私の親友は悪役令嬢!?偽りの婚約者になった私が悪役令嬢役になってしまった件

くま

文字の大きさ
上 下
8 / 9

誰のハンカチ

しおりを挟む
「はーい、こちらにも炊き出しありますので慌てないで並んでくださいね!」

「どうぞ」

「ありあとー!キレいなお兄ちゃん!お姉ちゃん!」

「あはは、バイバーイ…」

さて、今私達は何故か炊き出しのお手伝いをしている。ただ街の様子とここでの炊き出しを見に行く予定だったけど、なんだか人手が足りないみたいで、見かねた私とノア王子は身分を隠して手伝う事にした。

ようやく炊き出しが終わり、協会の方からお礼に牛乳とパンを貰った。ノア王子は大丈夫かな?庶民の食べ物とか口に合わないのでは?そう思い隣に座っている王子の様子を見ると、パンをジッと見つめていた。

「あの、このパン美味しいですよ?中身がクリームが入ってて…あの…」

「……パンを食べれる民はごく僅かなのだろうか。炊き出しでは、野菜のクズのスープだった」

そう真剣な顔をしながらパンを食べていた。私は少し疑問に思っていた事を質問した。

「何故、炊き出しを見学しようと思いましたか?」

「最初はみんなの暮らしを見たかった。恥ずかしい話しだが、みんな、私が思っていたような暮らしではなく、貧富の差が激しい事に…最近知ってしまい。今日の炊き出しも、どのようなものなのか知りたかった……」

何やら、自分は情けないと少し落ち込んでいるようだった。

「王子様が思っていた暮らしは多分ごく一部のみの貴族だけですよ。でも、今日王子様は一つ知ったじゃないですか!元気出して!」

「…君はなんだかこういう場に慣れていたとは驚いたがな」

「そりゃ、いつも手つ…いや、あははは!何事も気合いです気合い!」

私は背中をバシ!と気合いだと言いながら叩いた…あ。王子なんだ!不敬罪にあたるかな!?いや、てか、婚約者としてお断りするために、嫌な女演じようとしてるのに!!私は何故励ます!?


ノア王子は立ち上がり、手を差し伸べる。

「…では、私達は次へ行こう」

「へ!?」

そう手を繋がれて、この格好のままチョコレート専門店へと行った。どうやら、予約していたみたいで誰もいない…お店の人はノア王子の正体を知ってたみたいだった。

目の前には、チョコレートケーキ!トリュフ!チョコクッキー!どうしよう!?贅沢な時間だよう!!

ノア王子は紅茶を飲みながら私に
「好きなだけどうぞ」と皿にお菓子を取り分けてくれた。

私はモグモグと食べていたら、ジーッと視線を感じる…。

「あの…ノア王子?食べないんですか?」

「私は先程パンを食べたから、いらない」

「…えと…あ!そうだ!あの、婚約の事ですけど、やっぱり無理です!」

「…それは何故だ?」

「え!?えーと、あの……あ。私には…好きな人がいるんです!!!」

確かローズは言っていた。好きな人がいると、でも私にはまだ教えてくれず、時が来たらと言ってたなあ。でもこういえば、ノア王子は断念するかも…悪い人ではなさそうだし…。

カップを置いて少しため息を出すノア王子は私を再度見て

「………そうか…。成る程。ではこの話は無しにしよう」

やったあああああああ!!!ローズ!私やったよ!!あれ!?ローズは今どこにいるんだ!?私達についてきてるはずだけど…!?あ、まあ、お店の中までは無理だもんね。

はうー!チョコクッキー美味しい!色々と解決!早くローズに知らせなきゃ!でも、もう少しチョコ堪能しとこ!

こうして、私とノア王子の偽デートは終了した。

私は笑顔でノア王子に挨拶をし、ローズを探しに行った。




ノア王子は馬車へ乗り帰ろうと席を立つと、先程まで彼女が座っていた所にハンカチが落ちていた。

「…彼女のか」

そう拾い、ハンカチにある家紋が薔薇ではなく馬だった。

「薔薇の家紋でないハンカチをローズ嬢が持っているのは何故だ?」


そう首を傾げるノア王子だった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト

待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。 不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった! けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。 前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。 ……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?! ♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました! でもそこはすでに断罪後の世界でした

ひなクラゲ
恋愛
 突然ですが私は転生者…  ここは乙女ゲームの世界  そして私は悪役令嬢でした…  出来ればこんな時に思い出したくなかった  だってここは全てが終わった世界…  悪役令嬢が断罪された後の世界なんですもの……

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

その国外追放、謹んでお受けします。悪役令嬢らしく退場して見せましょう。

ユズ
恋愛
乙女ゲームの世界に転生し、悪役令嬢になってしまったメリンダ。しかもその乙女ゲーム、少し変わっていて?断罪される運命を変えようとするも失敗。卒業パーティーで冤罪を着せられ国外追放を言い渡される。それでも、やっぱり想い人の前では美しくありたい! …確かにそうは思ったけど、こんな展開は知らないのですが!? *小説家になろう様でも投稿しています

悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。

白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。 筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。 ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。 王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?

処理中です...