猫神様と妖かし達と僕の夏休み

くま

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式神使いの章太郎くん登場!

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ゴーン…と寺の鐘の音がする。あ!もう朝だ!!
僕はバッと起きて服に着替えると、既にほかほかの白いご飯と大根の味噌汁ときゅうりの漬け物がテーブルの上に準備されてあった。毎日食パンだったけど、これが日本の朝食なのだろうなあと感心してしまった。

「おはようさん。なんだい、フウタ君の方が早起きだねえー」

「あ、えとひいば…おばさん、おはようございます」

ひいばあちゃんは、何故か僕の頭を撫でる。何故か撫でてあげたいらしい。ちょっと恥ずかしいかな、中身は17歳なのに。

「あ、井戸で顔を洗うついでに、ニワトリ小屋に行って卵を取ってきてくれるかい?」

「わかりました!」

おー、初めてのニワトリ小屋だ!スーパーでパックの卵ではない!新鮮な卵を朝から頂くって…贅沢だけど。ちょっぴり、なんだろう、罪悪感が!でも、こうやって僕達は生かせてもらってるのかなあとしみじみなりながらも…卵焼き美味しかったです!

現在この昭和46年の夏の田代島は人が多い!僕の知っている、島は過疎化が進みこんなに賑やかじゃないけどなあ…。

「さあて、午前は俺らは、父ちゃん達の仕事手伝うぞ!ウニむきな!」

「あ、それ僕が小学生二年くらいの時よく夏休みの間手伝いしてたよ。ウニを剥いたやつを、後で沢山の塩を巻いて天日干しするんだよね。パックに詰めて塩ウニとして販売するんだっけ」

「へー、フウタも手伝いしてたのか。流石は俺の孫だ!でも俺らはウニの殻をただ片付けるだけだ。後は父ちゃん達に任せて、昼飯食べてから、二斗田に行って、この前の子猫元気になったか見に行こうぜ!」

「うん!わかった」

小さな少年のじいちゃんは、テキパキとよく働いていた。僕も手伝うといつのまにか僕の周りには沢山の猫達が集まっていてた。

「島の猫達がフウタを歓迎してるぞ!」

「本当!?うわー!嬉しいなー!よろしくね。モフモフ幸せ」

僕達は仕事を手伝った後、お昼にイカの刺身と冷やしそうめんを食べて二斗田へと向かおうとした時


「おーい!ツトムー!あそぼうぜー!」

小学生の男の子達がじいちゃんの名前を呼んだ。

「あーわりぃ!まだ用達しあるんだよ!また今度な!」

どうやらじいちゃんの友達みたいだ。じいちゃんは「干し柿をあげるからちょっと待ってろ!」と一度家に戻りに行った。じいちゃんの友達は僕を見て何故か尊敬の眼差しで見つめていた。

「お前、東京からきたんだろ!?芸能人みたか!?森シンイチとかさ!」

「え?森?えーと見た事ないかなあー」

「都会人じゃん!それにしても、ツトムにそっくりだな!少し髪型が違うだけだわ!」

「うん、まご…じゃなくて、うん、従兄弟だからね」

「今度遊ぼうぜ!まだまだ夏休みだしな!あ!俺らさ、もう行かないと!青い屋根の家に行くんだ!ツトムにはまた貰いに行くと伝えてて!じゃあな!」

そう少年達は走り去っていった。そのあとじいちゃんは干し柿を持ってきて、友達がいない事に気付いた。

「あれ?アイツらは?」

「なんか後で干し柿を取りにいくから、またね、だって」

「なんだよ、なら持ってこなけりゃよかった」

じいちゃんは渋々と、これは自分達のおやつにしようと言いながら干し柿を持った。

「なんだか、楽しそうにしてたね。青い屋根の家に行くんだってさ。その家はなにかあるの?」

そうじいちゃんに聞いたら、じいちゃんの顔を青ざめていた。

「…まじか?本当に?そう言ってたのか?」

「え?…う、うん?」

じいちゃんは、慌てて釣り竿も持ち始め走った。僕は慌ててじいちゃんについていき、走ってるけどじいちゃん足早いよ!?

「ハァハァハァ!じいちゃん!急にどうしたの!?」

「……っ!あの馬鹿やろー共!青い屋根の家はぜってー入って駄目なんだ!悪霊がいる!!とにかく怒らせないように注意しないと!」

「え?ちょ、悪霊!?猫の幽霊の次は悪霊!?」

僕達は坂道を登ったり降ったりと走ると、小さな細い山道が見えた。なんか…この先凄い嫌な空気がするかも…。僕がいる現在の島ではこんな道はなかったけど…。

じいちゃんと僕は山道を歩いていくと、ボロボロの青い屋根の家があった。家の玄関前にはじいちゃんの友達が倒れていた。

玄関の先の方は真っ暗で何も見えないけど…駄目だ!これ以上足を踏み入れたら二度と帰れ無くなる気がする!僕はダッシュで意識を失っている、少年二人を山道側へと運ぶ。

そのとき玄関から白い手がでてきた!じいちゃんはキッと玄関を睨み釣り竿をもち構える。なんかじいちゃんカッコいいよ!?

「俺の家の干し柿は世界一だ!コレであいこだ!ごめんなー!!」

そうじいちゃんはピュンと干し柿を玄関の方へと投げたのはいいけど、玄関の横に貼られてある古いお札みたいなのがあり、それが当たって剥がれ落ちた。

「「………あ。」」


その瞬間、白い手が何十本も出てきて僕達を襲おおうとしていた。いやいやいや、怖いし気持ち悪いよ!?


「じいちゃん!干し柿は余計だったかもだよ!」

「だああ!とりあえず、こいつら担いでこの場から逃げるぞ!」

その時白い手が僕の足首を掴む!

「フウタ!」

「わわわわわ!!!」

僕はもう駄目だと目を瞑った瞬間


「……失せろ、悪霊」


僕の目の前には、大きな白い紙の人形が現れて助けてくれた。な、なんか可愛いかも…。紙の人形は無数の白い手を退治してくれた。

「フウタ!大丈夫か!?」

「…う、うん。なんとか生きてる」

じいちゃんは良かったとホッとしていると、知らない少年が現れてきた。髪はサラサラヘアだけど、黒い甚平姿だ。

「げっ、章太郎!」

じいちゃんの友達かな?その章太郎と呼ばれている子は先程の紙の人形をポンと小さくして消した。

「…すごいね!助けてくれてありがとう!それどうやったの?」

そう話しかけると、何故か睨まれる。

「……俺の式神だ……それよりもお前何者だ。妖怪の匂いがプンプンする」

「え?臭い?お風呂入ってるはずだけど…」

そう話していると、じいちゃんは間に入ってきて章太郎君という少年に

「なんでまた退治して消すんだよ!干し柿で解決しようとしてたのに」

「お前はやっぱり馬鹿だな。随分妖怪達と仲良くしてるみたいだけど」

「うるせー!根暗野郎!」

二人はバチバチと睨み合っていた。とりあえず…睨み合う二人の口に余っていた干し柿を口に入れた。二人はビックリして固まっていたけど、よくわからないけど仲良くしよう!

「えと、僕はフウタです。君は?」

ニッコリと微笑みながら挨拶をした僕に、彼は上から下まで品定めをしているように見つめながら面倒くさそうに紹介をした。

「…章太郎だ」

そしてすぐにその場から去っていった章太郎君。

どうやら章太郎君はこの島唯一の寺の息子で、じいちゃんと同じく妖怪やお化けが見えるらしい。
流石というか、やっぱりお寺さんの息子だからかな!?いつも何かとじいちゃんと喧嘩してるみたいだけど…。

「あれー?俺ら寝てた?あれれ?ツトムとその従兄弟じゃん」

「あ!今更起きた!こんのバカ!!あれほどここに近くなと注意したじゃねーか!」

「ひ、秘密基地を作ろうとしただけだよー!」

「ドあほー!」

とまあ、なんとか気絶していた、少年達も無事だったし結果オーライかな?

それにしてもあの紙の人形も式神だと言ってたなあ。

うん、不思議だし、ちょっと映画みたいだったけど、
無数の白い手は怖かったな…。今日はホラー日和だ。


ただ、なんとなくだけど、あの章太郎君は良い子そうで仲良くなれそうだと、僕はそう感じた。



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