14 / 39
アッサムの焦り
しおりを挟む
「何故婚約を承諾してくれないのですか!?公爵も僕とリゼの婚約を前向きに考えていたじゃないですか!」
オレンジペコー家の応接間でリゼの父と、アッサムは話しをしていた。
「本来ならそのつもりだが、今のリゼの気持ちを尊重してあげたいんだ。すまないな」
「‥‥リゼはまだ僕を好いてる筈です。ただ色々と気持ちのすれ違いがあったから‥‥。僕は何度でも彼女に自分の想いが伝わるようにこれからも接していきます!」
そう言い残しアッサムは応接間から出ると、キャンディとちょうど会った。
「アッサム様‥‥リゼお姉様はアッサム様を愛してます!」
「キャンディ。ありがとう‥‥リゼに避けられてばかりで最初は戸惑っていたけど‥‥やっぱり色々と話し合わなきゃならないよね」
キャンディはコクンと頷き、立ち去るアッサムの背中を見つめるキャンディ。
「‥‥‥ふぅん‥‥つまんない。アッサム様ってあんな感じだったけ?」
そう言い残し、キャンディは買い物へと向かう。
「セイ、今日はありがとう」
王宮からの馬車の帰り道、私はセイにお礼を言うとセイは何も言わずにニッコリと微笑む。
‥普段無愛想なくせに、不意打ちにその笑顔はやめてほしいわね。
「あ‥‥」
馬車の窓から見える湖のある公園をみかける。子供の頃から、いつも勉強やらレッスンで思いっきり遊びたかったんだよね。走り回るのは貴族の令嬢らしくないと怒られたっけ。
「寄りますか?」
「え?公園?」
そう私が聞き返すとコクンと頷くセイは、馬車を止めて、私は公園へ行く事になったけど‥。
私は数歩後ろに離れて歩くセイに話しかける。
「ねえ、王宮のときも思ってたけど、少し後ろに離れてるのはなぜ?王宮ならまあ、ともかく今なんだか、私一人で来たみたいじゃない?一緒に歩きましょうよ」
「‥‥私はただの付き添いなので」
「強情なやつね」
「リゼお嬢様ほどではありません」
あーいえば、こーいうと、本当に生意気な男だけど、悪い人ではないのはわかる。
それよりもこうしてゆっくり公園へ足を運ぶのなんて久しぶりだわ。まあ、やっぱりベットの上で食っちゃ寝が1番だけどもね。楽しそうに、小さな子供達を遊ぶ姿を見てなんだか微笑ましい。
「ふふ、ねえ、セイ。見て、あの男の子葉っぱを拾って絵を描いてるわ。可愛いわね」
「‥えぇ、本当に可愛いらしいかと」
私は公園にある、ベンチの近くにある芝生に座り込む。あー、芝生の上気持ちいい!このまま、ダラダラと寝て好きな本でも読んでいたい!
「‥何故ベンチに座らず、芝生なんです。お召し物が汚れますよ」
「いーのよ。誰も見ちゃいないわ。まあ、見られても別になんとも思わないけどね」
そうセイと話しをしていた時だ。
「リゼ!?」
‥‥この声は。私は声がするほうへと振り向くとそこにはアッサム様が慌てた様子でこちらへやってきた。
「‥‥アッサム様」
「こんな汚い所でそのまま座わるなんて駄目じゃないか!せめてハンカチを敷いて座るべきなのに‥‥なんだ。また君か」
アッサム様は近くにいたセイを睨みつけていた。いや、何故睨みつけるのよ?
「私が好きで座っていたのです。セイのせいではありまん」
そう話す私にアッサム様は悲しい顔をする。
‥‥なんで貴方が傷ついた顔をしてくるのよ‥私が悪者みたいじゃない。
「リゼ、今度の剣術大会には僕も出るんだ。その‥応援してくれるかい?君が応援してくれると、勝てる気がするんだ」
「‥‥ごめんなさい」
「‥‥リゼ、僕には君が必要だよ」
「私は必要じゃないですよ?」
「‥‥リゼ!?君は本当にどうしたんだい!?」
そうアッサム様は急に私の手首を強く握りしめる。
「ちょっ‥!痛っ‥‥」
セイはアッサム様の手を素早く振り払い、私を抱き寄せる。
「‥なっ!?リゼは僕と話してるんだ!でしゃばらないでくれるか!」
そうアッサム様がセイに怒鳴りつけるけど、セイは冷静な表情で声をだすものの、あれ?セイもなんか怒ってる?
「‥‥私からみたら貴方様が一方的に見えましたが‥」
アッサム様とセイは睨み合い、今にでも喧嘩をしそうな雰囲気だった。セイは淡々とした口調でアッサム様に話しかける。
「リゼお嬢様が大事だとおっしゃるなら、傷つけるのはどうかと」
セイがチラッと私の手首を心配してくれた。確かに私の手首は強く握りしめられたせいか、少し赤くなっていた。そんな私の手首の様子を見たアッサム様は焦った様子で申し訳なさそうな顔をする。
「あ‥‥リゼ、すまない。手首を強く‥‥色々と焦ってしまったようだ。今日はもうこの辺にするよ‥‥お詫びはまた今度に」
「いえ、結構ですよ」
そう答えたのにも関わらず、アッサム様はその場から立ち去る。
「あの水で少し冷やしましょうか?」
「‥え?あ‥」
あれ、まだ私セイに抱き寄せられてる状態じゃない!?
「だ、大丈夫よ!これぐらい!」
そう私はすかさずセイの元から離れる。
「‥‥まったく、気分よく帰っていたとこだったのに‥」
ハアとため息を出した私の前に、小さな花をセイは私にくれた。
「‥‥セイ、何これ」
「花です。見てわからないのですか?」
「いや、花ぐらいわかるわよ!?セイ、貴方ね、いつも無駄に生意気なのよ!」
そう私がセイに突っかかっていくと、セイはクスッと笑った。
「この花は小さいですが香りがよく気持ちも落ちつくはずです。暗い顔は似合いませんよ」
私を励ますため、小さな花を渡すなんて‥‥
でも少し嬉しいかな?
「あ、ついでにあそこにある屋台行って食べてもいいかしら?」
「何を言ってるんですか。早く帰りますよ」
「甘いもの食べれば、私は元気に明るいわよ!?」
「‥‥そうですか」
そうリゼとセイロンが話している様子を、先程立ち去ったアッサムは自分が乗っている馬車から、二人の様子を見ていた。
「なんで‥‥あの男の前で楽しそうに‥!」
そう悔しそうな顔をしていたアッサムだった。
オレンジペコー家の応接間でリゼの父と、アッサムは話しをしていた。
「本来ならそのつもりだが、今のリゼの気持ちを尊重してあげたいんだ。すまないな」
「‥‥リゼはまだ僕を好いてる筈です。ただ色々と気持ちのすれ違いがあったから‥‥。僕は何度でも彼女に自分の想いが伝わるようにこれからも接していきます!」
そう言い残しアッサムは応接間から出ると、キャンディとちょうど会った。
「アッサム様‥‥リゼお姉様はアッサム様を愛してます!」
「キャンディ。ありがとう‥‥リゼに避けられてばかりで最初は戸惑っていたけど‥‥やっぱり色々と話し合わなきゃならないよね」
キャンディはコクンと頷き、立ち去るアッサムの背中を見つめるキャンディ。
「‥‥‥ふぅん‥‥つまんない。アッサム様ってあんな感じだったけ?」
そう言い残し、キャンディは買い物へと向かう。
「セイ、今日はありがとう」
王宮からの馬車の帰り道、私はセイにお礼を言うとセイは何も言わずにニッコリと微笑む。
‥普段無愛想なくせに、不意打ちにその笑顔はやめてほしいわね。
「あ‥‥」
馬車の窓から見える湖のある公園をみかける。子供の頃から、いつも勉強やらレッスンで思いっきり遊びたかったんだよね。走り回るのは貴族の令嬢らしくないと怒られたっけ。
「寄りますか?」
「え?公園?」
そう私が聞き返すとコクンと頷くセイは、馬車を止めて、私は公園へ行く事になったけど‥。
私は数歩後ろに離れて歩くセイに話しかける。
「ねえ、王宮のときも思ってたけど、少し後ろに離れてるのはなぜ?王宮ならまあ、ともかく今なんだか、私一人で来たみたいじゃない?一緒に歩きましょうよ」
「‥‥私はただの付き添いなので」
「強情なやつね」
「リゼお嬢様ほどではありません」
あーいえば、こーいうと、本当に生意気な男だけど、悪い人ではないのはわかる。
それよりもこうしてゆっくり公園へ足を運ぶのなんて久しぶりだわ。まあ、やっぱりベットの上で食っちゃ寝が1番だけどもね。楽しそうに、小さな子供達を遊ぶ姿を見てなんだか微笑ましい。
「ふふ、ねえ、セイ。見て、あの男の子葉っぱを拾って絵を描いてるわ。可愛いわね」
「‥えぇ、本当に可愛いらしいかと」
私は公園にある、ベンチの近くにある芝生に座り込む。あー、芝生の上気持ちいい!このまま、ダラダラと寝て好きな本でも読んでいたい!
「‥何故ベンチに座らず、芝生なんです。お召し物が汚れますよ」
「いーのよ。誰も見ちゃいないわ。まあ、見られても別になんとも思わないけどね」
そうセイと話しをしていた時だ。
「リゼ!?」
‥‥この声は。私は声がするほうへと振り向くとそこにはアッサム様が慌てた様子でこちらへやってきた。
「‥‥アッサム様」
「こんな汚い所でそのまま座わるなんて駄目じゃないか!せめてハンカチを敷いて座るべきなのに‥‥なんだ。また君か」
アッサム様は近くにいたセイを睨みつけていた。いや、何故睨みつけるのよ?
「私が好きで座っていたのです。セイのせいではありまん」
そう話す私にアッサム様は悲しい顔をする。
‥‥なんで貴方が傷ついた顔をしてくるのよ‥私が悪者みたいじゃない。
「リゼ、今度の剣術大会には僕も出るんだ。その‥応援してくれるかい?君が応援してくれると、勝てる気がするんだ」
「‥‥ごめんなさい」
「‥‥リゼ、僕には君が必要だよ」
「私は必要じゃないですよ?」
「‥‥リゼ!?君は本当にどうしたんだい!?」
そうアッサム様は急に私の手首を強く握りしめる。
「ちょっ‥!痛っ‥‥」
セイはアッサム様の手を素早く振り払い、私を抱き寄せる。
「‥なっ!?リゼは僕と話してるんだ!でしゃばらないでくれるか!」
そうアッサム様がセイに怒鳴りつけるけど、セイは冷静な表情で声をだすものの、あれ?セイもなんか怒ってる?
「‥‥私からみたら貴方様が一方的に見えましたが‥」
アッサム様とセイは睨み合い、今にでも喧嘩をしそうな雰囲気だった。セイは淡々とした口調でアッサム様に話しかける。
「リゼお嬢様が大事だとおっしゃるなら、傷つけるのはどうかと」
セイがチラッと私の手首を心配してくれた。確かに私の手首は強く握りしめられたせいか、少し赤くなっていた。そんな私の手首の様子を見たアッサム様は焦った様子で申し訳なさそうな顔をする。
「あ‥‥リゼ、すまない。手首を強く‥‥色々と焦ってしまったようだ。今日はもうこの辺にするよ‥‥お詫びはまた今度に」
「いえ、結構ですよ」
そう答えたのにも関わらず、アッサム様はその場から立ち去る。
「あの水で少し冷やしましょうか?」
「‥え?あ‥」
あれ、まだ私セイに抱き寄せられてる状態じゃない!?
「だ、大丈夫よ!これぐらい!」
そう私はすかさずセイの元から離れる。
「‥‥まったく、気分よく帰っていたとこだったのに‥」
ハアとため息を出した私の前に、小さな花をセイは私にくれた。
「‥‥セイ、何これ」
「花です。見てわからないのですか?」
「いや、花ぐらいわかるわよ!?セイ、貴方ね、いつも無駄に生意気なのよ!」
そう私がセイに突っかかっていくと、セイはクスッと笑った。
「この花は小さいですが香りがよく気持ちも落ちつくはずです。暗い顔は似合いませんよ」
私を励ますため、小さな花を渡すなんて‥‥
でも少し嬉しいかな?
「あ、ついでにあそこにある屋台行って食べてもいいかしら?」
「何を言ってるんですか。早く帰りますよ」
「甘いもの食べれば、私は元気に明るいわよ!?」
「‥‥そうですか」
そうリゼとセイロンが話している様子を、先程立ち去ったアッサムは自分が乗っている馬車から、二人の様子を見ていた。
「なんで‥‥あの男の前で楽しそうに‥!」
そう悔しそうな顔をしていたアッサムだった。
172
お気に入りに追加
3,333
あなたにおすすめの小説
マルフィル嬢の日々
夏千冬
恋愛
第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。
それも王命により屋敷に軟禁状態。肉襦袢を着込んだ肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!
改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットを始めた。そして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することをスタート目標に、更生計画を開始する!
※こちらはアルファポリス様、小説家になろう様で投稿させて頂きました「婚約破棄から〜2年後〜からのおめでとう」の連載版です。タイトルは仮決定です。
酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。
子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。
ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。
それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。
【取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
かつて悪役令嬢と呼ばれた彼女は悪役お嬢様に転生してしまったようです
くま
恋愛
「リリー・シルベリア!今夜を持って婚約を破棄する!おまえは嫉妬に狂い、愛しのユリアンに酷い嫌がらせをしていると報告を受けた!悪役令嬢めが!」
大好きだった婚約者ルイに、婚約破棄をされた。そしてルイの新しい恋人のユリアンに、殺された令嬢リリーは目を覚ましたら知らない世界へと転生さ、知らない黒髪の女の子姿になっている自分に驚いた。
ここは日本という国らしい。
リリーは紫苑という日本ではちょっとしたお嬢様に生まれ変わっていた。その紫苑という子、かなりのお転婆で《性悪》だったようです!
以前の世界よりかは自由がある、リリーは紫苑として生きていくことを決意!
変わり始めた彼女に周りの人たちは紫苑を慕い、無自覚にもモテ始める。基本はベタ甘々にされるけど、徐々にシリアス展開もありです。
でもなんだか、抜けてる主人公です。
主人公が転生する前の世界のお話もチラホラ出てきます、少し混乱するかもしれませんが…。
更新めちゃ遅いです!
※ざまあ…頑張ってざまあをしたいです!(ざまあしたいですはおかしいですね!)
※この作品はリメイク版です。かなり待ってくださった読者様がいたし、私自身もう少し話を練り再度チャレンジ!と思い書きました。この再度練り直しが本当に良いかわからませんが……自己満もあります。どうか広い心で読んでくださいませ。
初めて読む方もいると思いますが、元作品はあまり気にしないでいただければと。ネタバレとかもあるだろうし、そういうの嫌な方がいると思うので、元作品は非表示にしています^_^
婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました
花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。
クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。
そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。
いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。
数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。
✴︎感想誠にありがとうございます❗️
✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦
✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
私のことを追い出したいらしいので、お望み通り出て行って差し上げますわ
榎夜
恋愛
私の婚約も勉強も、常に邪魔をしてくるおバカさんたちにはもうウンザリですの!
私は私で好き勝手やらせてもらうので、そちらもどうぞ自滅してくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる