【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま

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アメリー 下克上編

女神と聖女と呼ばれてる女達

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マカロン家には『女神』がいた。皆を魅了し、操り、自分の欲の為に反逆罪として、とある古くツタだらけの塔の一番上に、アデライト・マカロンが幽閉されていた。

小さな窓の鉄格子があり、割れない鏡が置いてあるところで、アデライトはただ鏡に映っている自分の姿を見ていた。

塔からは、護衛の人達の声がザワザワと聞こえた。

「いけません!上にはあの悪女がいるんです!聖女様のような方がお会いするなど」

「そ、そんな!わたしは聖女じゃありません。あの、大丈夫です。心配してくれてありがとう。でも彼女とは昔からの『お友達』だったから‥‥二人きりでお話しても?」

アデライトは聞いた事のある声にピクンと反応した。

白いフードを被り、太陽教会の模様服を着ているピンク色の髪の女性はアイラ・ソレイユだった。


キイとドアを開けると、アイラは十字架のペンダントと握り締め、醜いアデライトの姿を見て涙をポロッと流す。

「あぁ、なんて酷いことを‥‥神様はなんて残酷な。あの美しさだけが取り柄だったアデライト様をこんな事に」

「あら。ふふ、馬鹿みたく神に祈るだけの貴女には言われたくないわ。ブスが移るわ、早く出ていってちょうだい」

アイラはニッコリとアデライトの方へ近づいて、近くにあった椅子に座る。

「貴女の妹さんにお会いしたわ。‥‥昔の貴女にそっくりね」

「‥‥ソフィアにあったの?あの子は私に似てないわ」

「違うわ、小さな女の子‥‥ツインテールで可愛らしく、とても優しさと勇気があり、頭が良い子よ」

「‥‥‥アメリーね」

二人はお互い微笑みながら睨み合う。

「ところで、アイラさんはまだ、美しい男性を集めるという趣味をしてるのかしら。自分が醜いからって美しい人を殺して剥製にするのは美しくないわ」

「‥‥アデライト様。私ね、恋をしましたの。とても美しい人‥‥最初は黒髪の執事かと思っていたら、とんでもない高貴な方だったの。ルチータ殿下‥‥間近で見て確信したの、恋だと。『あの方』もね、殺してから死体は好きにしていいとお許しを貰えたわ」


アデライトはただ微笑みながら黙って話を聞いていた。

「あぁ、アデライト様本当に可哀想で‥‥いい気味!!私はこれから忙しくなりそうなので、それではご機嫌よう」

アイラは可愛らしい笑顔でアデライトにそう言って去ろうとした時、クスクスと笑っていたアデライトにアイラは首を傾げた。

「‥‥何がおかしいのですか?」

「ふふふ、別に?ただ、貴女はいつか私が殺してあげる」

そうアデライトが言うと、アイラは涙目になりながら
「怖いわ」そう立ち去った。


かつて国一番美しく女神と呼ばれていた女と、聖女のように優しいと皆に慕われている女性二人が会って話していた事は、アメリー達は知らない。









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