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我儘姫、勉強します!宣言
しおりを挟む『女王陛下!私の父は罪を犯しておりません!何故片方の言い分しか聞かないのですか!
それに、いつまでも見て見ぬフリをしてはいけません!内乱になりかねない!何度も注意してもわからないんですか!』
『シリウス!何よ!?私だって頑張ってるじゃない!貴方もやっぱり亡くなったアルファス兄様が良かったと思ってるくせに!それに私はこの国の女王よ!昔から生意気よ!幼馴染のよしみで、処刑ではなく犯罪者であるお前達は辺境の地へ追いやるだけでありがたく思いなさい!」
『‥‥っんの、くそアンポタリンが!!!目の前の問題から逃げんな!!!』
『‥‥!!なっ‥‥なによっ‥‥あんたなんて‥‥』
あんたなんて、大っ嫌い!!!
「‥‥懐かしい夢を見たというか、なんというか‥‥はあ」
次の日になり頬をつねっても、やはり夢ではなかった。
「そして肌が若々しいっ‥‥!メイクのノリがとても良いもの!」
いや、うん、そうじゃない!私は考えた。
何故、15歳に戻っているのか!考えて考えて、考えまくって‥‥!
あぁあ‥‥頭が痛いわ‥‥!!
「はあ、疲れた。考えても無理だわ。ただ若々しく可愛らしいのはわかるぐらいよ。意味がわからない。‥病にふせているお父様のお見舞いにいきましょう」
私が15歳、国王であるお父様はあと一年後亡くなる。元々体が弱かったせいで、段々と衰弱しており、今はお兄様が政務をしている状態だけど、お父様が亡くなった途端、私かお兄様の継承権の争いが始まったのよね。
アルファスお兄様がまだ元気‥‥ということは、まだ2年は大丈夫。
謎の病にかかり、一年後亡くなる‥‥。その謎の病自体が、既に少しずつ毒に侵されていた‥‥いつからかしら。いつ、毒を飲み始めたの?
いや、お父様が亡くなって‥‥私と争いが始まってからだわ。
私とアルファスお兄様は母親が違う。
私のお母様は正妃であり、アルファスお兄様のお母様は隣国の踊り子の人だった。
正統な王位継承権は私にあるけど、民衆達やアルファスお兄様派はお兄様にと訴えてた。
そう‥‥私は完璧なお兄様が疎ましく、そして、羨ましかった。いつも城に引き篭もり、勉強をしても意味がないと、情勢も何もわからない私は貴族や教会、あの人達の
「政治の道具でしかなかったのね」
‥‥お父様は私を愛する人の子ではないと思って避けてたのよね。亡くなったお母様からそう聞かされて育って‥‥きちんとお父様ともまともな話しをせず、ただ宝石を買い漁り、我儘をいうだけ言っていた。
兄が亡くなり、私が王になるため実の兄を殺したと噂は流れ始め、誰も味方などいなかった。
いつも支えてくれたのは婚約者であるユウリ様と人望に熱い聖女と呼ばれる友人のマリア嬢だけだった。
『何も疑われる事などしてないのですから普段通り、ありのままの姫様が一番です』
そう笑顔で励ましてくれたユウリ様‥‥。
目を閉じると、私はまだ殺される瞬間を生々しく覚えている。あの二人に裏切られた。ぎゅっと首を触るけどやっぱりまだ生々しく覚えてる。
「‥‥私はただの道具に過ぎなかったのよね。絶対断罪回避しなきゃ!!」
「‥‥何一人でぶつぶついってるんだよ」
バッと振り向くと、生意気な口調で眼鏡をかけている銀髪の青年で私の天敵シリウス・ラスタバンだった。
「何度もいうけど、私はこの国の姫よ?なんで敬う挨拶をしないのよ」
「は?俺が敬うのはアルファス王子だけだから」
うがああああ!!!はーらーがーたーつぅうぅ!!!!シリウスの前だと、言葉も悪くなっちゃうじゃない!!やっぱり腹が立つわ!
「貴方と話しをすると、頭が痛くなる!私はいまからお父様にお会いするの」
「国王陛下に?‥‥またなんの我儘を言うつもりだ。この前隣国から宝石を買ったばかりだろ」
「何?ついてこないでよ!?」
何故か私についてくるシリウスを無視して、お父様のお見舞いへと向かうと、そこにはアルファスお兄様とシリウスの父、宰相であるリグルスもいた。過去に犯罪を犯したと追いやったけど‥‥いや、今はお父様ね。
ベッドには、少し痩せこけた頬に茶色の髪色、久しぶりに‥‥何10年ぶりの姿だわ。
「‥‥‥レテシアか。珍しい。メイドに頼まず一人できたのは、あぁ、また何か欲しい物があるのか。なんでも買ってやるから、顔を出さずともよい」
「‥父上。レテシアが久しぶりにーー」
「アルファスお兄様、別にいいんですの」
すこし冷たい口調で私の顔を見ずに話すお父様‥‥やっぱり‥‥アルファスお兄様だけ可愛い息子で私は可愛くないのだわ‥‥ここで泣いたり騒いでも無意味がないだけ。
今はもうお父様に褒めて貰いたいとか、愛されたいなんて思わない。
私はドレスの裾をつまんで、お父様に初めて、そう初めて頭を下げてお願いをした。
「お父様、私学園へ通いますわ」
毎日宝石やらドレスやら買って遊んでばかりでは、本当にこのシリウスにアンポタリンとまた呼ばれるのが癪だ。キッと私はシリウスを睨むものの、シリウスは何故か驚いた顔をしていた。私の美しさに気づいたのかしら?
ん??違うわね?何故かシーンと静かになる。何?何故‥‥お父様もお兄様も宰相達も固まってるのよ??
「‥‥学園へ通うのは何故だ。‥今更勉強をしてもお前が王座につくと?」
「王座など興味がありませんわ」
「‥‥‥なんだと」
私はベッドにいるお父様の近くに寄り一枚の紙を渡す。
そう、継承権を放棄するという書面とサインだ。
「この国で必要なのはお兄様よ」
そして私は何処か遠くへいき、遊んで暮らすのよ!(これが本音)
お父様達は何も言わずに固まっていた。
そう要件を言い立ち去る姫をその部屋にいた皆呆然としていた。
深い溜息を出す国王は、部屋にいた宰相と息子であるアルファス、シリウス三人に
「‥‥姫が言っていた事は漏らすな。まだ内密に。アルファス、お前はどう思う?」
「え?あ‥‥どうというのは‥」
「お前はこの国を背負う気があるか?」
そう国王がアルファスに問おうとしたがアルファスは困った顔をしていた。
「‥‥さて、あの我儘娘は何を企んでいるのか。学園へ通う手配をしてやれ」
そう国王は呟いていた。
『あの我儘姫が勉強をし始めた』
あっというまに城中に知れ渡るが、当の本人は楽観的に『とりあえず』と安易にした行動だった。
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