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誰のハンカチ
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「はーい、こちらにも炊き出しありますので慌てないで並んでくださいね!」
「どうぞ」
「ありあとー!キレいなお兄ちゃん!お姉ちゃん!」
「あはは、バイバーイ…」
さて、今私達は何故か炊き出しのお手伝いをしている。ただ街の様子とここでの炊き出しを見に行く予定だったけど、なんだか人手が足りないみたいで、見かねた私とノア王子は身分を隠して手伝う事にした。
ようやく炊き出しが終わり、協会の方からお礼に牛乳とパンを貰った。ノア王子は大丈夫かな?庶民の食べ物とか口に合わないのでは?そう思い隣に座っている王子の様子を見ると、パンをジッと見つめていた。
「あの、このパン美味しいですよ?中身がクリームが入ってて…あの…」
「……パンを食べれる民はごく僅かなのだろうか。炊き出しでは、野菜のクズのスープだった」
そう真剣な顔をしながらパンを食べていた。私は少し疑問に思っていた事を質問した。
「何故、炊き出しを見学しようと思いましたか?」
「最初はみんなの暮らしを見たかった。恥ずかしい話しだが、みんな、私が思っていたような暮らしではなく、貧富の差が激しい事に…最近知ってしまい。今日の炊き出しも、どのようなものなのか知りたかった……」
何やら、自分は情けないと少し落ち込んでいるようだった。
「王子様が思っていた暮らしは多分ごく一部のみの貴族だけですよ。でも、今日王子様は一つ知ったじゃないですか!元気出して!」
「…君はなんだかこういう場に慣れていたとは驚いたがな」
「そりゃ、いつも手つ…いや、あははは!何事も気合いです気合い!」
私は背中をバシ!と気合いだと言いながら叩いた…あ。王子なんだ!不敬罪にあたるかな!?いや、てか、婚約者としてお断りするために、嫌な女演じようとしてるのに!!私は何故励ます!?
ノア王子は立ち上がり、手を差し伸べる。
「…では、私達は次へ行こう」
「へ!?」
そう手を繋がれて、この格好のままチョコレート専門店へと行った。どうやら、予約していたみたいで誰もいない…お店の人はノア王子の正体を知ってたみたいだった。
目の前には、チョコレートケーキ!トリュフ!チョコクッキー!どうしよう!?贅沢な時間だよう!!
ノア王子は紅茶を飲みながら私に
「好きなだけどうぞ」と皿にお菓子を取り分けてくれた。
私はモグモグと食べていたら、ジーッと視線を感じる…。
「あの…ノア王子?食べないんですか?」
「私は先程パンを食べたから、いらない」
「…えと…あ!そうだ!あの、婚約の事ですけど、やっぱり無理です!」
「…それは何故だ?」
「え!?えーと、あの……あ。私には…好きな人がいるんです!!!」
確かローズは言っていた。好きな人がいると、でも私にはまだ教えてくれず、時が来たらと言ってたなあ。でもこういえば、ノア王子は断念するかも…悪い人ではなさそうだし…。
カップを置いて少しため息を出すノア王子は私を再度見て
「………そうか…。成る程。ではこの話は無しにしよう」
やったあああああああ!!!ローズ!私やったよ!!あれ!?ローズは今どこにいるんだ!?私達についてきてるはずだけど…!?あ、まあ、お店の中までは無理だもんね。
はうー!チョコクッキー美味しい!色々と解決!早くローズに知らせなきゃ!でも、もう少しチョコ堪能しとこ!
こうして、私とノア王子の偽デートは終了した。
私は笑顔でノア王子に挨拶をし、ローズを探しに行った。
ノア王子は馬車へ乗り帰ろうと席を立つと、先程まで彼女が座っていた所にハンカチが落ちていた。
「…彼女のか」
そう拾い、ハンカチにある家紋が薔薇ではなく馬だった。
「薔薇の家紋でないハンカチをローズ嬢が持っているのは何故だ?」
そう首を傾げるノア王子だった。
「どうぞ」
「ありあとー!キレいなお兄ちゃん!お姉ちゃん!」
「あはは、バイバーイ…」
さて、今私達は何故か炊き出しのお手伝いをしている。ただ街の様子とここでの炊き出しを見に行く予定だったけど、なんだか人手が足りないみたいで、見かねた私とノア王子は身分を隠して手伝う事にした。
ようやく炊き出しが終わり、協会の方からお礼に牛乳とパンを貰った。ノア王子は大丈夫かな?庶民の食べ物とか口に合わないのでは?そう思い隣に座っている王子の様子を見ると、パンをジッと見つめていた。
「あの、このパン美味しいですよ?中身がクリームが入ってて…あの…」
「……パンを食べれる民はごく僅かなのだろうか。炊き出しでは、野菜のクズのスープだった」
そう真剣な顔をしながらパンを食べていた。私は少し疑問に思っていた事を質問した。
「何故、炊き出しを見学しようと思いましたか?」
「最初はみんなの暮らしを見たかった。恥ずかしい話しだが、みんな、私が思っていたような暮らしではなく、貧富の差が激しい事に…最近知ってしまい。今日の炊き出しも、どのようなものなのか知りたかった……」
何やら、自分は情けないと少し落ち込んでいるようだった。
「王子様が思っていた暮らしは多分ごく一部のみの貴族だけですよ。でも、今日王子様は一つ知ったじゃないですか!元気出して!」
「…君はなんだかこういう場に慣れていたとは驚いたがな」
「そりゃ、いつも手つ…いや、あははは!何事も気合いです気合い!」
私は背中をバシ!と気合いだと言いながら叩いた…あ。王子なんだ!不敬罪にあたるかな!?いや、てか、婚約者としてお断りするために、嫌な女演じようとしてるのに!!私は何故励ます!?
ノア王子は立ち上がり、手を差し伸べる。
「…では、私達は次へ行こう」
「へ!?」
そう手を繋がれて、この格好のままチョコレート専門店へと行った。どうやら、予約していたみたいで誰もいない…お店の人はノア王子の正体を知ってたみたいだった。
目の前には、チョコレートケーキ!トリュフ!チョコクッキー!どうしよう!?贅沢な時間だよう!!
ノア王子は紅茶を飲みながら私に
「好きなだけどうぞ」と皿にお菓子を取り分けてくれた。
私はモグモグと食べていたら、ジーッと視線を感じる…。
「あの…ノア王子?食べないんですか?」
「私は先程パンを食べたから、いらない」
「…えと…あ!そうだ!あの、婚約の事ですけど、やっぱり無理です!」
「…それは何故だ?」
「え!?えーと、あの……あ。私には…好きな人がいるんです!!!」
確かローズは言っていた。好きな人がいると、でも私にはまだ教えてくれず、時が来たらと言ってたなあ。でもこういえば、ノア王子は断念するかも…悪い人ではなさそうだし…。
カップを置いて少しため息を出すノア王子は私を再度見て
「………そうか…。成る程。ではこの話は無しにしよう」
やったあああああああ!!!ローズ!私やったよ!!あれ!?ローズは今どこにいるんだ!?私達についてきてるはずだけど…!?あ、まあ、お店の中までは無理だもんね。
はうー!チョコクッキー美味しい!色々と解決!早くローズに知らせなきゃ!でも、もう少しチョコ堪能しとこ!
こうして、私とノア王子の偽デートは終了した。
私は笑顔でノア王子に挨拶をし、ローズを探しに行った。
ノア王子は馬車へ乗り帰ろうと席を立つと、先程まで彼女が座っていた所にハンカチが落ちていた。
「…彼女のか」
そう拾い、ハンカチにある家紋が薔薇ではなく馬だった。
「薔薇の家紋でないハンカチをローズ嬢が持っているのは何故だ?」
そう首を傾げるノア王子だった。
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