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アデライト  逆行復讐編

隣りに彼がいる

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「本当に不思議な事ってあるのね‥‥。あぁ、でもやっぱり私は美しいわね」

そう納得していた時、家族が私の様子を見に会いに来てくれた。もう少しルカのそばにいたいのに‥‥何しにきたのかしら。

苛々しながらも、いつも通りに可愛いらしい笑顔をむけて家族とティータイムの時間を過ごした。相変わらずのお父様とお母様、目の前にある甘いお菓子を我慢するジェイコブお兄様‥‥そして‥‥

「アデライトお姉様っ、あの‥久しぶりに会ったのでお姉様にお茶をいれてもよろしいですか?」

お父様とお母様は相変わらずソフィアを見ていなかった。ジェイコブお兄様は目の前にあるお菓子をたべまいと必死なため1人で闘っている。どんなに虐げられてもこの子は真っ直ぐな瞳で私を見てくるのが‥‥反吐がでるわ。

そのまま黙っていつも通りに無視をすればいいけれど、私はソフィアが入れてくれた紅茶を一口飲んでみた。ソフィアはキラキラした目で私が何か言ってくれるのを期待している眼差しを私に向けていた。

ルカはソフィアと仲良くしないといけないと言われたけど、私をあの牢獄にいれたのよ?仲良くなんてしたくもないのよね。

「まあ!ソフィアお嬢様!何故お嬢様がお茶を淹れてるのです!それは私のお仕事ですよ!旦那様!奥様!ソフィアお嬢様ともお茶を一緒にしてください!」

ナタリア、貴女いいタイミングできたわね。別にいいけれど、やっぱり口が五月蝿くて嫌だわ。

「はは!アデライトは病弱だからな!ソフィアがそれをカバーするのが当たり前だ。そんな事よりジェイコブ、剣術の練習はどうだ?」

「あ、ハイ!順調です!母上のお腹も大きくなりましたよね!まだ男か女かわからないんですよね?僕は弟であれば一緒に剣の練習したいです!」

「あらあら、ジェイコブ気が早いわよ。でも弟であれ妹であれ貴方は次期マカロン家の当主よ。強くなって守りなさい」

「‥は、ハイ!」

ジェイコブお兄様は、少しだけ複雑そうな顔をしてから笑って誤魔化し、お母様の大きくなったお腹を優しく撫でていた。

ソフィアは俯いて黙ったまま椅子に座っていた。

後もう少ししたら、生意気な性格になるのよね。そんな泣きそうな顔をしても目障りなのに。

『‥‥お姉様!!』

でも、泣きそうな顔は‥‥‥十分見たから飽きたわね。

私は席に立ち、ワザとらしく咳をした。

「‥‥コホコホ‥‥!お父様、お母様‥ごめんなさい。少し体調が悪くなってきましたわ」


「え!アデライト大丈夫か?!」

「‥‥ジェイコブお兄様、大丈夫ですわ」

「アデライト!大丈夫か!よし、茶の時間は終わりだ!部屋まで送ろう!ソフィアはナタリアと一緒に片づけるようにな!」

ナタリアは顔を真っ赤にしながら、また何か文句を言い、ソフィアにしなくて良いと話をしていた。私がソフィアの方を見つめると、ソフィアと目が合った。

私と同じ青い瞳色‥‥‥。


「‥‥‥‥ソフィア、美味しかったわ」

「‥‥え?あ‥‥」


父と母、兄に見送られたアデライトの後ろ姿にソフィアは見つめていた。

立ったままのソフィアに、メイドのナタリアは首を傾げた。

「どうされましたか?ソフィアお嬢様」

ソフィアはくるりとナタリアの方へと振り向き笑顔だった。

「アデライトお姉様がはじめて美味しいって言ってくれたわ!」

そう嬉しそうに話していたソフィアだった。




「はあ~疲れたわ。私の体‥‥こんなに疲れやすかったかしら。少し歩くだけで体力がないなんて‥‥」

もう少し先になったら元気になるから大丈夫よね。そんなことより、ようやく一人になり、今後の事を考えておかなきゃならないわ。

「始末しなければならない人が沢山いるわね」

そう呟いているとルカが会いに来てくれた。

「あ!ごめん。邪魔したかな。お昼寝する時間?」

「あら、ルカ。ふふ、そうね。なら一緒に寝ましょうよ」

「え」

まだまだ思春期のルカだもの、美しい私の隣りで寝れるなんて光栄な事であり、緊張しちゃうのは当然よね。

そう、緊張するのは当然の筈。

私は沢山の男達を虜にした花の女神と呼ばれた女よ。‥‥なのに‥

「あり得ないわ」

「ん?何が?」

ルカは何食わぬ顔で私の隣りで本を読んでいた。「広いベットで寝てみたかったんだ!」と言いながら直ぐに来た。

「ほら、アディーは寝てて。僕は隣りで本を読んでいるから」

そうルカは私を赤ちゃんか何かと勘違いしているのか片手で背中をトントンと優しく叩いた。

「‥‥‥‥今日家族でお茶をしたわ」

「楽しかった?」

「全然。ルカとお茶をした方が数百倍いいわ」

「へへ、それは嬉しいね。でも僕が出すお茶は多分味薄いよ?アディーの口に合わないかも」

それでもルカがいてくれればいい。お茶なんてどうでもよいもの。

「‥‥‥‥ソフィアに‥妹に‥‥淹れてくれたお茶が美味しかったと言ったわ」

私がそう呟くとルカはニッコリと笑いながら私の頭を撫でてくれた後、また本を読み始める。長いまつ毛にサラサラの髪。長い時間のようでゆったりとして流れる。

この時間は嫌いじゃないわ。

ジーッとみつめる私に気づいたのかルカは本を読むのをやめた。

「あれ。寝れないの?」

「‥‥寝たら、これは夢でした。ってなりそう。目が覚めて、貴方が‥‥ルカがすぐにいなくなりそうだから」

「僕はここにいるよ。アディーの隣にいるから。さあ、ゆっくり寝て」

私はコクンと頷き目を閉じた。

ルカ‥‥このやり直しの人生は一体何を意味しているのかしら。貴方と会えば会うほど、私は苦しい、でもその反面‥‥嬉しいのよ。

隣りにいてくれるルカの手をぎゅっと握りしめて、久しぶりに深い眠りについた。






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