かつて悪役令嬢と呼ばれた彼女は悪役お嬢様に転生してしまったようです

くま

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悪役お嬢様部活を決めた

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私達四人はお昼を食べ終え料理部へ見学しにいった。華道部の皆さんと同じ反応だった部員さん達。

真斗達は女子に囲まれ、今お菓子を作っているから食べて欲しいと声をかけられていた。

「キャー!西園寺君がなんで料理部に?!今クッキー焼いていたところなの!食べて食べて!」

「真斗君も甘いもの好きかな?」

「きっ鬼頭君!?が何故ここに!やば、かっこいーわ」

西園寺さんは笑顔で「今お腹いっぱいで、ごめんねまた今度でいいかな」とやんわりお断りをし、真斗は「甘いもの嫌いなんだよ」とぶっきらぼうに答えていた。

あら、おかしいわね。よく私とお団子やらお菓子を一緒に食べてるはずだから甘い物は好きなはずなのに。私の横で鬼頭さんはクッキーを美味しそうに食べている。


「如月さん?」


私に声をかけてくれたのは一組の女子生徒さんだわ。
以前バスケの授業で一緒に受けた一組の女子生徒さんも何人かいたので私は部活をどれにするか見学中だと話をしていた。

そんな私と一組の女子生徒の方と楽しくお話しをしていたら先程まで真斗達に目を向けていた料理部の女子生徒部員が不思議そうに私を見てきた。

「私がくるの、迷惑だったかしら…」

そう私が一組の女子生徒さんに話すと

「え?あははは!迷惑でないよ!まあ確かに私もあの授業一緒に受けていなかったら如月さんの事避けてたけど、話してみたら可愛いんだもん!あ、改めて自己紹介ね。一組の徳永奈々よろしくね」

「……ナナ」

「うん、奈々!好きに呼んでね」

なんだか、前世のメイドのナナを思い出すわ。私の味方だった。ナナ…なんとなく彼女と重ねてしまうわね。それに別なクラスの子とお友達なれたのは嬉しい。

ナナさんに続いて何故か他の女子生徒さん達にも声をかけられた。

女子生徒に囲まれて受け答えしている紫苑を眺めていた西園寺は呟く。

「はは、やっぱり魅力ある人は男女問わず惹かれるもんだね」

「紫苑ちゃん、可愛いとゆうか綺麗だもんなー俺好みっ」

「お前の好みなんて誰も聞いてないだろうが」

「弟くんは黙ってくんね?」

何故か真斗と鬼頭さんはにらみ合い、そんな二人を無視して話を進める西園寺さん。

「それにしても如月さんは料理部に興味あるんだよね?」

西園寺さんはそう笑顔で話題を出し私のやりたい部活を探していると料理部の皆さんに伝えてくれた。
料理部の皆さんは、次はシフォンケーキを作るから一緒に作りましょうと誘ってくれた。

「なんだか以前の如月さんは近寄りがたかったし怖かったけど、今は大丈夫!ウェルカムだよ!」

こうして私は料理部の部長さん達と一緒にシフォンケーキを作り始めた。


「え、、すごっ、如月さんプロ並み!!」



沢山の人が色々と親切に教えてくれたわ。何かをつくるのってこんなに楽しいのね。以前の私では考えられない。

何故か真斗は、ビックリしていた。

「お前料理作れなかったじゃん…」


西園寺さんは一緒に手伝ってくれてる。ちなみに西園寺さんも器用な方だわ。この国の男性は料理上手が多いのかしら?

「あの、初めて作って見た目は悪いかもしれないけれど皆さんどうぞ」

ニッコリと微笑んでたら、皆んな赤い顔をする。

「食べる食べる!ヤバ!如月さん!可愛い」

「女の私でもドキドキしちゃった」

賑やかな雰囲気の中、皆んな私が作ったシフォンケーキを食べてくれた。

「美味しい!やばす!」

「か美味しいですよ!」

西園寺さんは笑顔で一口食べた。

「うん、如月さんは良いお嫁さんなるね」

ふふ、なんだか嬉しいわ。

「いやあー紫苑ちゃん、完璧だね!」

美味しい物を食べるのは好きだけど、作るのを食べて貰うのもいいのものね。確かに楽しいわね、料理部。

真斗は?真斗はどうかしら?チラと様子を見ると
黙って私のシフォンケーキを無言で食べていた。

私は真斗の方へ駆け寄り、話しかけた。

「どうかしら?初めて作ったのよ」

ニコニコしながら真斗がどんな顔をしてるかしらと覗いてみると無表情の真斗。

「…まあ、普通に美味しいけど…」

「……普通?普通に美味しい?それってどういう意味かしら?とても美味しいとかならわかるけど、結局は平凡ということ?」

そう私が話すと、少しため息を出す真斗。

「……美味しいよ。すごく。ほら食ってみろ」

「んぐっ」

真斗がシフォンケーキを私の口へとほうり込む。

その時周りの女子部員はキャーキャー騒いで
鬼頭さんは何やら文句言っていたわね。

西園寺さんは笑顔のまま私を見つめているだけだけど何かしら?とりあえず、うん、決めたわ。


「真斗、私料理部に入るわ!」

そう話すと真斗は少しだけニッコリと微笑みかけてくれた。



料理を作るのが楽しいんですもの。
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