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アメリー 下克上編

クズ女同士の闘い

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フレデリック殿下達と共に急いで北の方へと走り出す私達に相変わらずソフィア姉様はアデライト姉様を警戒しながら、馬を走らせていた。
北の森を抜けると海沿いのところまで着いた時、ポツポツと灯りが見えた。

フレデリック殿下側の騎士の一人が声をあげる。

「殿下!前方にヒューゴ王子の兵が沢山います!」

フレデリック殿下はリリアン姫を乗せながら、攻撃の合図をする。

「皆進め!!ヒューゴがどこかにいるはずだ!」

「ホワイト国一番隊の右側の者はフレデリック殿下の援護を!残りはルチータ殿下を探しなさい!!」

「「「ハッ!!!」」」

ソフィア姉様はそう騎士団に指示を出して馬から降りてヒューゴ側の兵達がこちらに気付き剣を向けるものの

カキン!!と素早くソフィア姉様は次々と問答無用で倒していった。

「‥‥ソフィア姉様‥やっぱり強い」

以前は少し荒々しい太刀筋だったけれど、なんだろう、とても綺麗でカッコいいよ。

「アデライト!アメリー!危険だから、僕の後ろへ!」

ジェイコブお兄様は次々と襲ってくる人達を倒していく。あれ?なんか、この二人が前に出て結構倒しちゃったかな?フレデリック殿下も驚いていた。

「‥‥ホワイト国の騎士は‥‥強いのだな。二人であっというまに次々と倒していくとは。我々も負けていられん!」

「お兄様!ジェイコブ様は料理も編み物も上手で、お強いんです!我が国に欲しい人材ではないでしょうか!」

何故かリリアン姫が自慢げに話すのをフレデリックは不思議そうに首を傾げていた。




「すぐに追ってくるとは思ってませんでしたけどー、フレデリック様は幽閉されてたんじゃありませんでしたか?あぁ、また沢山の命が無くなるのね」


沢山倒れている兵の山から、シスター姿のアイラさんが姿を現れた。更に弓矢をフレデリック殿下や私達に一斉に攻撃した。

「みなさん、神に祈り死んでくださいませ」


しまった!こんなに数が多いと避けきれない!そうニッコリとアイラさんが笑った時、
ソフィア姉様とジェイコブお兄様が素早く動き止め、チャーリー師匠は残りの矢を軽々と折っていた。

「フレデリック殿下!先に前に!ここは僕達だけで大丈夫だ!ソフィアも!」

「だけど‥アメリーは!!」

「ソフィア姉様先に行って!私はすぐに追うわ!」

ジェイコブお兄様と私は先にフレデリック殿下とソフィア姉様達を前に進めさせた。とりあえず私達を囲んでくる人達を一気倒さなきゃ。



「ふふ。やだわ。あら、死ぬのは貴女でしょう?」


パシーン!と鞭の音が鳴り響く。

「キャァァアァ!鞭!?痛っ!!だれよ!」

アデライト姉様がそう声を出した時、アイラさんの顔は先程まで可愛らしく聖女のようだったのに、悪魔のような顔をしてアデライト姉様を睨む。

「アデライト様?何故いるの!?生きてるの?殺すよう命じたのに!」

「やっぱり貴女だったのね。幽閉された美しい私をわざわざ兵を送るなんて、本当に恐ろしい人だわ」

涙目でウルウルしながら怖がってるフリだけど、鞭を持ってるアデライト姉様‥‥やっぱり剣より鞭がお似合い。そして信者さん達は何故拍手してるのか不思議。

昔の事を思い出しトラウマなるかなあと思ってたけど、意外と大丈夫だった。

アイラさんは自ら弓矢を持ちアデライト姉様に向けた。


「本当に腹が立ちます!いつもそう!昔から貴女が好きだからゴメンって言われるもの!好みの男はぜーんぶ私の物なのに酷いわ!」

「困ったわね。最初から高望みし過ぎるからよ?‥‥私は美しく上の人間なの、わかる?貴女は美しくない人間で下の人間。誰が貴女を好きになるのかしら?あと世の中の男性は貴女の物じゃないわ。失礼よ。私の物なの」

「何よそれ、今は美しいお顔も台無しですものねえ?ってーーヒッ!!」

そうアイラさんが笑って話すものの、急に青ざめた顔をする。アデライト姉様は一歩一歩前に歩きながら、一人、二人と兵を倒していった。

「‥‥‥私ね、やる事が出来たからここまできたの。

‥‥‥ねえ、どうやって死にたいかしら」


うーん‥‥‥これはなんというか、正義と悪とかの闘いではなくて‥‥

「僕が言うのもあれだが、クズ同士の闘いみたいだな!」

「ジェイコブお兄様、そう!それだ!」





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