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悪役令嬢ローズ

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図書館巡りへとまたお願いしたら、とりあえず本を読んからにして下さいねとマーサに厳しく注意された。うん、16冊だなら16回だね!

「本を読み終えたらまた図書館でモブ男探しに行かなきゃ!」

そう私が意気込んでいるとマーサは首を傾げながら私に話す。事前に探している人がいる事をマーサに話した。紺色髪の少年…それしか情報がない!という事を!

「…あの、スカーレットお嬢様。意気込んでて水を差すようで申し訳ありませんがその紺色髪の少年は、王都に住んでる方なんですか?地方でなく?もしくは遠い国からとか…」

「……ふあ!?」

私はなんて阿保なんだろうか!高等学園は留学生もいるし、地方からくる男爵家とかもいるんだもの!王都に住んでるとか…わからないわ!!!

私が青ざめて、プルプルと震えているとマーサは慌てて励ましてくれてたけど、そうだよ。モブ男は地方に住んでる可能性もあるし、そもそもこの国の人じゃないかもしれない!!

ガックリと自分の阿保さに肩を落としていると突然お客様がやってきた。


「スカーレット!私のお茶会に来ないなんてどういうことかしら!?」

巻き髪ツインテールで吊り目の女の子、そして後ろには取り巻き二人の令嬢がやってきた。

「あ、ローズ」

あの悪役令嬢ローズ・マカロンだ。高等学園ではハーフアップで髪を巻いてる姿だけど、10歳はツインテールかなんだなあとしみじみ見ていたらローズはキッと私を睨む。取り巻き二人はワザとらしく、大袈裟に話す

「ちょっと、今ローズ様の事呼び捨てにしたわよ!?」

「熱でうなされてから頭がおかしくなったのよ!高貴で美しいローズ様なのに!」

とまあ、ぎゃーぎゃーと騒いでいたけど、正直そんな事よりもモブ男が他国の人の可能性があることのほうが問題だよー。旅かな?旅にでようかな?モブ男探しの旅…うん、それもアリかも!そう考えているとローズは私の髪を引っ張る。

「モジャモジャ令嬢のくせに!なんだか、生意気な態度ね!何よ?本なんて読まないくせに読むなんて。いつも従順なくせに私を無視するなんて許さないわ!」

そうローズは大事な《ペガサスと星物語》を足で踏み潰した。その瞬間私はローズの胸倉を掴み睨む。

「…それ、大事な借り物の本なの。喧嘩売ってるの?」

そう言うとローズは固まってハッ!と我に気づいてから、私から離れる。

「なっ、本当に頭がおかしくなったのね!嫌われ者のくせに、私しか友達がいないのよ!」

「や、貴女みたいな友達ならいらない。それなら一人で十分だよ」

「キィー!なんなの!貴女達帰るわよ!」

「「…あ、は、はい!!」」


マーサがお菓子と紅茶を持ってきたと同時に、ローズは令嬢二人を連れて出ていった。マーサは慌てて私に話しかける。

「よろしいのですか?ご友人のローズ様と…」

「んーん、あれは友達じゃないよ。いいの!それよりもせっかくお茶を用意してくれたのにごめんね。あ、勿体ないからマーサ、一緒にお茶しよ」

そう私はマーサと美味しいお菓子を一緒に食べた。

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