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アメリー 下克上編

魔王がやってきた

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「‥で、公爵家の護衛と私もアメリーお嬢様達を見失ってしまいました」

ルチータ王子はシリウスとシュベレルト当主に報告した時、二人は頭を抱えていた。

「ルーカス!あれほど護衛から離れて行動するなと‥‥」

「アメリーは大丈夫だろうか」

窓側から、フワリと一通の紙がルチータ王子の手に届く。ルチータ王子は紙に書かれている内容を確認して、シリウスに話す。

「太陽教会の神父とペアズ男爵が絡んでるようだね。干ばつ問題の前にこの二人を追うのと‥‥大人を振り回してる子供も叱らないとね」

クスッと笑って話すルチータをシュベレルト当主は首を傾げながら話しかけた。

「マカロン家の執事の君が何をいってるんだ?さっきから随分偉そうにーー」

そう話してる途中、シリウスは耳打ちでルチータ王子だと教えるとシュベレルト当主は慌てて挨拶をしたがルチータ王子は‥‥目が笑ってなかった。

そんなルチータ王子にシリウスは固まっていた。




馬車の中は沢山のお金ぎが詰め込まれており、私とルーカス君は手を縛られていた。

「‥‥ぐすっ‥‥父上」

「ルーカス君、大丈夫だよ。だから泣かないで。また茹でた人参あげるよ?」

「お前なんで冷静なんだよ!?あと人参いらない!人参嫌いなんだよ!」

「うん、でも人参食べないと、人参の悪魔になるよ!」

「‥‥え、そうなのか‥?」

「一人知ってるからね。その人参の悪魔になった女性の人を‥‥それにしても‥」

馬車は何処へ向かっているかわからないけれど、外に数人の仲間も加わって逃げる事が出来ない。そして馬車の中に‥‥人の気配を感じる。

「あの!すいません!そこにいるのだあれ?!」

私は馬車の荷物の奥の方へと声をかけると、奥からフードを被っている人が現れた。

「気配を消してたのにわかるんだ?君すごいねー」

口元を隠してフードを被っている人が座っていた。瞳は綺麗な、黄金色‥‥。

フードの男は私をジーっと見つめて、質問をしてきた。

「‥‥銀髪に青い目‥‥君名前はなんていうの?」

「‥‥知らない人にお名前を教えてはダメだと言われたから教えない。その前に貴方が教えてよ」

「その顔はそっくりだね。アデライトに」

突然の名前が出た事にビックリした。え、この人‥‥アデライト姉様を知ってるの!?いつから!?誰だろう!そう私が混乱しているとフードの男は話しをやめて立ち上がる。

「ここでの金儲けはもう今日までみたいだ。美しく立ち去るとしよう」

そうフード男は馬車の外へと出て姿を消した。その瞬間馬車が止まった。

「おい!くそ!何故王家の騎士団がもう追ってきたんだ!?」

「あぁ、神は私達を見放された」

ペアズ男爵は馬車の中にいる私の髪を引っ張りだした。

「‥痛いっ!」

「よし!こいつを人質にしよう!道を開けろ!金はいくらでもやる!」

「おい!ペアズ男爵!そ、そいつにさわるなよ!」

ルーカス君は涙目になりながら、ペアズ男爵の腕を引っ張るものの、苛立ちを隠せないペアズ男爵はルーカス君の頬をパン!と叩いて地面の方に叩きつけた。

「うううるさい!せっかく金が入ってたのに!くそっ!なんでだ!こうなったら、国境越えて逃げてやる!」

「おじさん、それは無理だよ。多分ね、ずーっと、マークされてただけ」

「‥‥お前はマカロン家の子だったな。生意気な!あの馬鹿でハゲ親父達に似ている!」

「馬鹿に馬鹿なんて言われたくないと思う。おじさん、人参を食べた方いいよ」

そう私が言うとペアズ男爵は、私の首をガシッとしめて殴ろうとした瞬間


「あぁ、そこにいたんだね。アメリーお嬢様」


それは見事な足蹴りをされたペアズ男爵は気絶をした。

「さっきも言ってたが‥‥私はあまり戦闘に向いていないのに余計な体力を使いたくないんだ。とりあえずそうだね。ここにいる虫ケラ達は排除しようでないか」

そう登場する執事姿のルチータ王子に、ルーカス君は顔を真っ青にしながら指をさした。

「あいつ魔王の顔してる!一番悪い顔をしてるぞ!?」

「うん、とてもカッコいいね!」

「え、正気かよ!!」





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