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鼻血と推し

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梅雨の時期となり、ザーザーとまた雨が降るだす。あれから一ヶ月、探しまわっても全然モブ男様は見かけない!

何処に住んでるかもわからないし!いや、名前よ名前!まず名前なのよ!?

私が頭を抱えて憂鬱なのに‥‥

チラッと私の目の前には沢山のお菓子を持ってきたぞ、ありがたく思えと偉そうなシオン王子と、その隣りには招待もしてないのに平然とホットミルクティーを飲んでる腹黒アベルがいた。

義弟であるオスカーは、ちょっと緊張気味ながらも、どうしたらよいのか二人の様子を伺っていた。

うん、なんというか‥‥

「帰ってくださいな」

「な、なんでそんな冷たい事いうんだ!肉まんを持ってきたじゃないか!」

「あーあ。王子泣かしちゃったねー、あはは!」

‥‥腹黒アベルゥ!貴方が一番帰って!?なんでまた来たのよ!?

「はあ、もう雨ばっかりで、この髪はウネりまくりだし‥‥最悪だよ」

私のモジャ髪は梅雨になるとさらにパワーアップしちゃうんだよね。一つにまとめようかなあ。でもそうするとオバさんみたいだし‥‥。

「モジャ嬢、来年から僕達と同じ学園に通うの楽しみだよね」

「アベル様は、ただただ私をからかいたいんでしょうねー」

「あはは、正解!」

そうアベルと話すと、何故かシオン王子は頬を膨らませて機嫌が悪くなる。チョコレートケーキでも追加したほう良さげかも。

雨がまた強くなるということで、王子達は帰っていった。うん、なんでこんな大雨に来るのか意味がわからないわ。まあ、子供ってそういうの関係なく遊びたい盛りなのかもなあ。

「‥‥あ」

「うん?オスカーどうしたの?」

「借りていた本を返さないといけなくて、忘れてました!」

「あちゃー。雨はまだ強くならないうちにさっさと本を返しちゃお!」

「‥でもこれから雷鳴るって」

うっ、雷かあ‥‥。実は苦手なんだよねえ。でも‥‥オロオロと困っている義弟には優しく手を差し伸べるべきよね!義弟のオスカーは家族となったし!

私とオスカーは護衛騎士と共に、馬車に乗り本を返しに行った。

「スカーレット姉上、少し待っててくださいね」

「うん、私はここで待ってるから。ナルさん、オスカーをお願いね。ふっ、大人な私は大丈夫だよー」

護衛のナルさんは、オスカーが迷わないように、ついていった。

少しだけ雨が強くなってきたかも‥‥窓から外を見た時、ゴロゴロと雷が近くで鳴っていた。

「格好つけずに、私も一緒にいけば良かったかも‥‥」

ハァとため息を出した瞬間

ピカ!と雷が近くで光り、辺りは一瞬で真っ暗になってしまった!!

「真っ暗になったあ!?」

ゴロゴロドガン!!と雷が近くに落ちたみたいで私は腰を落としてしまった。

「‥‥か、かかみなりぃ!うそぉ!うそー!ととととりあえず、へそは隠して、いや違う違う。ぐす‥っ。泣くななあ私‥‥泣いたら負けだー!!雷なんてただの天候なんだあ‥‥」

ゴロゴロ‥‥ってまた鳴るっ!?鳴るのかい!?心臓に悪いんですけど!!?

そう目を瞑った時、私の両耳を塞いでくれる手の感触を感じた。というよりもこの‥‥匂いは!!


「‥‥‥‥君、雷苦手なんだね」

「ぴゃ!?ぴょ!?あう、あああああ‥‥も、もももモブふぉさま!!?」

真っ暗で何も見えないけれど、コレはモブ男様だ!!なんか‥‥‥なんか、こんな、両耳を触られて、真っ暗で声が間近に聞こえるのって‥‥‥

「ちょ、えっちぃ感じだ!」

「‥‥‥うん、意味わからない」


涙より鼻血出そうだわ!



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