上 下
20 / 25

久しぶりの再会は派手じゃなかろうか

しおりを挟む
ふくよかな胸にキュッとしたウエスト。そしてスベスベな肌‥‥

「なんて羨ましい!!何このボンキュン!ローズ!何故こうなったの!」

「ちょっ!スカーレット!またはしたない事をしないでちょうだい!!令嬢のあるまじき行為ですわ!」


学園前で私はローズと話していると、ローズは私の頬をつねって叱る。あれから、なんやかんやと‥‥ローズと仲良くしている自分に驚く。

「やはりゲームの強制力ってやつ?ローズの取り巻きAとして、貴女の悪役令嬢っぷりを温かく見守るわ」

「またわけわからない事を言って‥‥貴女全然気づいていないのかしら」

「何が?」


ローズは深いため息をしながら、自分の隣りにいるスカーレットを改めて見る。

確かに髪はモジャモジャだったが、今では長くトリートメント(主にローズからの贈り物&ローズのおせっかいのおかげ)
をした落ちついてゆるふわな髪型となり、肌もそばかす顔から化粧もしていないのにツルツルスベスベの素肌。

本人は今だに、モジャモジャと言っている。

周りの人達はいつも遠くからスカーレットを声をかけられず遠巻きに見ていたのだ。それは本人はまったく知らずにずっと本を読んでいたりしたため、儚げな令嬢として見られている。

ローズは舌打ちをする。

「私が美人なのはわかるわ。まったく、何が儚げよ。ただのお馬鹿なのに」

「え?今私の悪口いった?少し胸が大きいからといって態度も大きいのはどうなの?!」

ローズとスカーレット二人が学園の門を通ると羨望の眼差しで生徒達は二人を見ていた。

ローズはキョロキョロと周りを見渡す。
‥‥アレからみんなとは手紙のやり取りはしていたものの、会ってなどいないのだから。

‥‥モブ男様も帰ってきて今日会えるんだ。

私とローズはお互いチラッと顔を見つめあう。

「ローズ、顔が赤くなってて乙女さんだね」

「ちょ、貴女なんて、鼻血出てるわ!」

「おっと、興奮してしまったわ」

「‥‥相変わらず変態ね。なのに周りはその鼻血を貴女が病弱で儚げだなんて誤解して腹が立つわ」

「え?何?」

ローズは何やらぶつぶつ文句をいいつつも緊張している様子だった。楽しみにしていたぶん、ずっと‥ずっと会いたかったんだもの。

私は鼻血を拭いて再度周りを見渡すと、黄色い歓声が聞こえ私達は振り返る。

金髪の青年と、青い髪の青年に、眼鏡をかけている緑色の髪の青年‥‥ゲームのオープニングでみた感じの登場の仕方だわ。

「シ、シオン王子に、アベル様とオスカー様だわ」

「うん、何あの目立ちよう」

そして三人と一緒に並んでいる黒髪の青年‥‥女子生徒は彼の存在に気づき頬が赤くなっていた。

え?みんな‥‥ちゃんと気づいてる?いつも存在がわからないような‥‥私しか気づかなかったモブ男様なのに‥‥

「あのお方どなたかしら!素敵ですわ!」

「シオン王子様達と並んでも美しいですし、ほら留学先で仲良くなった側近候補のーー」

シオン王子達も一緒に女子生徒達に囲まれていた。

「ローズ‥‥」

「‥‥何かしら」

「あの四人、目立ち過ぎよね」

コクンと頷くローズと私は声をかけようかかけまいか迷っていた時だ。


「‥‥スカーレット」


そう私の名前を低い声で呼んだのは‥‥モブ男様だった。


そんな時、


「きゃっ!」

モブ男様とシオン王子達の前にピンク色のストレート髪の女子生徒が転んだ。

あれ?これ‥‥

ヒロインが学園へ来て、転んだ時に始まる‥‥

「‥あ、大丈夫ですか?」

「あ?リゲル、何してるんだ?‥あー、君大丈夫?」

「あはは、女子生徒達に囲まれて巻き添えくらったんだねー」

「はあ、そんな事より早く静かな所で姉上と話したいのに」

シオン王子は面倒そうな顔をして、転んだ女子生徒の手を引っ張りあげると、周りにいた女子生徒達は更に黄色い声をあげる。

まんまゲームのオープニングにそっくりだわ。うん。

という事はあの子‥‥まさかだけど。

チラッと私はローズの方を見ると‥あ、なんか怖くて見れないや。


シオン王子も私達に気づき、パァと笑顔になる。いや、ワンコみたいよ。アベルとオスカーも私達に気づいて近寄ろうとした時、グイッと私の手首を引っ張るローズ。

「スカーレット。いきましょ」

「え?いや、モブ男様がーー」

「は?令嬢達と話されて忙しいそうよ」

「うん、すんません、教室へいきましょ。はい」

こういうときのローズはちょい面倒だから‥また後ででいいよね?チラッと私は後ろを振りかえると、モブ男様と目が合った。

言葉はまだ交わしてないけれど、微笑んでくれた笑顔が‥‥尊い!!!




「あ!おい!ローズ!なんで無視してんだよ!?スカーレットも鼻血だしてこっちに気づいてんじゃねえか!」

「はいはい、シオン王子。とりあえず、我々は入学式があるんですからねー。首席のオスカー君は‥あはは!胃が痛いみたい!」

「はあ。アベル、君は少しは緊張しなよ」

「‥‥オスカー君。飴あるけど」

「うぅ、リゲル君、ありがとう‥」

「なあ!んなことよりあの二人無視して行きやがったぞ!?聞いてるか?少しわからなかったけどローズ嬢とスカーレット嬢だよな!?」

「「「‥‥シオン王子うるさい」」」


そんな四人の後ろにプルプルと震えながらローズとスカーレットを睨んでいた先程助けてもらったピンク色の女子生徒は呟いた。


「はあ?なんで‥‥なんで誰も私に名前聞かないのよ!?」

















しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍化決定
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!

ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。 え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!! それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?

悪役令嬢アンジェリカの最後の悪あがき

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【追放決定の悪役令嬢に転生したので、最後に悪あがきをしてみよう】 乙女ゲームのシナリオライターとして活躍していた私。ハードワークで意識を失い、次に目覚めた場所は自分のシナリオの乙女ゲームの世界の中。しかも悪役令嬢アンジェリカ・デーゼナーとして断罪されている真っ最中だった。そして下された罰は爵位を取られ、へき地への追放。けれど、ここは私の書き上げたシナリオのゲーム世界。なので作者として、最後の悪あがきをしてみることにした――。 ※他サイトでも投稿中

悪役令嬢に転生したので何もしません

下菊みこと
恋愛
微ざまぁ有りです。微々たるものですが。 小説家になろう様でも投稿しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

私が妻です!

ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。 王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。 侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。 そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。 世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。 5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。 ★★★なろう様では最後に閑話をいれています。 脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。 他のサイトにも投稿しています。

……モブ令嬢なのでお気になさらず

monaca
恋愛
……。 ……えっ、わたくし? ただのモブ令嬢です。

処理中です...