥ふふ。そんなことより‥‥ルチータ王子様。最近の体の調子はどうです?右手とか」

そう私が話すとルチータ殿下は私を一瞬警戒した。何故お前が知っている?という目をしているもの。‥‥彼は自分の病に気づき始めた頃で、王や王妃、そして直属の医者しか知らない。‥少し指先の震えが見えたもの。

「あら、五分経ったわ。ふふ、ジェイコブお兄様とソフィアが来たのでこれで失礼しますわ‥‥お互い体を大切にしましょう。ルチータ王子様」

そう私はウサギのぬいぐるみをルチータ殿下にそっと渡して会場を出た。






ルチータ王子は渡されたウサギのぬいぐるみに小さな声で囁いいた。

「さて‥‥‥君は私の味方か敵か。ウサギさん、君はどちらかな?」
















しおりを挟む
感想 724

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。 エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。 地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。 しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。 突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。 社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。 そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。 喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。 それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……? ⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。