上 下
20 / 29

カツ丼は美味

しおりを挟む
ちょうど昼休みとなり、土曜日でも学校の学食はやっているとの事で昼食をそこでとるようにした。

メニューはハンバーグ定食、カツ丼、焼き魚定食、うどん、カレーなどだわ。

前世では、専属の執事が用意をしてくれたり学食はフレンチだけど、ここは違うみたいね。平民の学生はサンドイッチとかを持ってきたわね。

フと外の方を見ていると恋人同士が目に映った。
女生徒が手作りのお弁当を男子生徒と一緒に食べていた。

あぁ、思い出すわね。いつもお昼の時間はルイ様とユリアン様、ルイ様のご友人達と、彼女の手作りのサンドイッチを食べていたのを遠くから眺めていた。

そんな事を思い出しボーとしていると真斗が私の頭をコツンと軽くたたいて話しかけてきた。

「おい?お前は何食べるんだよ」

「お姉様と呼んで欲しいわ」

たまに、紫苑と名前を呼んでくれているけど
お姉様と呼んで欲しいわね。

「如月さんは何を見ていたの?」

笑顔で私に声をかけてきた西園寺さんも
私が見ていた方向に目を向けていた。
鬼頭さんも一緒に外を見て、あぁ!と笑って納得したかのように話し出す。

「なるほど!やっぱ紫苑ちゃんもあーゆカップルみたいなのは羨ましいの??お弁当をあーんみたいな」

「おい、鬼頭何聞いて」

「ふふ…そうね、羨ましいわね」


「「「えっ?」」」


笑顔で答えたら三人は目が点となり、かたまった。

「そうなんだ……如月さんはあーゆの羨ましがるの意外かも」

西園寺さんに言われたけど、たしかに以前は人前であんな事ははしたないし、みっともないと思ってたわ。
でもあの時のルイ様とユリアン様のあの二人を見て、甘い雰囲気の中、仲良くお昼を食べてるのは、やはり羨ましかったもの。

「おい、そんなのどうでもいいだろう。昼のメニュー決めろよ」

溜息をしつつ、真斗は私の腕を掴み食堂へ案内する。

「そうね、メニューはカツ丼で。あ、おばさま、ご飯を多めにしてください」

カツ丼とやら、気になっていたのよね。今まで食べたこと無いものだけど、なんだか前世を思い出したらイライラしたから食べましょう。

「馬鹿、お前食べれないだろ」

「はは!紫苑ちゃんがカツ丼頼んで食べてるのが新鮮!」

「ここのカツ丼美味しいからね。僕もカツ丼を頼もうかな」

「……なら、俺も頼むわ」

「はいはーい!俺も、紫苑ちゃんと同じにするわ」

何故か三人は火花散らしるけど、カツ丼すぐ無くならないわよ?

四人でカツ丼を頼んで食べているけど、どうも周りの席は人がいない。かなり混んでるように見えるのだけど、やはり私の評価が良くないから皆んな避けているのね。私はカツ丼を食べながら考えた。


「手作りか…そうね、お昼食べたら私料理部に行ってみたいわ」

「あぁ、なんか如月さんっぽいね。凄く料理得意そう」

「俺味見係ならいーかな。紫苑ちゃんの手作りのもの食べたいわ」

「…んじゃ次は料理部な」


こうして私は大盛りのカツ丼とやらをペロリと食べ終わって三人は何故口あんぐりだったわね。

この国の食べ物は本当に素敵だわ。


今日のお昼にあの如月紫苑と王子達がカツ丼を優雅に食べていた!と後々話が広まる事となった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完】あなたから、目が離せない。

ツチノカヲリ
恋愛
入社して3年目、デザイン設計会社で膨大な仕事に追われる金目杏里(かなめあんり)は今日も徹夜で図面を引いていた。共に徹夜で仕事をしていた現場監理の松山一成(まつやまひとなり)は、12歳年上の頼れる男性。直属の上司ではないが金目の入社当時からとても世話になっている。お互い「人として」の好感は持っているものの、あくまで普通の会社の仲間、という間柄だった。ところがある夏、金目の30歳の誕生日をきっかけに、だんだんと二人の距離が縮まってきて、、、。 ・全18話、エピソードによってヒーローとヒロインの視点で書かれています。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

処理中です...