12 / 39
沈黙が続いても楽
しおりを挟む
「リゼ!!あなたは姉なのに、妹のキャンディのお願いを無視するなんて一体どういうこと?!」
朝から金切り声が頭に響くお義母様の声‥
夜更かしして久しぶりに推理小説をぐだぐだと読んでいたのに。あー、早く学園行って帰ってお菓子を食べながら小説を読みたい。
「聞いてるの!?」
「お義母様、このままではキャンディはオレンジペコー家の当主になれません」
「‥‥貴女、本当になる気がないの?」
「ありません」
お義母様は私が嫌いなのは昔から知っていた。亡くなった母親に似てるというのもあるんだけど‥‥。
「それでは」
「あ!待ちなさい!まだ話しがーー」
そう私は早く学園へと向かう。
早くグータラしたい‥‥。
エリザベスは怒った顔をしながら廊下を歩くものだから、生徒達は怯えて避けていた。エリザベスが向かっていたのは、リゼのいる二年生の教室だった。
「失礼。リゼ様いらっしゃるかしら」
ツンとした澄ました顔に眼鏡をクイッと掛け直すエリザベスに、周りにいる人達は目を逸らす。
「エリザベス様、どうなさいましたか?」
あら?顔色が悪い??というより疲れてるというか困惑しているというか‥‥
「リゼ様‥少しご相談があります」
そうエリザベス様と私はランチの時間にまた会おうと約束をし、ランチの時間になり、私はいつもの裏庭のベンチへ向かい会いにいく。
「あぁ‥リゼ様。ごめんなさい。忙しい方なのに」
「大丈夫ですよ。毎日サボってグータラしている私なので」
そう説明をすると何故かエリザベス様は呆れた顔をしながら笑っていた。
エリザベス様はふぅとため息をして、話しだす。
「‥‥あの馬鹿がね‥」
「馬鹿?」
「ダージリン王太子よ」
‥ダージリン•オータムナル。
オータムナル国の王太子で何度かパーティーで顔を会った事がある、あまり学園にも来れないみたいだけど、剣の腕は強いと評判。
それは、回帰前でも知っている。だって、回帰前の剣術大会の優勝者はダージリン王太子だったもの。
婚約者であるエリザベス様は苛々しながら、また話す。
「あの馬鹿がね‥‥手料理を食べたいとか言いだしたのよ」
「仲がよろしいのですね」
そう私が褒めると全否定をするエリザベス様。
「昔からの幼馴染なだけです!あんなお馬鹿な男と付き合ってられるのは私ぐらいなだけで‥‥と、とにかく!なんでも、この前下町へ視察に行った時に、平民の新婚の方達の話を聞いて、お、おおお嫁さんになる人は、旦那様に料理を作るからと‥‥。私は確かに未来の妃として日々つとめれるように、心掛けていますが‥‥料理は‥‥」
「エリザベス様。手料理を作って欲しいとダージリン王太子に頼まれたのですね」
「平民の素朴な料理が凄く美味しかったらしいです。でも私料理なんて出来ず、あの馬鹿に無理と言っても駄々をこねて‥朝から頭痛が。はあ。」
平民の素朴な料理‥‥。前世を思い出した私は自炊とかにはあまり抵抗は持たないけれど、確かにこの世界で貴族達は料理なんてまったくしない。
なんとなく私は料理できるけど、貴族の私が何故!?と疑問を持たれるのも説明をしたり、料理をするため動くなんて面倒だ。
平民の料理とか詳しくて器用な人……。なんとなくセイの、顔を思い浮かんだ。手先器用そうだし、声をかけてみましょ。うん、拒否はないけどね!
「エリザベス様、いつ頃ですか?私も連れと一緒に行きます」
「明後日の王宮であの馬鹿とお茶をする予定です。その時に料理を……すいません。ご迷惑をかけて…」
そう私はエリザベス様と約束をした。
ー当日ー
腕を組みながら溜め息を出して私をジーッと文句が沢山あるぞという顔をしているセイを私は無視して、馬車に乗る。
「さあ、早く乗りましょうセイ」
「…突然呼ばれて、何も説明のないままですけど」
「今から王宮に行くのよ。料理とかできる?」
「??それなりには」
「ふふふ。やっぱりね!友人が困ってるのよ、それで一番にセイの事を思い出してね」
「リゼお嬢様が一番に私を思い浮かび頼ってくれたのですか?」
「他に誰がいるのよ??」
「…そうですか…私を…」
そう今日はコッソリと料理を教えて欲しいと、説明をすると、無愛想な顔だったセイが何故か頰を赤く染めて喜んでいた。
「セイ。なんで笑ってるの?あぁ!騎士を目指すべき貴方としては王宮は憧れだものね!しかも今回王太子様様と初めてお会いされるし、セイの魅力を存分に発揮できるかもね!ってなんで急に無表情になるのよ」
「……まず王太子と会うなんて知りませんでした。ただそれは割とどうでも良いです……」
急に不機嫌になるセイに、朝何も食べてないと思い私はチョコレートをあげるとセイは呆れながらも笑った。
「まったく…貴女には敵わないですよ」
私達は楽しい話しをするわけでもなく、ただ黙ったまま馬車に乗り王宮へと向かう。
沈黙な雰囲気は息苦しくもなく、何か話さなきゃとも思わず、なんとなく楽だなあと感じる。
馬車の中は面倒な話などもせず、ボーとするだけ。グータラな私にはちょうど良い。
この時間は嫌いではなかった。
朝から金切り声が頭に響くお義母様の声‥
夜更かしして久しぶりに推理小説をぐだぐだと読んでいたのに。あー、早く学園行って帰ってお菓子を食べながら小説を読みたい。
「聞いてるの!?」
「お義母様、このままではキャンディはオレンジペコー家の当主になれません」
「‥‥貴女、本当になる気がないの?」
「ありません」
お義母様は私が嫌いなのは昔から知っていた。亡くなった母親に似てるというのもあるんだけど‥‥。
「それでは」
「あ!待ちなさい!まだ話しがーー」
そう私は早く学園へと向かう。
早くグータラしたい‥‥。
エリザベスは怒った顔をしながら廊下を歩くものだから、生徒達は怯えて避けていた。エリザベスが向かっていたのは、リゼのいる二年生の教室だった。
「失礼。リゼ様いらっしゃるかしら」
ツンとした澄ました顔に眼鏡をクイッと掛け直すエリザベスに、周りにいる人達は目を逸らす。
「エリザベス様、どうなさいましたか?」
あら?顔色が悪い??というより疲れてるというか困惑しているというか‥‥
「リゼ様‥少しご相談があります」
そうエリザベス様と私はランチの時間にまた会おうと約束をし、ランチの時間になり、私はいつもの裏庭のベンチへ向かい会いにいく。
「あぁ‥リゼ様。ごめんなさい。忙しい方なのに」
「大丈夫ですよ。毎日サボってグータラしている私なので」
そう説明をすると何故かエリザベス様は呆れた顔をしながら笑っていた。
エリザベス様はふぅとため息をして、話しだす。
「‥‥あの馬鹿がね‥」
「馬鹿?」
「ダージリン王太子よ」
‥ダージリン•オータムナル。
オータムナル国の王太子で何度かパーティーで顔を会った事がある、あまり学園にも来れないみたいだけど、剣の腕は強いと評判。
それは、回帰前でも知っている。だって、回帰前の剣術大会の優勝者はダージリン王太子だったもの。
婚約者であるエリザベス様は苛々しながら、また話す。
「あの馬鹿がね‥‥手料理を食べたいとか言いだしたのよ」
「仲がよろしいのですね」
そう私が褒めると全否定をするエリザベス様。
「昔からの幼馴染なだけです!あんなお馬鹿な男と付き合ってられるのは私ぐらいなだけで‥‥と、とにかく!なんでも、この前下町へ視察に行った時に、平民の新婚の方達の話を聞いて、お、おおお嫁さんになる人は、旦那様に料理を作るからと‥‥。私は確かに未来の妃として日々つとめれるように、心掛けていますが‥‥料理は‥‥」
「エリザベス様。手料理を作って欲しいとダージリン王太子に頼まれたのですね」
「平民の素朴な料理が凄く美味しかったらしいです。でも私料理なんて出来ず、あの馬鹿に無理と言っても駄々をこねて‥朝から頭痛が。はあ。」
平民の素朴な料理‥‥。前世を思い出した私は自炊とかにはあまり抵抗は持たないけれど、確かにこの世界で貴族達は料理なんてまったくしない。
なんとなく私は料理できるけど、貴族の私が何故!?と疑問を持たれるのも説明をしたり、料理をするため動くなんて面倒だ。
平民の料理とか詳しくて器用な人……。なんとなくセイの、顔を思い浮かんだ。手先器用そうだし、声をかけてみましょ。うん、拒否はないけどね!
「エリザベス様、いつ頃ですか?私も連れと一緒に行きます」
「明後日の王宮であの馬鹿とお茶をする予定です。その時に料理を……すいません。ご迷惑をかけて…」
そう私はエリザベス様と約束をした。
ー当日ー
腕を組みながら溜め息を出して私をジーッと文句が沢山あるぞという顔をしているセイを私は無視して、馬車に乗る。
「さあ、早く乗りましょうセイ」
「…突然呼ばれて、何も説明のないままですけど」
「今から王宮に行くのよ。料理とかできる?」
「??それなりには」
「ふふふ。やっぱりね!友人が困ってるのよ、それで一番にセイの事を思い出してね」
「リゼお嬢様が一番に私を思い浮かび頼ってくれたのですか?」
「他に誰がいるのよ??」
「…そうですか…私を…」
そう今日はコッソリと料理を教えて欲しいと、説明をすると、無愛想な顔だったセイが何故か頰を赤く染めて喜んでいた。
「セイ。なんで笑ってるの?あぁ!騎士を目指すべき貴方としては王宮は憧れだものね!しかも今回王太子様様と初めてお会いされるし、セイの魅力を存分に発揮できるかもね!ってなんで急に無表情になるのよ」
「……まず王太子と会うなんて知りませんでした。ただそれは割とどうでも良いです……」
急に不機嫌になるセイに、朝何も食べてないと思い私はチョコレートをあげるとセイは呆れながらも笑った。
「まったく…貴女には敵わないですよ」
私達は楽しい話しをするわけでもなく、ただ黙ったまま馬車に乗り王宮へと向かう。
沈黙な雰囲気は息苦しくもなく、何か話さなきゃとも思わず、なんとなく楽だなあと感じる。
馬車の中は面倒な話などもせず、ボーとするだけ。グータラな私にはちょうど良い。
この時間は嫌いではなかった。
181
お気に入りに追加
3,320
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

マルフィル嬢の日々
夏千冬
恋愛
第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。
それも王命により屋敷に軟禁状態。肉襦袢を着込んだ肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!
改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットを始めた。そして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することをスタート目標に、更生計画を開始する!
※こちらはアルファポリス様、小説家になろう様で投稿させて頂きました「婚約破棄から〜2年後〜からのおめでとう」の連載版です。タイトルは仮決定です。
こちらからお断りです
仏白目
恋愛
我が家は借金だらけの子爵家
ある日侯爵家から秘密裏に契約結婚が持ちかけられた、嫡男との結婚 受けて貰えるなら子爵家を支援するが?という話
子爵家には年頃の娘が3人いる 貧乏子爵家に縁を求めてくる者はなく、まだ誰も婚約者はいない、侯爵家はその中の一番若い末娘を求めていた、
両親はその話に飛びついた,これで自分たちの暮らしも楽になる、何も無い子爵家だったが娘がこんな時に役に立ってくれるなんて,と大喜び
送り出され娘はドナドナな気分である
「一体何をされるんだろう・・・」
*作者ご都合主義の世界観でのフィクションです。

攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。

助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした
Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。
約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。
必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。
そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。
そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが…
「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」
そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは
「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」
そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが…
甘く切ない異世界ラブストーリーです。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
婚約なんてするんじゃなかったが口癖の貴方なんて要りませんわ
神々廻
恋愛
「天使様...?」
初対面の時の婚約者様からは『天使様』などと言われた事もあった
「なんでお前はそんなに可愛げが無いんだろうな。昔のお前は可愛かったのに。そんなに細いから肉付きが悪く、頬も薄い。まぁ、お前が太ったらそれこそ醜すぎるがな。あーあ、婚約なんて結ぶんじゃなかった」
そうですか、なら婚約破棄しましょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる