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矛盾なキス
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急にパン!と手を叩いたクラリスは、何かを思い出したかのように部屋に出る。
「あー!あー!俺思い出した!俺護衛側だし、今夜ここで泊まる事をアルファス王子様に連絡するわー!いやあー忙しい忙しい!」
「え?クラリスはどこで寝るのよ?ってもういなくなったわ」
一瞬でその場からいなくなったクラリスに、ずっと静かだったシリウスは小さなため息を出す。確かに貴族には厳しい部屋よね。
「シリウス、我慢しなさいよ。隙間は多少はあるものの、寝れるわよ」
死刑にされる直前まで私は牢屋にいたけど、ほんとうにあの場所に比べればなんともないわね!
「いや、そういう問題じゃない」
「何よ、何がーー。あぁ、あんたもしかして緊張してる?」
「は?なんの緊張だよ」
「こぉんな美しい女性といるんだもの!当然ね!」
「‥‥‥」
そう私が話すと、いつものように否定して叱ってくるかと思ったのに何故黙るのよ!?
シーンと気まずい雰囲気が流れる。
「「‥‥‥」」
冗談で言ってるのに、なんで‥‥なんでシリウスが困った顔してるのよ?!そこはいつものように見下した言い方で切り返しなさいよ!これじゃあまるで‥‥
そう沈黙が続いたとき、ミルモがやってきた。
「姫様!お食事の用意ができました!あれ?お二人ともどうしましたか?」
その後、マルコとミルモが用意してくれた料理を食べた。猪料理は初めて食べたけど、鍋と野菜を一緒に煮て食べるというものだったけど、とても美味しかった。
結局、シリウスとクラリスは別の部屋へ案内をされて私一人で寝る事になったのだけど‥
コメコ村の村長は明日の朝帰ってくるらしい。正直私が来て、どうこうできる問題じゃないわよね。
それでも‥‥ガリガリに痩せこけてた小さな女の子が浮かんできた。
「はあ、寝れない!」
そう私は少し涼みにベランダへと出ると、シリウスの部屋へと繋がっていたのか、そこにシリウスもいた。
「なんだ寝れないのか」
「まあね。なんとなく寝れないのよ」
チラッとシリウスを見ると眼鏡を外してる。伊達眼鏡なのに、やらなきゃいいのに変な奴だわ。
「シリウスって変な奴よね」
「お前に言われたくないけど」
「‥‥変よ。わざわざ私に勉強教えたり、面倒でしょうよ。今回、ついてきたのもなんでよ」
そう私が質問するとシリウスは一瞬固まってから、小さな声で答えた。
「‥‥‥‥心配したから」
「へ?」
「悪いかよ」
「‥‥‥や。悪いとかじゃないけど‥‥」
また何故か沈黙が続く。一緒に星空を見上げるのなんて、久しぶりだわ。
「お前さ」
「うん?」
「‥‥なんで王位継承権を放棄したんだよ」
そうシリウスは真剣な眼差しで私を見つめる。
また小言でも言うのかもしれないと思いつつも、シリウスには‥‥ちゃんと答えた方がよいかもしれない。
「‥‥‥自信がないからよ。あんたもわかるでしょう、私は今回この村の存在もわからなかった。他にもコメコ村のようなところがあっても、私は民の苦しみなんて気づかないわよ。お金だけじゃない、人の使い道も、臣下や民の信頼もない私が‥‥この国を豊かにできるわけがないわ。シリウス、あんたも私に言ったじゃない。無知は罪だと」
「そうだな。でも今日知っただろう」
「あんたはアルファスお兄様に王になって欲しいんでしょ?いいじゃない、それが正しい答えよ」
私がそう話すと、シリウスはもう一度星空の方へ見上げた。
「‥‥‥昔、お前は『王になってこの国を素敵な国にする』と俺に語ってたな」
「小さい頃の話でしょ」
「その時のお前は‥‥レテシアは一番輝いてたけど」
「へ?え?かが‥なななな何言ってんのよ!?」
そう私がバシバシと手すりを叩いてると、バキッと手すりが壊れてしまい、私が落ちそうになったのをシリウスはすぐに私を抱き寄せて助けてくれた。
「おい、大丈夫か?」
「え、あぁ、うん、だいじょーー」
パチッと目と目が合う。
あの時も助けてくれたシリウス。
‥‥‥何故か、今日のシリウスはシリウスじゃないみたい。眼鏡をかけてないせい?いや、鼓動が鳴り響く。
私はシリウスが昔から苦手で嫌いだ。
なのに‥‥今物凄く、1番隣りにいて欲しい。
嫌いなのに隣りにいて欲しい気持ちってなんだろう。
自分の気持ちが矛盾だらけでわからないのに、私は‥‥‥何故か
彼にキスをしてしまった。
「あー!あー!俺思い出した!俺護衛側だし、今夜ここで泊まる事をアルファス王子様に連絡するわー!いやあー忙しい忙しい!」
「え?クラリスはどこで寝るのよ?ってもういなくなったわ」
一瞬でその場からいなくなったクラリスに、ずっと静かだったシリウスは小さなため息を出す。確かに貴族には厳しい部屋よね。
「シリウス、我慢しなさいよ。隙間は多少はあるものの、寝れるわよ」
死刑にされる直前まで私は牢屋にいたけど、ほんとうにあの場所に比べればなんともないわね!
「いや、そういう問題じゃない」
「何よ、何がーー。あぁ、あんたもしかして緊張してる?」
「は?なんの緊張だよ」
「こぉんな美しい女性といるんだもの!当然ね!」
「‥‥‥」
そう私が話すと、いつものように否定して叱ってくるかと思ったのに何故黙るのよ!?
シーンと気まずい雰囲気が流れる。
「「‥‥‥」」
冗談で言ってるのに、なんで‥‥なんでシリウスが困った顔してるのよ?!そこはいつものように見下した言い方で切り返しなさいよ!これじゃあまるで‥‥
そう沈黙が続いたとき、ミルモがやってきた。
「姫様!お食事の用意ができました!あれ?お二人ともどうしましたか?」
その後、マルコとミルモが用意してくれた料理を食べた。猪料理は初めて食べたけど、鍋と野菜を一緒に煮て食べるというものだったけど、とても美味しかった。
結局、シリウスとクラリスは別の部屋へ案内をされて私一人で寝る事になったのだけど‥
コメコ村の村長は明日の朝帰ってくるらしい。正直私が来て、どうこうできる問題じゃないわよね。
それでも‥‥ガリガリに痩せこけてた小さな女の子が浮かんできた。
「はあ、寝れない!」
そう私は少し涼みにベランダへと出ると、シリウスの部屋へと繋がっていたのか、そこにシリウスもいた。
「なんだ寝れないのか」
「まあね。なんとなく寝れないのよ」
チラッとシリウスを見ると眼鏡を外してる。伊達眼鏡なのに、やらなきゃいいのに変な奴だわ。
「シリウスって変な奴よね」
「お前に言われたくないけど」
「‥‥変よ。わざわざ私に勉強教えたり、面倒でしょうよ。今回、ついてきたのもなんでよ」
そう私が質問するとシリウスは一瞬固まってから、小さな声で答えた。
「‥‥‥‥心配したから」
「へ?」
「悪いかよ」
「‥‥‥や。悪いとかじゃないけど‥‥」
また何故か沈黙が続く。一緒に星空を見上げるのなんて、久しぶりだわ。
「お前さ」
「うん?」
「‥‥なんで王位継承権を放棄したんだよ」
そうシリウスは真剣な眼差しで私を見つめる。
また小言でも言うのかもしれないと思いつつも、シリウスには‥‥ちゃんと答えた方がよいかもしれない。
「‥‥‥自信がないからよ。あんたもわかるでしょう、私は今回この村の存在もわからなかった。他にもコメコ村のようなところがあっても、私は民の苦しみなんて気づかないわよ。お金だけじゃない、人の使い道も、臣下や民の信頼もない私が‥‥この国を豊かにできるわけがないわ。シリウス、あんたも私に言ったじゃない。無知は罪だと」
「そうだな。でも今日知っただろう」
「あんたはアルファスお兄様に王になって欲しいんでしょ?いいじゃない、それが正しい答えよ」
私がそう話すと、シリウスはもう一度星空の方へ見上げた。
「‥‥‥昔、お前は『王になってこの国を素敵な国にする』と俺に語ってたな」
「小さい頃の話でしょ」
「その時のお前は‥‥レテシアは一番輝いてたけど」
「へ?え?かが‥なななな何言ってんのよ!?」
そう私がバシバシと手すりを叩いてると、バキッと手すりが壊れてしまい、私が落ちそうになったのをシリウスはすぐに私を抱き寄せて助けてくれた。
「おい、大丈夫か?」
「え、あぁ、うん、だいじょーー」
パチッと目と目が合う。
あの時も助けてくれたシリウス。
‥‥‥何故か、今日のシリウスはシリウスじゃないみたい。眼鏡をかけてないせい?いや、鼓動が鳴り響く。
私はシリウスが昔から苦手で嫌いだ。
なのに‥‥今物凄く、1番隣りにいて欲しい。
嫌いなのに隣りにいて欲しい気持ちってなんだろう。
自分の気持ちが矛盾だらけでわからないのに、私は‥‥‥何故か
彼にキスをしてしまった。
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