上 下
36 / 100
アメリー 下克上編

大・失恋!

しおりを挟む
「あのね、二人共、私はジェイコブお兄様とソフィア姉様に久しぶりに会えてすごく嬉しいよ!本当にね、嬉しいんだよ!」

気まずい雰囲気だった二人は私の顔を見てクスッと笑ってくれた。沢山人参を食べたから、ジェイコブお兄様は悪魔にならなかったからホッとするよ。‥‥ううん、たぶん、本来のジェイコブお兄様が自分のやりたい道を見つけてきたからかもね。

ジェイコブお兄様は自分が作った人参クッキーをソフィア姉様にそっと渡して話す。

「ソフィア‥‥僕は君にした過ちは消せない事はわかる。駄目な兄だ。それでも‥‥愚かだけどアデライトも、ソフィアも、アメリーも、僕にとっては‥やっぱり可愛い妹だと思ってる」

「ジェイコブお兄様らしいですね‥」

そうソフィア姉様は少し複雑そうな顔をしつつも笑って人参クッキーを一口食べてジェイコブお兄様は嬉しそうにしていた。


コンコンとドアが叩く音がした。シリウス伯父様と、アル兄様が入ってきた。

アル兄様はソフィア姉様を見つめてから、ぎゅっと抱きしめた。

「ただいま。アル」

「ん。おかえり‥‥」


「アル兄様!私まだソフィア姉様にぎゅっとされてないからズルイよ」

「あ、そうか‥ごめんな?アメリー」

「そういうのは、私が寝てからにしてね!今は家族との再会なの」

そう言うとソフィア姉様はクスクス笑いながら、私をめいいっぱい強く抱きしめてくれた。

ソフィア姉様が帰ってきてくれた。
本当に嬉しい‥‥正直寂しかった。シリウス伯父様に可愛がられても、お友達ができても、お勉強を頑張ってても‥家族がね、恋しかったの。会いたかったの。

これからは沢山お話しを聞いて欲しいな。

「‥‥ソフィア姉様、さびしかった」

「アメリー‥‥私もよ。本当に会いたかったわ」

そうもう一度ぎゅっと私はソフィア姉様に抱きしめてもらった。



シリウス伯父様とジェイコブ兄様は何故か涙目になってる。二人共感動屋さんかな?


「あぁ、そうだ。アメリー以外、全員別室で話す事がある。ルチータ王子とリリアン姫様がそこで待っていらっしゃるから‥アメリーはもう寝てなさい」

そうシリウス伯父様に言われて私はコクンと頷いた。多分、あのお姫様とフォース国の件についてだよね。今お姫様を国に返したところで、かなり危険だし。多分向こうは姫様を人質にしたとかなんとか言って何かしら仕掛けてきそう‥‥。

でもお姫様の存在はまだここにいる人間しか知らないから、知らない『フリ』もできる。

「うーん、そうするとお姫様はどうなるのかな?それにジェイコブ兄様は‥‥ホワイト国‥‥入ってきちゃ駄目だもんね‥」

本当はみんなで、ホワイト国‥‥帰りたいな。




夜になり、私はなかなか寝付けなかった。
少し人参のお化けの夢を見ちゃったせいかも‥‥

アル兄様やソフィア姉様は警護の為外で待機していた。


「お水‥欲しいな」

私はお水が貰えないか、部屋へ出ていくと廊下先から明るい部屋が見えた。

ルチータ王子が眼鏡をかけて、色々と書類に目を通してた。眼鏡姿初めてかも!

ちょっと違う感じで素敵だなあと思って見ていると

「眼鏡姿が珍しいかい?」

ルチータ王子はすぐに私に気づいて声をかけてきた。

私は部屋に入り、ルチータ王子の隣にちゃっかりと座ってみるとルチータ王子は見ていた書類をテーブルに置いた。

「‥‥今いうべきことじゃないけれど、君は私を好いてるようだね。だけど、それは憧れに近いものだよ」

「‥ルチータ王子はそう思うの?」

「そうだね。大人になればその気持ちも薄らいでいくよ。小さなレディ、君はとても賢く勇気のある子だけど、今は同年代の子達と仲良く遊んだり勉学に励んだ方がいいよ」

「‥私はルチータ王子のお嫁さんになるのよ」

「ならない。あと王妃になれないよ」

「‥‥‥それはルチータ王子が王になるつもりがないから、別に王妃に興味ないもん。でも‥みんなルチータ王子の事好きだよ」

そう私が話すとルチータ王子は少し目を丸くした後、初めて冷たい眼差しで私を見つめて話す。

「‥‥‥アメリー、いいかい。私は君に興味はないよ。あまりにも歳が離れてるし、お嫁さんにもなれないし、そのつもりは今後一切ない。わかったね」

そう部屋から追い出された私はトボトボと廊下を歩いた。

「‥‥ガーン‥」


ルチータ王子にフラれてしまった!!!
歳関係ないじゃんかー!!?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ

青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。 今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。 婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。 その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。 実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」  「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」  私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。  エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。  ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。  私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。  あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?    まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?  誰?  あれ?  せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?  もうあなたなんてポイよポイッ。  ※ゆる~い設定です。  ※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。  ※視点が一話一話変わる場面もあります。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

余命一週間を言い渡された伯爵令嬢の最期~貴方は最期まで私を愛してはくれませんでした~

流雲青人
恋愛
◇書籍化が決まりました。 ◇9月下旬に販売予定です。読者様のおかげで実った書籍化です。本当にありがとうございます。 また、それに伴い、本編の取り下げが行われます。ご理解の方、よろしくお願い致します。 ______________ 伯爵令嬢のステラに突き付けられたのは、あまりにも突然過ぎる過酷な運命だった。 「ステラ様。貴方の命はあともって一週間といった所でしょう。残りの人生を悔いのないようにお過ごし下さい」 そんな医者の言葉にステラは残り僅かな時間ぐらい自分の心に素直になろうと決めた。 だからステラは婚約者であるクラウスの元へと赴くなり、頭を下げた。 「一週間、貴方の時間を私にください。もし承諾して下さるのなら一週間後、貴方との婚約を解消します」 クラウスには愛する人がいた。 自分を縛るステラとの婚約という鎖が無くなるのなら…とクラウスは嫌々ステラの頼みを承諾した。 そんな二人の一週間の物語。 _______ ゆるふわ設定です。 主人公の病気は架空のものです。 完結致しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。