【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

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アメリー 下克上編

狂った聖女がやってきた

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ホワイト国の国王はルチータ王子が出発するのをどう止めるべきか迷っていた。

「ルチータ‥‥わざわざお前が行かずとも良い。フォース国の事に首を突っ込むのはーー」

「フォース国第二王子は我々の領域に侵入し犯罪を犯したものです。あなたはいつまで傍観しているつもりなのかわからない。以前弱味を握られたのって、私の事でしょうが‥‥父上、もし私がいなくなっても、アルフレッドがいる」

「‥‥ッルチータ!何馬鹿な!」

「本来アルフレッドが次期国王となる人なんですよ。私はもうーー」


そうルチータ王子が言いかけたとき、アルフレッドがやってきた。

「ん。準備が整った」

「‥‥‥ではいこうか」

そうルチータはアルフレッドを連れて出て行くと国王陛下は頭を抱えてつぶやいた。

「あの子が‥‥我儘を言わなくなったのは‥いつだろうか」




「ダイアナ国は小さな国で、フォース国とホワイト国の間にある。うんうん、因みにシルベスマリア国はダイアナ国の上にある‥‥地図で見るとすぐ近くのようだけど、ここの森の土はぬかるんでて、通りにくいんだ」

私はシリウス伯父様の馬車にこっそりと乗って地図を見ていた時、馬車は止まった。あれ?もう着いた?いや、違う。ルチータ王子とアル兄様が何人かの騎士を連れてやってきた。


「ルチータ王子。馬は私が馬車の中へどうぞ」

「そうするよ。馬に乗って余計な体力を使いたくないしね」

「俺はこのまま馬に乗って護衛を続ける」


馬車の中からそっと、みんなの話を聞こうとした時

「さて、小さなレディ。君の好きなプリンを用意したけど食べるかい?」


ニッコリと片手にプリンではなく、生の人参を持ちながら馬車の中に隠れている私を即効見つけてしまったルチータ王子‥‥。

「プリンじゃない‥‥人参」

「そうだね」

シリウス伯父様は私を見てもう後戻りができないと思ったのか、着いてきていいと許可がもらえた。私はルチータ王子と一緒に馬車へ乗ったけど、ずっとルチータ王子は外の方を眺めていた。

何を考えているんだろう?私も同じ方向を見てみると、妙な気配を感じた。

「ルチータ王子‥‥」

「アルフレッドも気づいたみたいだね。ここは王都から離れたところだからね。森の中、何か起きてもおかしくない状態。‥君は来るべきじゃなかったよ」

困った顔をして微笑みながら話すルチータ王子の目は笑ってない。なんか、怒ってる?怒ってるよ?

「国境近くまできたぞ」

アル兄様がそう声をかけてきた時、大きな滝の前に着いた。川の向こう側がダイアナ国だ!

川沿い近くに、なんか可愛いらしい柄のフードを被っている男性と女性が待っていた。

女性は知らない人だけど‥‥もう一人の人は知っている人だ。会いたかった私のお兄様。

「‥‥っ!!ジェイコブお兄様!!!」

「‥‥アメリー‥?」


私は足早でジェイコブお兄様の元へ駆け寄った瞬間、沢山の弓矢が放たれた!


「「「アメリー!!!」」」

シリウス伯父様とジェイコブお兄様とアル兄様の声が聞こえたけど、大丈夫!

弓矢の早さなんて、チャーリー師匠に比べれば遅いなあと思い、ひょいひょいとかわしてジェイコブお兄様の胸の中へ飛びこむと、ジェイコブお兄様と一緒にいた女性は何故か私を見てビックリしていた。

「ジェイコブ‥‥貴方の妹は‥何者かしら?いま、弓矢を‥沢山のかわしてきたわ」

「お姉さん!これも日頃の特訓と人参パワーよ!」

そう私が自信満々に話すと、お姉さんは、わけがわからないと混乱していた。ジェイコブお兄様は私の頭を撫でて話す。

「そうか!人参か!人参のおかげなんですよ!我が妹は天使ですからね!」

そうジェイコブとアメリーに更に首を傾げるリリアン姫だった。


「ぜ、全部‥‥弓矢を避けた‥‥」

「ははっ!凄いね。さすがチャーリー殿直々が教えてたわけだ。シリウス固まってないで」

「さすが、ソフィアの妹だと褒めたいけど、何かあったらソフィアがブチキレる」

固まっているシリウスと、笑ってるルチータに青い顔をしながら溜息を出すアルフレッドだった。


その時一人の女性が十字架を持ちながら現れた。


「離ればなれになった兄妹の再会はとても感動ですね。これも神の巡り合わせ‥素敵で感動しちゃいます」


先程弓矢を攻撃してきたのは‥‥やっぱりというべきか。タイミングがね、うん。

ルチータ王子達も私達の元へ来て、声がする方を見るとピンク色の髪で太陽教会のシスターであるアイラ・ソレイユだった。

アイラさんはルチータ王子を見てまた顔を赤らめながら話しだす。

「‥‥リリアン姫を探してましたけど、素敵!私達って運命だわ。こうやって、また会えるんですもの」

「運命、ね。それは勘違いじゃないかな」

「その冷めた顔も素敵です。あぁ‥‥早くその顔と体を剥製にして私の物にしたいですっ」


‥‥今普通に変な事言ってたよね?アイラさんの周りには沢山の男性達がいた。みんななんか様子がおかしい‥‥薬?

「ルチータ‥‥なんかあの女、変態だな」

「困ったね。あんな変態はごめんだよ」

「アメリー!リリアン姫も!僕の後ろに隠れて人参クッキーを食べて落ちついて!怖がらなくていいぞ」

「うん、ジェイコブお兄様がおちついて。私は大丈夫よ」


私とリリアン姫を除いて、ジェイコブお兄様とシリウス伯父様、アル兄様とルチータ王子に、騎士が三人だけしかいない。向こうは‥‥結構な人数いるけど。

チラッとジェイコブお兄様の背中に隠れているお姉さんをみた。なるほど、黄金色の瞳はフォース国の王族の特徴だ。このお姫様狙いみたいなのかな。

私はお姫様の手をぎゅっと握ってあげると、お姫様は私の顔を見た。

「大丈夫だよ!あのね、みんな強いから安心して!ジェイコブお兄様の手作りクッキー美味しそうだから一口食べる?」

敵に囲まれながらも、何故か余裕ある小さな女の子と出会ったリリアン姫は

「‥‥ホワイト国の方は不思議な方が沢山いるのね」


そう呟いた。



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