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アデライト  逆行復讐編

ソフィアの誕生日はつまらない

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「私がアメリー様のお世話、でしょうか?」

「そうよ。貴女が適任だとジェイコブお兄様やシリウス伯父様も納得してくれたわ」

「ですが、私はアデライトお嬢様達のお世話をーー」

私はナタリアの手をぎゅっと握りしめて、笑顔で話した。とにかく貴女がそばにいれると小言がうるさくてストレスが溜まるんだもの。ルカの所へ行こうにも邪魔なのよね。

「ふふ、私はもう十分お世話になったわ。お願い、信頼できる貴女だからこそ可愛い可愛い末のアメリーを見てちょうだい」

そう言うとナタリアは涙目になりながら、「任せてください!」と張り切ってくれた。

これでもう私に口うるさく言うものはいないわね。


あれから色々と噂は広まり、一か月は屋敷内で過ごし、小学部の学園へまた通うようにと、シリウス伯父様から言われた。

「‥‥うむ、それから明後日、ソフィアの誕生日だったな」

キョトンとした顔をみるソフィアにシリウス伯父様はワザとらしく咳をしながら話す。

「コホン、本来なら盛大なパーティーをするのだが当分はお前達の誕生日パーティーはしない」

そう話すシリウス伯父様にジェイコブお兄様はショックな顔をしながら

「当分‥‥無し!?無しなんですか!あ、でもソフィア‥あれ?ソフィアは‥‥誕生日パーティー‥してなかったよね‥‥あれ?なんでだ」

そう今更ジェイコブお兄様は自分達がソフィアに無関心過ぎていた事に改めて気づいたのか、顔を赤くしながらソフィアに謝っていた。

「シリウス伯父様、私は別に誕生日とかは気にしてないですし。大丈夫です」

ソフィアはニッコリと笑い頭を下げて、部屋から出て行った。シリウス伯父様は顔を青ざめながら、そばにいた執事のセバスチャンに質問をしていた。

「‥‥あの子は‥誕生日をしたことがないのか?」

「‥‥はい、さようでございます。ジェイソン様と奥様はご長男のジェイコブ様と長女のアデライト様中心に可愛がっていたようで、ソフィアお嬢様はいつも蚊帳の外だったようですな」

スラスラと話す、セバスチャンにジェイコブお兄様は後ろめたさがあるのか、下を向いていた。シリウス伯父様は何故か私をジッと見つめていた。

「‥‥あら?何か私に言いたそうですわ」

「何故だ。君達にとっては大切な家族であり、大事な妹であろう‥いや、君達もまたあの愚弟達の被害者か‥‥」

その憐れみな目をしながら私に話すのをやめてもらいたいわ。喧嘩を売ってるのかしら?
私はシリウス伯父様を睨んでいると、ジェイコブお兄様が間に入ってきた。

「あ、あの!伯父上!パーティーはせずとも、ソフィアの誕生日会はしたいです!」

「‥誕生日会だと?」

「そうです!今更かもしれませんけど!僕が沢山ケーキを作ります!伯父上達は料理をお願いしますね!アデライトは花や飾りをしてくれ!よーし!そうと決まれば、僕はソフィアのためのケーキを色々と考えますね!では!」

言いたい事だけ言い、人の返事も聞かずにバタン、とドアを閉めて出ていくジェイコブお兄様‥‥私に今、人の誕生日会の飾りをしろと?正気?私が何故あの子のために??

「はあ、あの人の話しを聞かないところは愚弟にそっくりだな。セバスチャン、明日の誕生日会は我々だけで行うが、一応ソフィアに友人を何人か連れてきてもよいと伝えてきてくれ」

「かしこまりました」

「‥‥え、誕生日会‥するんですの?」

私が困惑していると、シリウス伯父様は私の肩をポンと叩いた。

「自分の為に何かをするより、人の為に何かをしたほうが気持ちがよいものさ」

そう呟いて部屋から出ていった。

その日の夜、本を読んでいたソフィアの元に、ジェイコブと無理矢理連れてこられたアデライトがやってきた。

「ソフィア!明後日は楽しみにしててくれな!僕とアデライトが豪華な誕生日にしてあげるんだ!」

「‥え?お兄様とお姉様が?私の為に?」

「しないわよ。したくないわ、一人でやっ‥‥もがっ」

「大丈夫!僕が美味しいケーキを作るんだ!」


ジェイコブお兄様‥‥後で覚えてなさいな。

その後私は、ルカの方へ会いに行った。



ーー誕生日当日ーー

誕生日会は屋敷内にある庭園でする事になった。ここならば、花が咲いてるし、いちいち飾りなんて面倒なことしなくても良いから私はここにした。

「これ、ジェイコブお兄様が?」

「あぁ!そうだ!あまり甘くないぞ!生クリームとか使わなかったんだ。生地には人参やカボチャを練り込んである!」

ジェイコブお兄様の手作りのケーキは甘いのが苦手なソフィアの為に、フルーツタルトを作ったのね。人参入ってるなんて最悪ね、それに主役がソフィアだなんて、つまらないのに。

シリウス伯父様は仕事で、帰りが遅くなるとのことで、ナタリアと小さなアメリー、ジェイコブお兄様、私‥‥そして‥‥


「何故貴方までいるの?ルカ」

「へへ、呼ばれちゃった。ちょうど君に栄養ドリンク届けにきたし」

私はキッとソフィアを睨むと、ソフィアは少し慌てて

「あ、あの、ルカ様を呼んだのは、いつもアデライトお姉様と仲良くしていただいてるし、お礼もしたくて!あと呼べばお姉様が喜んでくれるかと」

確かにルカがいる事で、隣りでずっとケーキ自慢しているジェイコブお兄様を鞭で殴らずに済むわね。私はチラッとルカの方を見ると、ルカは私の方を見てニッコリと笑っていた。

「あまり、いい服なくて、これぐらいしかなかったんだ。変かな?」

服なんて沢山買ってあげるのに、それはルカが嫌がるからしないけれど‥‥

「‥ルカはなんでも似合うわ」

そう私達が話してると、また一人現れた。白い薔薇の花束を持ってきた人物‥‥黒髪で紫色の瞳の少年。彼は‥‥

アルフレッド殿下ね。あの私になびかなかった腹が立つ男。

「アル!来てくれたのね!」

「ん。誕生日おめでとう」

爽やかな笑顔をソフィアに向けた後、私達には無表情で頭をぺこっと挨拶をしてきた。ソフィアは彼の紹介をしてくれた。

「私の友人のアルです、花屋で働いていて‥‥」

「‥‥アルです。ども」

アルフレッド殿下はまだ自分が王族と話してないのね。ジェイコブお兄様は自分より年下なアルフレッド殿下を見て、背が高いのを羨ましそうに見ていた。

「僕はジェイコブ・マカロンだ。背が僕より大きくて羨ましいよ!」

「‥‥‥どうも」

「もしかして、南通り近くの花屋さんの息子さんかな?」

ルカは彼に話しかけると、アルフレッド殿下は急に話しかけたルカを警戒しつつも、コクンと頷く。

「そうなんだね!僕この前そこで花を買ったんだよ!君のお父さん、とても気さくで楽しい人だよね!‥‥あ、僕はルカ!よろしくね」

「‥‥どうも」

ルカは何故かアルフレッド殿下をジーと見て

「君、兄弟とかいる??」

「‥‥いないけど」

「はは!そうなんだ。ごめんね変な質問しちゃったかも」

「ソフィア!とりあえず僕が作った誕生日ケーキ食べよう!」

「は、ハイ!」

そうみんなで、話ているとソフィアはソワソワとまだ誰かを待っていた。まさかと思うけど‥‥

「ソフィア、誰かまってるのか?」

「アル‥。えっと、オスカー様なの。誕生日会をするからと朝連絡をしたんだけど‥‥やっぱり来ないみたい。しょうがないよね、今マカロン家は大変だし、オスカー様も忙しそうだし」

「‥‥ん。気にするな。肉とかとろうか」

「うん、ありがと」

ジェイコブお兄様はロウソクをもちながらケーキにさして話す。

「オスカー?あいつは、暇なはずさ。いつもお茶会いっ‥‥もが!!?」

アルフレッド殿下は黙ったまま、ジェイコブお兄様の口の中に沢山の野菜を入れ話せないようにしていた。

というか‥‥アルフレッド殿下‥‥私に凄く殺気立ってるわね?とてもわかりやすいわ。
自分の好きな子をいじめていた姉が嫌なのね。

「ふふ、ソフィアとアル様は仲が宜しいのね。でも、ソフィアは隠し事される人はとーっても嫌いなの、気をつけてね?」

「‥‥‥」

そう私がアルフレッド殿下に話しかけると、アルフレッド殿下は怪訝な顔をした。そのあとアメリーは大泣きしたため、ナタリアと早く寝室へと帰っていき、誕生日ケーキをみんなと食べ終えた。ジェイコブお兄様はソフィアに小さな短剣の形をしたペンダントをプレゼントした。

「ありがとうございます!ジェイコブお兄様‥‥初めてお兄様に貰ったプレゼント、大事にします」

「また僕と剣の練習をしよう」

「ハイっ」


「‥‥コホコホ‥!」

また、熱が出たみたいだわ。隣りにいたルカは私の手を取り、心配そうにして見つめた。

「アディー大丈夫?」

ジェイコブお兄様とソフィアは心配そうに私を見ているけれど、後ろにいるアルフレッド殿下は、まだ私を警戒していた。腹が立つ男ね、私を殺したくてしょうがない顔をしているわ。でも、いまは本当に具合が悪いから、正直寝たいわね。

「‥‥‥帰るわ」

「なら、僕が送るよ。ね」

「‥‥あの子の誕生日会よ」

「うん、でも僕はアディーのそばにいたいんだ。駄目?さあ、僕がおぶってあげる!ほら」

「おんぶよりお姫様抱っこの方がいいのに‥」

「んー、僕の背中は嫌い?」

「嫌いじゃないわ」

私はフラフラなりながらも、ルカの背中に自分を委ねた。小さな少年なのに、私より背中が広くて温かい‥‥。スウと一瞬で私は寝てしまった。

スヤスヤとルカにおんぶされて眠るアデライトを心配するソフィアに、ルカは

「あ。そうだ」

ゴソゴソと自分のポケットからあるものをソフィアに渡した。ソフィアに渡したのは、水色の小さな袋だった。

「あの、これは‥」

「うん、アディーが選んだ薬だよ。軽い傷だったら、塗れば治るやつ。‥‥昨日ね、アディーは、君のプレゼントを選んでたんだ。半分は嫌々ながらもだけど、でも頑張って選んだ」

「お姉様が‥‥」

ソフィアは寝ているアデライトを見て喜んでいた。

「うん、だからとは言わないけれど‥‥アル君。アディーを睨まないでね?」

「‥え、あ‥‥ごめん。そんなつもりで‥」

「へへ、君は優しい子だね!また花屋に行くとき、おすすめのお花を紹介してね!またね」

そうルカは頭を深く下げて、メイドの手を借りながらもアデライトを部屋まで送っていった。

アルは少し気まずそうにしながらも、胸ポケットからソフィアに白薔薇の髪飾りをプレゼントした。

「あー‥と、、これ、誕生日プレゼント。安モンだけどな」

「来てくれただけでも嬉しいのに、アル、ありがとう」

「ん。」

ソフィアの髪に髪飾りをつけてあげると、ソフィアは笑顔でジェイコブとアルに

「素敵な誕生日会ありがとうございます!」

そう喜んでいた。



私はフルーツタルトより、生クリームたっぷりのいちごのケーキと宝石の飾りに沢山のひまわりの花で豪華な誕生日パーティーが楽しいわ。

やっぱり、人の誕生日会ってつまらない。
主役は自分じゃなくなるもの。


翌日、ソフィアの部屋にシリウスから、大きなぬいぐるみがプレゼントされていた。





















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