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アデライト  逆行復讐編

運命という言葉は嫌い

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「母さん、お店の方は僕がするから休んでて」

「ルカ、ごめんなさいね‥来年学園の編入試験があるというのに。それにしてもアデライトちゃんは大丈夫かしら。有名な医者でもない私の薬のレシピで不敬罪とか色々言われないかしら‥」

ルカは心配そうに話す母親の手をぎゅっと握り励ました。

「アディは大丈夫だよ。ヤルと言ったら必ずやり遂げる強い子だから、後で夕方会う約束をしているし母さんが心配しているよと伝えとく」

そう母親に言い、階段を降りて店を開いた。マカロン家というおかかえもあり潰れはしなかったが、少しずつお店は繁盛し始めていた。例の薬のおかげのようで、まわりの人たちはルカに沢山話しかけお礼をしていた。

「ルカ。見舞いだ、ほら」

「あ、マックスさん。こんなに沢山の果物ありがとう。母さんは上にーー」

「いや、今から仕事しに行ってくるから。んじゃな」

「カフェは今日お休みじゃ?」

「あー違う違う、アデライトお嬢にー‥‥いや、うん。休みだけど、あー少しカフェの新作メニューを考えててな。んじゃ!」

「‥‥うん、気をつけて?」

そうマックスは、早足で去っていった。そんなマックスの後ろ姿を見てクスッと笑うルカだった。



「わ、もう夕方だ。お店閉じてアディが来るまで少し勉強でもしようかな」

ルカは店のドアを閉めようとした時、店の前にフードをかぶっているルカと同じ歳ぐらいの少年が立っていた。

「まだ店はやってるかなー」

「あ、ハイ!どうぞ。何の薬ですか?」

そうルカは少年を店の中へと案内をし、フードを被った少年は古いイスへと座り、ルカは色々な薬草が入っている瓶や薬草を取り出そうとした時

「心臓病に効く薬かなあ」

それを聞いたルカの手は止まり、少年の方へと振りむく。

「…………すいません。心臓病に効く薬はここに置いておりません」

「あはは☆だろうね!ごめんごめん、俺もどうにかならないかと必死でさー」

そう話す少年にルカは申し訳なさそうに頭を下げる。

「心臓病……貴方も親しい人がその病に?」

「……そ。俺の女なんだよね。今の医学では心臓病を治すには移植しかないみたいだけどねー」

クスクスと笑いながら話す少年にルカは少し違和感を感じつつも、いつもアデライトに渡している栄養ドリンクを彼に渡した。

「……実は僕の大切な子もそうなんです。この薬草入りの栄養ドリンクは少し発作を抑えれるものなのであげます」

「はは☆くれるの?お金あるけど」

「いえ、他人事じゃないみたいで……」

そうルカが話すと、少年はフードを外しルカに顔を見せた。ルカは何故か、一瞬固まった。青い髪色の少年は立ち上がり、ルカの手をぎゅっと握った。

「君は優しいねー☆なに?なんか俺の顔についてる?」

「……いえ、なんだか…何処かお会いしたようなしてないような?あ、すいませんっ!」

ルカはペコッと頭を下げると、少年はルカの顔をじーっと見てニヤニヤしながら話す。


「君はさ、《運命》って信じる?人には決められた道があるんだよねー。誰にどう会ったのか、誰の手を取るのか。…そして生きるも死ぬのも決められている運命」

「………僕は《運命》という言葉は嫌いですね」

「ふぅん?そうなんだ。さて、こんな時間だ。栄養ドリンクありがとうねー☆」


そう少年は立ち去っていった。


ルカはボーと自分の手のひらを眺めていた時、ルカの店の前にマカロン家の馬車がやってきた。

ふわふわと銀色の巻き髪の少女がルカの元へやってきた。

「アディだ」

「ルカ!明日からまた忙しくなるわ!ルカのお母様のお薬の効果が認められたから、明日王宮の医者達がルカのところにーー‥‥って、ちょ、どうしたの?」

ルカはぎゅっと、アデライトを強く抱きしめた。

「‥‥アディは運命とか信じる?」

「信じないわ。その言葉嫌いだわ」

「へへ、そっか。うん、そうだね」

「‥‥?」

アデライトの後に、ジェイコブとソフィアもやってきた。

「アデライト、すっごいニヤニヤしていて嬉しそーーって痛!!また鞭で僕を叩いた!地味に足のスネはやめてくれ!」

「‥‥ふふ。邪魔なだけですわ」

「がーん!ひ、酷い。いつからこんな‥可愛いらしい女神だったのに」

「ジェイコブさん、ソフィアさんも、少しお茶してってください。立派なお茶会ではないですけど」


少しだけ四人は、薄い味がするお茶を一緒に飲んで話していた。







その様子を遠くから、屋根の上で見つめている先程のフードを被った少年は笑っていた。

「へえ?おっかしいなあ‥‥色々と。今世は俺とは会わないつもりかなあー。今頃なのに、俺と出会ったのは」

「ヒューゴ王子様!聞いてくださいよ!私やっぱりアデライト様は好きじゃないです!私をブスとか言ってきたんですよ!?あ、でもルチータ王子様素敵でしたあ♡」


後ろからフード姿のアイラが現れた。そんなアイラにヒューゴは、笑いながら話す。

「あはは、うんうん。彼女は相変わらず美しいねえ。でも‥‥君はそちら側ではない筈だよ。アデライト・マカロン」






「ソフィア?どうしたんだ?」

「‥‥いえ、なんか殺気を感じたような。気のせいかな‥」

一瞬だけ、外から殺気に気づくソフィアだけがなんとなく嫌な予感を感じていた。

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