上 下
66 / 100
アデライト  逆行復讐編

ルカの出会い

しおりを挟む
「母さん!マカロン家に行ってくるよ!」

「気をつけて行ってらっしゃい。アデライトちゃんにこの栄養ドリンクを渡してね。彼女また体調が悪くなってるみたいだから‥‥ルカ、貴方は平気?」

「うん、特に問題ないよー?僕病気じゃなかったんだね」

そうルカが嬉しそうに話す傍らルカの母親は、自分の別れ捕まった旦那がルカの体を弱らせてたと後で知り怒りが未だにおさまらないでいた。

「‥ルカ、ごめんなさいね」

「お母さんが謝る必要ないよ。外に出かけて大好きな本を読めれば十分だよ。頑張って勉強してお母さんを楽にさせるからね」

そうルカは母親に手を振りながら、王都へと向かう。厳重に警備されている王都への扉を通り、賑やかな街並みを見ながらルカは歩いていた。

「うん、本屋も沢山あっていいね。アディーにドリンクだけじゃなくて、お花でも渡そうかな」

ルカは真っ直ぐの道へは行かずに、右の道へと曲がり花屋へ寄ろうとした時


「おい!小僧!ぶつかってて『余所見していたのが君だろう』とかなんとかお高くとまりやがって!あー!足が痛い痛い!」

黒髪の少年が腕を組みながら呆れた顔で大柄の男と何やら揉めていた。

「‥‥私が悪かったなら、謝るけれどどう見ても貴方じゃないかな」

「あぁん!?」

ルカは少年前に出て慌てて大柄の男に謝った。

「おじさん、ごめんなさい。この子僕の友達なんだ」

「ん?おめーは確か‥‥あ!薬屋の息子か!‥‥あー‥‥悪かった」

「うん、おじさん、お母さんの体調だいぶ良くなったかな?」

「‥お、おう‥‥。ありがとな‥‥」

そう大柄の男はそそくさと立ち去っていった。ルカはクルと振り向き、黒髪の少年に頭を下げた。

「ごめんね、間に入っちゃって。あのおじさん、悪い人ではないんだ‥‥」

黒髪の少年は口をポカンとしながら、ルカを見つめた後笑った。

「いや、助かったよ。ありがとう」

「君、王都に住んでるの?この辺では見かけない顔だね」

「まあ、王都に住んでいるといえば住んでいるかな。ん?君は薬草学に興味があるのかい?」

ルカがドリンクと一緒に持っている薬草学の本を黒髪の少年は興味深そうに見ていた。

「うん、本というより僕お手製のものだけどね。将来薬屋を開くのが夢なんだ」

「薬草学はこの国ではまだ重要視されてなく、他国より遅れをとっているからね」

「君、薬草学に興味あるの!?」

「いや、しろ‥家で少し本を読んだくらいだ」

「うわああ、いいなあ!本が沢山あるんだ!」

「今度貸してあげよう。それに、さっき助けてくれたお礼に向こうにある店の人参マフィンをご馳走するよ。私は人参が好きでね、あそこのマフィンは美味しい」

「え!?あそこのお菓子屋さんは貴族用で、高いし、いいよ!」

「私の気持ちだ」

二人は少しの時間だがお互い話ていて楽しかったのかあっというまに時間が過ぎていった。

ルカはハッと気づいて近くにあった時計を見て慌てていた。

「あ、しまった。早くドリンク届けないと。君の名前はなんていうのかな?僕はルカ、また会えたら遊ぼう」

「名前は‥んー‥チータで」

「チータ君だね!また君と会えるのを楽しみにしてるよ!僕はとりあえず今から花屋さんに行きたいんだ」

そうルカが話すと、チーターと名乗る少年は向こうにある花屋がお勧めだと教えて去っていった。

ルカは教えられた花屋へ行く姿を、少年はルカを見つめた。少年の後ろから騎士が二人現れて話かけていた。

「何か面白い事でもありましたか?」

「うん、あったよ。面白い子を見つけた。彼のお手製のあの薬草に関する知識が書いてあるのをチラッと見たけど‥興味深ったよ。勉強熱心な民がいるのは良い事だね」

そう呟いていた。




「遅いわ。ルカ」

「アディーごめんね。あ、白い薔薇が綺麗だから沢山じゃないけれど一本買ってきたよ!あと人参マフィン」

「‥‥白い薔薇‥よくソフィアが買ってきてるのに‥‥それに私は人参はにが‥」

「美味しそうなマフィンをアディーと一緒に食べたかったんだ!」

「‥‥‥わかったわ」

そう黙って人参マフィンをアデライトは食べていた様子をメイドのナタリアと兄のジェイコブは影から見守りながら驚いていた。

「絶対嫌いなものを食べないアデライトお嬢様が黙って食べましたわ!」

「たたた食べたぞ!一体なにが起きてるんだ!?」

そんな二人の後ろにいたソフィアは
嫌々な顔をしながらも人参マフィンを食べているアデライトを見て、ニッコリと笑って見つめていた。
しおりを挟む
感想 724

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

旦那様は大変忙しいお方なのです

あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。 しかし、その当人が結婚式に現れません。 侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」 呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。 相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。 我慢の限界が――来ました。 そちらがその気ならこちらにも考えがあります。 さあ。腕が鳴りますよ! ※視点がころころ変わります。 ※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。