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セイロンとアッサム
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「アッサム様!私達はアッサム様を応援しておりますわ!」
「騎士科でもないけれど、アッサム様のご実家が元々剣術に優れていらっしゃるもの」
「はは、ありがとう。あ!リゼ!」
明後日には剣術大会が始まるので、アッサム様は相変わらず女生徒に人気ね。彼の剣の腕は強く、将来騎士になるのではと言われていたけれどアッサム様自身興味は無く、私との婚約もあったので領地や経営などの勉学に励んでいたのを王家の騎士団の人達は勿体無いと嘆いてたっけ。
「リゼ、元気?大丈夫?」
アッサム様が私に声をかけると、何故か女生徒達はササァアァと綺麗に避けて、微笑みながら見つめている。
「‥元気よ」
「えっと、さ。もう少しで剣術大会が始まるから‥‥その応援にきてくれるかい?いつものように、応援のハンカチをくれると僕もやりがいがーー」
「ごめんなさい。私からは無理だわ。寝てるから」
「‥‥リゼ‥僕、君に何かしたかな?‥‥悪いところはなおすよ‥」
だから、どうして‥‥アッサム様が傷ついたような顔をするのよ。影で私に嘘をついていたのは貴方じゃないの。
キャンディを選んだくせに。
アッサムとリゼを遠巻きで様子見ている女子生徒達は頬を赤く染めながら羨ましそうに話す。
「見て、やっぱりお二人は幼馴染なだけあってお似合いよね」
「そりゃあ、ベストカップルですもの!リゼ様は最近学園へ来られないのは体の具合が悪いらしいわ」
「だからあんな儚げなのね!‥‥あっ!騎士科の人達よ!」
私とアッサム様が話している時、ゾロゾロと騎士科の人達がアッサム様の元へやってきた。
「アッサム様!優勝候補者とはいえ、騎士科の我々を忘れては困りますよ!」
「今年こそ我らが勝つんだ!」
「そうだね、今年もよろしくお願いします」
「かー!その余裕なのも今のうち!」
そう自分に話しかける騎士科の人達に、爽やかな笑顔で対応するアッサム様に騎士科の人達は自信満々だった。
「アッサムくん!今年の我々は一味違う!何故なら、我が騎士科の英雄であり希望の星!孤高の狼であるセイロンがいるから!ようやくアイツ大会に出場する気になったんだ!」
騎士科の中に、死んだ目をしたままで連れられているセイを見つけた。セイを見かけたアッサム様の顔つきが変わる。
「‥‥へえ。騎士科の皆さんの中で強いみたいだね。セイロン君は」
「そりゃあ、勿論だよ!まあ、平民出身だけど、ダントツに強い!って‥セイロン?なんだ?前にでて」
セイロンは、騎士科の皆さんが暑苦しいのかその中から抜けだし目の前にいるアッサム様と顔を合わせて無言のまま、頭を下げる。
何故かセイロンとアッサムがお互いの顔を見つめ、何も話さないでいる二人はただ寄らぬ雰囲気を出しているため、周りにいた生徒達は気まずいようだった。
「セイ」
私はセイを呼びだすと、セイロンは私の方へと見てから近くにきた。
「セイ、貴方強いの?」
「それなりに」
「‥‥アッサム様は強いわよ?」
私はチラッとアッサム様の方を見ると、アッサム様はセイを睨んでいるように見えた。
私は無視して、セイの腕を引っ張りその場から離れた。
「では孤高の狼くん、頑張ってくださいまし」
「いや、その呼び名止めてください」
「ぷっ‥孤高の‥ふふふっあははは!何その呼び名!」
学園では貴族のアッサムなのか、平民のセイロンがすぐ負けるのか貴族の間で賭け事をしていた。
望遠鏡で外を眺めているダージリン王太子に、近くにいたエリザベスは眼鏡をクイッと掛け直しながら彼に注意をする。
「ダージリン、貴方何を見てるの?久しぶりに学園へ来たと思っていたら‥‥」
ハアと溜息を出すエリザベスの横に、ダージリン王太子は面白そうな顔をする。
こうして、王家主催の剣術大会当日沢山の人達が集まり賑やかな会場となった。
「騎士科でもないけれど、アッサム様のご実家が元々剣術に優れていらっしゃるもの」
「はは、ありがとう。あ!リゼ!」
明後日には剣術大会が始まるので、アッサム様は相変わらず女生徒に人気ね。彼の剣の腕は強く、将来騎士になるのではと言われていたけれどアッサム様自身興味は無く、私との婚約もあったので領地や経営などの勉学に励んでいたのを王家の騎士団の人達は勿体無いと嘆いてたっけ。
「リゼ、元気?大丈夫?」
アッサム様が私に声をかけると、何故か女生徒達はササァアァと綺麗に避けて、微笑みながら見つめている。
「‥元気よ」
「えっと、さ。もう少しで剣術大会が始まるから‥‥その応援にきてくれるかい?いつものように、応援のハンカチをくれると僕もやりがいがーー」
「ごめんなさい。私からは無理だわ。寝てるから」
「‥‥リゼ‥僕、君に何かしたかな?‥‥悪いところはなおすよ‥」
だから、どうして‥‥アッサム様が傷ついたような顔をするのよ。影で私に嘘をついていたのは貴方じゃないの。
キャンディを選んだくせに。
アッサムとリゼを遠巻きで様子見ている女子生徒達は頬を赤く染めながら羨ましそうに話す。
「見て、やっぱりお二人は幼馴染なだけあってお似合いよね」
「そりゃあ、ベストカップルですもの!リゼ様は最近学園へ来られないのは体の具合が悪いらしいわ」
「だからあんな儚げなのね!‥‥あっ!騎士科の人達よ!」
私とアッサム様が話している時、ゾロゾロと騎士科の人達がアッサム様の元へやってきた。
「アッサム様!優勝候補者とはいえ、騎士科の我々を忘れては困りますよ!」
「今年こそ我らが勝つんだ!」
「そうだね、今年もよろしくお願いします」
「かー!その余裕なのも今のうち!」
そう自分に話しかける騎士科の人達に、爽やかな笑顔で対応するアッサム様に騎士科の人達は自信満々だった。
「アッサムくん!今年の我々は一味違う!何故なら、我が騎士科の英雄であり希望の星!孤高の狼であるセイロンがいるから!ようやくアイツ大会に出場する気になったんだ!」
騎士科の中に、死んだ目をしたままで連れられているセイを見つけた。セイを見かけたアッサム様の顔つきが変わる。
「‥‥へえ。騎士科の皆さんの中で強いみたいだね。セイロン君は」
「そりゃあ、勿論だよ!まあ、平民出身だけど、ダントツに強い!って‥セイロン?なんだ?前にでて」
セイロンは、騎士科の皆さんが暑苦しいのかその中から抜けだし目の前にいるアッサム様と顔を合わせて無言のまま、頭を下げる。
何故かセイロンとアッサムがお互いの顔を見つめ、何も話さないでいる二人はただ寄らぬ雰囲気を出しているため、周りにいた生徒達は気まずいようだった。
「セイ」
私はセイを呼びだすと、セイロンは私の方へと見てから近くにきた。
「セイ、貴方強いの?」
「それなりに」
「‥‥アッサム様は強いわよ?」
私はチラッとアッサム様の方を見ると、アッサム様はセイを睨んでいるように見えた。
私は無視して、セイの腕を引っ張りその場から離れた。
「では孤高の狼くん、頑張ってくださいまし」
「いや、その呼び名止めてください」
「ぷっ‥孤高の‥ふふふっあははは!何その呼び名!」
学園では貴族のアッサムなのか、平民のセイロンがすぐ負けるのか貴族の間で賭け事をしていた。
望遠鏡で外を眺めているダージリン王太子に、近くにいたエリザベスは眼鏡をクイッと掛け直しながら彼に注意をする。
「ダージリン、貴方何を見てるの?久しぶりに学園へ来たと思っていたら‥‥」
ハアと溜息を出すエリザベスの横に、ダージリン王太子は面白そうな顔をする。
こうして、王家主催の剣術大会当日沢山の人達が集まり賑やかな会場となった。
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