私の親友は悪役令嬢!?偽りの婚約者になった私が悪役令嬢役になってしまった件

くま

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偽物悪役令嬢と王子のデートの約束をしてしまった…

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固まっている私に布団の中にいる猫、いや、ローズはペシペシ!と叩いてハッ!と我に返った。

「あの……ノア王子様…」

「はい、なんでしょうか?」

いや、なんでそんな淡々としているのだろうか。将来自分の妻になるかもしれないというのに、考えてることがよくわからない!

「む、無理です!」

そうキッパリハッキリと伝えると、ノア王子は少し考えていた様子だった。

「……私との婚約はマクリエッタ家としては喜ばしい事では?」

「それは家の事ですよね!?私は病弱で王家の婚約者なんて務まりませんっ…ケホケホ」

チラッとノア王子がどう反応するか見たけど、なあんも反応なし!

「私は第二王子で王太子ではありませんし、気負いせずとも大丈夫ですよ」

駄目だ!この堅物王子!通じない!

「…あの、私の好みじゃありません!」

「はい?」

「全然好みじゃないんです!なんかジャガイモみたいで!」

ぶはっ!と布団の中で笑いを堪えてるローズは後でお説教だね。

ノア王子は目をまんまるにして、今度はノア王子が固まっていた。あれ?どうしたのかしら?

「………ジャガイモ…いや。そうですか。では、お互い知る為にローズ嬢の体調がよくなりましたら、デートをいたしましょう」

「…いや、全然わかってないじゃないですか」

「いえ、お互い知らない事ばかりだからです。王都に新しくチョコレート専門店がオープンしたのでそこへ行きましょう。女性は甘いものが好きかと」

「え!チョコレート!」

「はい、チョコレートです」

「………チョコ…」

「チョコレートが好きなのであれば、是非行きましょう。ではまた連絡いたします」

「あ、はい」

ノア王子は、ニコと笑って部屋をでた。作り笑顔っぽいけど…。

バッと汗だくのローズが布団から出る。

「いや、何デートの約束をしてるの!?」

「ハッ!そうだった!」

ジーッとローズは腕組みをしながら私を見る。いや、これは…私のせい?チョコレートは、月に一度の贅沢品なんだよ。それが今日チョコレートケーキも食べて更にチョコレートの専門店があると聞くと…私の悪魔が行けと騒いでいた!

「…えっと…けしてチョコレートに釣られてるわけじゃないよ?」

「そう見えたわよ?」

私達二人は見つめ合い、抱き合ってから深い溜息を出した。




馬車の中で城へと帰るノア王子はボーと景色を眺めていた。そんな王子に執事のリアムは話しかけた。

「ノア王子。どうしましたか?マクリエッタ家の屋敷へ顔を出してから少し変ですよ?」

「……私は…ジャガイモらしい」

「はい?」

「ローズ嬢が好みでないと。ジャガイモに見えるらしい」

「ブハッ!…し、失礼しました!」

必死に笑いを堪えてるリアムを見て苛立つノア王子はリアムに更に仕事を増やした。

「……え!?また明日中にですか!?…うぅ…胃が痛くなってきた」

どよんと肩を落としながら、胃薬を飲むリアムを無視してまた景色を見始めるノア王子はジャガイモと言われたことに少し腹を立っていた。




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