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アメリー 下克上編

小さなレディ ※ルチータ王子視点

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13歳の頃に剣術の練習をしていた時、右手に違和感を感じた。最初は疲れのせいかもしれないと思っていたが、段々と鉛をつけているような感覚になってきた。

原因不明で病名もわからない、だけどいつか私の体が動かなくなるのはなんとなくわかっていた。父上と母上は内密に各国の腕の良い医者を呼んだが症状は進む一方だった。

あと10年過ぎたら‥‥その為には今の荒れた国をなんとかしなければならない。今の父上では反王族派を抑えきれない。


「ルチータ、敵国であるフォース国に娘がいる、その娘と婚約をするのはどうだ?これで向こうも下手に手は出してこない」

以前そんな事を父上に言われたが、婚約者など私には必要がない。

いつ死ぬわからない私と一緒にいると王族の婚約者としてだけではなく沢山の圧に耐えられず苦労をする。

だから私は王にならないと決めた。病を治すよりも、アルフレッドを次期国王にすべく、準備が必要だった。邪魔な者は排除を、誰にも文句を言わせない準備を‥‥。

そんな時銀髪でツインテールの髪型をしている小さな女の子と剣術大会の時に初めて出会った。

最初はただ面白い小さな女の子と思っていただけだ。アルフレッドが大事にしている女性の妹だから、とりあえずウロチョロとされていても害は無さそうだから気にしていなかった。

だけど、子どもらしからぬ行動と思いもよらぬ発言に

《面白い》から《興味深い》とも感じた。

私への気持ちは憧れと同じ気持ちだと思っていた。
小さな頃の初恋かのように。

いつかは消えるだろうと避けていた。

なのに、いつも君の話題を耳にする。

いつのまにか小さな女の子は、立派な令嬢へと成長をしていた。

パーティーで私はもう一度確認をしたかった。

君はーー……今でも私を本当に好いてるのかい?

確認した後、自分はどう答えるつもりだったのか。感情的に動かず、表情を読まれないように訓練をしていた筈なのに…。

まるで見透かすように見つめる瞳が時々苦手だ。

だけど…

「……会いたくなるのは………何故だろうね……」

手足を縛られ、意識もうろうとしていたルチータ王子は、アメリーとの思い出を思い出しながら笑っていた。








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