【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

アデライト 逆行復讐編

ルカのお友達？

目の前にルカが血だらけで倒れている。

ずっとそばにいると約束したルカ。

私だけのルカ。

それなのに‥‥‥呼びかけても答えてくれない。なんで私の手に沢山の血がついてるのかしら‥‥。殺した人間の返り血だわ‥‥‥。

『アディー‥‥君はこんなに沢山の人を殺しちゃったの？』

「ルカ‥‥っ。違う！！コレは‥‥』

『アディーなんか、大嫌いだ』


なんでルカはソフィアの方へと向かっていくの？

ジェイコブお兄様もアメリーも、みんな‥‥‥

美しい私が一番なのに。みんなわかっていないのかしら。

ルカだけは駄目。

私の物にならないならば、殺したい‥‥。
違う、駄目、殺しては駄目。




「ゲホッ‥‥！！」


‥‥‥息苦しい。

熱が段々と上がってきて、体が怠くてあまり動けないのがわかる。おかしいわね、『逆行前』では既に、体は元気だったのに‥‥‥

日に日に何かが私を蝕んでいるようだわ。
冷んやりとしたタオルの感触に私は目を覚ますと、ルカがそばにいてくれていた。

「アディー、何か温かい飲み物を飲む？」

「‥‥‥いらない‥‥」

「アディーなんか怖い夢を見た？‥泣いてる」

ルカは私の涙をハンカチで拭いてくれた。

「‥‥‥‥‥ルカが死ぬ夢を見たの」

「‥‥‥うん」

「どんなに呼んでも‥‥ルカは反応してくれなかったわ。それに私の事嫌いって言ってた」

「え、夢の中の僕はとても酷い奴だね」

「そうよ、酷い奴だわ。私を置いていって消えるのは‥‥‥酷いわ」

まだ熱もあり、意識が朦朧としている中ルカは私の手をぎゅっと握って笑いかけていた。

「でも僕は今ここにいる。大丈夫だよ、アディーのそばにずっといたいもん。だから、ゆっくり休んで。ね」

そうルカの声に安心をして私は一週間ずっと屋敷内で安静をしていた。

毎日栄養ドリンクとひまわりの花を一本私に渡してくるルカに最近《お友達》が出来たらしい。

「あぁ、ソフィアの彼…いえ、花屋のアル様ね」

「え？違うよ。アル君とは花や薬草の話とかはするけど、チータは少し違うかな。とても面白い子だよ」

「……チータ？女？」

「アディー、なんで急に鞭を出してきたの？とりあえず、今日も安静してね！僕は母さんの薬屋の手伝いをする前にチータと会う約束をしてるんだ！じゃあまた明日ね！」

「え、ちょ……まっ」


女？女っぽい名前よね？

「………ふふ、あはは。やだわ………平和ボケしてたのかしら。ベッドに寝てる場合じゃないわ」

私はカーディガンを羽織りながら、ナタリアに見つからないように急いで屋敷を出ようととした時、丁度学園から帰ってきたソフィアと出会った。

「アデライトお姉様！…ただいま戻りました。あのお体は大丈夫ですか？」

「‥‥ふふ、見ててわからないのかしら？この通り元気だから、さっさとどいてちょうだい」

「あの、ルカ君なら先程アルの花屋の近くに行くと言ってました」

そうソフィアは私にルカの行き先を教えてくれたのは良いけれど……何故かソフィアの制服のスカートの裾などが泥で汚れているようだった。

「泥臭いわね」

「あ、これは、そのっ…転んで」

「……そ。私もう行くわ。ナタリアには言わないでちょうだい」


……あの姿は‥‥あらあら、嫌がらせでもされたのかしら。そうね‥‥‥ま、生意気なソフィアだもの、しょうがないわ。
正直私にとってどうでもよいもの。

そんな事より私はルカの《お友達》にご挨拶しなきゃならない。どんな子かしら、私より美しい子なんていないけれど‥‥

私は護衛一人だけ付けて、ルカを追いかけるとすぐに見つかった。

ルカは楽しそうに話しているけれど、フードを被っている怪しい子ね‥‥。

「ルカ‥‥！」

「え！？アディー！？」

そう私が呼ぶとルカは驚いた顔をしながらも、すぐに笑顔で手を振りながら私の元へやってきた。

ルカは私のオデコを触りながら

「まだ体が熱いのにどうして外に出たの？母さんに薬を調合してもらおうか？ね？」

チラッと私は先程ルカと話している子を見た。フードで顔を隠しているのがバレバレね。何処かの貴族の者かしら‥‥。

ルカは私の手を取り、フードをかぶっているお友達とやらに声をかけた。

「チーター！前話した、アディーだよ！僕の大事な女の子！」

「へえ‥‥アディーって‥なるほど。はじめまして、私はルカの友人であるチーターです」

フードを外し爽やかな笑顔で私に挨拶したのは‥‥黒髪で紫色の瞳の少年‥‥

あら。腹黒王子じゃなくて？

黒髪のカツラを被って変装をしているようだけれど‥‥。本当にいけすかない人ね。目が笑ってないわ、私をマカロン家の長女だと知っている顔なのに、何度か顔を合わせているはずなのに‥‥『はじめまして』ね。

「ふふ、いつもチーター様のお話をルカから聞いてましたの。意外と平凡な少年そうで安心しましたわ。何処かの誰かに似ていて驚きましたけれど、もう遅くなりそうなので早く帰ったほうよろしいですわ」

（訳・何故高貴な貴方様が平民のフリをしているのでしょうか？そもそも何故ルカと！？早く城に戻ったほうよろしいわ）

「私もルカから、君の話を聞いているよ。とても優しく、可愛いらしく、守ってあげたくなるお姫様だと。あはは、でも君一人で十分生きていけそうだけどね？」

（訳・余計な詮索はしないでくれないかな？君が平民の子と仲良くしているなんてなんの企みをしているのかな？）


「‥‥ふふふ。楽しいお方」

「‥‥あははは。君こそ面白いね」


ルカ‥‥何故この国の王子と！しかも、この腹黒王子と仲良くしているのかしら！？！

将来、我が末のアメリーと結婚する男でもあるけれど‥‥‥。

性格が本当に悪い男だわ（←人の事いえない）

ルカは私にコッソリと話しかけてきた。

「チーターって、アル君に似てない？今度二人に会わせてみたらびっくりするかな？」

そう笑って話していた。