上 下
15 / 25

バレンタインは騒がしい

しおりを挟む
この世界でもバレンタインデーというものがある。

恋する乙女が、そう‥‥甘い甘いチョコを意中に渡して告白をするイベント!!
推し様を喜ばせたいので、明日はモブ男様を我が家へ招待した!初めてだよ!
チョコレートのお菓子を沢山用意はしたけれどやっぱり手作りもいいと考えていた。



ドガン!と屋敷の厨房が爆発音が鳴るとともに、義弟のオスカーは片手にチョコレート作りの本を持ちながら呆れた顔をして私を見つめる。

「‥‥‥僕は一から十まで、分かりやすいように姉上に説明をした筈なのに、なんで厨房が壊れるのですか?」

「あはは!不思議だよね!」

「いや、自信満々な顔しないでくださいよ!これじゃあ、また怒られるじゃないですか!?そもそもチョコ作りに僕まで巻きこまないでください」

「でも美味しいチョコをお父様とオスカーにあげたかったかし‥」

「僕にもくれるんですか?」

「そりゃ家族だし。今年は手作りが良いかなって。ごめんね」

確かに弟が出来て、これから家族として仲良くしたかったからバレンタインにチョコを作って渡したかったんだよね。でも料理などしたことがない私は、オスカーに協力を求めたのが駄目だったかも!

「い、いや‥あの‥‥別に落ち込まなくても‥気持ちだけでも嬉しーですし」

「だよね!よおし!なら、まだ頑張って作るよ!大丈夫!次は爆発なんて起きない起きない!」

「‥‥‥‥」

この後、チョコ作りは成功したのに、何故か厨房に一生入るなとお母様達にひどく叱られた。

オスカーは私のチョコを見て、青ざめていた。

「‥‥姉上。あの‥‥そのままだと、誰がどうみても犬のうーーいえ、誰かが食べてしまいそうなので、早めにラッピングいたしましょう」

そう、オスカーに言われて私はラッピングをした。お父様とオスカーには早めに渡したし、あと残りは‥‥モブ男様ね!形が良いやつはモブ男様にして、あとはまあ私が食べよっかな?

バレンタイン当日、私はモブ男様に会う準備していた時だ。

「あ、遊びに来てやったぞ!」

「やあ、今日はなんの日か知ってる?」

シオン王子とアベルだった。私がチョコを持っているのを見て、シオン王子はパァと喜び自分の手をさしだす。

「なんだ、しょうがないやつだな!俺が貰ってやるよ」

「は?寝言は後にしてくださいな」

「‥‥モジャ嬢‥いや、スカーレット。お前最近俺様に冷たくないか!?それチョコだろ!誰にあげるんだよ!」

「へえ、シオン王子ではなくて僕でもなさそうだね?ねえ、誰?誰にあげるの?義弟のオスカー君?」

「それは昨日あげました。とにかく二人は早く帰ってくださいよ。私忙しいんですから!」

そう答えると二人は、オスカーの方を見てオスカーはスッと目を逸らした。

ギャーギャーと五月蝿い、シオン王子を無視しようか、もう本当に気絶させてやろうかと本気で考えていた時だ。

「スカーレット」

‥‥あぁ、このちょっと幼さがありながらも、静かで落ちついた口調とショタが混じった高音のきゃわゆいボイスは‥‥

「モブ男様!!」

私は笑顔でモブ男様の方へと行こうとした時、シオン王子とアベルに引き留められる。シオン王子は顔を青ざめながら、プルプルと震えて話す。

「‥お、おい!モジャ嬢。お前は誰と話してるんだよ!?」

「君、空想のお友達がいるの?‥‥いや、そうじゃなかったみたいだねえ」

アベルはやっぱり未来の騎士というべきなのか、気配をすぐに察知してわかってくれた。やっぱりモブ男様の存在がわかりにくいのか、シオン王子はよくわからないと言い張りながらもジッと目を堪えて目の前にいるモブ男様がいるのを見てビックリしていた。

モブ男様はシオン王子とアベルに挨拶をしているけれど‥‥シオン王子は私にコソコソと耳打ちする。

「お、お化けじゃないよな?」

「違います。失礼な」

「さて、みんなで楽しいお茶会をしようか」

「なんでアベル様が指揮してるの!?いいから早く帰れーー」

完全に嫌がらせを楽しんでるアベル様と、シオン王子はモブ男様を見てお化けかなんかと疑いビクビクしている。

私がハアとため息を出すと、くいくいっと私の袖を摘みながら話しかけてきたモブ男様。

「大勢いたほうが賑やかだよ」

そう優しい事と言うモブ男様‥‥
鼻血出そうだわ。可愛いすぎる。

「モブ男様がそういうのであれば‥」

そう話が纏まり、さあみんなでお茶会でもしようとした時だ。

「シオン王子様!いたわ!スカーレット!!あなたのくせに、沢山の男性に囲まれてるなんて!」

「うわぉ。ローズ‥」

誰よ!ローズを通してしまったのは!!?またややこしい子がやってきて‥‥面倒になってきたし、モブ男様とのお茶会だったのに!

「みんな帰ってくれないかなあ‥はあ」

攻略対象者と悪役令嬢達は何故かここに集まってきた。












しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

かつて悪役令嬢と呼ばれた彼女は悪役お嬢様に転生してしまったようです

くま
恋愛
「リリー・シルベリア!今夜を持って婚約を破棄する!おまえは嫉妬に狂い、愛しのユリアンに酷い嫌がらせをしていると報告を受けた!悪役令嬢めが!」 大好きだった婚約者ルイに、婚約破棄をされた。そしてルイの新しい恋人のユリアンに、殺された令嬢リリーは目を覚ましたら知らない世界へと転生さ、知らない黒髪の女の子姿になっている自分に驚いた。 ここは日本という国らしい。 リリーは紫苑という日本ではちょっとしたお嬢様に生まれ変わっていた。その紫苑という子、かなりのお転婆で《性悪》だったようです! 以前の世界よりかは自由がある、リリーは紫苑として生きていくことを決意! 変わり始めた彼女に周りの人たちは紫苑を慕い、無自覚にもモテ始める。基本はベタ甘々にされるけど、徐々にシリアス展開もありです。 でもなんだか、抜けてる主人公です。 主人公が転生する前の世界のお話もチラホラ出てきます、少し混乱するかもしれませんが…。 更新めちゃ遅いです! ※ざまあ…頑張ってざまあをしたいです!(ざまあしたいですはおかしいですね!) ※この作品はリメイク版です。かなり待ってくださった読者様がいたし、私自身もう少し話を練り再度チャレンジ!と思い書きました。この再度練り直しが本当に良いかわからませんが……自己満もあります。どうか広い心で読んでくださいませ。 初めて読む方もいると思いますが、元作品はあまり気にしないでいただければと。ネタバレとかもあるだろうし、そういうの嫌な方がいると思うので、元作品は非表示にしています^_^

推しの幼なじみになったら、いつの間にか巻き込まれていた

凪ルナ
恋愛
 3歳の時、幼稚園で机に頭をぶつけて前世の記憶を思い出した私は、それと同時に幼なじみの心配そうな顔を見て、幼なじみは攻略対象者(しかも前世の推し)でここが乙女ゲームの世界(私はモブだ)だということに気づく。  そして、私の幼なじみ(推し)と乙女ゲームで幼なじみ設定だったこれまた推し(サブキャラ)と出会う。彼らは腐女子にはたまらない二人で、もう二人がくっつけばいいんじゃないかな!?と思うような二人だった。かく言う私も腐女子じゃないけどそう思った。  乙女ゲームに巻き込まれたくない。私はひっそりと傍観していたいんだ!  しかし、容赦なく私を乙女ゲームに巻き込もうとする幼なじみの推し達。  「え?なんで私に構おうとするかな!?頼むからヒロインとイチャイチャして!それか、腐女子サービスで二人でイチャイチャしてよ!だから、私に構わないでくださいー!」  これは、そんな私と私の推し達の物語である。 ───── 小説家になろう様、ノベリズム様にも同作品名で投稿しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました

市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。 ……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。 それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?! 上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる? このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!! ※小説家になろう様でも投稿しています

乙女ゲームに転生した世界でメイドやってます!毎日大変ですが、瓶底メガネ片手に邁進します!

美月一乃
恋愛
 前世で大好きなゲームの世界?に転生した自分の立ち位置はモブ! でも、自分の人生満喫をと仕事を初めたら  偶然にも大好きなライバルキャラに仕えていますが、毎日がちょっと、いえすっごい大変です!  瓶底メガネと縄を片手に、メイド服で邁進してます。    「ちがいますよ、これは邁進してちゃダメな奴なのにー」  と思いながら

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

処理中です...