寝取られ令嬢は氷の貴公子様に愛されております?!

くま

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バレンタインデーさ

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あと3日でステラ国へ行く事となるが、アレ以来お父様と会っていなかったけれど、風の噂では我が家、いや、元我が家は火の車らしい‥‥。私が連れてきたメイド達が教えてくれたけど、出る時からそうなる事はわかっていた。

「私って結構薄情な人間かもしれないわ」

「‥‥エマ、まず聞いていいかしら。何を作ってるのかしら?」

「明日、バレンタインだからチョコレートを作ってるのよ」

そう明日はバレンタイン。この世界でもバレンタインデーというものがある!普通はチョコレート屋さんに買うのが主流だけど、やっぱり手作りがいいと思って作ってみたけれど、何故かジョアンナは溜め息を出す。

「あら、ここにいたのね」

ジョアンナと私に会いにきてくれたのは、ソフィア様だった。

「あぁ!ソフィア様!良かったですわ!エマがこんな恐ろしいもーーいえ、チョコレートを作ってるみたいですのよ!!‥エマ、貴女は素敵な友人よ、誇らしいわ。でも料理はやめてくださいませ」

そう真顔で言うジョアンナに、ソフィア様は珍しそうに私のチョコレート作りに興味津々だった。

「チョコレートを溶かすだけかしら?なぜ、手作りなの?」

「溶かすだけで簡単ですよ。ソフィア様も一緒に作ってみますか?」

「エマ、その簡単な事を貴女はできない自覚おあり?まってくださいまし、ソフィア様、何故野菜をお持ちに?チョコレートお菓子ですわよ?」

「ジョアンナ、確かに、私はちょっと料理が苦手だけど‥‥レイモンドに食べさせてあげたくて‥‥その‥‥チョコレートはある意味、私達の出会いというかなんというか‥」

「ちょっとどころじゃ‥‥ソフィア様!?何故、ジャガイモなんですの!?」

カアと赤く語る私に、ソフィア様は微笑んでくれていた。ジョアンナは【あまり触らない!少し触れるだけ!】と、言いつつも手伝ってくれている、
確かに私は、下手よ。わかってます!だけど、やっぱり手作りをあげたい!

こうして私達はチョコレート作りをする事になった。

私とジョアンナ、ソフィア様は一緒にバレンタインデーのチョコレートを作り終わったけれど、何故かジョアンナはげっそりしていた。

「ねえ、ジョアンナはマルコ王子にあげるの?」

「あげませんわ!それよりも‥‥ソフィア様、エマ、本当にその‥‥あげますの?」

「「もちろん!」」

嬉しそうにチョコレートを包んでる二人を、ジョアンナは窓の外を遠く眺めて「神よ‥‥ペイリン王子とレイモンド様を守ってくださいまし」そう呟いていた。



ーバレンタインデー当日ー

各自、女子学生達は婚約者に渡している姿が見える。レイモンドが現れると、チラッと見ているが意外にも誰も渡しに来なかった。

「そりゃそうですわ、婚約者のエマがいますし。それに、元々受け取らなかったみたいですもの」

「じゃあレイモンドは‥‥私のチョコレートが初めて?」

そうレイモンドに聞くと、ニッコリ微笑みながら頷いてくれた。

私はレイモンドに、チョコレートを渡す。

「あ、ありがとうございます。その、大事に食べます」

そう頬を赤らめて嬉しそうなレイモンド。

「あまり、美味しくはないと思うけど‥」

「あぁ、お酒は入っていないようですね」

「は、入ってないわ!」

そうレイモンドと話すと、マルコ王子がやってきてジョアンナは小さな小さなチョコレートのカケラを、マルコ王子に渡していた。

「エマ嬢みたいに、大きくはないのかい?」

「それはわたくしの、気持ちですわ」

ツンとしたジョアンナに、マルコ王子は、小さなチョコレートを大事そうに眺めている。

レイモンドはウズウズしながら、私に聞く。

「開けてみても?」

「え、朝から食べるの?」

「はい、一口だけでも」

レイモンドはチョコレートの包みを開け、食べようとした時マリアがやってきた。

「レイモンド様ー!!私のチョコレートを食べてください!すごーく高いやつですって!」

マリアが現れた途端、チョコレートが全て落ちてしまった。

「‥‥私のチョコ‥」

レイモンドはマリアから離れて、地面に落ちたチョコレートを拾おうとした時、タイミングが悪く雨が降り出す。

「「‥‥‥」」

ザァーと降り始める雨が‥‥憎い!!!

マリアはクスッと笑って、私を見て話す。

「もしかして、殺人的なお菓子を?エマは下手なんだから‥」

そう言いのこし、立ち去ろうとした時、ジョアンナはマリアを睨んでいた、というよりも殴りかかろうとしていたのをマルコ王子に止められる。 

「きゃあ!ジョアンナ様こわい!」

「ふざけんなですわ!あなた、普通は婚約者がいる者にあげませんわ!このくそーーーふががもがが!!」

「あはは、ジョアンナ、未来の王妃がそんな言葉は駄目さ」


レイモンドは雨に濡れたチョコレートを全部拾ってくれたけど、私はレイモンドに

「食べなくていいわ。地面に落ちたものだもの」

「しかし‥」

そうチョコレートを引き取り、教室へと向かった。

マリアの顔を殴れば良かったかしらと、ザワザワと悪い私がそう言っている。

放課後になっても雨は降っていた。

「エマ嬢」

「あ、レイモンド、生徒会室ももう最後ね。何かよう?」

「‥‥いえ、‥一緒に帰ろうかと」

「じゃあ、そこの席でまっててくれる?」


レイモンドは、生徒会室の中へ入り席へ座る。多分朝の事を気にして、心配してくれているんだろうな。

顔に出し過ぎたかも。

あ!!チョコレートは渡せなかったけれど‥‥
私は生徒会室にあるポットとお菓子があるはず。確か‥まだあるはず。

私は温かいコーヒーを用意し、いちごマシュマロをカップに入れた。

「チョコレートじゃないけれど‥いちごマシュマロコーヒーよ。チョコレートよりも甘いわ」

レイモンドにそう話すと、レイモンドは無言で私の頭を撫でてくれた。

「‥ありがとうございます」

「コーヒー好きでしょう?」

「はい」

バレンタインデーなんてまた来年、そのまた来年、あるもの!!





因みにギルは、見知らぬ女子学生達に囲まれて怖くてすぐに学園から、お城に行くとペイリン王子が、ベッドでうなされていたのを見かけて青ざめる。

「オラ、挨拶しにきたんだけども‥‥ペイリン王子!な、何があったんだ!?
こ、これは毒殺か!?こえーっす!あ!師匠!ペイリン王子が!いったい何が!」

「ギル君‥‥これも愛の試練だよぉ‥」

「ペーイーリーンおーうーじぃい!!!」


ベッドのすぐそばにいたソフィアは、

「ペイリン王子、どうしたのかしら?」

と心配そうに見つめていた。自分が作ったチョコレートのせいだとは知らずに。




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