【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま

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アデライト　　逆行復讐編

何かが始まる予感

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大雨の中、一台の馬車が森の深くへと走り、ある古びた屋敷へと止まる。馬車からは、ピンク色の髪が少し濡れ、頬を膨らませイライラして現れたアイラに、屋敷の門の護衛と思われる者は頭を下げて彼女を通した。

アイラは屋敷の中へ入り階段へと登り目の前にあるドアを叩いた後部屋へと入ると、ベッドには青色の髪の青年が裸で彼の足元には血だらけの女性が倒れていた。

アイラは血だらけの女性には気にも留めず興奮した状態で話しかけた。

「ヒューゴ王子！あのアデライトという女は何者なんですか！？せっかくせっかく味方を増やしたのに、彼女が学園に来たせいで、ほとんどの人が彼女の方へ戻ったんですよ！？
膨大な土地を貰うはずが、あの女が奪ったんですよ！」

「えー、あはは！君達は『今世』でも気が合わないんだねー！アデライト嬢らしいね。彼女は美しいだろう？俺の女だからねー」

「‥‥お、女は顔じゃないですぅ！私みたいな中身が大事なんですよ！あぁ、ルチータ王子様はあの女に惑わされてるんだわ。可哀想に‥‥早くルチータ王子様を手に入れたいのに‥‥」

「んーまあ、あの王子も厄介だけど‥‥1番厄介なのはあの末のちびっ子なんだけどな」

「‥‥？ソフィア嬢の事ですか？あぁ！あのアメリーという末の？まだ赤ちゃんですよ？？」

「んー。そうなんだけど‥早めにあの子を殺しておくべきなのに、マカロン家の護衛の他に王家の護衛も混じってて、警備が厳しいんだよね。だから殺せないや。昔はそんなんじゃなかったのに。多分、早くに王子として名を上げたアルフレッド王子のせいか‥‥‥まあ、あの女隊長様は腹が立つから殺しておくべきだけどね」

ソフィアを女隊長と何故か呼ぶヒューゴ王子にアイラは首を傾げていた。

「女隊長？それよりも‥‥あの、私にはわかりません。あの女、アデライトに何故こだわっているのか」

そうヒューゴ王子は話しながら、自分の床下で倒れていた僅かに息をしていた女性に留めを刺しながら笑った。

「アデライト嬢が求めているものは常に俺がもっているんだよ。美しい彼女の最初で最後の男は俺だけだ。‥‥あのルカは本当に邪魔だよ。ね？オスカー」

影でひっそりとヒューゴ王子のそばにいたオスカーはぎゅっと拳を握り締めながら頷く。

「アデライトはあんなんじゃなかった‥‥あのルカという男のせいだ。ソフィアも段々と婚約者である僕を馬鹿にしてきてる‥‥！ルチータ王子も以前のように僕の話など耳を傾けてくれない！母上達もなんだ！弟を当主にすると言い出してきて！みんな馬鹿に‥」

涙目のオスカーにそっとハンカチを渡すアイラにオスカーはハンカチを受け取る。

「あぁ、、アイラ嬢‥‥君はとても優しいんだね」

「オスカー様、可哀想‥‥。でも大丈夫よ。ヒューゴ王子様が邪魔者を消してくださるわ。新しい私達の国を作りましょう！ね！」

そう励ますアイラに感動をするオスカー達のそばにいたヒューゴ王子は、息絶えた女性の頭を掴みながら片付け、土砂降りの雨を窓から眺めていた。

「アデライト‥‥君に初めて会った時も雨だったなあ。あの時の君の表情はとても美しく良かった‥‥なのに、今はイキイキしていて残念だよ」

そう呟くヒューゴ王子だった。

「きゃーい！あいあいあいあいあいあい！！」

高速ハイハイをしながら、ルチータ殿下を追いかけるアメリーに、必死に逃げるルチータ殿下‥‥逃げるとアメリーは嘘泣きをし、ルチータ殿下は少し困る様子のこの光景‥‥慣れたもんだわ。

「‥‥慣れって怖いわね」

「あはは！あの2人共楽しそうだね！あ、アディー、母さんが試作の栄養ドリンクを作ったみたいなんだ」

「あら、私も試作の薬草を作ったのよね。ハイ、ジェイコブお兄様飲んでちょうだい」

私は2つの薬草ドリンクをジェイコブお兄様に渡すとジェイコブお兄様は編み物をしながら私に質問をしてきた。

「アデライト。最近気づいたけど、新作のたびに僕に何か飲ませてるけど、毒味なのかい！？」

「‥‥ふふ。それは違うわ？私はジェイコブお兄様を思って‥駄目かしら」

キツいことを言うよりも、ウルウルな目で訴えるとジェイコブお兄様は渋々飲んでくれるのよね。あぁ、本当にお人好しな兄だわ。

ソフィアとアルフレッド殿下はそばで剣術の稽古をしている。何というか、剣術馬鹿というか‥‥

「アディーなんだかご機嫌だね」

「ふふ、そりゃあ膨大な土地が『無償』で我がマカロン家にくださったんですもの。馬車から通っても遠くないし、沢山薬草を育てれるわ」

「ん？でもアディー土弄り嫌いじゃないの？汚れるよ」

‥‥あら。そうだわ。私が自分の手や服が汚れることは嫌いだし、ましてや庶民のように土弄りなど絶対にしない、しなかったわねというかする必要もないもの。確かに汚れるのは嫌ね。誰かを雇ってもいいかもしれない。‥‥だけど‥今は‥

「‥‥ルカとなら‥‥土弄りも悪くないわ。楽しいかもしれないもの。少しくらい汚れても平気よ」

そう話すとルカは目を大きく開いて少し驚いていた様子だったけれど、すぐに笑顔を向けてくれた。

「そっか！ならさ、とりあえず僕達で色々と確かながら育ててみようね。僕ね、最近気になる薬草を見つけたんだよね。まあまだ研究中だけど」

「あら、そうなの？その薬草はどんな効果が？珍しいものなの？」

「うん、薬草というか‥‥『毒』にもなるものだから」

「‥‥？‥‥そう‥‥」

「色々研究成果がでたら、アディーに教えるね」

「ふふ、わかったわ」

なんとなく‥‥

一瞬だけ、ルカがいつものルカではないような感じがしたわね。

気のせいかしら？

また年月がゆっくりと流れていく。

何事もないのが、少しだけ警戒をしてしまうくらいに。

何かが動きだそうとしている。

そう感じた。

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